大人オリジナル小説
- 裏切りの舞台
- 日時: 2012/03/31 18:43
- 名前: 千草
裏切りの舞台 プロローグ
「世界は平等なんかじゃない」と、母が言った。そんなの、分からないじゃないか。「平等って、何?」と、母に問い掛けた。“平等”なんて、そんな難しい“言葉”分からないよ。でも、母は答えなかった。ただ、じっと私の目を冷たい目で見ていただけ―…
それから、10年後の2054年。春。日本は、東京−第7番地区−の名門私立学校“論計学園”
私が、この学校に入学して早2年。だが、もぉ昔とは、違う。私の目の前にある机には、マジックで「バカ」「死ね」「黙れ」だの、何とも卑劣な言葉が書かれていた。
「またか…」
長い黒髪を結いでいる少女−名は、浅海 楓 論形学年2年 腰位まである美しく長い黒髪にキリっとした淡く深海のような瞳。身長は160cmと容姿端麗だ−は、小さな溜息を零すと普段から、声が低いが更に低い声で呟いた。“こんなの”は、もぉ慣れた。これから、また始まる…「裏切りの舞台」が―…
裏切りの舞台 プロローグ 完
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どぉもっ!!千草ですっ!!初めての投稿。初めての小説!!いやぁ〜ドキドキ・ワクワクです!!///今回は、プロローグということで、短めに作りました!
前から、文を書くのは好きだったんですけど、投稿するのは人生初!
この「裏切りの舞台」は、主に“いじめ”やそのいじめに対しての社会の見方や、大人の考え方など主人公の浅海 楓が戦う!みたいな、感じの物語ですw主人公の読み方は(あさなみ かえで)と読みます。
まだ、初めてのことで内容が上手く伝えられませんが、もし、何かアドバイスがありましたら教えてください!!
手草より…
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- Re: 裏切りの舞台 ( No.25 )
- 日時: 2012/06/23 15:31
- 名前: 千草
第10幕「踏み込む勇気」
あの過去から、逃れることは出来ない。その事は充分分かっていたはずだった。でも、どうしたって悪夢に魘される。
「そんな事が…」
小さなカフェのテーブルで向かい合わせのように座る暁が、深刻な顔で口を開く。
「ま、それも日課だがな。今だって、そうだし…」
楓は自分の過去を話した。初めは抵抗もあったが、何処か胸の奥で“期待”していた。誰かに話すことで、少しでも報われるのではないかと。
「楓は、何でそんなふうにされてまで、誰にも相談しないんだ?」
暁は、飲み物を飲みながら問い掛けた。
楓は、今まで誰にも“いじめ”について相談したこともなかった。いや、相談できる人など居なかった。自分の家族さえも――
「別に、自分で解決できる。誰にも相談する気は、ない」
楓は淡々と述べる。“今”は、いじめといっても些細なことだ。
「……そんなことない!オレも、力になれる!」
暁は、楓の言葉を否定するように言う。
(コイツは、声がでかい)
楓は、はぁと溜息を零しながら席を立った。軽く会計を済ませ店の外に出る。その後を暁が着いて来た。
「なぁ、オレも力になりたいんだ!」
「………だったら、力になってみせろ」
楓は、振り向かずそう告げるとその場から去っていった。“孤独”という、大きな鎖を背負いながら。
もう少しで雨季が近づく季節になる。楓は、窓の外を見ながら考えた。
「力になる、か…」
学校での生活はとても息苦しかった。毎日、なにかされそれに耐えてきた。でも、今は――
「あ、おはよう!!楓!!」
教室のドアに目線を向けると、暁が入って来るなり楓に手を振りながら挨拶をした。そして、近づき楓の席の隣に腰を下ろした。先日行われた席替えで、暁は楓の席の隣になった。
「なぁ、昨日のテレビ見たか!?」
ニコニコしながら話題を離す暁。その言葉を聞いているのかいないのか、楓は読書をしている。
「さぁな。知らん」
楓は、ページを捲りながら答える。
「えぇー。見てないのか?面白かったのに…」
暁は、少ししょぼくれながら鞄から教科書を出した。そんな姿を横目で楓は見た。
「?何だ?」
その視線に気付いたのか、暁が横を向き微笑む。
「!!な、何でもない!!」
楓は、慌てて視線を本の中に戻した。だが、なぜ自分がそうしたのか分からなかった。でも、目を合わせられなかった。
「…何なんだよっ…クソっ…」
楓は感じたことの無い胸のざわめきを押し殺しながら呟いた。そんな姿を見て、暁がそっと楓の手に触れた。
「!?おい、何すんだ!!」
いきなりの事に顔を上げると、苦しむような瞳で暁が自分を見ていた。少し頬が赤くなっている。
「…オレさ、前から……お前のことっ…」
楓の手を強く握りながら暁は俯いた。誰も居ない、2人っきりの教室で、暁の言葉が静かに反響し、美しく消える。儚い、芽吹きと共に。
「…っ…おい、バカなマネはよせ…」
楓は、暁に握られた手を振りほどけないことに、空しさを感じた。でも、その反対に怖かった。
「オレ、お前のこと……」
“お前”と呼ぶその言葉が、楓の胸を熱くされる。今にも、溶けてしまいそうなほど、体が熱くなるのを楓は感じた。
「好きだ」
ただその一言が、楓の凍りついた感情を少しだけ溶かした。胸の奥に咲く一輪の華は、命を吹き返したように咲き誇る。
「っ……」
雲空がやがて晴れ渡り、教室を明るく照らし2人を包み込む。その日差しに包まれた楓の姿まるで小さく輝く、儚い華のように暁を見つめた。
第10幕 「踏み込む勇気」 完
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