大人オリジナル小説

署名戦争
日時: 2012/05/12 14:14
名前: 小豆

おはようございますこんにちはこんばんは、小豆です

初めてこのスレをたてました。

この話を通じて、見えないこととか、どうしようもないこととか、覚悟のないことの恐ろしさを感じていただければ幸いです。

なんて言ってるけど要は愚痴ですよ(=^・^=)
まあそんな暗くもないしいじめでも何でもない、
ちょっと力と頭と覚悟の足りなかった私たちの、一日戦争です。

私たちの、本当にあった、どうしようもない一日の話。

そこに行くまでの私たちと、通り過ぎた後の私たちの日常。

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Re: 署名戦争 ( No.4 )
日時: 2012/05/12 14:55
名前: 小豆


4:嘘じゃない、これは生存戦略・嘘はもっとうまくつく

「ああおわったあ」
一時間目、例にもれず理科。
大っ嫌い、この教科。
いや、教科自体は面白くて好きなのだけれど、先生がうざい。
後々授業風景も書こうかな。
いわゆる『優秀な偽善者』なのだ、あの先生は。
「シズカぁ、なんか面白いことなあい?」
くるっと後ろを向くと、斜め後ろの席にいるシズカは、・・・すっかり興奮していた。
「ねえねえもう授業中ヤバかったわぁ!!○○君と●●君が話し合いでこんなに顔を近づけてさあ!!」
もうわかるよね?
分かんないとか言ったら容赦しないんだからなっ!!
そうだよ、シズカはヲタだよ!
「あー、はいはい、私はGL専門なんで。イヤBLも好きだけどね?」
「えー、GL?やっぱBLでしょお」
知るか!!
「あー、あのカップルは良いもんねー。私としてはシズカとセンナのカップリングが好きなんだけどねー」
だからこの話題終わんねー?
言外にそう言っているのだが。
「私で萌えないでくれない?」
「いいじゃん、好きでしょ?センナのこと。」
「うん。好き!!」
「うわあああ、むふふ良いこと聞いたあ!」
そか。
一見興奮してキラキラしたように顔を作ってみるが、内心凪いだ波のようだ。
べつにあたしアンタたちに萌えちゃいないんだけど。
確かに、私はオタクだと思う。
でもぶっちゃけ三次元には興味ない。
(二次元だったら普通に『ムフフ』ってモえてんだけどね。)
だからってここでバッサリ切ってしまったら、少しだけこの子と壁ができる。

同じ趣味、それはある意味生存戦略なのだ。
例えばの話、趣味も特技も特と言ってない子がいるとする。
でもちょっと下ネタにもついてこれる子なら、ちゃんとそっち系の友達ができる。
でもちょっと性格が派手なこは、いるだけで華やかなので、根無し草でも十分過ごしていける。
でもちょっと美人な子は、ギャルっぽい子たちが勧誘に来る。
でもちょっと一生懸命で、初めは何にも知らなくても話題についていけなくても、そのうち十分話についてこれるようになる。
でも、もしも。
そのどれも持っていなかったら。
あるいは、変にねっとりしてしまっていたら。
孤立に孤立が重なる。
まあそのうちその子も学習して何らかの方法で輪に入っていくのだけれど。
学習能力のない子は救いようがない。

シズカもそうだ。
というか、前は全然別のギャルっぽいグループにいたのだが、私たちのグループと交流を持つようになって、初めは何にもわかんなかったんだけど今じゃすっかりオタクである。
もしかしたら少し無理をしているのかもだけど、そんなのは自己責任だ。
私もそう。
同じグループのランちゃんは生っ粋のBL好き。
シズカもBL大好き。
私はそこまでじゃない。
同じ趣味だけど、ちょっとずれてるって感じ。
でもこの二人キャラが濃いから、BLを完全否定しまくると私はたちどころにはじかれるだろう。
まあ向こうも時々こっちの趣味に合わせてくれているから、どっちもどっちだけど。
それからグループにはもう一人、センナちゃん。
ああ、あとセンナちゃんはオタクじゃないよ?
このこは変に興奮する私たちを突っ込む役だから、オタクでいる必要はなし。
何となく話も合うしね。

そうやっていたら、ランちゃんとセンナちゃんが来た。
「やっほ、なにそのテンションおかしいでしょ。」
「いまねえ、センナちゃんとシズカのコンビについて…」
「はあ?意味わかんない、ばっかじゃないの。」
「えー、いいよねえこのコンビ。」
ランちゃんに話題を振ってみる。
「あ、私はそこまででもないかも。むしろアメリカさんとイギリスさんが・・・」
話を今度はシズカが遮った。
「あーーー!、私もそれ好きやわぁ!」
シズカは大阪出身だ。

打算を重ねあった、友達。
名前を変えれば、きちんと礼儀を分け合って、相手の趣味も尊重した関係。

中学生の友達も大人の友達も、こんなもんだろうに。
何となく相手を大切にして、時々ムカついてもひとりの人間だからとうなずいて。

チャイムが響いた。

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