大人オリジナル小説

「死」の意味
日時: 2014/08/08 18:55
名前: みかん

・・・死ね。
私を傷つける奴は死ねばいいと思う。
いじめられて苦しんで、泣いて、またいじめられて、裏切られた私の気持ちを思い知れ。

私は屋上に立った。風でさきほどあいつらに切られたばかりのザンバラ髪がなびく。
私は下を見た。めまいはしない。
下校時刻を知らせるチャイムが鳴り響いた。
玄関先で親友の後藤麗華が出てくるのが見えた。
・・・わたしをうらぎった元・親友。
今からお前に地獄を思い知らせてやるからな。覚悟しとけよ。

私は大空を舞った。苦しみから逃れるために。
浮いた瞬間に解放感が遅れて脳に伝達される。
乾ききった心を潤すような雨が私の体に降り注いだ。
・・・下に響く悲鳴。これは麗華の声だろうか?
瞬間頭に鋭い痛みが走った。視界がゆれる。
さようなら、お兄ちゃん。今までありがとう、お母さん。せめて友達が欲しかった。

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Re: 「死」の意味 ( No.20 )
日時: 2014/09/07 18:49
名前: みかん

病院について、受付の人に浅野の部屋の番号を訪ねた。
番号は301だそうで、私はそれを目指して走り出した。
面会は可能だと聞いたので、私は意を決して病室に入った。
鼓動が二倍になる。
私の目に映る少女は私の知っている浅野と違っていた。
地獄に突き落とされたような絶望感が顔に現れている。
幽霊のように白い腕には殴られた傷跡がくっきりと残っていた。
私たちが付けた傷痕だ。
私が傷つけた。浅野の心を、体を。
私が殺した。浅野の心を。
「ごめんっ!」
私は浅野に飛びついた。
もう二度と目を開けることもないであろう、浅野の体を。
この汚れきった体で、穢れた心で、浅野を抱きしめた。
深い悲しみを上唇で確かめながら…。
もう味わうこともないだろう。
「ごめんね、ごめんね、ごめんねぇっ!!」
謝りながら私は泣いた。
涙が枯れるまで。ずっと。私はこの手を離さない。
そう、神に誓った。
涙で揺れる視界のなか、ドアの前で浅野の母親が泣き崩れるのが見えた。

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