大人オリジナル小説

黒猫の誘惑2l(r18bl)
日時: 2022/10/01 01:58
名前: 白楼雪

こちらは数年前に私が綴った物語【黒猫の誘惑】の続編【黒猫の誘惑2】のスレです。
色々考えて、続編を綴る事に致しましたが、相も変わらずきっと稚拙な面が多々見られると思います。
それでもお付き合い戴ければ幸いです。

※この作品にはBLR18要素が多く含まれます。
※矛盾点を減らし綴るため、舞台と主になる登場人物を記載しています。

舞台 
  獣人の世界【朝霧(アサギリ)】
   Bar兼仕事の繋ぎ場【朱源(シュゲン)】

主人物
   冬木(フユキ)青(アオイ)
   茶色い犬の獣人。元は個人で朱源等を通して、裏仕事を受けていた。
   武器はナイフが多い。
   現在桜夜と公私共に組んでいる。

   桜夜(サクヤ)夜(ヨル)
   黒猫の獣人。元は個人で朱源等を通して、裏仕事を受けていた。
   武器はリボルバー銃を好む。
   現在冬木の住居にて同棲をしながら、公私共に組んでいる。

では、再び朝霧の世界に綴りを載せていきましょう。

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Re: 黒猫の誘惑2l(r18bl) ( No.3 )
日時: 2022/10/06 06:12
名前: 白楼雪

オーブントースターの中で焼かれているバタートーストは、焼き上がり間近となり、テーブルの電気ケトルの湯も僅かに沸々としていた。
それらを確認すると冬木は、身に付けていた栗色のエプロンを外して椅子に掛け寝室へと向かう。

 ※※※

遮光カーテンのお陰で薄暗い寝室のベットの上。そこに一人の青年の気配があった。
羽毛布団の端からは、黒くしなやかな尾が垂れ下がり、枕元迄潜っている布団からは黒い三角の猫耳がちらりと見えていた。
「桜夜、起きろ。朝飯食えよ」
羽毛布団の心地好い温もりに眠る黒猫の獣人を起こそうと冬木が寝室に入ると、桜夜の猫耳が小さく震え反応する。
それは枕元へと近寄った冬木の視界にも確りと捉えられていた為、桜夜の眠りが浅い事を察するのは容易いものだった。
「ほら、もう九時過ぎだぞ。いい加減起きろ」
そう冬木が呆れたような声を掛けながら容赦なく布団を剥ぐと、微睡んだ瞳を細めた黒猫の獣人は寝癖で数束跳ねた自身の黒髪にも気づかず、しなやかな黒猫の尾を不機嫌そうに数回シーツの上で叩く。
「おはよう青さん。毎日早起きだね。布団返してよ」
微睡んだ瞳で薄く微笑む桜夜は剥いだ布団の端を掴むと、弱々しい力で引き戻そうとする。
この毎朝の攻防戦は、冬木と桜夜が同棲を始めてから日々の恒例と成りつつあった。
「早起きでもないだろう。もう九時だぞ?それと、ファーストネームで呼ぶのは控えろって。慣れからの隙が危ないんだからな」
弱々しく布団を引き戻す桜夜に対して、冬木は更に厳しく布団を奪い取っていく。
同棲始めの数日は、冬木も朝に弱い桜夜をつい甘やかしてしまい、二度寝を許してしまう事が多くあった。
しかしそれも一週間を過ぎた辺りから、冬木自身このままではいけないと考え、毎朝手厳しく起こすようにし始めたのだ。
そして結果、最近の毎朝の攻防戦は、冬木の連勝が続いていた。
「青さんの鬼嫁。わかったよ。起きるから、目覚めのキスして」
布団を取り戻す事を諦めたのだろう。桜夜はゆっくりと身を起こしてベット脇に座ると、冬木の表情を上目遣いで見つめ、求めるように両手を広げる。
確かに結果を見れば、攻防戦は冬木の連勝である。だが、それはもう一つの朝の恒例を合わせてだった。
薄暗い寝室の中。犬の獣人と猫の獣人の影が重なる数秒の時。小さく喉音が鳴った気がした。
「おはよう冬木さん」
唇が離れる間に囁かれた桜夜の声は、柔らかく優しい声音だった。

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