大人二次小説(BLGL・二次15禁)

【文豪ストレイドッグス】自分の妄想で書く!
日時: 2018/03/04 23:22
名前: トースト

どうも!二次小説(紙ほか)板でも文ストの小説を連載させてもらっているトーストと申す者です!
今回はただただ自分の頭の中にある文ストの妄想を小説にしようと思います!
意見やアドバイス、もしかしたらリクエストなんてものをくださる方が居れば是非是非!皆様も勿論スレ主も傷付いたり不快に思わない文面でロックが解除されて居る時にお願い致します!
腐に関しましては基本スレ主は中太、ドス太、其の他太宰さん右、太宰さん総受け推しです!

注意!
・捏造、パロディ等、皆様が不快に思う設定があります
・少しでも不快に思われた方はUターンを推奨します
・文ストの様な難しい文法使ってないです
・これはスレ主の妄想を其の儘小説化したものです
・駄作です
・ロックをつけさせて頂きます


上記に書かれたことを理解してくださった方のみこのままお進みくださいっ!




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Re: 【文豪ストレイドッグス】自分の妄想で書く! ( No.26 )
日時: 2017/09/13 18:54
名前: トースト

夏休みの宿題が終わらないのとテスト期間と云うこともあり中々更新できませんでしたっ!すみませんっ!


>>24の続きですっ!


中也「美味いか?敦」
俺がそう訊ねると、敦はリスみたいに口の中に詰め込んだ物を一気の飲み込んで、「はいっ!とっても美味しいですっ!」と笑った。其の笑顔に釣られてつい俺の口元も綻ぶ。

中也「あ、一寸待て敦。口元に付いてるぞ」
敦の口元に付いて居る米粒が気になり、俺はそう云い乍敦の口元に手を添え、米粒を掬い上げた。

敦「あっ、有難うございますっ」

中也「お前って、ホント可愛いよな。なんか、愛嬌があるつぅか」
米粒を食べた後に目を細め、敦のサラサラした髪に触れそう云った。敦は分かり易く顔を赤く染める。

敦「なっ、そ、そんなのっ、中原さんだって、充分……恰好善いです」
敦の言葉に思わず目を丸くした。此奴、そんな事思ってたのか……。

中也「…そうか。有難う敦、すっげぇ嬉しいっ!」
俺はニカリと笑って見せた。

敦「っ!……でも矢っ張り…可愛いかも…です…」
敦が俯き、小さく何かを呟いた。よく聞き取れない。

中也「え?今何か云ったか?悪いがもう一度頼む」
俺がそう云うと敦はハッとした様に顔を上げ、弁明する様に掌を振って見せると、ヘラリと笑った。

敦「あっ、いえ、なんでも無いですっ!唯の独り言なのでっ!」

中也「そ、そうか。なら善いが。そう云えば敦お前、俺の事名前で呼んだこと無いよな?」
少し疑念が残ったが敦がそう云うなら追及する心算は無いと話題を変えた。前から少し考えて居たことだ。
此奴…俺の事何時も中原さんって呼んでるよな…?

敦「えっ、な、名前…ですか?でも僕、そんな事…」

中也「善いから、俺が呼んで欲しいンだ。お願い、聞いてくれるか?」
俺がそう云うと敦は困った様に眉間に皺を寄せ、暫く考え込んだ後、小さく息を吐き、覚悟を決めた様に俺を見た。

敦「分かりました。じゃあ、いきますよ。ちゅ、ちゅう____「わあーっ!ストップストップストップゥッ!」……だっ、太宰さんっ!?…と、皆さん迄…如何して此処に?」
敦が云おうとした処を、聞き覚えのある声で塞いだ。太宰の奥には他の探偵社の奴等が見える。

中也「太宰ィ!手前ェ何の心算だっ!よくもまぁぬけぬけと…!」

太宰「だって、敦君から名前で呼んでもらうなんて、私ですら未だなのに」

敦「ま、真逆…着いて来たんですかっ!?」

太宰「うん、其の通りだけど?」

中也「手前よくそんな悪びれも無く云えたなぁおい。人様のデートを邪魔しておいてよぉ…」
俺の額に青筋が浮かんだ。横で敦が俺を宥める為にまぁまぁと声を挙げて居る。一旦、大きく溜息を吐き太宰をキッと睨んだ。

中也「…今日の此奴の時間は俺が貰い受けて居る。だから、こんな事しても……構わ無ェよなァ?」
俺は机に手を着き、其れを飛び越すと敦の隣にある椅子の方へ立ち降り、敦をお姫様抱っこすれば太宰と探偵社の奴等の方へ振り向き、ニヤリと笑ってやった。

中原「此奴は貰ってくぜ。あ、あと太宰。此処の金は手前が払えよ。じゃあ、そう云うことだ」
そう一方的に言い残し、俺達は食べ物屋を後にした。腕の中で敦がモゾモゾと動いた。

敦「な、中原さんっ、善いんですか、あんな事…お店の人にも迷惑ですし…」

中也「心配すんな。太宰と探偵社の奴等が如何にかするだろ。其れに、俺、未だお前に名前で呼ばれてねぇんだけど?何処に行きます?お姫様」
俺は敦をからかう様にして笑った。

敦「………なっ……むぅ……僕はっ、中也さんと居られるのならっ、何処だって構いませんっ!」
敦がヤケクソと云う様に俺の名前を口にした。嬉しい。

中也「そうかそうか。何処でも善いのか…成る程…。なら、“彼処”で善いな?」
途端、敦の顔が青褪める。

敦「ま、真逆っ…」

中也「其の真逆だ」

敦「ホテルですかぁっ!?そんなっ、幾ら何でも急展開過ぎやしませんかっ!?」

中也「莫ァー迦。恋に急展開も糞もあるかよ。如何転ぶか分かんねぇから、恋つぅもンは楽しんじゃねぇか。だから、お前ももっと楽しめ。此れは俺とのラブゲーム、先に堕ちた方の負けだ」

敦「ぼ、僕は…いや此のゲームは…本当の愛で出来て居るんでしょうか?中也さんの…僕への愛は…ホンモノですか?」
敦の問いに、俺はクスリと笑って答えた。



中也「嗚呼勿論、紛う事無きホンモノの愛だ。






愛して居るよ。敦________」




はいっ!終了致しましたっ!随分無理矢理な終わらせ方で申し訳ありませんっ!最終的にシリアスになりましたね(汗)
東亜様っ!リクエストありがとうございましたっ!

暇があれば後日談でも書かせていただきますねっ!

Re: 【文豪ストレイドッグス】自分の妄想で書く! ( No.27 )
日時: 2017/11/19 23:41
名前: トースト

皆様、お久し振りです!
『太宰さんが異能に掛かったお話』が未だ途中であるにも関わらず一先ず今自分が一番やりたい妄想から消化しようと思います!
今回は『太宰さんが盲目になったお話』をやりたいと思います!相変わらず駄文で御座いますがお付き合い宜しくお願い申し上げます!

注意!
・少しでも不快に思われた方はUターンを推奨します。
・一部捏造が含まれております。
・太宰さん総受けです。
・内容が被って仕舞った場合は申し訳ありません。
・此れはスレ主の妄想を小説化したものです。

上記の事を御理解頂けた方のみどうぞ!


『太宰さんが盲目になったお話』


其れは、突然の出来事だった。誰もが予想して居なかったし、太宰本人にだって、其れは予想出来なかった。
任務中、身体に害を及ぼす異能を持つとされる異能者を敦、太宰、国木田の三人で追って居た時の事だった。如何やら其の異能者には仲間が居たらしく、もう一人の仲間の奇襲によって敦に一瞬の隙ができた其の時、逃げて居た筈の異能者が立ち止まり、敦に向かって異能を使ったのだ。敦が“仕舞った”と思った時はもう遅く、敦は必然的に其の異能者の異能を受ける、筈だった………。然し実際の処、敦が其の異能を受けることは無く、代わりに咄嗟に敦を庇い、其の異能を受けた太宰は自らの異能、『人間失格』によって其の異能を無効化し、太宰に其の異能は“直接的には効かなかった”。然し、皮肉にも“直接的に触れて無効化出来なかった”お零れがあり、其の後遺症の様なもので、此の日より太宰の視界は奪われて仕舞ったのだ。
盲目になって仕舞った後、太宰本人は其のことについて然程気にして居なかったが、敦は太宰が盲目になって仕舞ったのは自分所為だと責め、国木田も此の“予定外”の結果に唖然として居た。追われて居た異能者と其の仲間は其の後無事引っ捕らえる事ができ、太宰を盲目にして仕舞った罰なのか探偵社員に酷く傷めつけられた後日、軍警に引き渡された。其れはもう、重傷に近い傷が二人にはついて居たらしいが、此の二人に何があったのかを、探偵社員以外の人物は知らない。まぁ大方、どの様な拷問が課せられて居たのかは、想像をしなくても分かると云うものだろう。

却説、此処で話は変わるが、探偵社では太宰が盲目になってから、はや一週間の時が経とうとして居た。太宰は相変わらず盲目になった事に関して気にして居ない様子だったが、太宰の目には包帯が巻かれ、生活や任務には多少の支障が及んで居た。今の太宰はマフィア時代に養われたと云う視界以外の神経を研ぎ澄ませ、何とか生活していると云う状態なのだ。そんな太宰を他の探偵社員達がサポートしつつ、太宰は盲目生活を送っている。
太宰が盲目になった、と云う話はポートマフィアに迄伝わり、ポートマフィアも其のことについて酷く憤慨し、“太宰は矢張りポートマフィアに引き渡せ”等とポートマフィアが主張しているらしいが其れを探偵社は断固拒否として認めていない。特に元太宰の相棒である今やポートマフィア五代幹部の一人、中原中也と太宰の教え子である芥川龍之介が太宰を今か今かと狙っているらしく探偵社も太宰を守る為に日々奮闘して居る。

今から話す話は、太宰が盲目になってから半月が経過した時に起こった出来事だ。


此処で切ります!

Re: 【文豪ストレイドッグス】自分の妄想で書く! ( No.28 )
日時: 2017/11/26 02:05
名前: トースト

↑の続きです!


其の日、探偵社には太宰と敦と国木田と鏡花と数人の事務員しか居なかった。与謝野と乱歩は出張で不在になっており、社長である福沢もまた、出張により留守にして居た。谷崎や賢治は非番で休暇を貰って居た為顔を出さないのは必然で、此れにより探偵社員は実質四人、と云う何時もより少人数になって居た。加えて其の四人の中でも盲目の者が一人と少女が一人。幾ら戦闘要員の敦が居れども今ポートマフィア等からの襲撃がきたら被害を何時ものように最小限に抑え込む、と云うことは難しい様子だった。
然し其の日は…否、然し其の日もそんな物騒なコトを考える迄も無く
_________欠伸が出る程平凡だった。


太宰「あー、依頼が無いと暇だねぇ。平凡で、実に退屈だ。そう思うだろう敦くぅん」
太宰が間の抜けた声を揚げて、包帯で覆われた其の目を敦に向けた。

敦「そうですね。でも、平凡なのが一番です。依頼が無ければ太宰さんが任務先で危なくなる心配もありませんし」
敦は太宰の云い分にニコリと笑いそう答えた。そんなまったりとした会話を聞いていた国木田は太宰の頭を軽く自身の手帖で叩いた。

国木田「何が退屈だ何が。お前には任務の変わりに書類整理があるだろうが。盲目のお前にでも出来る簡単な内容なんだ。さっさと終わらせろ唐変木」

太宰「えー?だったら任務に出た方が数段マシだよぉ…と云うか、外出たい。もう彼此れ一週間は外に出てない。…外出たいし、川にだって行きたいよ」
不満気な声を揚げ、太宰は敦から国木田に視線を移した。

国木田「莫迦を云え。そんな事でお前に怪我をされては堪らん。お前は盲目になったのだぞ。もう少し自分を労われ」
国木田は呆れた顔を浮かべ、未だ納得のいって居ない様に口を尖らせて居る太宰を見、小さく溜息を吐くと「…仕方の無い奴め。社の中が暇なら何処でも歩いて来い」と云って太宰を見据えた。
太宰はガタリと立ち上がり子供さながら嬉しそうに口角を上げると「本当っ!?」と云って早速扉の方へ向かった。

国木田「但し、ポートマフィアと密売組織には気を付けろよ。其れと、成るべく早く帰って来い」

太宰「分かってる。一時間程で戻って来るよ。あぁ、此処等の地図はしっかり頭の中に入ってるし、迷わないから任せて。じゃあ、行って来るね」
扉を開け、太宰の姿が見えなくなる。太宰が居なくなった探偵社は、到頭実質三人になって仕舞い、敦は「太宰さん…大丈夫でしょうか…?」と不安気な声を揚げ国木田はまた溜息を吐いた。そんな時、今迄沈黙して居た鏡花が口を開いた。

鏡花「……私…行って来る…」

敦「僕達じゃ屹度気配で気付かれるから…鏡花ちゃんに、太宰さんのこと、お願いしても善いかな?」
敦が鏡花の目線に合わせる様に屈み、鏡花と目を合わせる。鏡花はコクリと頷き、「任せて」と口にした。其れを聞いた敦は笑顔を浮かべ、国木田は済ました様に肩を竦めた。そうして、太宰を追いかける為急ぎ足で探偵社を去って行く鏡花を見送った。

太宰と鏡花が居なくなった探偵社には、敦と国木田、二人だけが残った。


---


太宰「久し振りの外…国木田君達の監視も無いし、矢張り気持ちが善いなぁ。ふふふ、皆は私に少し過保護過ぎるのだよ」
探偵社から十分程歩いた処で太宰は伸びをし乍ら独り言ちた。盲目になって迄入水をする気は無いが、川にだけでも久し振りに顔を出しておこうと思い何時ものルートで河川敷の方へと向かう。
其の時だった。

太宰「___」
何者かの視線を感じ、太宰は咄嗟に其方の方向へと振り返った。然し、次の瞬間には其の視線も感じなくなっており、賑やかに人々が立ち尽くす太宰を横に、笑い乍らすり抜けて行った。

太宰「(私の勘違い、だったのかな?其れとも唯単に民衆の視線?でも、其れとも違う様な……)」
そんな事を考えて居ると、又視線を感じた。今度は後ろからでは無く、真っ正面から。しかも、近い。
殺気こそ感じなかったものの、身構えておいた方が善いと躰が判断したのか太宰は咄嗟に受け身をとろうとした。然し、そんな事をする迄も無く、太宰の腕は小さな手で引っ張られ、耳には聞き慣れた声が入った。

鏡花「大丈夫?」
鏡花だった。太宰は其の声に安堵したような表情を浮かべ、身構えるのを辞めた。

太宰「鏡花ちゃん……追い掛けて来てくれたの?」
太宰の問いに鏡花は頷いた。

鏡花「心配だったから」

太宰「そっか。有難う」
太宰の言葉に鏡花はもう一度頷いた。そして太宰の手を取り、自身が先陣をきって歩き出した。

鏡花「何処へ行くの」

太宰「久し振りの外だから…川に行こうかなって」

鏡花「分かった」
太宰の返事を聞き、鏡花は川の方へと太宰を導く。其の様子は、ハタから見れば兄妹か親子かと間違えるものだった。親子と見間違うには、太宰は若過ぎたかも知れないが。
そんな中、太宰は一人考えて居た。先刻の視線は、鏡花のものではなかった。では一体誰の視線だったのかを。

太宰「(誰かに着けられてる…?いや、真逆…私の考え過ぎか?)」

鏡花「如何したの?」
鏡花が立ち止まり、先程から何やら考え込んで居る太宰を見上げた。太宰は、

“何でもないよ”

そう、答えようとした。其の科白は、もぎ取られる様にして消え、太宰の口から告げられることはなかった。

???「_______何でもないよ」

_______刹那。

鏡花は自分の背が凍り付く感覚を覚えた。同時に、もう逃げられない、と思った。躰が硬直した様に動かず、声も出ない。

鏡花「(仕舞った)」
気付けば太宰は既に手中に居らず、意識の無い状態で“其奴”の腕の中に居た。もう自分の周りは数人の男に囲まれており、逃げ道が無かった。
次第に、自分の意識も掠れていく。

鏡花「御免…なさい…」
護れなかった。
最後に其の言葉を残して鏡花は意識を手放した。


???「ふぅ、今日の収穫は此の兄妹だけかぁ。兄の方は盲目の様だが、顔が善いな。此奴は高く売れるぜ」
男の一人が太宰の顔を値踏みする様に眺めた。勿論、太宰に起きる様子は無い。

???「そうだな。けど妹の方も小せェが中々善い顔立ちだ。此奴が成長したら屹度値も高くつくぜ。一気にこんな大物を二匹なんて、今日はツイてるンじゃねぇか?」
また別の男は、鏡花の躰を担ぎ上げるとそう云って、ニヤニヤ嗤ったのだった。


---


廊下を、何者かが歩く音がする。其の人物は憤怒を顔に…否、最早憤怒を通り越して其の人物の顔は無表情になって居た。被っている帽子が其の人物の顔に影をつくり、其処から覗いて居る双眸は劔の様に鋭く、冷たく光って居た。
頭の中を巡る、あの言葉。

_____『如何やら、大変な事態になった様だ。先程通達されたのだがね、太宰君が、最近巷で有名な密売組織に捕まったらしい。人身売買を基本として商売をして居る中々に大きな組織でね。我々としても治安の為には潰しておきたい処だったんだよ。……いけるかい?中也君』

_____『お任せ下さい。首領。必ずや遂行してみせます』

_____『……頼んだよ』

太宰が密売組織に捕まった。

其の瞬間、中原の頭に湧き上がってきた感情は、怒りだった。人身売買を基本として商売をして居ると云う事は、太宰は売られると云うことだ。中原には其れが耐えられなかった。相手への殺意が静かにふつふつと煮えたぎり、頭が可笑しくなって発狂して仕舞いそうだった。

殺す殺す殺す殺す殺す殺ころすころすころす……

__コロス


中也「ブッ殺す」
中原の居た其処には、無意識に使って仕舞った異能の所為で、大きなクレーターが出来上がって仕舞って居た。


此処で切ります!

Re: 【文豪ストレイドッグス】自分の妄想で書く! ( No.29 )
日時: 2017/11/26 23:54
名前: トースト

↑の続きです!


時計の針がカチ…カチ…と音を立て乍ら時を刻んでいく。文字盤に表示されている針は四時を指しており、太宰が散歩に行くと外に出てから既にかれこれ二時間は経過して居た。敦はそわそわした様子で窓の外を眺めており、国木田は太宰がしなかった書類整理に専念して居る様子を見せるが其の度にチラチラと時計を気にして居る様だ。時間だけが過ぎ去っていくそんな時、遂に痺れを切らした敦が口を開いた。

敦「太宰さんと鏡花ちゃん……遅いですね…もう二時間は経ってますよ…。何か、あったんでしょうか…」

国木田「……」

敦「若しかしたら、太宰さん、何か危ない事に巻き込まれたんじゃ……」
黙って居る国木田に対して、其れでも敦は己の不満を続ける。国木田の方に視線を移すと、国木田はパソコンを扱い乍ら到頭口を開いた。

国木田「……近頃、違法密売をして居る組織がヨコハマを拠点として活動して居ると云う情報が、軍警から通達されて居る」
手は動かされたまま、淡々と国木田がそう告げる。聞き慣れない言葉に敦は其の言葉を復唱した。

敦「違法…密売…?」

国木田「人身売買の事だ。闇市で懸賞金を掛けられ、其処で物の様に売り飛ばされる。其れも、何の関係も無い一般人がだ」

敦「太宰さんは…其の密売組織に捕まったかも知れない。……そう云うことですか…」

国木田「勘違いをするな。俺は可能性の話をして居るだけだ。かと云って、俺は乱歩さんでは無いが…此の位のこと、勘だけでも見当がつく。ほぼ其れで相違無いだろう」

敦「だったらっ、早く二人を助けに行かないとっ!」
敦は大きく国木田の方へ振り向いた。国木田は敦に目もくれず、手を動かしている。

国木田「……其れは辞めておいた方が善い。俺達よりも事の理解が早い組織が、既に向かって居る。……行けば、“彼奴”の歪んだ愛に潰されるぞ」
国木田が、敦の方に一瞬目を向けた。お前は其れでも行くのか?と云って居る様な目だった。

敦「っ!国木田さんは何でそんなに冷静で居られるんですかっ!?太宰さんと鏡花ちゃんが危ないって云うのにっ、国木田さんは太宰さんが心配じゃないんですかっ!?」
つい、声を荒げて言葉が出て仕舞った。国木田の敦を見る瞳が、揺らぎ無く敦を貫いた。

国木田「心配に決まって居るだろ。だがもう太宰の救出には手が足りて居る。そう云って居るだけだ」

敦「……仮にその救世主がポートマフィアだとして、何故、太宰さんが助かると云うのが、何故もう救出に乗り出して居る組織が在ると云うのが、分かるんですか」

国木田「何故って…其れは敦お前……其の組織に太宰が拉致されたと情報を漏らしたのは、“俺”だからだ」
キーボードを打つ手が止まり、漸く国木田は躰ごと敦に向けた。

敦「国木田さんが…?」
敦は国木田の発言に特別驚いた様子も無く、唯少しばかり目を丸くした。

国木田「あぁ、今の俺達の人数では相手の密売組織に対抗出来る程の戦力が足りないからな。汚い手だとは思うが、此れが一番の良策だ。俺は太宰の為なら、どんな奴でも手駒に使う。其れが例え、太宰の元相棒だとしても…な」
そう云って国木田は薄く笑みを浮かべた。敦は国木田の言葉に頬に汗が伝う感覚を覚え乍も、其の口元は笑っていた。矢張り同じ穴の狢である以上、自分達は何も変わらない。自分達が太宰に向ける感情は、最早愛と云う概念を通り越して唯の信仰心だと云うことに。

敦「嗚呼、其れは……“僕も同じです”」
______太宰さんを傷付けた者には死の鉄槌を。

敦「だって太宰さんは、僕等の『カミサマ』ですから」


其れは即ち、『太宰治』と云う名の宗教。


---


周りが騒がしく、深い眠りから意識を覚醒させた。顔を上げた反動で手刀された首筋がズキリと痛み、太宰は小さく呻き声を洩らした。両手両足には枷が付けられて居、口にはタオルが巻かれて居て上手く声が出せない。

太宰「(此処、は…?今は何時だろうか…。否、其れよりも先ず鏡花ちゃんを探さなくちゃ……)」
目を覚ましたにも関わらず自分の視界は闇に包まれており、状況がイマイチ理解出来ない。取り敢えず鏡花を探そうと身動ぎをするが、何者かに其れを制され、太宰は固まって仕舞った。明らかに其れが鏡花の手では無かったからだ。

???「おい、お前兄貴の方だな。お前はあと数時間後に闇市でオークションに掛けられる。妹の方はもう何年か後になってからだ。…俺の云ってるコトが、理解出来るな?」
野太い男の声が太宰の耳元で囁かれる。強張ったゴツい手に腕を締め上げられ、思わず肩が震えた。口で云われても何一つ理解出来ない状況に、太宰の恐怖心が煽られた。

???「おい、此奴震えてやがるぞ。かっわいそうになぁ。ま、俺達も此れが商売だから恨みっこ無しでいこうぜ。なぁ?」
そう云い、別の男が太宰の鳩尾に蹴りを入れた。タオルのお蔭で咳が出来ず呼吸が詰まった。悶える太宰を見てどっと辺りから笑いが起こる。

???「おいおい、大事な商品なんだからあんま虐めんなって」

???「顔には傷を付けなければ躰なんて如何だって善いだろ?如何せ今からじっくり値踏みするんだからな。あの餓鬼の方もだ」
何を話して居るのか、久し振りに話に着いていけない感覚に太宰は襲われて居た。

???「でもまぁ、餓鬼の方は未だ起きねぇし、先ずはお前から、じっくりと、な?」
其の瞬間ゾワリ、と太宰の背中に何か厭なものが駆け巡った。男の指が太宰の服を少しずつ履いでいき、包帯に包まれた躰が露わになった。

???「何だ此奴。躰に包帯巻き付けてやがる。趣味悪りぃな」

???「でも矢っ張り善い顔してんじゃねぇか。嘸かしイイ声で啼くんだろうなぁ」
男がそう笑い、太宰のモノを掴んだ。喘ぎよりも叫びに近い声が太宰の口からタオル越しに聞こえ、男達は太宰を見世物でも見るかの様に嘲笑した。

???「ほぅ、此奴は善いや。売るのが勿体無い位だなぁ」
男はそう云い今度は太宰の顔を強引に己の方へ向けようと______

???「あ?______っ、ぎゃああああああああッッ!!!??」

男の腕は、既に其処は無かった。
血飛沫がぴっと太宰の頬を濡らし、男は其の場で絶叫し乍倒れ込んだ。
ぴちゃりと血だまりを踏み、其の青年はナイフを掲げる。

中也「触ンな」

???「なっ、お前、一体何処から_____」
男の口から、次の言葉が発せられることは無かった。
“其の男の首が飛んでいたからだ”。

中也「五月蝿ェ。一寸黙ってろ」

太宰「ちゅう…や…?中也なの…?」

中也「あぁ、太宰。遅くなって済まねぇ。もう大丈夫だ」
青年……中原は太宰の躰を優しく抱き締めると枷を外し、タオルを取ってやり、「一寸待ってろ。直ぐ終わらせる」と云い太宰の額に接吻をするとゆっくりと太宰から離れ男達と向き直った。

???「なっ、んだよ此奴…っ!何が如何なってやがるっ!」

中也「此れから三秒数える。三秒の間に逃げきれたら見逃してやるよ。一………」

???「まっ、待てっ!頼む辞めてくれっ!」

中也「二………」

???「何でもするっ!だからっ!」

中也「三………」

???「殺さないでッ______」
次の瞬間、男達の躰はミンチの様に押し潰されて居た。

中也「悪りィが。太宰は俺の『カミサマ』なンだ」

太宰は俺の“絶対”なンだよ。

太宰「中也…?」
太宰の呼び掛けに、ピクリと反応した中原は、太宰の元に不安定な足取りで近付き、其の躰を抱き寄せると何度も太宰の名を呼んだ。

中也「嗚呼、太宰…太宰…」

太宰「なぁに、中也」

中也「……」
返事は、無い。

太宰「……中也…泣いてるの…?」

中也「……見えンのかよ」

太宰「ううん。何と無くだよ」

中也「太宰…」

太宰「…うん」

中也「お前は俺の凡てだ」

太宰「知ってる」

中也「だから…」

太宰「うん」

中也「もう、こんな危ない目に遭うんじゃねぇ」

太宰「うん」

中也「怖かった。お前が死んだら如何しようって、怖かった…」

太宰「そっか…」

中也「太宰」

太宰「なぁに」

中也「好きだ」

太宰「知ってる」
と、云い終える前に、中原は太宰の口を塞いだ。

太宰「んっ、んんっ…!」
其れからは、随分と長い接吻をして居た、と思う。

太宰「ちゅ、中也っ、何してるのさ」

中也「御褒美。今日は此れで勘弁してやる」

太宰「っ、君って奴は…!」

鏡花「何してるの?」

太宰「えっ?」

鏡花「此の人に、何してるの?」
自分で枷を断ち、逃げ出して来たらしい鏡花はそう僅かな殺気を含んだ瞳で中原を睨み上げた。

中也「あ?手前も居たのかよ。鏡花。気付かなかったなぁ?」
中原の挑発する様な言葉に短刀を構える鏡花。火花を散らす二人の間に太宰が割って入った。

太宰「ちょ、中也っ!君ももう大人なんだから止してよ恥ずかしい。鏡花ちゃん、無事で善かったよ。大丈夫だったかい?」
太宰がそう云えば鏡花は黙って頷き、中原にドヤ顔をして見せた。

中也「こンの糞餓鬼……!」

太宰「中也、如何かしたのかい?」

中也「るっせぇ!ほら、探偵社迄送ってやる。行くぞ」
中原はそう強く云い放つと太宰をお振り、歩き出した。鏡花は後ろから太宰のコートを掴み着いて行く。

太宰「ねぇ、中也…」

中也「……」

太宰「中也…笑ってるの…?」

中也「……見えンのかよ」

太宰「……ううん。何と無く、だよ」

中也「………そうか」

そう其れは、『太宰治』と云う名の宗教。

盲目になった、太宰治と云う名の『カミサマ』のお話。



『太宰さんが盲目になったお話』此れにて終了です!
ふぅ、私としてはシリアス頑張ったんですけど矢張り最後にはお巫山戯が入って仕舞いますね!←シリアス無理だけど書いちゃう人
続きましてはまたシリアスです!
『溺死した魚と転落死した鳥のお話』
次のお話も宜しくお願い致します!

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