大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- 供養【gnsn】
- 日時: 2022/03/09 18:15
- 名前: 雨 ◆cxr3pzal/E
www.pixiv.net/users/72241546
もうこちらには何もあげないと思うので、気になる方は支部の方にどうぞ。
- Re: 供養【toho/gnsn/kgpr】 ( No.1 )
- 日時: 2021/12/13 22:18
- 名前: 雨 ◆cxr3pzal/E
岩神/堂主#1
「な、何これ……確かに『清心とスライムの液体炒め』じゃないけど――」
眉を顰める胡桃の前には、まさにこの世のものとは思えない見た目をした料理が置かれていた。烈焔花の花蕊と思しきものに、スライムを溶かしたようなとろりとした透明な液体がかかった、得体の知れない代物。その料理の先には、したり顔を浮かべた香菱が腰に手を当てて立っている。
「もー……見た目はアレでも、味はとっても美味しいんだから! 胡桃もはやく食べてみてよ!」
「い、いや、流石にこれは、」
中々料理を口にしない胡桃に痺れを切らしてか、とうとう香菱自らが箸を手にし、その料理を胡桃の口元へと運んできた。胡桃は眉尻を下げ、少し青ざめながらも苦笑しては「しゃ、香菱? 聞いてる? ……ねぇ、香菱さん?」などと香菱を制止しようとしたが、香菱は既に聞く耳も持たなくなってしまっているらしい。
「――あーもう、仕方ないなぁ」
胡桃はついに腹を括った。香菱が切り分けてくれていたらしい花蕊の欠片をぱくりと口に含んでみる。
「ッぅ゛ぉえ゛っ!」
いや、こんなものは覚悟を決めて食べるべき食べ物なんかではない。噛み締めた途端に広がる、舌をピリピリと刺激するような不快な感覚。不味い。不味すぎる。ほぼ直観的にそう思っては、半ば嘔吐きながらも吐き出した。
「ふ、胡桃!? だ、大丈夫?」
「な、何これ、舌がヒリヒリするんだけど!?」
「えっ、嘘! どうしてだろう……舌がヒリヒリするってことは、絶雲の唐辛子かな? でも、絶雲の唐辛子なんて入れてないし……」
「しゃ、しゃんりぃん……その前に、水をちょーだいよ」
ここに香菱の料理の被害者がいるというのに、当の本人はそれを他所に何かを考え始めかけていた。全く、香菱のこういった所を見ていると、料理熱心すぎるのはかえって料理人の悪い癖、としか言いようがないように思える。
「あ、ああごめんなさい! はい、……にしても、どうして失敗しちゃったんだろ、私が食べた時は何ともなかったのに……」
「失敗、というか、そもそも烈焔花の花蕊とスライムを掛け合わせること自体が間違いだと思うよ?」
「ううん、これは烈焔花の花蕊とスライムだけじゃなくて、トリックフラワーの蜜も実は入ってるのよ。だから、舌がヒリヒリしたりとかは無いと思うんだけど……」
香菱の口から飛び出たレシピになんて組み合わせだろうか、と胡桃は思わず呆れた顔を浮かべつつ、渡された水をこくりと一口飲む。そうしてちびちびと水を飲み進めながらも、そういえば私に食べさせる前から随分と自信満々だったけど、本来は一体どんな味だったのだろう。と、ふと胡桃はそう考えた。
話を聞く限りには、成功した料理でも到底美味しそうには思えないけれど。
「ね、…………」
聞いてみようと思い口を開くも、やっぱ、いいか。とすぐにその口を閉じた。香菱の劇物料理にわざわざ手を出すような真似をする、というのは、好奇心を天秤に掛けても掛けきれない。それほど大きなリスクを手に取る気にはなれなかった。
- Re: 供養【toho/gnsn/kgpr】 ( No.2 )
- 日時: 2021/12/16 20:45
- 名前: 雨 ◆cxr3pzal/E
岩神/堂主#2
「ぜっっっったい原因これだ…………」
あの後、口直しにと水煮魚を食べたあと往生堂に帰り、自室に戻ってからというものの、胡桃は一つ違和感に気付いたのだ。
「あ゛〜〜〜〜!! なんでこんなことになってるの!?」
扉の近くにある大きめの鏡にふと映った自分の姿を見て、思わずギョッとしたものだ。困り果て、やけくそになって叫ぶ胡桃は今もなお、まだ鏡の中の自分と睨み合いっ子している現状であった。
いつもの帽子の下からぴょこっと覗く、胡桃の髪の毛と同色のふわふわとした愛玩動物の獣耳のようなもの――に胡桃はそっと指先を触れさせる。するとその獣耳のようなものはぴょこぴょこと数回に分けて素早く動いた。
間違いない、何度確かめてみようがこれは動物の耳だ。何故かは分からない、というかほとんどあの香菱の謎の料理が原因だと思うが、どういう訳か本物の獣耳が生えていた。これはもしや、と思い臀の方に手を寄せてみると、ふわっとした新しい感触が手に当たった。……間違いない、これも恐らくは動物の尻尾だろう。
「胡堂主? どうかしたのか?」
「しょっ、鍾離さん!? なんでもないよ、ちょっと仕事に行き詰まってただけなの!」
叫び声が部屋の外にまで聞こえていたか、と内心ドキッとしつつ、胡桃は慌てて扉越しに声の主へとそう弁解をする。幸い、鍾離は自室へと入ってきていなかった。こんな姿を見せるのは情けない、というか恥ずかしい。なんとかしてこの場から追い払わねばならない。
「そうか。俺の手は不要だろうか?」
「えっ、う、うん、……鍾離さんの手を煩わせるのは悪いから、大丈夫」
さっさと何処かに行って欲しい! と胡桃は内心で叫びながら、普段通りの声音を意識して発する。鍾離は胡桃の言葉に納得したらしく、「そうか。俺に手伝えることがあるなら、言ってくれ」とだけ言い、去っていった。
「あ゛〜〜〜……どうしよう…………」
鍾離の気配が扉の前から消えていくのを察知した胡桃は、大きな溜息を吐いた。そして、ぼふん、と近くのベッドに背中からダイブしながら、いかにも悩んでますと言いたげな声色で控えめな声量でまたもや叫んだ。
「というか、コレっていつ消えるの、というかどうやって対処したらいいわけ?」
そう言いつつ、ベッドに仰向けになったまま天井を見つめながら、寝転ぶ際に脱げたらしい帽子から顕になった獣耳をそっと指で撫で回す。耳の感じ的に、これは恐らく猫の耳だろう。ということは、尻尾も猫のもの、ということか。
……まぁ、獣耳の種類を判別したところでどうにもならない。問題は、これをどうやって対処するかだ。往生堂の堂主たるものがこんな獣耳を生やしてしまった、なんて噂が広まった暁には、堂主としての顔がなくなってしまう気がする。どうにかして、仕事までにこの獣耳と尻尾を消さねばなるまい。
「白朮……の所に行くのが良いんだろうけど、」
こんな時は白朮のところに行けばすんなり解決しそうな気もするが、あそこはあそこで薬がよく効くだのなんだので常に客がいるような気がする。薬を貰う以前に、不特定多数の人の目についてしまいかねない。あとは薬が苦いし、出来れば頼みにしたくないのが本音だ。
「仕方ない、今日の依頼はぜんぶ他の人に任せて……今日は休んだ方がいいかも」
白朮に頼らない方法、といえば、あとは自然的にこの獣耳と尻尾が消えるのを待つしかないだろう。流石に明日になれば消えているだろう、と寝転がったまま壁にかけられている予定表へと視線を向ける。今日の仕事はあと一つだけのようだった。
「あー……えっと、鍾離さーん、まだそこに居たりしない?」
いったい誰に頼もうか、と胡桃は考えるも、先程の鍾離の言葉を思い出しては、部屋の外に向かってそう呼びかけはじめて。
「……胡堂主か。どうかしたのか?」
扉の向こうから聞こえてきた声と扉の前に現れた気配に、よしと胡桃は心の中でガッツポーズを決めた。あとは良い感じに理由をつけて、仕事の代行をお願いするだけだ。
「うん、実は急用ができちゃって、できればこの後の葬儀を鍾離さんに任せたいんだけど……いいかな?」
「……ああ、いいぞ」
「よかった、ありがと鍾離さん」
鍾離の返答には少し間があった気がしたが、上手く行ったらしい。思いの外に上手くいったことに、胡桃は笑いを含みつつもそう礼を告げた。
- Re: 供養【toho/gnsn/kgpr】 ( No.3 )
- 日時: 2021/12/16 20:46
- 名前: 雨 ◆cxr3pzal/E
岩神/堂主#3
「な、治ってないなんて……!」
翌日。獣耳と尻尾が消えていることを期待して、鏡の前に立ったが――現実は無情のようで、相も変わらずぴょこぴょこと可愛らしく動く獣耳がそこに映っていた。
「どうしよう……!!」
ずぽっと帽子を被り無理矢理獣耳を帽子の中へと隠しながら、予定表へと目を向ける。今日は一日中仕事と言っても過言ではなかった。これでは、仮病を使いでもしない限りは全部の仕事を誰かに任せるのは厳しそうである。
何より、獣耳だけであれば何とかして誤魔化せるような気もするが、尻尾はどうしたって誤魔化しきれないだろう。完全に四方八方塞がりだった。
「仮病を使うにしても、ねぇ……」
仮病を真に受けて薬でも処方されてしまったりするのはなかなかにきつい。というか、処方される薬なんて絶対に白朮のところだろうし、尚更避けたい事態だ。
「胡堂主。依頼主が来ているぞ」
「え、え、鍾離さん、ちょっと待って」
色々考えている間に時間は約束の時刻になっていたらしい。胡桃は聞こえてきた声に、あからさま焦ったような声でそう答えた。本来なら胡桃がもうお客さんの相手をしている頃合いだというのに、と不思議がった鍾離が、胡桃の部屋の元へと訪れてきていたのだ。
「堂主殿、昨日から少し様子がおかしいように思えるが、大丈夫か?」
「だっ、大丈夫だよ。あっでも、今はちょっと無理、だから……他の人に代わり頼んでおいてくれない? 後で行くから――」
「……分かった。そうしよう。堂主はそこで待っていてくれ」
「えっ、う、うん……あ、ありがとう」
“そこで待っていてくれ”とはなんだ、と思いつつ、胡桃は鍾離が自分の言葉に素直に従ってくれたことにホッとしたような顔を浮かべた。とりあえず、一旦の危機は一応避けられた――筈だったが。
「えーっと、鍾離さんはどうしてここにいるのかな?」
「堂主殿が風邪をひきでもしたのだろうと思ったのだが……ふむ、違ったか?」
「どう見ても違っ……わ、私は! このよく分からない猫の耳と尻尾で仕事を休んでたの!」
こんな姿誰にも見せたくはなかったのに、と思うももう遅く、ほどよく温かい濡れタオルに数個の林檎を持って部屋に入ってきた鍾離に、胡桃は面食らっていた。
どうやら鍾離は、昨日時点から胡桃の様子が変わったことに感づいていたらしい。そして、風邪でもひいたのだろうと考えていたのだと。そこで仕方なく、胡桃はやけくそで、仕事を休んでいた本当の理由をついに打ち明けてしまった。
「鍾離さんにも見えるでしょ? この耳と尻尾が」
もう見られたものは仕方がない。「今日ここで見たことは誰にも言わないで」と念を押した上で、胡桃は帽子を脱ぐと、鍾離に猫耳と尻尾を見せた。
「ふむ、……確かに本物だな」
「わ、ちょっと鍾離さん、何触っ――ひぁッ、……っ!?」
すると鍾離は、するりとその手を胡桃の頭へと持っていき――まさか、と思った胡桃は慌ててその手を制止しようとするが叶わず――鍾離はその柔い獣耳を優しく指で撫でた。その擽ったい感覚にびっくりしたのだろうか、胡桃は平生とは異なる声を上げてはびくりと肩を跳ねさせた。
「これは、……」
「ちょ、ちょっと鍾離さん、触るの禁止だっ、て……!」
このままではダメだ、と思った胡桃は、獣耳を隠すようにして手を持っていこうとするが、あえなくその手を鍾離に掴まれてしまう。ふにふに、と耳の感触を楽しむような鍾離の手つきだけが続行されていた。
「ッひ、ぅ゛……ふ、っん……」
胡桃の両手を片手でまとめあげている鍾離は、もう片方の手で優しく獣耳を揉み続けていた。胡桃は鍾離の手の動きに合わせ、獣耳をぴくぴくと動かしながら、逃げようと鍾離の腕の中で懸命にもがいている。飄々としたいつもの姿とは違う、他人に押されたじろいでいる胡桃の姿に、鍾離はフッと笑みを浮かべた。
「実は、俺は堂主殿のことが少し苦手だと思っていた」
「っな、に……鍾離さん……っ、今それ話すこと、なのっ?」
「が、今は、愛らしく感じる」
鍾離は面白そうな笑みを浮かべたまま胡桃に向かって優しい声でそう言うと、獣耳の付け根をすり、と指先で丁寧に撫で上げた。
「ぅ、ふっ……! ぁ゛ひ、……ぃ、しょっ、りさ……っ、まって、」
ぎゅ、と胡桃の手が空を掴んだかと思うと、びくりと細っこい腰が大袈裟に跳ね、驚きを目に浮かべた顔が鍾離の方へと見上げられた。
「……堂主殿は、これをただ面白がっているだけだと思うかもしれない。だが、この獣化を治すのにはこれが一番手っ取り早いんだ」
「へ、っ? しょぉ、りさっ、それ、っどういう……」
根元をくるりくるりと指先で円を描くようにして撫でていたのを、今度は先っぽの皮膚の薄いところを優しく指の腹全体で揉んでいく。胡桃の体はびくりと何度も小さく跳ね上がり、その度に押し殺したような吐息が漏れ出た。
それでも、胡桃は鍾離の何か知っているような口ぶりに、大きな赤い目に困惑を浮かべつつも、詳しく聞き出そうと言葉を紡いでいった。
「我慢せずとも、俺に言ってくれればすぐにでも対処してやったのに」
- Re: 供養【toho/gnsn/kgpr】 ( No.4 )
- 日時: 2021/12/16 20:53
- 名前: 雨 ◆cxr3pzal/E
岩神/堂主#4
気が付けば胡桃はベッドの上に転がされていた。うつ伏せになり、腰を高くあげた体勢を鍾離によって取らされていた。
「……っ! ……っ、ふ、……ぅ……っ」
とんとん、と鍾離の大きな手が尻尾の付け根を服越しに優しく撫でる。と、その度に胡桃の体がびくびくと震え、足ががくっと小さく動く。胡桃は声を漏らさないようにとうつ伏せの顔に枕を押し付け、くぐもった声を断続的に漏らしていた。
はたしてこれは本当に治療なのだろうか、と与え続けられる刺激によってどろりと蕩けてきた脳みそでふと胡桃は考える。これでは、まるで情事のような――気もしなくはないのだが。
「ッは、しょ、っり……さっ」
「どうかしたのか、堂主?」
「ひ、……くぅッ!?」
枕から顔を上げ鍾離の方へ顔を向けては名を呼んでみたが、逆効果だったのかもしれない。鍾離は胡桃の獣耳へと口を近づけ、わざとらしく吐息を吹き掛けるようにして話しかけてきた。それと同時に、ぎゅっと軽く尻尾の根元を掴まれる。
「こ、これ、本当に治療になって、」
「ああ。もちろんだ」
そう言う鍾離の顔はどこか楽しげである。全くそうには思えないと胡桃は心の中で毒づきながら、鍾離の手によって情けなくも踊らされていた。
「恥ずかしからずに、そのまま気持ちよくなってくれれば良い」
「は、ッぅ……ぁ、」
優しい声音でそう告げる鍾離は、根元を掴んでいた手をするりと動かし、尻尾の先へと指を滑らせていく。それだけの単純で簡単な動作でさえ、胡桃の頭の中をドロドロにするには充分だった。先程までの疑問も、何もかもホロホロと崩れ落ちていくのを感じながら、胡桃は身を僅かに捩らせる。
「この獣化を治めるには、“満足させる”というのが一番早くて効率的な手段なんだ」
「ぅ、ぃ゛……ッ」
左右に揺れ動く胡桃の腰を掴み、がっしりと固定した鍾離は、ぱしんと軽く尻尾の付け根を手のひらで打ち付ける。いわゆるスパンキングと呼ばれるものだ。
「胡堂主のそれは、恐らくは家猫などに見られる類のものだろう」
「っひ、ぅ……っぁ、くっ……ん゛ッ」
「だから、これが最も効果的なアプローチだと思うのだが」と続けながら、鍾離は胡桃の腰から尻にかけて――例に漏れず、尻尾の付け根の辺りだ――を重点的にスパンキングし始める。ぱしん、ぱしん、と軽い音が響く度、胡桃の背中がびくりと飛び跳ねる。胡桃は、すっかり腰だけを高く上げ、顔を枕に埋めているかのような体勢を取っていた。
「っぅ゛ぁ、づよ……ッは、ん、ッふぅ……ぅぅっ」
ぴくっ、と尻尾の先が痙攣してはぴん、と天に向かって一直線に伸びる。与えられる快感を正しく受け取っている証だ。
鍾離は、する、と手のひらを胡桃の尻全体に這わせては、ゆっくりと尻尾の付け根に向かって撫で付ける。それだけで胡桃の腰は跳ね上がり、鍾離の手のひらへと自らの体を押し付けるようにして動いた。まるで発情期の猫のような動きだな、と鍾離はイメージを思い浮かべつつ、再度手のひらを尻へと打ち付ける。
「ッひ、ん゛ぅ……っ、しょぉっ、りさっ、ゃ゛、まっ、〜〜〜っ!」
鍾離がそのまま尻尾の根元をギュッと掴んでやれば、胡桃は平生の様子からは予想だにできない、切羽詰まったような声をあげながら、ガクガクと膝を何度も震わせた。胡桃の手はぎゅっぎゅっと何度もシーツを掴んだり離したりを繰り返し、息は「っはー、はーっ」と荒くなっているようである。
「……達した、か」
「はー、っは、……ふ、」
がくり、と胡桃の腰がベッドに沈んだのを見て、鍾離は胡桃の顔を自身の方へと振り向かせた。胡桃は何が起きたのか分からないと言いたげな顔で、焦点の合わない虚ろな目でされるがままに鍾離の方へと顔を向けた。
「な、に……さっきの、」
「恐らく、絶頂だろう。オルガスムス……オーガズム、とも呼ばれるが」
「……おー、がずむ……?」
胡桃はまるでたわ言のように鍾離の言葉を反芻する。その様子は、初めての知識を得た子供のようで。もしや此奴は……と鍾離は、一つとある可能性が頭を過るが、それを口には出さず、静かに胡桃の言葉に肯定の意を込めて、「ああ」と頷いた。
胡桃は固まっていたが、すぐに何かを考えるような顔つきになった。何を考えているかはさっぱり分からないが、今はゆっくりとしている場合ではない。混乱している胡桃に追い打ちをかけるようにして、鍾離がまたもや話しだす。
「胡堂主には、このオーガズムを何度か経験してもらい、それで満足してもらおうと思っている。どうだ?」
「……へ、」
鍾離の言葉に、胡桃が再度固まる。鍾離はそれを見て、何か不味いことを言ってしまっただろうか、と首を傾げては、
「何か、問題でもあっただろうか?」
「っう、ううん、問題はないんだけど、……」
鍾離の目には一切の下心などはない。あくまでも治療の一環として提案しているだけのことだ。全く自分は何を考えているのだろう、と胡桃は首を小さく振ると、どことなく煮え切らない笑みとともにそう言葉を返した。
「……そうか? なら、早速はじめるとしよう」
鍾離のそんな言葉をきっかけにして、また胡桃は鍾離に向かって尻を見せつけるような、腰を高く上げた姿勢を取らされた。
「う、うん……あのね鍾離さん、出来れば、……優しくしてよ?」
「……。……それは、このタイミングで言うべき台詞ではないと思うのだが」
ちら、と鍾離の方へ顔を向けた胡桃は、どこかしおらしげな表情だ。想定外の言葉に鍾離は思わず言葉を詰まらせるが、これは少女の単なる気まぐれだとか、からかいのニュアンス的なものだろう。そう考えた鍾離がつとめて冷静な声色でそう言うと、胡桃は「や、やだなぁ鍾離さん、変なこと言わないでよ〜」と鍾離から目を逸らしつつもいつものように笑ってはそう言った。
「まあ、善処はしよう」
鍾離は、そんな胡桃の様子にフッと短く笑っては、胡桃にそう優しく告げたのだった。