大人オリジナル小説
- 思ってから実行するまで
- 日時: 2010/11/14 09:41
- 名前: 黒影 ◆BX9zGDO0G.
―はじめに―
此方では、初めまして。
黒影と申します。
さて、社会問題系小説というわけですが、今回書くのは虐めはあくまで発端です。
本題は虐められて、その後のことです。
…実際、自分がロクに虐められたこともないので、おかしな点も多いと思いますが。
心理描写は其処まで得意ではありません。
故に、下手ではありますが、どうぞよろしくおねがいします。
―目次―
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- Re: 思ってから実行するまで ( No.4 )
- 日時: 2010/12/27 15:22
- 名前: 黒影 ◆BX9zGDO0G.
03
報復、とは実に愚かな行為で、その行為は自分で自分の首を絞めるようなものだ。
例えば、A国がB国にミサイルを撃ち込み、B国はそれに対して、核兵器で報復をしたとしよう。
そうすると、A国も核兵器を用いた報復をする。
また、B国もその報復に対する報復で核兵器を使用する。
報復の連鎖、こうして戦争は成り立っていく。
それを繰り返すと、やがて地球は核の冬を迎える。
放射能汚染による、食糧不足や伝染病の蔓延で、多くの命が失われることだろう。
仮に、核の冬を生き延びた人間が居ても、高高度核爆発によって引き起こされる電磁パルス、つまりEMPが原因で電子機器も使えない上、地球上の大半の動植物が絶滅した状態では、人類が完全に滅ぶのも時間の問題だろう。
報復に対する報復、報復の連鎖による核戦争で、人類は自らの手で自らを破滅に導く。
この例えは非常にスケールが大きく、実際に起こったわけでもない為、分かりにくいかもしれない。
簡単で、身近な例を挙げると、学校での生徒間の喧嘩だ。
A君がB君を殴ると、B君はA君を殴り返し、そうして喧嘩が成り立つ。
一見、単なる殴り合いの喧嘩だが、これもこれで、立派な報復となる。
少し考えれば分かることだ。
やればやり返される。
やらなければやり返されない。
しかし、やらなければ、人間は何も出来ないままだ。
その微妙な関係でこの世はなりたっているのだ。
一年の頃、大野が転校したのは、自分達の虐めによって、彼が屈服したのだと思いこんでいた。
しかし、実際は違った。
大野が転校した後の、空いた机は、目立って見えた。
それは、大野なりの警告だったのかもしれない。
虐めとは、時に自らの手で自らの首を絞めるようなものだと。
二週間前の朝、悪戯で置いた手紙を読んだ霜村が、飛び降り自殺をしたのは、自分達に対する報復だったのではないだろうか。
虐めとは、時に人の命をも奪うものだ、と、伝えたかったのではないだろうか。
戦争とは、報復の連鎖で成り立っている。
虐めとは、報復が連鎖しないから成り立っている。
しかし、今回は報復する相手はもう居ない。
命を散らし、自分達に報復を仕掛けた霜村は、既に死んだ。
つまり、霜村に“虐め”を実行した者は殺人犯と同じである。
共犯者はクラス全員。
霜村を虐げた者全員。
“感謝し、そして自分のしたことに恥じろ”。
それは、重い、言葉だった。
命とは、重いものだった。
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