大人オリジナル小説
- 思ってから実行するまで
- 日時: 2010/11/14 09:41
- 名前: 黒影 ◆BX9zGDO0G.
―はじめに―
此方では、初めまして。
黒影と申します。
さて、社会問題系小説というわけですが、今回書くのは虐めはあくまで発端です。
本題は虐められて、その後のことです。
…実際、自分がロクに虐められたこともないので、おかしな点も多いと思いますが。
心理描写は其処まで得意ではありません。
故に、下手ではありますが、どうぞよろしくおねがいします。
―目次―
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- Re: 思ってから実行するまで ( No.9 )
- 日時: 2011/02/06 19:00
- 名前: 黒影 ◆BX9zGDO0G.
06
霜村が死んでから一ヶ月。
奴が居なくなって、クラスは平和になったか、といえば、全く違う。
クラスにあった勢力や関係は大きく変わった。
男子の方は比較的穏やかになり、今の所、虐めらしい虐めはない。
問題は女子だ。
グループが三つから五つに増え、どのグループにも属さない、“六つ目”が虐められ始めた。
米森 秋子、篠沢 静海、千葉 百合。
たった三人、虐めることくらい容易いのだろうが、男子はそんなことする気にならなかった。
女子のやり方は陰湿で、無視、嫌がらせは後を絶たない。
そんなことに使うくらいならもうちょっとマシな使い方をしろ、と言いたくなるほどに頭を使って嫌がらせをする。
特に無視、というのは話すのが好きな女子にとっては結構なダメージになる。
しかし、千葉 百合の例は特殊だった。
彼女とは異常な程に仲を良くするのだ。
その一方で、“友達”という言葉を引き合いに出し、全てを奪っていく。
比較的裕福だが、少し暗い性格で、自分に自信を持たない彼女はそれに縋るしかない。
恐らく、それに飽きればすっぱりと切り捨てるだろう。
まるで、蜥蜴の尻尾のように。
今日も聞こえる。
「ほら、百合ちゃーん? おはよー?」
「お、お早う……御座います……」
「もう、敬語は良いって言ってるでしょー?」
「あら、これ買ったの?」
「え、あ、うん……」
「良いなぁ……ねぇ、これ頂戴? 友達でしょ?」
「あ、……うん……良いよ……」
「ありがとー! これ前から欲しかったのよー!」
「あ、はは……」
泥棒の如き、ハイエナの如き、ハゲタカの如き。
本人の了承さえあれば良いとでも思っているんだろうか、何でも奪っていく。
まるで脅しだ。
これを寄越さなきゃ虐めるぞ、という。
千葉自身も米森や篠沢のようにはなりたくないのだろう。
ただただ、従っている。
最早、彼女に脱出の術はなかった。
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