大人オリジナル小説
- 思ってから実行するまで
- 日時: 2010/11/14 09:41
- 名前: 黒影 ◆BX9zGDO0G.
―はじめに―
此方では、初めまして。
黒影と申します。
さて、社会問題系小説というわけですが、今回書くのは虐めはあくまで発端です。
本題は虐められて、その後のことです。
…実際、自分がロクに虐められたこともないので、おかしな点も多いと思いますが。
心理描写は其処まで得意ではありません。
故に、下手ではありますが、どうぞよろしくおねがいします。
―目次―
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- Re: 思ってから実行するまで ( No.3 )
- 日時: 2010/11/26 20:29
- 名前: 黒影 ◆BX9zGDO0G.
02
霜村が死んでから、二週間が経った。
皆、彼奴を忘れ始めている。
思えば、俺達、虐める側は、彼奴を恐れていたのかもしれない。
今はもう転校してしまったが、昔、中学に上がってすぐの頃、俺は、俺達は、とある男子生徒を虐めていた。
大野 尊。
気が弱く、力も強くなかったため、虐めるには最適だった。
しかし、虐めを続けていると、彼奴は現れた。
無論、俺達は彼奴を屈服させようとした。
武力を以て。
しかし、返り討ちにされた。
喧嘩の強さでは圧倒的だったのである。
俺達は次なる手に出た。
霜村を虐めよう、ということにしたのだ。
ある時は暴力で。
またある時は悪戯で。
それらは、全て、彼奴に通用しているように見えなかった。
別に彼奴が全く怪我をしていないわけではない。
別に彼奴が全く体調を崩さなかったわけではない。
ただ、何故か恐怖心を煽られた。
あれだけの精神攻撃が一切通用しない。
どれだけ罵ろうとも、どれだけ無視しようと、彼奴の様子に変化はなかった。
今になって思うと、彼奴の器は大きすぎたのだ。
俺達の器が小さすぎたのもあるが、少なくとも彼奴の器は大きかった。
別に寛大には見えなかった。
ただ、何処か余裕があり、それが余計に俺達の恐怖を煽った。
攻撃が通用しない恐怖。
不死の兵士は敵兵の戦意を喪失させると言うが、本当だった。
無視をすれば大概の人間は傷つくと思っていた、俺達の考えは甘すぎた。
元々、様々な知識に長け、成績も良い霜村は“話しかけられる”ことはあっても、“話しかける”ことはなかった。
つまり、完全に無意味な行動で、寧ろ、霜村には都合が良かった。
彼奴を見て、くすくすと笑ってみたりもした。
全く意味を為さなかった。
そして、気付いた。
彼奴は、思想なんてものは、とっくに捨てたのだと。
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