大人オリジナル小説
- 思ってから実行するまで
- 日時: 2010/11/14 09:41
- 名前: 黒影 ◆BX9zGDO0G.
―はじめに―
此方では、初めまして。
黒影と申します。
さて、社会問題系小説というわけですが、今回書くのは虐めはあくまで発端です。
本題は虐められて、その後のことです。
…実際、自分がロクに虐められたこともないので、おかしな点も多いと思いますが。
心理描写は其処まで得意ではありません。
故に、下手ではありますが、どうぞよろしくおねがいします。
―目次―
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- Re: 思ってから実行するまで ( No.11 )
- 日時: 2011/02/26 08:46
- 名前: 黒影 ◆BX9zGDO0G.
08
冬休みが明けて、転がり込んだ霜村家の生活にも段々慣れてきた頃だった。
此方の高校に行く準備が整った。
三学期になってからの転校。
あまり珍しいことではないが、彼女にとっては初の体験。
慣れた鞄、慣れない新制服、何時も通りの風邪予防用に着けるマスク。
新しい担任に促され、新しい教室の戸に手を掛ける。
少し滑りが悪くて重かったが、片手で開けた。
新しいクラスメイト達の視線が集まる。
「はい、着席ー!」
彼女を押し退けるように担任が教室に入り、声を掛ける。
少しざわついた教室が静かになり、生徒達が自分の席に着く。
「明けましておめでとう! 今年も良い年になると良いな! さて、新年早々、未だ正月ボケが抜けてない奴も居る中、転校生だ!」
教室内で小さく笑いが起こり、一部の生徒が後ろの方の席で居眠りしている男子生徒の方を見た。
「自己紹介は……自分で出来るな?」
担任の言葉に彼女は軽く頷いた。
「愛知の岡崎から来ました、うさ……霜村 恵琉(しもむら える)です」
“霜村”の名前が出た直後、教室内が騒がしくなった。
「静かにしろっ!」
担任が叫び、静かになる。
「君は席に着いてくれ」
恵琉は小さく頷き、事前に教えられていた席、前から4列目の窓際の席に着いた。
隣は妙に巨乳の、清楚な感じのする女子生徒だった。
担任が何かを話し始める。
前の学校から使い続けることにした鞄を机の上に置く。
中の真新しい教科書類を机の中に移し、一息吐くと、既にHRは終わっていた。
教室が騒がしくなるのと恵琉が新しく買った小説を開いたのはほぼ同時だった。
読書中に質問攻めを受ける。
「誕生日いつ?」「血液型は?」「部活は何入るの?」「スリーサイズは?」「何でマスク着けてるの?」「好きな色は?」「特技とか趣味は?」
取り敢えずスリーサイズ訊いてきた男子生徒に一発拳を叩き込み、撃沈させると、恵琉は本に目を戻し、その質問に丁寧に答えていった。
「12月15日、B型、帰宅部、風邪予防、紫、七並べ」
辺りが一瞬、沈黙に包まれる。
恵琉はその小説を読み続ける。
「…それ、なんて本?」
後ろの席から男子生徒が尋ねる。
「告白」
「良い物語だよね」
「…まだ読んでないから分からないわ」
「そっか」
辺りは沈黙している。
男子生徒と恵琉だけの会話が続く。
やがて、一時限目の始まりを告げるチャイムが鳴った。
生徒達が散る。
栞を挟んだ本を閉じ、ふと後ろを見ると、少し長めの黒髪に眼鏡の男子生徒が居た。
男子生徒が笑顔を浮かべたのに釣られて恵琉も口元に笑みを浮かべる。
マスクがあるので、相手には分からなかったかもしれないが、すっと前に向いた。
教室に現国の担当教諭が入ってくる。
学級委員が号令を掛け、授業が始まった。
結局、隣の巨乳女とは話さなかった。
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