大人オリジナル小説
- あなたとわたしの世界観【久々、更新。】
- 日時: 2013/06/20 16:46
- 名前: 藍永智子 ◆uv1Jg5Qw7Q
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel4/index.cgi?mode=view&no=15936
この話を読んで感じた事、常々自分が思っている人間関係についての事――そういったことがあれば、是非お聞かせくださいませんか。
拙い返答でも良い、と仰る方がいらっしゃれば嬉しいです。
*
恐らく初めまして、藍永です。
知っている人は少ないでしょう。まあ、普段は複ファジ版に出没しておりますので。
前置き? そんなものぶっ飛ばしてしまいましょ――嘘です。ちゃんとやります。
◇◆注意書き◆◇
・荒らし目的で覗かれた方はUターンすることをお勧めいたします。荒らすほどの価値ありませんよ。
・作者の更新速度は遅いです。それでも良いですか?
・誤字脱字、その他気になる点があれば指摘してください。
・コメントを貰えれば喜びます。そして返しに行きます。きっと。
・結構思いつくままに書き進めています。設定とか全然凝ってませんぜ。
・作者が実際に思ったりしたことが話に大きく影響するやもしれません。
・きっと最後はハッピーエンドに――ならないかも…。
・基本ノンフィクションですが、時々フィクション。
◇◆目次◆◇
第一話、悲劇は唐突に訪れ >>01
第二話、身勝手過ぎる御都合論理 >>02
第三話、脳裏に浮かぶは遠い記憶 >>03
第四話、勝手な考察結果は >>04
第五話、我儘な精神未発達者 >>10
第六話、偽りの御友達ごっこ >>13 >>16
第七話、静寂は思考をも加速させ >>17 >>18
第八話、原因不明事件勃発 >>23
第九話、長過ぎる探求の末に >>28
第十話、虚無は身体を蝕む毒なり >>29 >>32
第十一話、葛藤は脳内に溜り続け >>33
第十二話、あなたとわたしの世界観>>36 >>40
後書き、>>41
番外編、勝手すぎる因縁と言ノ葉 >>43
番外編、動物園に侵されてく人々 >>46
◇◆参照突破記念座談会◆◇
第一回、参照200突破記念 >>22
◇◆いらっしゃった方々◆◇
・杏里様
・奇妙不可解摩訶不思議様
・森沢 美希様
・小夜。様
※2月9日改訂。お客様、と表すのには憚られる方がいらした為。
◇◆作者から◆◇
※3月23日撤去。書き残しておく必要が無くなったと判断した為。
◇◆履歴◆◇
参照100突破 2月 6日
参照200突破 2月17日
参照300突破 3月 8日
参照400突破 3月24日
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- Re: あなたとわたしの世界観 ( No.1 )
- 日時: 2013/01/28 17:02
- 名前: 藍永智子 ◆uv1Jg5Qw7Q
温暖化が進んでいるせいで今年は異常気象だ、って騒ぐだけあって今年は雪が多いと思う。
降り積もった雪に足を取られそうになりながら、吉野はそんなことを考えていた。
そこそこ高い山の上に造られた学校に通うためには、今歩いている、この凄く傾斜が激しい坂道を通らない訳にはいかないのだが、先日降った雪は一度融けた後に再び凍ってしまったらしく――つるつるとしたこの坂道で一度も転ばずに学校にたどり着く、ということは到底不可能に思えた。
それなのに、と小さく声に出してみる。
「どうして私はこの坂道を早足で歩く、なんて自殺行為をしちゃってんのよ」
表情こそすれ、彼女の頬には乾いた涙の跡が残っていた。
後方には、何やら暗く思い詰めたような表情の少女が一人。
勘の良い方なら薄々察しているだろうが、この二人は無関係ではない。
何故、吉野は泣いていたのだろうか。
何故、少女は思い詰めた表情をしているのだろうか。
今からほんの十分ほど時を遡った時――そこから話を始めよう。
*
彼女にとって私と一緒にいることは苦痛でしかないんだ、って気づいたのはいつだったけ。
小学校時代、入学当初からクラスメイトにいじめられていた私は、親友なんてできないんだと思っていた。
ただとにかく、親しくなった人に見捨てられるのが怖くて、友情なんて所詮こんなに脆いんだって思い知らされるのが怖くて、周りから外れてしまうのが怖くて――いつもクラスの中心にいる佐伯さん達にくっついていることにした。
生意気なことを言わなければ、私は見捨てられないって安心した。
特に目立とうとしなければ、目を付けられないんだって学んだ。
いじめられたって、歯向かおうとしなければそれ以上ひどくはならないんだって覚えた。
ただ毎日大人しく、目立たなく過ごすので精一杯で――気が付いたら、「私」はどこかに行ってしまっていた。
自分の個性が分からなくなった。
(このままじゃ私、消えちゃう……!!)
そんな心配をして、とにかく悩んでいたときにクラス替えがあって――志保ちゃん、吉野志保(ヨシノシホ)ちゃんと出会った。
彼女は何もかもが私とは正反対の子だった。成績は良いし、運動は出来るし、ルックスは最高。「完璧」という言葉が驚くほど似合う。
運動は出来ないし、勉強はしようとするだけで拒絶反応を起こしてしまう私なんかが、どうして彼女と仲良くなれたんだろう、って今でもふと疑問に思うことがある。
まあ、今となっては過去の話でしかないんだけど。
話をもとに戻すね。
だから私は志保ちゃんに
「……もうギブ!!」
って思い詰めたように言われても、さして驚きはしなかった。
その後、一言も喋らずに早足で立ち去られても、何時もは一緒に乗っていたスクールバスの座席に別々に乗ることになったときも、驚かなかった。
逆に納得できたのだと思う。
彼女は最近、私が傍に行くと迷惑そうな顔をしていたし――それは私だけ、という訳では無かったのだけれど――人間関係をかたっぱしからリセットさせようとしているように見えたから。
それなのに、どうして私の目は潤んでいるの。
友情が脆いものだって一番知っているのは私。志保ちゃんと仲良くなったときにも、それは頭の片隅に置いておいた。
いつ「クラスメイト」に戻っても良いように。私が傷ついてしまわないように。
それなのに、どうして私は泣いているんだろう。
ほら、志保ちゃんが前の方にいるのに。嗚咽が聞こえてしまえば、彼女に罪悪感を与えてしまうかもしれないのに。
こんな私と何年間も一緒にいさせてしまったんだから、そんな重荷を背負わせてしまったのだから――せめて最後ぐらいは、彼女のために。
ねえ、私の声は小さいけど、あなたに届くかな?
「志保ちゃん、今までありがとう」
それまでせわしなく動いていた志保ちゃんのあしが、ピタリと止まった。
やっぱり耳がいいんだね。
それじゃあ、これも聞いててくれるかな。
「お疲れさまでした」
彼女はこちらに振り返ろうとしたみたいだったけど、一瞬ののちにそれをやめ、今度は軽く走って行ってしまった。
俯きながら、ってことは志保ちゃんも泣いていたのかな。
やっぱり、ありがとうって言いたくなる。私なんかのために涙を流してくれたんでしょう。
それなら、私は少しくらい希望を持っていたっていいよね。
またいつか「親友」っていう肩書になれる日を待ってる。
だから、それまでは――ばいばい、吉野さん。
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