大人オリジナル小説

愉快なパラフィリア達と不愉快な毎日
日時: 2012/04/06 00:03
名前: flesh

―プロローグ―
 
 
俺には友達がいない。
  家族もいない。
  
    だけど一人じゃない。
  
 人はそれを『友達』と言う。
    『仲間』とも言うそうだ。

  どう見ればあれがそう見えるのか理解しがたいが
    あれでも一応人なんだ。
中身が化け物でも形は人間なんだ。問題は中身だ。 
   

  なんだ。案外簡単な事じゃないか。
そんな悩む事でもない事を真剣に悩んでいた自分はちょっとおかしかったのかもしれない。



    さぁ、今日も楽しく過ごそう不愉快な毎日を   

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Re: 愉快なパラフィリア達と不愉快な毎日 ( No.1 )
日時: 2012/04/06 01:11
名前: flesh



『―♪―♪――♪ガッ…ガガッ――♪―♪』

…調子はずれな音楽と共に迎える朝は今日も実に最悪だ。っていうか元々低血圧な俺は音楽が無くとも毎朝最悪だが。
のそっと小汚い布団から上半身を起こし、重たいまぶたを開ける。
「ねっむ…」
しばらくすると部屋の外が騒がしくなってきた
相変わらず奇声や破壊音が絶えない

ここは精神病院…なんだが、医者もちょっとアレなもんだから普通の精神病院とは大分違う
自分が何故精神病院にいるのかはわからないが
物心がついた頃からずっと住んでいる(?)ので帰る場所なんてない

とりあえずはねまくった癖毛を直すため俺は部屋を出た
部屋にはベッドしか置かれてないためここからかなり離れた洗面所にフラフラな体で行かなければならない。
廊下は今日もいろんな奇人が歩いたり走ったり転がったり暴れたりしている
医者は患者が病院から脱出する時以外はまったく無関心なようで自分の仕事をせっせとこなす。
「フフフおはよう、坊や。今日もすごいはねようねぇ」
猫なで声で俺に話しかける緑ワンピースの婦人
「おはようございます。そちらこそ今日も可愛いお花をお持ちで。」
婦人の手には白いバラが大事そうに抱えられていた
「そうでしょうそうでしょう!私の新しい彼氏よ。今からお水をあげに行く所なの。前の彼氏はねェ?死んでしまったのよ。お水が足りなかったのかしらぁ?」
「そうでしょうね、では俺もう行くんで。」
「フフフいい一日を」
「はい」
気持ち悪い。その一言が言えればどれだけ楽だろうか。
きっとスッキリするんだろうな。でも我慢するさ。人間関係は大切だろうから。

その後洗面所に着くまでに12回程話しかけられた
話しかけられやすい性格なのか
奇人に訳が分からない話を合わせてる自分も気持ち悪い
でもいつもの事だ。いちいち気にしているとそれこそ俺まで奇人になる
洗面所に入ると唯一まともに話し合える奴が立っていた
「よぉ。はよ」
「あっ!おはよ!へへ、今日の朝食何か知ってるか?」
「何?お前の大好きなポテトとか?」
「ばっか。ちげーよ。じゃがいもをホラ、細く切って揚げてるやつ!」
「ポテトだろ」
髪の毛を直しながらいつもの会話を交わす。
こいつも俺と同じでいつの間にかこの病院にいたらしい。
そしていつの間にか毎日俺とここで何気ない話をする関係になっていた。
それ以外は部屋が遠いので会う機会はない。
「なんで俺らここにいるんだろうな…」
「またその質問かよ、まぁここにいる奴らも多分同じ事思ってんだろうなぁあいつらはおかしくて自分はおかしくないって。」
「でもお前どこもおかしくないよな」
「お前だって。まぁ言えばその髪の毛がおかしいぐらいかな!」
「じゃあハゲにしたら出れるかな」
「ププ、洒落にならねぇよ」
こういう会話ができる相手を友達と言うのだろうか?
ここから出たら正しい答えを見つけられるだろうか?

「あれ…そういえばお前の名前…」
振り返るとそいつはとっくに洗面所から出てしまっていった
無言でとか…まぁいつもの事だけど。
髪を全て直し終え俺も洗面所から出る
長い廊下の先にある食堂に向かうとその日の朝食はポテトではなくポッキーという事実にリアルに吹き周りの奴らから変な目で見られ少しへこんだ。







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