大人オリジナル小説
- 愉快なパラフィリア達と不愉快な毎日
- 日時: 2012/04/06 00:03
- 名前: flesh
―プロローグ―
俺には友達がいない。
家族もいない。
だけど一人じゃない。
人はそれを『友達』と言う。
『仲間』とも言うそうだ。
どう見ればあれがそう見えるのか理解しがたいが
あれでも一応人なんだ。
中身が化け物でも形は人間なんだ。問題は中身だ。
なんだ。案外簡単な事じゃないか。
そんな悩む事でもない事を真剣に悩んでいた自分はちょっとおかしかったのかもしれない。
さぁ、今日も楽しく過ごそう不愉快な毎日を
- Re: 愉快なパラフィリア達と不愉快な毎日 ( No.9 )
- 日時: 2012/05/21 00:22
- 名前: flesh
「大丈夫、血が出ているが命に異常はない。しばらく安静にしとけば問題ない。」
ハキハキとした声でそう告げた医者は口に含んでいた飴を噛み砕きゴミ箱に捨てた
相変わらず意味の分からない事をする医者だ。
俺は隣でそわそわしている友人を見やった
顔が少し安静の色を見せている。医者は少し血の跡が付いている友人の手をチラッと見たがすぐにそらしもう部屋に戻りなさいと告げた
放心状態の友人と共に早足で廊下に出る
気まずい空気が流れる中、さっきまで壁に頭をぶつけていた男がボソッとつぶやいた
「フフフ、女の子を殺っちゃったのかい?この児童虐待者め、狂ってやがる」
友人は一瞬、一瞬だけその輩に近づこうとした
あんな殺気立った目を見たのは初めてだ。口を歪ませ、何か言おうとしたが俺の方を振り返りやめた
俺は何も言えなかった。
こんな時こそ、何か言わなきゃならない気がするのに口から声が出ない
何を言えばいいんだ?変に傷つけてしまったらどうしよう。
そんな事を考えていたらあっという間に友人の部屋の前に着いてしまった
「…わざわざ部屋まで送らなくても良かったのに、今日はまだ昼過ぎだけどもう寝るよ」
疲れ切った顔で部屋に戻る友人の背中はいつもより小さく見えた
せめて、せめて一言だけでも何か言おう
「あ…あのさっ、お前が犯…人じゃないって信じてる…から」
自分の声は少し震えていて友人より落ち着きがなかった事に初めて気づいた
友人はそれを聞くとニヤッと笑った、さっきまでの疲れがどこに行ったのか聞きたくなるほどの不敵な笑みを浮かべる
「俺がやったんだ」
それだけを言うと俺がその言葉を理解する前にドアを閉め
部屋に閉じこもった
…俺がやった?どういう事なんだ
絵本を読めとしつこく頼まれたから?違う
アイツはそこまで衝動をコントロールできない奴じゃないはずだ
本当にやったのか?なんでだ。嘘に決まってるきっと友人も混乱してるんだ
きっとそうだ
胸が急に苦しくなった、でももしかしたら本当にやったのかもしれない
昨日だって様子がおかしかったし
あぁ、お前も異常者だったのか
一番の常識者だと思ってたのに違うのか
怖い、俺も異常者かもしれない。だがそんな事はどうでもいい
友人はいつでも常識を保っていた、だから犯人は別の奴だ
そう信じたいそう信じてもいいだろうか
ドアに耳を当てて友人は寝たのか確認した
鼻をすすったり、咳払いの音が聞こえる
泣いてるのか?
俺はこれ以上何も考えたくないとその場を去った
面倒は御免だ。
そのせいで友人がその後自分の手で首を力の限り引っ掻き回した所を止めに行けなかった
翌日友人は化膿し傷だらけのままの首で洗面所に現れ
急いで包帯を巻いてもらいに行くハメになった