大人オリジナル小説

愉快なパラフィリア達と不愉快な毎日
日時: 2012/04/06 00:03
名前: flesh

―プロローグ―
 
 
俺には友達がいない。
  家族もいない。
  
    だけど一人じゃない。
  
 人はそれを『友達』と言う。
    『仲間』とも言うそうだ。

  どう見ればあれがそう見えるのか理解しがたいが
    あれでも一応人なんだ。
中身が化け物でも形は人間なんだ。問題は中身だ。 
   

  なんだ。案外簡単な事じゃないか。
そんな悩む事でもない事を真剣に悩んでいた自分はちょっとおかしかったのかもしれない。



    さぁ、今日も楽しく過ごそう不愉快な毎日を   

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Re: 愉快なパラフィリア達と不愉快な毎日 ( No.4 )
日時: 2012/05/25 00:35
名前: flesh

その日の夜、消えたり付いたりを繰り返す電球が続いている廊下を俺は歩いていた
友人の様子を窺うために。
廊下の脇には当然様々な病室が並んでいる
壁に血が染みついている部屋や異臭がする部屋、奇声や何かの破壊音。
口から涎を垂らし廊下を這いずり回ってる者、視点が合わない目に壁に頭を打ち付ける者もいる。
今更怖いとは思わない。なんせ10年以上もここにいるのだから
最初ここに来た時の事はよく覚えてない、ただひたすら顔も知らぬ母の名前を呼んでいた記憶がうっすらある
しばらく進むと周りの奇声や奇行が次第に少なっていく事に気付いたが俺は対して気にもせず前に進んだ

友人の部屋の前にたどり着くと辺りは不気味なぐらいシンと静まっている
壁には相変わらず血やよくわからない落書きが広がっているがまるでこの建物には俺しかいない様だ
部屋の扉は閉まっていた、耳をすませてみたが何も聞こえない
「お花はお好き?」
透き通った声が背後から聞こえ思わず体を震わせる
何も言わず振り返るとそこには緑のワンピースの女性が立っていた
手には赤いカーネーションが5本ほど握られている
「お花はお好き?」
「俺ちょっと用事あるんで…」
「お花はお好き?」
女性は5本の内一本のカーネーションを差し出したかと思うと口をまた開いた
「私はお花が大好き。だって喋らないもの口が無いもの。だからね?私はお花が大好き。あなたにもおすそ分けしてあげる」
そう言って無理やりカーネーションを手渡される
満足気にほほ笑んだ女性は友人の部屋と俺を交互に見た後顔を少し歪めた
「あなたここに用事があるのね?駄目よ。今は。夜だもの。お花だって生きてるのだもの。夜と昼は姿が変わるのよ。人だって。そうでしょう」
「…はぁ?意味がわからな…」
そして俺の言葉を遮るようにして女性は去ってしまった

あぁ、そうだ。ここは精神病院だ。
まともな奴なんていないさ。
俺はカーネーションを手に部屋のドアをノックした
返事はない。
もう一度ノックする。
発狂してる時以外にここに訪問するのは初めてだ
友人はきっと俺じゃなく何らかの精神異常者が訪問しに来たと思いドアを開けないのだろう
「俺だよ。入ってもいいか?」
夜なので一応囁き声で問う
それでもやっぱり返事がない
俺はドアを開けた
部屋は何故か電気がついていた
夜の10時を越えると廊下以外の電気は全て消灯されるはずなのに友人の部屋だけは豆電球がつけっぱなしだ
友人は俺に背を向けるようにしてベッドの上で体育座りしている
よく見ると何か手を動かしているように見える、また読書だろうか
近づいて覗いてみると赤いカーネーションの花びらを小さく小さく引きちぎっていた
そしてピタッと手を止めゆっくり首を俺の方向に向けた目は虚ろで泣いてるようにも眠そうにも見えた
友人は乾燥してカサカサになった口を開け

「誰だテメェ」

とはっきり聞こえる声で確かにそう言った。誰≠ニ

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