大人オリジナル小説
- 愉快なパラフィリア達と不愉快な毎日
- 日時: 2012/04/06 00:03
- 名前: flesh
―プロローグ―
俺には友達がいない。
家族もいない。
だけど一人じゃない。
人はそれを『友達』と言う。
『仲間』とも言うそうだ。
どう見ればあれがそう見えるのか理解しがたいが
あれでも一応人なんだ。
中身が化け物でも形は人間なんだ。問題は中身だ。
なんだ。案外簡単な事じゃないか。
そんな悩む事でもない事を真剣に悩んでいた自分はちょっとおかしかったのかもしれない。
さぁ、今日も楽しく過ごそう不愉快な毎日を
- Re: 愉快なパラフィリア達と不愉快な毎日 ( No.10 )
- 日時: 2012/05/25 00:34
- 名前: flesh
その夜俺は自室で今から友人の様子を見に行くか行かないかを悩んだ
夜の友人に会うのが怖い
またあんな性格になってたらどうしよう
二重人格…っていうんだよなああいうの
あの時は女の子が入ってきて俺は逃げるようにして友人の部屋を後にした
そして朝事件が起こった
やっぱり部屋から出て行かない方がよかったんだ、友人と女の子の間に一体何があったんだ。
俺は友人の部屋に行く事にした
精神がかなりヤバい状態なはずだ。そんな時は傍に誰かいた方がいいだろう。
友人にはある癖があった
それは俺と友人が出会った日から治らない困った癖
ストレスを感じると無自覚に首を締め付けたり傷つけたりするいわゆる自虐症
だからまったく無傷なままの首の友人を見た事がない
常に包帯か傷跡があったり髪を切らずその伸びた髪で傷を覆い隠してた時もあった
あらためて今日の友人の様子が特別おかしかった事を思い出し
歩む足を速める
友人の部屋のドアは開けっぱなしで急いで中を確認すると
乱暴に置かれてる布団と枕横に置かれてる絵本と俺が上げた本
部屋の主はどこにもいなかった
不安がどんどん膨れ上がり静まり返った病棟の中を駆け回った
裸足なので特別うるさい音は鳴らない。
チカチカと点滅を繰り返す電球が吊るされた長い廊下にゾンビのような奇声。慣れてるはずなのに、いつもは怖くなんてないのに
今日は何故かホラー映画の主人公の様な気分になった
怖い。怖い。あぁまたあそこにも変な奴がいる。怖い。怖い。
不安と恐怖に胸が押しつぶされそうだ
医務室の横を通り過ぎちょっと行った所に友人はいた
薄暗くて友人がいるのは確かなんだが何をしているのかはよく見えない
座っているようにも見えて立っているようにも見えた
こっちには気が付いてないようだ
俺は近くに駆け寄った
友人はまだ気が付かない
体を上下左右不安定に揺らしている
さっきよりももっと近くに駆け寄った、駆け寄ろうとした
だが途中で急ブレーキをかける
昼友人を冷やかしたあの男が青い顔をして仰向けになっていた、どうやら気絶してるらしい
友人はその男に馬乗りの状態で顔をぐったりとたらしている
ドクン。大きく心臓が跳ねたような気がした
心拍数が速くなったような気がした
俺に気が付いているだろうか
気が付いていないのなら今すぐここから逃げたい
何をしたんだ。何があったんだ。そんなに腹が立ったのか。
あぁ、俺は何も見てないからな。もう行くからな。
スッと音を立てずに後ろ足を引いた
次の瞬間友人はグリンと首を思いっきり上げた。瞳孔は異常な程開いていていつもの眠たそうな顔とはまるっきり別人だ。
体を大きく震わせる俺を横目で確認すると焦る気配もなく立ち上がり男を廊下の端っこに移動させると俺に一言だけ言い放ちその場を駆け足で去って行った
「共犯者のくせに」