大人オリジナル小説
- (仮)強がり
- 日時: 2013/03/04 22:42
- 名前: 黒猫モンゴル
プロローグ
今日の次には必ず、いつものように明日が来る。
そう信じてた。
菜実、もし、会えるなら
私は何だってするのに。
会いたいよ…。
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- Re: (仮)強がり ( No.29 )
- 日時: 2013/06/19 19:32
- 名前: 黒猫モンゴル
私は呆然と保健室へ向かった。
もう涙は出なかった。
一瞬、ノックをするか、ためらった。
私は練習をしないでこんなところに来ている。
そう思ったから。
コンコン
それでも私はノックをして、扉を開いた。
「先生、私はもうすぐあるコンクールでメンバーになりたいのです。」
そう言って、先生のことを見ると
急に涙があふれた。
「前は部員が沢山いたけれど、今は減ってしまいフルートパートからは半分の人数しか
出場が認められないのです。」
私は続けた。
「そっか、やっぱり先輩は上手なの?」
先生は、私にそう質問した。
「はい、先輩に勝ち目はないことはよく分かっています。経験年数も1年とか2年違ってくるし…。」
「その1年とか2年の経験年数は、実力に違いは出てくるんだね。」
「はい、でもメンバーになりたいのです。ただなりたいだけではないのです。
この前、亡くなった澄川さんに音を届けたくて…。
だから、ピッコロにも候補をしました。」
「ピッコロ…フルートに比べてピッコロはどんな楽器?」
「ピッコロはフルートよりも小さいですが、
音が高いので、よく響きます。」
「小さくてもよく響くのか…。」
先生は続けた。
「澄川さんに音を届けたかったんだね。」
「はい…メンバーになれないなら、なれないでいいから、はやく報告してほしいです。それなのに、結果もどんどん先延ばしにされて、それに遠まわしにあんなこと言わないでほしくて…。」
泣き続けた。
もう、泣くことしかできない。
10分後にあると告げられたパート練習はその時、もう始まっていた。
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