大人オリジナル小説
- 黒猫の思惑(BLスピオフ)完結
- 日時: 2021/12/31 23:38
- 名前: 白楼雪
※こちらは小説『黒猫の誘惑』のスピンオフ作品です。
※小説『黒猫の誘惑』はR18作品でしたが、スピンオフ作品の『黒猫の思惑』は冬木と関わる以前の桜夜の事。
あの日冬木と関わる前の桜夜の心情を綴った話ですので、年齢制限の必要なシーンはありません。
※更新は相も変わらず亀更新となるかと思います。
それでは、黒猫の思惑始めさせていただきます。
2021/12/31 年の終わりに、黒猫の誘惑のスピンオフ「黒猫の思惑」完結しました。
- Re: 黒猫の思惑(BLスピオフ) ( No.5 )
- 日時: 2021/10/31 02:33
- 名前: 白楼雪
※※※
狂犬とやらを見かけてから、二週間が過ぎた夜。
財布の中身は温かく、衣食住にも貯蓄にも心配はない。
ただ、あまりにも長い休息は些か退屈過ぎて、桜夜は暇をもて余していた。
そろそろ御使いをして、お小遣いを貰うのも良いかもしれないな。運動不足は身体にも悪いのだから。
そんな事を思いながらいつもの店に入ると、桜夜はカウンターに寄りかかり、いつもの安い琥珀酒を頼んだ。
「いつもの」
桜夜が一言告げると、店員は頷き、グラスに丸氷を落としていく。
「そろそろおやすみも飽きたのでは?」
口元に笑みを浮かべ、店員が問う。
その問いに桜夜は苦笑を浮かべ、吐息を溢した。
「おやすみは、確かに飽きたよ。でも、御使いって気分でもないんだ」
グラスに琥珀の液体を注ぎながら、店員も苦笑を浮かべマドラーを人差し指と親指で摘まみ持つ。
「やはり、気紛れな方ですね」
「それが猫の本質だろう?」
気紛れというのは猫の本質であり、長所であり短所だ。
一つのものに長く拘らない。切り替えも切り捨ても行いやすい。諦めも撤退もすぐに判断する事に躊躇わないという事なのだから。
桜夜のその性格は、きっとこの仕事に良くあっているのだろう。
身軽で気紛れ。素早く柔軟な動きは、裏家業に向いているのだから。
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