大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- 【文スト】太中R18*中也受け 他
- 日時: 2021/03/15 14:08
- 名前: 枕木
おはようございます。
…お久しぶりです。
ようこそ、初めまして。
此方は文ストのBL二次創作になります。色々書いてます。
R18、時々ぶっこみます。
涙脆すぎる中也とやたら微笑む太宰と可愛くない敦と芥川がいます。
ともかく、何でも許せる広大な心の方は、どうぞごゆっくり。
リクエスト・感想・アドバイス随時受け付けております。良かったら下さい。お願いします。
リクエストに関しては、扱っているcpのものならシチュとかR指定とか何でもokです(`・ω・´)
ご案内
◆太中(太宰治×中原中也)
*>>37…今朝、私が死んだようです
*>>39-43…お薬でにょた化。あまあまとろとろ、コミカル太中※R18
*>>47>>50-54…ぬこ耳中也の付き合って半年の甘々カップル※R18
*>>56…やけに喉の渇く土曜日だった。
*>>61…閲覧1000記念、人生初の太中を起こしてみました。
*>>64-65…セックスレスの危機!?最終的にバカップルのエロ太中※R18
*>>72-85…17の、“相棒”である二人が10センチの手錠で繋がれる話。もどかしい思春期の行方は…※R18
*>>98…お祭りの夜の雰囲気って、なんとなく現実離れした雰囲気がありますよね
*>>102…疲れきって自宅のドアを開けるとき、真っ先に思い浮かんだ人が一番大切な人ですよ。
*>>116…『なみだ、あふれるな』『汚れつちまつた悲しみに…』
*>>119…ぐちゃぐちゃ、どろどろ ※他サイトより自身過去作転載、許可有
*>>130…百年後、空に青鯖が浮かんだなら。
*>>140…雨の音、君の声、恋の温度。雨ノ日太中小噺※雰囲気R18
*>>147-153>>158-161…鳥籠の中で美しく鳴く鳥は紅葉の舞う小さな世界をみつめるばかり…さしのべられた手は、包帯に巻かれていた※遊郭パロR18
*>>167-168…ホワイトクリスマスの奇跡に、君へ愛を贈ろう。
*>>173…君へのキモチのかくれんぼ
*>>174…中也はさ、雨と晴れ、どっちが好き?
*>>198…全部、この日が悪いんだ。中原中也生誕記念
*>>199…空っぽの心臓
【太中家族計画シリーズ】
*>>1…太宰さんが中也にプロポーズする話。ちょっと女々しい中也くんがいます。
*>>6-9…プロポーズ(>>1)のちょっと前の話。複雑な関係になった二人の馴れ初め。
*>>11-12…中原中也誕生日6日前。プロポーズ(>>1)の直後。甘くて優しい初夜の話。※R18
*>>14-15…中原中也誕生日5日前。初夜(↑)の翌朝。初めて迎えた、愛しい朝の話。
*>>16-19…中原中也誕生日4日前。素直になれない中也がちょっとこじらせちゃった甘い話。※R18
*>>22-26…中原中也誕生日2日前。手前の愛に触れさせろよ。真逆の修羅場!?※R18
*>>28-29…中原中也誕生日1日前。更に家族になった二人の幸せな話。
*>>34-35…妊娠初期の中也くんと心配性の太宰さんの話。つわり表現があります
*>>60>>62-63>>67-70…太宰さん誕生日おめでとう。
*>>112…家族になっていく、幸せの話。
*>>144,>>163…早く君に会いたいよ。まだ二人の日々の1ページ。
*>>172…来年も再来年も、末永くよろしく。年越しの太宰家
*>>192-196…生まれてきてくれてありがとう。幸せのフィナーレです。
◆太乱(太宰治×江戸川乱歩)
*>>2-4…ツンデレ名探偵と太宰さんの相思相愛。お互いの好きな所ってなあに?※フェラ有
*>>36…疲れて泣いちゃった乱歩さんを太宰さんが慰める話。甘いだけ。
*>>169…いつも怠け者の太宰も、働くときがある。それってどんなとき?
◆中乱(中原中也×江戸川乱歩)
*>>10…中原中也誕生日7日前。甘い誕生日プレゼントの話。
*>>125-127…お誕生日おめでとう乱歩さん(太→乱←中)
◆敦中(中島敦×中原中也)
*>>20…中原中也誕生日3日前。大人と子供のほのぼのカップルです。
*>>58…手前が俺の生きる意味なんだよ。怯えた敦くんと男前中也
*>>205…傷心の子供には、恋人の優しい愛を。
◆芥中(芥川龍之介×中原中也)
*>>55…中也くんに壁ドンして告白してみたよ!紳士やつがれくん
*>>87-93…鈍感な樋口ちゃんが、芥川先輩が恋人と待ち合わせしているのをみつけて…!?甘めの芥中※R18
◆鴎中(森鴎外×中原中也)
*>>121…7年前、少年はポートマフィアに加入した。首領に与えられたのは、古ぼけた黒帽子と……
◆中也愛され
*>>31…中原中也誕生日0日前。相手は貴方におまかせします
*>>32…皆にひたすら愛される中也くんのお誕生日会のお話。
*>>45…中也くんに壁ドンして告白してみたよ!(鴎中&敦中)
'19 4/20 設立
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本当にありがとう。
4月20日 一周年ありがとう。
7月24日 閲覧数20000突破
これからもよろしくね。
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- Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.113 )
- 日時: 2019/09/29 14:01
- 名前: 枕木
それは、昨夜の疲れが取れない怠い躰を懸命に動かして朝飯を作っていた、少し苛つくくらい清々しく晴れた休日の朝のこと。
背後からやってきた悪魔は、唐突に云った。
「中也ってさ、何時も私でイッてる?」
「…………は?」
振り返り、奴の顔をまじまじとみつめる。
きょとん、と俺をみつめ返すその鳶色の瞳が、ちゃんと据わっているのを確認する。
……とすると、これは。
「なんだい? そんなにみつめられると照れるなあ」
「…………太宰」
ドゴッ
鈍い音が、チュンチュンと鳴く雀の鳴き声と共鳴した。
* * *
「ねえ、機嫌直してよ、ちゅーやー」
「……」
「ごめんって云っているじゃない。少し確かめたかっただけだよ」
「……」
「ちゅーうーやー」
先刻から俺の周りをくるくる回り、ご機嫌取りでもしている積もりなのかちょくちょく料理に手を出してくる恋人が心底うざったい。あー、もういっそのこと殺すか。それが世のため俺たちの為なのかもなあ。そんなことをぼんやり考えながら、そっと醤油の瓶を寄せてきた手を無視して、1つだけ焼いた目玉焼きに塩を振り掛ける。後ろで、でっかい生き物がぐすぐす鳴いている。
「中也さああん……」
あーっ、もう!!
キッと振り返り、手を伸ばして、胸ぐらをガッと掴んだ。そして、仔犬みてェに目をうるませているその顔に怒鳴りつけた。
「っせェんだよ、黙れ殺すぞ呆け!!」
「中也が無視するからじゃないか!!」
「手前が俺のこと辱しめようとするからだろうが!!」
「辱しめようとなんてしてないよ! 私は只、少し気になっただけだよ」
「ああ”!?」
太宰は、「心外だ!」とでも云うように顔を歪めた。そして、ふん、と息を吐き、俺の腰に手を添えた。
一般的に美しいと称されるその顔が艶やかな笑みをたたえ、至近距離で俺をみつめる。な、なんだ……?
「勿論、昨晩も君が私ので何度も奥を突かれて『太宰、イく、イッちゃう……っ』って泣きながら7回もイッたこと、私は知っているよ?」
嗚呼、矢っ張りこいつ殺すかな。
「でも、悪魔で君がイかされたのは、“私の息子”……それなら、“私”でイッているという事実はあるのかなって」
よし、殺そう。
「ねえ中也、その辺りはどうなの?」
そのにこやかな笑顔を殴る為、拳を固める。しかし、腰に添えられた手がすす、と移動し、尻を撫でた。
「ひっ!?」
「ねえ中也、どうなの……?」
耳に太宰の口元が寄せられ、湿った生々しい吐息が、なまめかしいテノールが、耳を犯す。尻を擦っていた手が、その谷間に入ろうとしている。昨晩の快楽と感触を思い出して、カァッと躰が熱くなった。シャツ一枚だけで隠された肌が密着している。
「ねえ、中也……?」
シャツの裾から入り込んでくる手の感触を感じた途端、俺は叫んだ。
「んな訳あるか、俺がイカされてんのは手前じゃねェ!!」
太宰で……太宰で、イけるか、なんて。
そんなの、訊かなくたって知ってるくせに。なんで、今更。否でも、知られてても困るが。手前に触れることが、触れられることが許されていなかった時期、俺がもてあまされた熱を何で発散していたか、なんて……
そう思って、叫んだのに。何故か、パッと躰が離れていった。
え……? 顔をあげると、太宰は両手をあげ、にこっと笑っていた。
「そっかあ。それは残念だよ」
ん……?
あれ、なんか、変……? 気のせいか?
「それじゃあ私はもう一眠りしておこうかな。中也も無理しないでね」
太宰は目玉焼きとウィンナーの乗った皿をもち、にこっと笑いかけてくると、そのまま寝室へ歩いていった。
なんだ、あいつ……
つーか、自然体[ナチュラル]に目玉焼き持っていきやがった……
チッと舌打ちし、もう一度コンロに火をかける。太宰の口調や動作に感じた違和感は、もう気にしないことにした。
まあ、この朝の出来事が、思えば元凶だったんだろうがな……
- Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.114 )
- 日時: 2019/10/05 18:46
- 名前: 枕木
仕事が片付き、懲り固まった肩をボキボキ鳴らして回しながら、帰路についた。
この時間なら未だ店やってるか……? 冷蔵庫の中何もねェから、食材買い足さねェと。買い置きのカップ麺は太宰に平らげられてるだろうし、あれってあんまり躰によくねェからな……つか、あいつも多少は家事に協力……したら逆効果だもんなァ。奴に任せたら、仕事が三倍になって返ってくる。あれはお得意のいやがらせってやつなのか、普通に無能なのか、判別は出来ていない。どちらにしろ、役にはたたない。つまりは、家事の一切がっさいは俺の仕事だ。ああ……
溜め息を吐きながら、奴のへらへらした顔を思い浮かべてひたすら呪い殺していたとき、外套の内ポケットから携帯の着信音が鳴った。そういや、今日の朝切るの忘れてたな。1日鳴らなかったが。仕事に支障がないよう、切るようにはしている。その所為で以前、太宰に「なんで携帯電源入れてないの! もう。帰り際に歯磨き粉買ってきてって頼もうとしたのに……」とぷんすこされたことがある。歯磨き粉くらい自分で買ってこいよと云いたかったが、確かに、小遣いを渡していなかった太宰よりも家計を管理している俺が帰りに買った方が合理的だった。だから素直に謝ったら、奴は「じゃあお詫びの気持ちを見せてよ」とかなんとかほざいて、俺に奴のそれを……あああああああ!!! まじで殺すあいつ!!
そんな、頭から湯気が出そうなほど奴への感情が昂っているところにきた、メール。それは、タイミングがいいのか悪いのか、よりにもよって『青鯖』だった。
反射的に携帯電話を握り潰しそうになったが、辛うじて理性がはたらいた。舌打ちして、画面を操作する。これがしょうもねェ内容なら、家帰ったら殺す……!! と決意してメールを開くと。
『お疲れ様、中也。
突然だけど、今、緊急の依頼で××市にいるんだ』
それなら、電車で四時間といったところか。マフィアの傘下の大手薬品開発メーカーの親会社があるから、たまに首領が社長に会いに行くのに着いていくことがある。まあ電車なんて乗らないからおおよそだが、ここからかなり遠いことにはかわりない。
ふうん……そうか、忙しいときに限って嫌がらせみたいに、いや実際に嫌がらせなんだろうが、太宰から意味もなく『やっほー! 元気〜?』なんてかかってくる電話が今日はなかったのは、あっちも忙しかったからか。あいつが真面目に働いているなんて想像もつかないから、粗方、仕事仲間に引きずられて行ったのだろう。
合点して、メールを読み進める。
『今やっとお仕事が終わったところだから、今日はこのまま此方に止まって、始発で帰ることにするよ。夕食も要らないから、そういうことで。じゃあね。』
始発っつうと、此方に帰ってくるのは俺が仕事に出たあとになるか……じゃあ、会えねェな……晩飯も朝飯も独りか、久しぶりに……
なんて、少しだけ、本当に少しだけ、爪の先くらい、淋しくなっていたとき。
まだ改行が続いていることに気付き画面をスクロールした俺の目に入ってきたのは。
『買い物ついでに、ローション切らしてたから買っておいてね!』
よし、死ね太宰。
携帯電話をブチッと切り、どすどす歩く。アスファルトに若干ひびが入るのにも構わず、俺は肩を怒らせて歩いた。
今日はあまりの高価に手を出しあぐねてた葡萄酒を太宰の収入から出して買ってやる。ついでに、思いっきり贅沢な夕食買って食ってやる!! よし、決めた。
その数刻後、どっしり詰まった買い物袋を浮かせて家の扉前に立っていた俺の元に、『明日君に任せる予定だった案件が解決したから、休みでいいよ』という首領からの電話が入った。有り難く甘えさせてもらい、俺はそのときラッキー♪ としか思わず、もうこの際夜が更けるまで食い散らかしてやろうと心に決めて、足で扉を開けた。
- Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.115 )
- 日時: 2019/10/06 10:54
- 名前: 枕木
んぁ……あ?
目を覚ました。あれ、俺寝てたのか……目を擦り擦り掛け時計を見てみれば、日付が変わる時刻を示していた。
机の上に突っ伏して寝ていたようだ。机の上には今日買った多少贅沢品の冷凍食品や加工肉やらのパッケージが散らかっている。満腹になったら、仕事疲れも相まって寝てしまったようだった。頭を掻き、「うぅん……」と伸びをし、帰ってきたときよりもいくらか軽くなった躰で立ち上がって、片付けを始めた。
にしても、一人で贅沢するってのは悪くねェな。これから、太宰がいない夜はこうしてやろう。
でもまあ……彼奴と食卓を挟んで、俺が作った飯を旨そうに食う彼奴を見ながら、他愛のない会話をして食う飯も中々……いやいい加減彼奴のこと考えるのよそう。なんかきもいだろ俺……
頬が熱くなるのを感じながら後始末を終えたときには、もうすっかり目も冴えていて、二度寝する気にはなれなかった。どうせ明日は休日だ。このまま摘まみでも食いつつテレビでも見るか……、とその前に、家帰ってきてから家事なんもしてねェな。洗濯くらいはしとかねェと。
俺は籠に溜め込んである二人分の衣服を洗濯機の中に放り込み、洗剤を入れてスイッチを入れた。洗濯機が回り出したのを確認してリビングを見渡せば、ふと、ソファの上にシャツが置いてあるのに気づいた。彼奴のシャツか、また脱ぎっぱなしにしやがって……一緒に洗濯しちまえば善かったな。とりあえず、籠の中に……と拾い上げ、何気なく広げてみる。
全く腹立たしいことだが、でかい。
ひょろいから羽織りのようになることはないが、袖も丈もでかい。真っ白で、一見綺麗に見えるが彼奴が1日着ていたシャツだ。彼奴の……着ていたシャツ……
ごく、と喉が上下した。
今、ここには俺一人だ。何時もの五月蝿いのはいない。それなら、多少、多少は何をしたって、咎めるやつはいない。それなら。それなら……いいよな? 少しだけ、ほんの少しだけだ。別に、なんてことはねェ。そうだ。
そっと、自分の着ていたシャツを脱ぐ。するり、と脱げ落ちたシャツをソファの上に置いて、再び彼奴のシャツを広げる。胸がドキドキ鳴っている。少しだけ、少しだけだ。
そっと、腕を通して、羽織った。矢っ張り袖も丈も合っていない。だけど、襟を少しばかりたててみると、ぶわっと顔が熱くなった。
……太宰の、におい。
そりゃそうだ。太宰が1日中着ていた、肌に密着していた服だ。当然のことだ。それなら、俺は今、太宰と、密着してる……?
自分でも訳の判らないことを考えている内に、心臓がバクバク鳴って、躰がかあっと熱くなった。知っている感覚だ。息が、少しだけあがる。
ほんの少しの、好奇心、だろうか。そろりと手を伸ばして、足の間に触れてみた。
くちゅ
「っ……」
少し動かすと、硬い感触と、下着とそれが粘液で擦れる卑猥な音がした。もう下着はびちょびちょだ。脱がないと。
……もう一度だけ、そこに触れてみる。少しだけ、ズボンを押し上げている先端を押してみる。
「ン……ッ!」
緩やかな快楽に、背筋に何かが走る。こうなると、もう無理だ。観念するしかない。
こんな行為、何時ぶりになるだろう。毎日毎日彼奴が快楽を強要してくるから、自分で慰める必要なんてなかった。彼奴と付き合い始めたのが……だから、……ぶり……嗚呼、彼奴のことはいいんだよ!!
一回、一回だけなら、許されるよな。
ズボンを押し下げて脱ぎ、更に、下着も足から抜いていく。見ると、大きな染みができていた。
羞恥心にさいなまれて、下着を放り、ソファの上に仰向けになる。さっさと済ませちまえばいい。
頭を肘掛けで支えて目線を高くし、足を広げて、その間で、俺のそれが勃ちあがって、透明な液でとろとろになっているのを確認する。先端が赤く熟れて、早く早くと急かしているようだった。
自分の喘ぎ声を聞くのは忍びないから左手で口を抑え、右手を股に伸ばす。すう、と息を吸い込めば彼奴のにおいで一杯になって、触るとぴく、と内股が動いた。
太宰だったら、どうする……? まず、竿を握って、親指を亀頭にかける。そして、親指でぐりっと握り潰す。
「ッ、ッ、」
ぐりぐり握り潰して、腰がびくびく浮いて、心臓がバクバクする。もう快楽が欲しくなる。
すると太宰はにやっと口角をあげて、握ったその手を上下に動かす。くちゅくちゅ音がして、恥ずかしくて堪らないのに、摩擦で擦れるのが気持ちよくて、ビクビクする。
絶頂に向かい始めると、そのくびれたところを擦られる。段違いな快楽を与えられて、「だざい……」なんて口走ってしまう。
きもちい、きもちい……イきそう。太宰に、イかされちゃう。見られるの恥ずかしいけど、太宰で、イきたい……
頭の中は快楽と彼奴のことしかなくて、ただ、脳内の彼奴の動きを追って夢中になってそれをしごいた。
弱いところだけをカリカリ引っ掻いて責めたてて、絶頂の兆しに腰がしなる。太宰、イく。太宰で、イッちゃう。太宰、太宰、イく、イく……ッ
プルルルル……
「ッ!?」
はあ、はあ、と息が上がっていたのに気がついた。手を伸ばせる位置、机の上に、震えている携帯電話があるのを確認する。
まだ甘く溶けている脳が正常に動かなくて、俺は右手はそこに添えたままに、左手を伸ばして、携帯電話をとった。そして、かかってきた相手もろくに見ずに、応答する。これが首領とかだったら、俺どうしたんだろうな。
だが、そのとき耳にあてた携帯電話から入ってきたその声は、
『お楽しみのところ御免ね中也』
「ッ……!?」
甘い、恋人の声。
その瞬間、この現状が現実味を帯びて迫ってきて、カアッと顔が熱くなった。燃えそうだった。恥ずかしくて堪らなくて、何を云えばいいのか判らなかった。
だが、その声は『ふふ』と笑って。
『大丈夫大丈夫。可愛いよ、中也。そのまま続けて? ちゃんと中也が私のことを想ってイッてくれるとこ、聞いててあげるから』
「いや……」
『いやじゃないでしょ。ほら、見て御覧よ、君の股。ぐちゃぐちゃで、びんびんで、イキたがってるよ? ほら、その右手を動かして御覧? すっごくきもちいいよ』
ね? と促され、知らぬ間に、右手が動いていた。指でそれを撫で回してみると先刻みつけたイイところを見つけて、びく、と跳ねた。
『ほら、そこ、先刻みたいにカリカリして御覧』
云われるままに、指をたててそこをカリカリ引っ掻く。
「あァン!」
な……んだ今の声。太宰に、聞かれてた? やだ……恥ずかしい。でも、指止まんない。どうしよう、きもちい。太宰、太宰、聞こえてんのか? 俺が自分でくちゅくちゅ自分の慰めて、あんあん喘いでるの、聞こえてる?
「あ、あ、あッ……だ、ざ」
『うん、聞こえてるよ、全部。君が私のことだけ考えて、きもちよくなっちゃってるの……嗚呼、すっごく可愛いよ中也。もっと聞かせて?』
「あッ、ああッ!! あ、き、もちい、きもち、きもちぃ……あ、イく、イくぅ……」
涙がぽろぽろ溢れた。どうしよう、イッちゃう。恥ずかしい、恥ずかしい。太宰の声が、太宰のにおいが。きもちい、太宰……!
『いいよ……思いっきりイッて。私の名前呼んで。ほら……イッて』
グリッ
「ッ〜〜!! あァッ、だざいぃぃ……!! あァァン……!!」
びゅくっ
絞りだすような喘ぎ声が、一人きりの部屋に響いた。やべえ、きもちい……
快楽の余韻に浸って息を整えていると、『ふふっ』と笑う恋人の声が、力の抜けた左手から滑り落ちた携帯電話から聞こえた。
『すごい声出たね中也。そんなにきもちよかった?』
電話なのに、コクコク頷いてしまった。だけど太宰は『そっかそっか』と嬉しそうに云った。
『じゃあさ、中也……もっときもちよくならない?』
「……う、しろ……?」
『そう、当たり!』
「お、れ、遣り方、わかんな……」
『大丈夫。私が教えてあげるから。ね、中也。一緒にきもちよくなろう?』
ごく、と喉が上下した。もっと、きもちよくなれる……俺は、白濁で汚れたシャツを羽織った侭、携帯電話を握って、ガクガクの足で、壁伝いに、寝室に歩いていった。
- Re: 【文スト】太中R18*乱歩・中也受け ( No.116 )
- 日時: 2019/10/11 21:07
- 名前: 枕木
「この世で一番美しい自殺法って知ってる?」
カラン、と酒と氷をグラスの中で鳴らしながら、太宰はにっこり笑って、先刻隣に腰掛けたばかりの相棒に問い掛けた。
一方、問い掛けられた方の彼は蒼い瞳を、うんざりだ、とでも云わんばかりに細め露骨に顔をしかめ、「そんなん知るか」と切り捨てた。
続けて、そんなん知りたくもねェよ、と告げようとしたが、もう既に自分のことは見ておらず、夢を見る少年のような瞳をして宙をみつめている相棒を見ると、口をつぐんだ。その包帯で、瞳と傷と、その他何を隠しているかは知らないが、本来の姿はこうである筈なのだ。きっと、その対象と時期がずれてしまっただけで。だから、彼は口をつぐんで、太宰が楽しそうに語る言葉に酒もなく耳を傾けた。
「それはねえ、百合を使う自殺方法なんだよ。百合って、光合成はしないで呼吸だけするの。だから、百合に囲まれて密閉空間で寝ていれば、酸欠で昏睡状態に陥って、最終的には眠りながら死に落ちていくんだよ。ねえ、素敵だと思わない?」
「……ああ」
「そうでしょう!?」
太宰は彼の肩を掴む勢いで身を乗り出し、頬を紅潮させて、興奮気味に云った。彼はその瞳をみつめて、なんだかとてつもなく脱力して、泣きたくなった。けれどそんなのは気にせず、なおも太宰は語り続ける。
「百合は英名でリリー(Lliy)って云うんだけれどね、リリーっていうのはカラー・リリーっていう花のことを示すの。百合とは少し違う種類なんだけどそちらの花も美しくて、しかも毒をもっているのだよ。食べると喉が塞がって呼吸困難になって、ゆっくりゆっくり死んでいくの。沢山百合を買うのが面倒になったら此方でもいいかなあって思うのだけど、君はどう思う?」
彼は一度口を開いて、閉じて、そして、僅かに首を振った。
「花は……好きじゃねェ」
太宰は目をぱちくりさせて、まじまじと彼の顔を見て、そして、彼が目を伏せてしまうと、身を引いて、少しだけ寂しそうに目を瞬かせて、酒を一口飲んだ。その夜は、それきり、太宰も彼も、言葉を交わすことはなかった。太宰は何度か彼をみつめ口を開いたが、とうとう、言葉が吐かれることはなかった。
それから数日たって、尾崎紅葉は、教育してやっていた蒼い瞳の童に、「庭園の一角を花壇として遣わせてもらえませんか」と頼まれた。
彼女はその童をじっとみつめ、そして淑やかに笑い、「きちんと自分で世話をするのじゃぞ」と云った。童はこくりと頷き、頭を下げて、小走りで花壇を造りに行った。
その年の6月19日、太宰自身も、太宰の手にかけられた幾多の罪人たちも恨んで止まない、その日。
太宰のもとに、差し出し人のない贈呈品が贈られてきた。
それは、太宰の腕一杯の、白い百合の花だった。太宰はそれをぼんやり眺め、一緒についていたカードを読み、その『早く死ね』という言葉に小首をかしげた。
とりあえず太宰は、その百合の花を寝床にばらまいた。そして、その上に寝転がった。
すこしすれぱ百合の濃厚なにおいが充満し、くらくらして、死ねそうな感じがした。だけど実際そんなことはなく、日の出と共に明日はやってきた。
太宰はがっかり肩を落とし、腹いせにと、いつの間にか庭園にできていた粗末な囲いの花壇から百合の球根を残らず掘り返した。それを袋の中に集めると、一粒だけ噛んでみた。辛くて、とても食べられるものではない。今度こそ、と思ったのになあ、と、がっかり肩を落とし、帰っていった。
それから数日、花壇と共に、太宰は消えていった。
彼は高級葡萄酒ペトリュスを飲みながら、物思いに馳せていた。結局結論は出ずに、四年といくらか、月日が流れた。
「ねえ、来て御覧よ」
手招きする太宰のもとへ、呼ばれた彼は歩いていく。太宰はベランダに出て、何かを育てていることだけは知っている鉢植えの前に屈みこんでいた。その傍らに同じように屈みこみ、鉢植えをのぞく。そして、目を見開いた。それは、見覚えのあるものだった。
「芽が出たのだよ」
太宰はにっこり笑った。
「何の、かぐらいは判るだろう?」
「……なんで、だって、お前」
「うん。私も、数年もたってしまえばもう育たないものかと思っていたのだけれどね、どうにかなるものだよ」
よく、知っていた。この芽が葉となり、茎が伸びて、最後には白いらっぱ形の花を咲かせる。彼が、姐さんの云われた通りにきちんと自分で世話をしたのだから。
その芽をただじっとみつめていると、太宰が「ねえ」と口を開いた。
「百合の花言葉って知ってる?」
彼は少し困った顔をして、そのまま目を伏せた。ぽつりと、数年前と同じ言葉を吐いた。
でも、そのときとは違った。その言葉に太宰は頷き、そして、くくっと笑ったのだ。驚いて太宰の顔を見上げた彼の顔を、太宰は鳶色をした双眸でしっかりみつめ、笑みをたたえたまま、云った。楽しげでもなければ、心踊る興奮が滲んでいたわけでもない。けれどもその口調、言葉に、彼は目を見開いた。
「百合の花言葉は、純潔。
……ねえ、これってさ、君の為にある言葉だと思わない?」
見開いて硬直したまま、動けなかった。
悲しかったし、哀しかったし、かなしかった。だけど涙なんて一滴もでないで、その代わりに、この日の為にととっておいた高級葡萄酒の最後の一滴を口に含んでいた。
だから、悟った。知った。判った。いやそもそも自分で云っているじゃねェか。
『陰鬱なる汚濁の許容』
と。
だけど、手前は純潔だというのか。この花が育って手前が生まれた日に真っ白な花を咲かせても、そう云うのか。
「綺麗な花だよね、百合って」
太宰は、彼の肩を抱き寄せた。
「私ね、花って大好きだよ」
太宰の腕の中で、その肩が震えた。太宰は「ふふっ」と笑って、その朱色の髪を撫でた。彼のにおいは、百合の香りよりよっぽど好きだなあと、笑った。そして、まだ堪えようとする彼を抱き締めて、それが溢れ出すきっかけを、腕一杯の愛のお返しを、あの日云いたかった言葉を、そっと、告げた。
「ねえ、君ってすっごく綺麗だよ、中也」
ƒin.
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