大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- 【文スト】太中R18*中也受け 他
- 日時: 2021/03/15 14:08
- 名前: 枕木
おはようございます。
…お久しぶりです。
ようこそ、初めまして。
此方は文ストのBL二次創作になります。色々書いてます。
R18、時々ぶっこみます。
涙脆すぎる中也とやたら微笑む太宰と可愛くない敦と芥川がいます。
ともかく、何でも許せる広大な心の方は、どうぞごゆっくり。
リクエスト・感想・アドバイス随時受け付けております。良かったら下さい。お願いします。
リクエストに関しては、扱っているcpのものならシチュとかR指定とか何でもokです(`・ω・´)
ご案内
◆太中(太宰治×中原中也)
*>>37…今朝、私が死んだようです
*>>39-43…お薬でにょた化。あまあまとろとろ、コミカル太中※R18
*>>47>>50-54…ぬこ耳中也の付き合って半年の甘々カップル※R18
*>>56…やけに喉の渇く土曜日だった。
*>>61…閲覧1000記念、人生初の太中を起こしてみました。
*>>64-65…セックスレスの危機!?最終的にバカップルのエロ太中※R18
*>>72-85…17の、“相棒”である二人が10センチの手錠で繋がれる話。もどかしい思春期の行方は…※R18
*>>98…お祭りの夜の雰囲気って、なんとなく現実離れした雰囲気がありますよね
*>>102…疲れきって自宅のドアを開けるとき、真っ先に思い浮かんだ人が一番大切な人ですよ。
*>>116…『なみだ、あふれるな』『汚れつちまつた悲しみに…』
*>>119…ぐちゃぐちゃ、どろどろ ※他サイトより自身過去作転載、許可有
*>>130…百年後、空に青鯖が浮かんだなら。
*>>140…雨の音、君の声、恋の温度。雨ノ日太中小噺※雰囲気R18
*>>147-153>>158-161…鳥籠の中で美しく鳴く鳥は紅葉の舞う小さな世界をみつめるばかり…さしのべられた手は、包帯に巻かれていた※遊郭パロR18
*>>167-168…ホワイトクリスマスの奇跡に、君へ愛を贈ろう。
*>>173…君へのキモチのかくれんぼ
*>>174…中也はさ、雨と晴れ、どっちが好き?
*>>198…全部、この日が悪いんだ。中原中也生誕記念
*>>199…空っぽの心臓
【太中家族計画シリーズ】
*>>1…太宰さんが中也にプロポーズする話。ちょっと女々しい中也くんがいます。
*>>6-9…プロポーズ(>>1)のちょっと前の話。複雑な関係になった二人の馴れ初め。
*>>11-12…中原中也誕生日6日前。プロポーズ(>>1)の直後。甘くて優しい初夜の話。※R18
*>>14-15…中原中也誕生日5日前。初夜(↑)の翌朝。初めて迎えた、愛しい朝の話。
*>>16-19…中原中也誕生日4日前。素直になれない中也がちょっとこじらせちゃった甘い話。※R18
*>>22-26…中原中也誕生日2日前。手前の愛に触れさせろよ。真逆の修羅場!?※R18
*>>28-29…中原中也誕生日1日前。更に家族になった二人の幸せな話。
*>>34-35…妊娠初期の中也くんと心配性の太宰さんの話。つわり表現があります
*>>60>>62-63>>67-70…太宰さん誕生日おめでとう。
*>>112…家族になっていく、幸せの話。
*>>144,>>163…早く君に会いたいよ。まだ二人の日々の1ページ。
*>>172…来年も再来年も、末永くよろしく。年越しの太宰家
*>>192-196…生まれてきてくれてありがとう。幸せのフィナーレです。
◆太乱(太宰治×江戸川乱歩)
*>>2-4…ツンデレ名探偵と太宰さんの相思相愛。お互いの好きな所ってなあに?※フェラ有
*>>36…疲れて泣いちゃった乱歩さんを太宰さんが慰める話。甘いだけ。
*>>169…いつも怠け者の太宰も、働くときがある。それってどんなとき?
◆中乱(中原中也×江戸川乱歩)
*>>10…中原中也誕生日7日前。甘い誕生日プレゼントの話。
*>>125-127…お誕生日おめでとう乱歩さん(太→乱←中)
◆敦中(中島敦×中原中也)
*>>20…中原中也誕生日3日前。大人と子供のほのぼのカップルです。
*>>58…手前が俺の生きる意味なんだよ。怯えた敦くんと男前中也
*>>205…傷心の子供には、恋人の優しい愛を。
◆芥中(芥川龍之介×中原中也)
*>>55…中也くんに壁ドンして告白してみたよ!紳士やつがれくん
*>>87-93…鈍感な樋口ちゃんが、芥川先輩が恋人と待ち合わせしているのをみつけて…!?甘めの芥中※R18
◆鴎中(森鴎外×中原中也)
*>>121…7年前、少年はポートマフィアに加入した。首領に与えられたのは、古ぼけた黒帽子と……
◆中也愛され
*>>31…中原中也誕生日0日前。相手は貴方におまかせします
*>>32…皆にひたすら愛される中也くんのお誕生日会のお話。
*>>45…中也くんに壁ドンして告白してみたよ!(鴎中&敦中)
'19 4/20 設立
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'20
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本当にありがとう。
4月20日 一周年ありがとう。
7月24日 閲覧数20000突破
これからもよろしくね。
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- Re: 【文スト】太中R18*中也受け 他 ( No.204 )
- 日時: 2020/05/17 08:00
- 名前: 枕木
>>203
わー、おかえりなさい!お待ちしていましたよー!!
お祝い、ありがとうございます♪
出産編は、多分私の生涯でも上位に君臨するのではないでしょうか…。沢山考えて考えて、練り上げたこのお話です。楽しんで頂けたのなら、もう幸せです私(^^)♪
中也さんの一人称がほぼ定着しちゃいましたね…(笑)けれど、キャラの心情がよく書けてる!とか仰って頂けること増えたので、年月と愛をかけりゃあ、だんだんとその人の心に寄り添っていくものなのね、と実感しています。
いいんですよ、いつでも!来てくれただけでもう嬉しいんですから♪
こっそり言うと、あなたが「とうとう出産編!楽しみです!」のようなコメントをくださったこと、ずっとモチベーションにして書きました。あなたもこの小説の一部なんです。
またいつでも来てくださいね。ありがとうございました!
- Re: 【文スト】太中R18*中也受け 他 ( No.205 )
- 日時: 2020/05/19 21:21
- 名前: 枕木
恋人が、部屋から出てこない。
理由は単純。
仕事でやらかして、酷く落ち込んでいるからだ。
眺めていた携帯電話をポケットに仕舞い、何度目かの溜め息をついた。
幼少期のトラウマか、生まれたときからの呪いか、俺の恋人は自己肯定というものをあまりに知らなすぎる。自信満々で自由奔放(に見える)な上司を持っている筈なのになァ。あの振る舞いができる性格が彼に一割でもあったのなら、もっと楽な人生を歩めただろうに。……ついでに、その上司をもつことも無かっただろうな……
勿論、俺からしてみれば対立している組織、探偵社の事情なんてどうでも良い。社員がやらかして破産でもしてくれりゃあ、有難い。だが、昨晩死にそうな顔をして帰ってきたと思えば口もきかず自室に鍵をかけて閉じ籠り、あくる日の夜まで出てこない恋人のことは放っておく訳にはいかねェんだよ。
「おい、敦」
扉をノックする。返事は無い。判ってた。昨晩からここまで、敦は一言も話してない。最後に言葉を交わしたのは昨日の朝で、「敦、上の空だが何かあったか?」「え? あっ、いえ、何も……ごめんなさい、集中して食べます」という、作り笑いの彼との会話。
すう、と息を吸い込み、覚悟を決める。ドンドン、とやや乱暴に扉を叩いた。そして、低い声で云う。
「今すぐ開けろ。じゃなかったら扉蹴っ飛ばす」
本気だった。こんな薄い隔たりで俺を拒絶できると思うんじゃねェ。手前と暮らす俺の覚悟はそんなもんじゃねェよ。莫迦にすんのも大概にしろってんだ。
憤りさえ感じて数秒待てば、がちゃり、と躊躇いがちに鍵の開く音がした。続いて、扉が僅かに開く。そんなの待ってられるか。思いきり引っ張って、扉を全開に開いた。
部屋はカーテンも閉め切り完全な暗闇となっていて、突然光の元に放り出された少年は、泣き腫らした目を眩しそうに細めた。
「敦」
逃げ場のなくなった恋人は、低い声にびくっと肩を揺らし、うつむいた。
「……ひっでェ格好だな」
シャツは昨日から着替えていないから皺が寄りみすぼらしく、顔は涙で腫れ、目は充血し半分程しか開いていない。髪はぼさぼさで、元々斬新な髪型が大変なことになっている。おまけに叱られることを判っていて、死にそうな表情をしているから、俺くらいにしか見せられない格好だろう。
はあ、とまた溜め息をつく。
そんな表情見せられたら、叱る気も失せるよなァ。
「風呂入ってこい。着替えは出しといてやるから」
云うと、敦は吃驚した顔になり、腫れた瞼の下から俺をみつめた。チッ、と大きく舌打ちをして、敦の胸ぐらを引き寄せ、ほどけかけているネクタイを奪う。敦の唖然とした顔を睨み上げ、がっと口を開いた。
「ったく、ガキが一丁前に落ち込んでんじゃねェ。つか、手前が笑ってねェと此方が調子狂うんだよ。早くその間抜け面洗ってこい。飯が冷めるだろうが」
見開いた敦の琥珀色の瞳に、ぽわっと光が灯る。引き結んでいた口元が綻び、頬がほんのり赤くなって、弾んだ声で、
「はいっ!」
と返事をすれば、俺も釣られて笑ってしまった。
* * *
コトリ、と出来上がっていたものを入れたお椀を机に置いたそのタイミングで、ほかほかと湯気をあげながら敦がやってきた。目敏い奴。もういつもの腑抜けた顔に戻ってやがるし。矢っ張りガキだよなァ。
「有り難う御座います、中也さん」
「ん。早く食え。温かいうちに食っちまえよ」
「はーい……って、わあ!」
ふやけた顔で寄ってきてお椀を覗き込んだ敦が、目を輝かせて歓声を上げる。貧乏人かよ手前は。このくらいで喜びやがって。
「茶漬けくらいでそんな喜ぶか?」
「くらいじゃないですよ! お茶漬けが一番旨いです」
「そうかよ」
敦は嬉しそうに席につき、いただきます! と勢いよく手を合わせて、早速茶漬けをかきこんだ。あーあー、そんなに勢いよく食うと喉に詰まるだろ。落ち着いて食えよ。
「なんだ、腹減ってたのかよ」
「ふぉふぉふぁふぇふぁ」
「おいおい、飲み込んでから喋れ阿呆」
ごくん、と飲み込む音がして、どんぶり大のお椀はあっという間に空になった。「ご馳走さまでした!」と手を合わせ、敦は隣の俺に向き直る。
「いえ、先刻まで空腹とか何にも感じてなかったんですけど……中也さんの顔を見たら、急にお腹空きました」
「んだそれ。変な奴」
ふふふ、と笑い合い、また、目を合わせる。敦はゆっくり瞬きをし、眉尻を下げ、少しうつむいた。
「……子供に、大怪我させちゃったんです」
紡がれる言葉に、じっと耳を傾けた。
「凶悪犯が潜伏していた団地の子で、犯人が時間稼ぎに放火して……中に、取り残されていて」
敦の胸が大きく上下する。揺れる瞳は、手前への怒りか。
「僕なら、間に合ったはずなのに。……なのに、犯人捕まえるのに躍起になって……その間に、子供は……落ちてきた天井の下敷きになって。……太宰さんには、子供を救うことを最優先にって云われていたんだ。なのに僕は、目先の犯人しか目につかなくて……あの子の将来を、僕は……」
再び、彼の心が雲ってゆく。
昨日の朝から、彼はその依頼のことを案じていたのだろう。きっと毎回、不安と恐怖を抱えて現場へ向かうのだろう。
俺は、敦の上司じゃない。俺は、敦の親じゃない。だから、敦の仕事を支えてやることは出来ない。だから、敦に教えてやることは出来ない。
けれど、俺は、敦の。
「……っ……!?」
敦が吃驚して硬直する。
構わず俺は、ぎゅっと抱き締めた。
「えっ……ちゅう、いたたたたたたたたたた!!」
ギチギチと締め付けてやれば、敦は悲鳴を上げた。少しして解放してやれば、敦はぜえぜえと荒く息をして、目を白黒させている。頬は紅潮し、少年らしい、敦らしい表情が戻ってきていた。
満足して、ふう、と息を吐く。
そして、語りかけるように、静かに告げた。
「俺はな、手前を慰めたりしねェよ」
敦が目を上げた。
澄んだ瞳だった。
「それは、俺の仕事じゃねェからな」
そう。俺は、手前の上司でも親でもねェから。それは、俺の役目じゃねェんだ。
だから俺は、ポケットから携帯電話を取り出し、画面を掲げた。
「そういうのは、手前の上司にしてもらえ」
敦が目をぱちくりさせる。しかし、そのメッセージの送り主である『青鯖』の名前を見れば、飛び付く勢いで携帯電話を受け取って、目を凝らして画面を見た。
その光景を苦笑しながら眺めていれば、敦の弾んだ声が上がる。
「子供、目を覚ましたそうです!もう安心って……!」
「そうかよ」
けれど、彼奴が手前に伝えたかったのはそのあとだろう。読み進めた敦が突然笑みをおさめ、真剣な表情になる。
その瞳に光が宿っているのを確認して、俺はそっと敦のお椀を取り台所へ歩いた。
程なくして、子供のように泣きじゃくる声が聞こえた。俺はただ黙って、その声が収まるまで、何度も何度もお椀を洗った。
* * *
電気も消しうとうとしてきた頃、ポケットの中で携帯電話が震えた。来やがったな。相手は見ずとも判った。
細心の注意を払って、携帯電話を取り出す。画面を指で触り耳に当てれば、聞き慣れた声が『やあ』と飛び込んできた。
「いま何時だと思ってやがる」
『私に時間という概念はないね。私が起きている間は昼だよ』
「手前がそうでも、少なくとも俺にとっちゃ丑三つ時だ莫迦野郎、死ね」
『ん〜? そんなひそひそ声じゃ聞こえないなぁ〜?』
「マジ優しい上司だなー手前はー」
『有り難う!』
「聞こえてんじゃねェか死ね」
『ふっふっふ。まあ、優しい上司としては傷ついた部下のことが気になってね。……その声から察するに、大丈夫だったようだけれど』
「……まあな。つうか、態々俺を通さないで直接電話でもすりゃあ善かっただろ」
『ふふふ。それじゃあ、敦君のお腹は満たされないよ』
「……」
『私は唯の彼の上司だ。だけど君は違う。そうでしょ、中也』
「……はあ。もう切るぞ」
『はぁい。……まあ、結局のところ、傷付いたときはさ___』
胸の中で寝息をたてる子供の、あどけない寝顔に涙が溢れる。それを指先で拭って、そっと、微笑んだ。
突然、声が上がる。
「もう、おなかいっぱい……おちゃづけはみたくないです……」
吃驚して目を開いたが、直ぐにむにゃむにゃ……とまた寝息をたて始める。くはっ、と笑うと、携帯電話の向こうでもくつくつ笑う声が聞こえた。
『ガキだね』
「ガキだな」
温かな沈黙が流れ、俺は静かに通話を切った。目を瞑り、呟く。
「いい夢見ろよ、敦」
『傷付いたときはさ、恋人の手料理食べて、ぎゅうってされて寝ちゃうのが、一番だからね』
額に1つキスを落とせば、まだ成長途中の恋人は、夢を見ながらにへっと幸せそうに笑った。
えんど
- Re: 【文スト】太中R18*中也受け 他 ( No.206 )
- 日時: 2020/05/24 12:19
- 名前: 枕木
嗚呼……終わった。
発情(ヒート)が来ちまった。
躯が熱くて、頭が靄でもかかったようにぼんやりする。まともな思考回路はほんの少ししか残っていなくて、その僅かな理性が、欲しいものを……狂おしいほど躯が求めるたった一人の名を呼ぼうとするのを、懸命に堪えていた。
熱い吐息が絶え間なくもれる口元を、震える右手で抑える。自分の声にさえ興奮するこの躯は、もう、制御出来るものじゃなかった。
「ふーっ、ふーっ……んんっ、んんぅっ!」
左手は熱く疼く腹を抑えていたが、それをそろそろと下へずらし足の間を撫でてみれば、脳天を快楽が突き抜け、びくっと躯が跳ねた。その弾みで右手が口元から離れる。そして感じた匂いに、目を見開いた。
……掛けられた外套から香る、匂い。あの頃当たり前のように染み付いていた火薬や薬品の匂いはあまりしなくて、しかし、これは、まさしく、彼奴の……
「ひぅっ」
小さく、叫んだ。
じくじくと熱く疼く。脈打つ。その熱は脳も溶かしていく。僅かには残っていた俺の最後のプライドさえ、ぐずぐずに溶かしていって。
俺は……下着の中に、手を入れていた。
「はっ、はぁ……」
背中を支えるのは土の感触で、何より屋外だ。敵が残っている可能性は無いが、こんなところで淫行に及ぶなんてどうかしている。けれど、そんな理性も無いくらい、熱くて熱くて、もうどうしようも無かった。
外套を握り締め、顔に寄せる。その匂いを深く吸い込めば、手の中で自身がとぷりと愛液を垂らした。その滑りを借りて自身を擦れば、びくびくっと躯が跳ねた。
きもちいい。彼奴の匂いに包まれて、まるで彼奴に抱かれながらしているような錯覚に陥る。きもちいい。
「はっ、あっ……んっ、あっ、そこ……ああっ!」
快楽が高まっていくのと同時に、声も高く大きくなる。けれど全く気にならなくて、この声も彼奴に聞いてほしい……なんて、淫らに願った。
どこを触っても気持ちよくて、先端に爪をたてれば、腰が浮いた。亀頭をてのひらで包み込み、ぐりっと撫でるようにする。愛液が擦れてぐちゅっと音がするのに興奮して、夢中で亀頭を擦った。
「あっ、はっ、ぁ、あ、あ……はっ、あっ、ああっ! あっ!」
ぐちゅぐちゅ……ぐぢゅっ、ぐぢゅっ
びくびくっと躯が跳ね、背中が反る。
あっ……イく。
「はっ、あっ、ああああっ!!」
一際大きな嬌声が上がり、脳天をおおきな快楽の波が襲った。びくんっと反った躯に白い液体が飛び散る。びくっ……びくっ……と定期的に痙攣する度に快楽が押し寄せ、涙が溢れた。
きもちよすぎて、おかしくなりそう。
こんな台詞、まさか俺が遣うなんてな。今まで経験したことのないこの快楽は、俺が懸命に隠してきた俺の本来の姿だ。
Ωに生まれた俺だけが得られる、快楽。
そう。これが、在るべき姿だ。運命の相手を見て、触れて、感じるだけで股が濡れて発情して、求めるままに快楽を貪る。そして最後は、その相手に……
「……中也」
振り返らずとも判った、その声に。
俺の躯は、従順に反応して。
奥がきゅうっと切なく疼いて、堪らず躯を抱き締め、丸まって目を瞑った。
「中也」
呼ばれても返事なんて出来なかった。けれど、そっと、髪に手が触れられる。じんわりと涙が溢れ、その外套を濡らした。
そう。俺は、長く細い指に、ずっと触れて欲しかった。
相棒として隣にいた時期、それしか考えていなかった。
俺の服を全部取り払って、乱暴に押し倒して、足を開かせて。もう俺のそこは、手前を受け入れる準備は出来てんだ。知らねェだろ? 一人でするときは、手前の顔とか感触とか思い出しながら、だらしなく口開けてはあはあ息乱して、ぐぽぐぽ指を出し入れしてんだ。知らねェだろ? 知ったら軽蔑するだろ? 俺はな、手前らαに軽蔑され、虐げられる存在……Ωでしかねェんだ。
だから、手前にそうされてたら、もう直ぐに種を植え付けられる。奥まで突いて、そうしたら、俺はきもちよすぎてぎゅうぎゅう締め付けて中イキするから。そうしたら、手前も我慢せずに出しちまえばいい。心配すんなよ。Ωの俺が、中絶する権利なんて持ってねェ。どこもそんなのしてくれねェ。発情したΩの妊娠率はほぼ十割。喜べよ。手前の遺伝子をもったとびきり優秀なαが生まれるぜ。だって、俺たちは運命の番だ。最高のパートナー。最高の遺伝子。最高の子供。
それが、在るべき姿なんだよ。
俺は、手前に突かれてきもちよくなりたい。手前の種が欲しい。
手前だって、俺のフェロモンにあてられて、苦しいだろ? 早く突いて、奥に出したいだろ?
完全に利害は一致していて、堪える理由なんてない。もっと早くこうなっているべきだった。本来なら。
……けれど、けれど、なんで。
「中也、こっち向いて」
「やっ……」
頬に手が添えられ、振り向かせようとする。静かな声で、もう一度俺の名が呼ばれた。
もう抗う力なんて残ってねェ。そもそも、抗うのが間違っている。このまま流されれば、在るべき姿になる。
……けれど、けれど。俺は。
「中也」
「やだっ……!」
ぐいっと顔を振り向かされた瞬間、俺は叫んでいた。同時に、ずっと閉じていた目が瞬き、涙が溢れた。
どうしてだろうな。涙が止まらねェんだ。
暫く、涙で視界が霞んで見えなかった。
抱かれたい。それが正解だし、一度出したくらいじゃ収まらない自身は痛いほど張り詰めて、解放を待ちわびている。
番いたい。それが正解だし、運命の番とのセックスは堪らなく気持ちいいだろう。
しかし、俺は。
「中也。ねえ、私を見てよ」
ずっと恋なんて感情を寄せていた元相棒に、項を噛んで欲しかった。
抱かれたいのと、番いたいのは、俺がΩだからだ。けれど、もう1つは違った。
「ねえ、中也」
ぐちゃぐちゃになった頭と股が苦しくて、涙を止められないでいた。けれど手前の顔は見たくない。αの手前に、俺は……
「中也。お願いだから。
……私は、αじゃなくて、太宰治だよ」
驚いて、思わず顔を上げた。
そして更に、驚いた。
……なんでそんな、優しい笑顔してんだよ。
頬に触れた手は温かく、俺に覆い被さるようにして……まるで、俺を守るようにして、太宰が、微笑んでいた。
「……太宰」
「うん」
「…………なァ、太宰」
「うん。聞かせて、中也」
涙がこぼれ落ちた。鳶色の瞳には優しく光が宿り、包帯は、ほつれていて。何より、木の枝にひっかかれたような擦り傷が頬にあって、手前らしくねェな。
どんだけ、全力で走ってきたんだよ。
「太宰……俺は」
俺はΩで、手前はαで。運命の番で。
偶々俺はΩで、偶々手前はαで、偶々運命の番だっただけだった。
「俺は、終わらせたくねェよ……」
終わらせたくない。
この気持ちも、この人生も、この舞台を。
始まったばかりだ。手前との二人芝居。観客なんて要らねェよ。
手前と俺で、やり直してェんだ。
中原中也として、手前を、太宰治を、愛してる。
「太宰」
「……うん、中也」
見詰め合う。太宰が、俺の様子を伺いながら、少しずつ少しずつ身を寄せてくる。俺は瞬きさえしないで、その瞳を見詰めていた。
硬い肉が、触れ合う感触。背中に手が回って……ぎゅうっと、抱き締められた。
「役者が揃い、君の悲劇は……喜劇へと、か」
耳元で呟かれた言葉に、小さく頷いた。太宰は何も返さずに、ただ力を込めて、俺を抱き締めた。
血に染まった地面の上、土煙の舞う夜空の下。
抱き締めあったその夜、舞台の幕が上がった。
- Re: 【文スト】太中R18*中也受け 他 ( No.207 )
- 日時: 2020/06/14 15:43
- 名前: 枕木
もつれあうように、車の中に乗り込んだ。
私の下で苦しげに熱い息を吐く中也は、とろとろに熟れて、正に食べ頃だった。上気した頬、涙でうるみとろんと蕩けた青い瞳。暑い、とうめきながら自ら上着とクロスタイを脱いだ肌は汗ばみ、シャツが張り付いていた。
ごくり、と喉が鳴る。
そして何より……この、甘ったるい匂い。
それは中也と、中也が未だ握り締めている私の外套にかかった精液や、彼の項や、彼の肌全体から、むせるほど強く発せられていた。嗚呼、中也の肌、本当に甘そうで、美味しそう。堪らず首筋に顔を埋め舐めながら、囁いた。
「凄いね、中也……こんな強烈なの、堪んないな」
「あ……? それは、うんめいの……」
違う。
それにしたって、中也の躯は特別だ。
あまりにも、フェロモンが、濃すぎる。
Ωは常に甘い匂いを伴い雄を誘うフェロモンを発している。鋭いαなら感じるし、あてられることもある。しかし、ほとんど気付くことはない。ただ、無意識に錯覚を引き起こす。微量のフェロモンの効果で、可愛らしい、愛らしい、と感じるようになる。体格も相まって、中也は随分可愛がられていたね。……否、嫉妬なんかしないよ? ……しないように、しているよ。
けれど、発情(ヒート)している状態になると、フェロモンは決壊したようにただ漏れる。発情(ヒート)は不定期なΩもいれば定期的にくるΩもいて、効果も固体差がある。Ωの発情(ヒート)は……なんてひとくくりにするのは浅はかだ。それを理解しないから、発情(ヒート)状態のΩが路上で強姦される事件が多発するのだよ。
αはΩのフェロモンに逆らえない。それが動物的本能だから。
だが発情した中也のフェロモンは、そんな理由じゃ収まらない。αやβなんて関係無い。下手をしたらΩだってあてられる可能性がある。匂いだけではなくて、瞳や、唇や、汗や、涙や、細胞の一つ一つが誘う。一目見るだけでいい。発情した中也を一目見るだけで、もう、抗うことはできない。私でさえ、ぎりぎりなのだから。今の今まで中也が汚れのない躯を守ることができたのは、奇跡に近い。
……否、奇跡とは違うのかな。
中也はそこら辺の猿よりかは頭がいいから、定期的にくる発情期は操作していただろう。そして、何時でも何処でも発情する条件となる……そう、“運命の番”の存在が、近くに無かったから。
“運命の番”というのは、決して誤魔化すことも断ち切ることもできない、固く強い繋がりなのだ。
「あッ……んっ」
シャツの下に手を入れ肌を撫でると、中也はぴくっと跳ねながら、甘い声をあげた。
嗚呼、くらくらする。
蕩けた顔も、期待して私をみつめる青い瞳も、飛び散った白濁も、車に充満して理性を溶かしていく甘い匂いも。
「だざい」
そう、もっと呼んでよ、中也。そうやって、愛おしそうに私を呼んで。
頬を撫でると、熱かった。それはとても、熱かった。中也は瞬きをして、それから、躊躇いがちにそっと両手でその手に触れた。私の様子を窺う猫の様な仕草が可愛くて微笑めば、中也は、ゆっくりと蕾が開くように、嬉しそうに微笑んだ。
ぶちぶちと、張り詰めた糸が千切れていく音がする。
「……ねえ、いいの? 此処、外で、君の車の中だけど?」
煽るように訊いた。余裕だよ。君のフェロモンなんて、私を揺るがせられるほどじゃない。
嘘だよ。強がってるよ。
じくじくと太股が痛む。
ぎりぎりだけど、守りたい。君だけは尊重する。誓う。私は君が大切なのだよ。
本当は今すぐに、この膨張した熱で君を貫きたい。奥深くまで突いて、ぐちゃぐちゃに犯して、ぐずぐずに喘がせて、孕ませたい。
限りなくぎりぎりで。それでも君を、守りたい。
シートに押し倒した中也の両脇についた腕が、少し震えた。限界はあとほんの少し。
中也は、きょとん、とぱちぱち瞬きをした。
そして、きょとんとしたまま、
「いまさらだろ……?」
と云った。
確かに今更だ。もう私の手は君の肌に触れているし、布越しに擦り合わせているお互いの自身は張り詰めている。
「でも、今なら未だ……」
その先は云えなかった。
言葉は、中也の唇に奪われていた。
触れるだけのキスは長い訳では無く、家族や友人とでもするような、子供っぽいキスだった。こんなに扇情的な瞳が目の前にあるのに、溢れてきたのは中也への愛しさだけだった。
はっ……と吐息を漏らしながら離した中也の唇は艶めいていて、恥らうように頬を染め、目を逸らした。
あーあ、もう。
「……折角私が親切で我慢してあげようかって訊いてあげているというのに、君って本当……」
深々と溜め息を吐けば、中也はむっと唇を尖らせた。
「んだよ。頭悪ィとか云いてェんだろうが、手前だって……」
「否、違う」
目を合わせる。中也がはっとしたように目を見開き、そして、矢っ張り恥じらいながらぬれた睫毛を瞬かせた。
ふふっ、と微笑んで見せ、耳元に顔を寄せて囁いた。
「君って本当……
最高だね」
甘い匂いが強くなり、腕の中で、可愛らしい恋人が期待に躯を震わせた。
いじらしく私の袖を掴む感触に、
ぶちっ
と、最後の一糸が切れる音がした。
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