官能小説(オリジナル18禁小説)

美少年の憂鬱(R18指定)【閲覧注意】
日時: 2021/05/05 18:43
名前: 青い森

※登場人物




【オリジナルのBLです。苦手な方は回れ右してくださいね】



18禁とありますが、性描写はどの程度までOKなんでしょうか…
官能小説なら大丈夫なのかな…不安です


ご意見などお待ちしております

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Re: 美少年の憂鬱(R18指定)【閲覧注意】 ( No.53 )
日時: 2021/05/05 18:57
名前: 夜の森

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Re: 美少年の憂鬱(R18指定)【閲覧注意】 ( No.54 )
日時: 2021/05/05 19:01
名前: 夜の森

2

Re: 美少年の憂鬱(R18指定)【閲覧注意】 ( No.55 )
日時: 2019/06/23 23:20
名前: 夜の森

【記憶】


夜の闇がせまっていく。玲一郎は布団に潜り込むと眠りに付いた。
あれから青柳に連絡をしていない。


広い居間に飾られた絵画。
白く塗りつぶされた天使のような悪魔…。

『玲一郎君、天使と悪魔は裏と表みたいなものなんだ。人間は誰しも裏と表がある』
『…そうですか』
『君にも…もちろん俺にもね』
『…人間には、生まれてきた意味があるっていいますよね。なら一部の凶悪犯や変質者はどうなるんですか』

『そうだな。俺は生まれてきた意味なんてないと思う。みんな死んだらゲームオーバーだろ。骨になって風に流されて行く。そして忘れられて行くんだ。どんなに愛しい人であろうとね』
『青柳さんには愛する人がいたんですか?』
『……さあね』

読めない男だった。

この男と会話していると、まるで古い洋館に迷い込んだような不思議な気持ちに囚われる。

寂れた商店街の一角にある陰気なビデオショップ。青白い光。青柳の仮面のような笑顔。


『…もう一度あの絵画を見てごらん。天使に見えていたものが実は≪悪魔≫だったなんて、世の中ザラにある事なんだ。人間は…高度な知能のおかげで邪悪な一面も持ちうるという事を忘れてはいけない。君も、俺もね』

『…そうですね』

玲一郎は頷いた。






Re: 美少年の憂鬱(R18指定)【閲覧注意】 ( No.56 )
日時: 2019/06/26 01:39
名前: 夜の森

【夢】






商店街にある陰気なビデオショップが玲一郎の行きつけになっていた。
店の奥に座る虚ろな顔をした店主がニコリともせず会釈をする。

「ダークシャドウ」の前で立ち止まると、頭上の青白い蛍光灯が≪チカ…チカ…≫と、玲一郎の暗い美貌を照らし出した。

『やあ…!』妙に明るい青柳の声、天使のような魔物、青い森が玲一郎の目の前にせまる。まるで幻覚でも見ているかのようだ。

≪人間に生まれた意味なんてないよ。死んだらゲームオーバーだろ≫
青柳の声が耳にこだまする。


ズズ…ズ…、空間の軋むような音と共に暗い森へといざなわれていく。

≪…刺したかったから≫

コンビニで見た能面のような顔をした少年が黒い森を背景にこちらを≪バ…!≫と振り向く。ガラス玉のような瞳の奥には、生気が感じられない。
『…何で』
『理由なんてないよ。あの場にクラスメイトがいたから。肉を裂いてやろうと考えてた』
『…君の家族が悲しむんじゃないか』
『家族も他人みたいなもんさ』

子峰川少年の背中から黒い羽のようなものが≪ズズズズ…≫と生えたかと思うと、傘が開くように≪バサァ…≫と大きな音を立てて夜空へと羽ばたいていく。

『待ってくれ!』
玲一郎は夜の空に向けて手を伸ばす。

『…はははははッ』

あの能面のような顔をした少年が壊れたからくり人形のように夜空で高笑いしていた。

≪凶悪犯や変質者になる人にも、生きる価値なんてあるんでしょうか?≫
『さあ。ないんじゃない。…でもさ、死んだらみーんな、骨になるだけさ』

はははっ…青柳は乾いた笑顔を玲一郎に向ける。

『…君も試しに死んでみるか?』
青柳の冷たい美貌が玲一郎にせまる。


『俺は…』
『…俺は?』

『俺はし…』

≪  俺は、死ぬ前に人間を殺してみたいです  ≫

『言わなくても良いよ』

頬杖を突いた青柳は二ッコリと微笑んでいる。
いつの間にか純喫茶風のレトロなカフェーに座っていた。

不思議な事にウエイターの顔が黒いヤギだった。丁寧にお客に注文を取っている。…被り物だろうか?ヤギの目玉が透明なガラス玉のように綺麗だった。
剥製のように精巧な造りだ。まさか…本物なのか?

『マスター!珈琲お願い。砂糖抜きでね』
青柳はひたすらに明るい。玲一郎の不安を打ち消すような底抜けに明るい笑顔だ…。

『見てごらん、隅に座る青年いるだろ』
『…はぁ』

後ろ向きで顔がよく見えない。

『あの青年はペドフィリアなんだ。まあ倒錯した性の病気だね。大人の女性に相手にされないから幼女に牙をむいたのさ』
『…殺したんですか?』
『ここは前科持ちのお客さん多いからね。…すぐ隣にいるのは死刑執行された凶悪犯』
『…死んでるんですか』
『ここは生者も死者も平等に招き入れているよ』

『…メニューでございます』
黒いヤギがメニュー表をテーブルに置いた。
時代を感じさせるランプの光が暗闇を照らす。

『好きに食べたらいい』
…「喫茶夜ノ闇」と印字されたメニュー表。

『夜ノ闇』なんてこの喫茶店にぴったりだ。

『俺も珈琲で』
『悪魔の目玉ソテーにしなよ』
『…遠慮します』











Re: 美少年の憂鬱(R18指定)【閲覧注意】 ( No.57 )
日時: 2019/06/28 01:56
名前: 夜の森

【珈琲】






剥製の被り物でもしているかのような黒いヤギのガラス玉のような瞳が玲一郎を見つめる。

『…当店自慢の珈琲、砂糖抜きでございます』
『ああ、ありがとう』
青柳が爽やかに微笑む。店内は人が大勢いる割には皆背を向けていて、顔がボヤけたようによく見えない。
ランプシェードの光が洞窟のように暗い店内をゆらりゆらりと照らし出している。

『…ごゆっくり』
ステンレス製のお盆を胸に丁寧に黒いヤギがお辞儀をする。

『…その頭は被り物か何かですか?』
玲一郎は思わず尋ねる。

一瞬、黒いヤギの目の奥が光ったような気もした。
『いえ、被り物ではありませんよ』

グ…ッと頭部に手をかけるが、外れない。いや、本物のヤギの頭だった。

『はっはっは!すみませんね。まだ彼は初来店で慣れてないんですよ』
『いえいえ。構いません。ごゆっくり…』

青柳の乾いたような笑い声も店内の喧騒にまぎれていく。


『どうだい?不思議だろう』
頭部が鳩の頭の者もいた。

『…不思議なお店ですね』
『そうだろう。珈琲が美味いんだ』

珈琲の香りが麻薬のように玲一郎の脳内に沁み込んでいく。

窓の外は青柳の自宅で見た絵画そのものの、青々とした森が広がっていた。
夢なのか、それとも現実なのか…。

『…白い悪魔が見えるかい?』
『いえ』
『この喫茶店の頭上をいつも徘徊してるのさ。あいつに捕まるとやっかいだ。内臓を喰われてしまうのさ』
『…本当ですか』
『…本当さ。気をつけるんだ。悪魔に捕まらないようにね』

『青柳さん…何だか、眠く…』
玲一郎の視界が眩暈を覚えるようにグラグラと揺れる。

『…そろそろ……に…戻る時間だ』


≪パチン…!≫と指を弾くような音。


目を醒ますと、いつものベッドの上だった。
夢にしては妙に生々しい記憶だ。
黒いヤギ、ほろ苦い珈琲の味、青柳の声、絵画で見た青い森の残像…。

Re: 美少年の憂鬱(R18指定)【閲覧注意】 ( No.58 )
日時: 2021/05/05 19:02
名前: 夜の森

1

Re: 美少年の憂鬱(R18指定)【閲覧注意】 ( No.59 )
日時: 2019/07/09 23:45
名前: 夜の森

【ビデオショップ】






『やあ、浮かない顔してるな』
≪ハッ…≫と驚いて振り返ると長身の青柳が笑顔でこちらを覗き込んでくる。
全く気配がない。ビデオショップの店主が虚ろな目を向けてくる。

古びたビデオショップの青白い光に吸い寄せられるように、学校帰りにふらりと立ち寄る事が玲一郎の日課になっていた。

『…お久しぶりです』
『…あの後、君、全く連絡くれないからさ。心配していたんだ』
『…はあ』
『顔色が良くないな。せっかくの美形が台無しだ』
『やめてください…!』

玲一郎の強い口調に青柳は目を丸くさせる。
『…どうしたんだい?何かあった?』
『…いえ。すみません』

憂いのある瞳を伏せる玲一郎。
『…思春期だね。俺も君のように悩んでいた時期があったよ』
青柳は「ダークシャドウ」のパッケージを手に取るとマジマジと見つめる。
『…人を殺した経験でもあるんですか?』
玲一郎は自然と口に出た言葉に内心でしまった…!と思ったものの、あとの祭りだ。

青柳の顔を見ると、笑顔が消え、≪ジッ…≫と玲一郎を凝視している。
息を飲む玲一郎。

『…あ』
『…ははッ…ごめんごめん…急に君が妙な質問するから』
一瞬で元の笑顔に戻る青柳。

『…変な事を聞いてすみません』
『…いいよ、俺と君は似た者同士じゃないか』

青柳の整った横顔が蛍光灯の青白い光に照らされると、あの夢の中に迷い込んだような不思議で不気味な感覚に襲われる。

『…俺が怖い?』
『いえ、不躾な質問をしてすみません』
『俺たち、お互いの事を何一つ知らないだろ?俺が人を殺していても何の不思議もないわけだ』
青柳は白く長い指先で「ダークシャドウ」のパッケージを手に取ると、玲一郎の眼前でヒラヒラと左右に振った。
『冗談ですよね?』
『…さあね』

『……。』
『マンションに来る?美味しい珈琲があるんだ』

玲一郎は夢で見た『夜ノ闇』という喫茶店を思い起していた。
青柳は一体、どんな夢を見ているのか…。

『…はい』
『なら、案内しよう』



二ッコリと青柳が静かに微笑む。
黒いスーツに身を包んだ青柳は長身で目立つ美形だった。
マンションに到着するまですれ違う女子高生たちがチラチラと視線を送ってくる。

白くそびえ立つようなマンションには人の気配がなく無機質だった。

『君をここへ呼ぶのは二度目になるな』
『…お邪魔します』

玄関から中へ入ると、モダンな造りの部屋にあの印象的な絵画が玲一郎の目に飛び込んでくる。白く塗りつぶされた天使のような悪魔、暗い森…。

青柳はソファーを挟んだテーブルに出来立ての珈琲を二つ置くと、玲一郎にソファーに座るよう促す。
『…座って。いい香りだろう。海外から取り寄せたんだ』
『ありがとうございます。…凄く良い香りですね』
缶コーヒーと比較にならない程渋く、上品な香りが漂う。

『…俺の過去が知りたい?』

青柳の切れ長の瞳がジッ…と玲一郎の瞳を覗き込む。

『…時期が来たら』
『はっはっは…欲が薄いな』
『夢を…』
『?…夢?』
『夢を見るんです。毎晩、あの絵画に描かれてる森が俺の目の前に』
『奇遇だね。俺もだよ』
『…え?』
『黒いヤギが現れなかったかい?』
『…同じ夢を?』
『俄かには信じがたいな…』
青柳は腕を組んで考え込む仕草を始める。

『あの絵画が関係しているのかも知れない…』

冷たい空気が玲一郎の頬に触れる。

現実にはあり得ない出来事だ。青柳は詐欺師なのかも知れない…。
『…俺の過去を知ったら君はどんな顔をするだろうな』

青柳の瞳に一瞬哀しみの色が浮かんですぐに消えた。



Re: 美少年の憂鬱(R18指定)【閲覧注意】 ( No.60 )
日時: 2021/05/05 19:03
名前: 夜の森

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Re: 美少年の憂鬱(R18指定)【閲覧注意】 ( No.61 )
日時: 2021/05/06 17:37
名前: 夜の森

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Re: 美少年の憂鬱(R18指定)【閲覧注意】 ( No.62 )
日時: 2021/05/06 18:09
名前: 夜の森



≪…ねえ、あの人格好良くない?≫
通りすがりの女子高生が後ろを振り返り小さく歓声を上げる。

玲一郎はほとんど聞こえていない、上の空だ。


商店街の隅にあるビデオショップまで歩いて行くと、青柳の長身が見える。
玲一郎は生気のない瞳を輝かせた。

『やあ!元気だった?』
『お久しぶりです。』
『君は見る度に不健康な雰囲気になるなあ』
『…え』
『…その妙な色気の正体が知りたいな』
ニコッと微笑むように笑う青柳。

玲一郎はドキリとして目を伏せた。
≪この人は、本当は俺の全てを知っているんじゃないのか…≫
ザワザワと警戒心が蘇る。

『ごめんごめん。思いつめた顔してるなあと…』
『大した事じゃありません』
『…そうか。俺たちがどうやら≪同じ夢≫を見ているらしい事も…か』
『ビデオショップ…あのビデオショップに何かあるんじゃないですか?』
突然閃いたように玲一郎が話す。
『…まあ、陰気な店だしなあ』
『俺、あの店の青白い光を浴びながら「ダークシャドウ」を見ていると気が触れそうになります』
『…気が触れそうになる。なんて大人びた表現をするなあ。キチガイってことか』
呑気な青柳の声に半ば呆れてしまう。

『人類みなキチガイ…』
『そこまで言ってませんよ』

『…思春期の些末な悩みなんて、そのうち風に流れて消えて行くさ。人間、そんなものだろう?』
『…はぁ』

ビデオショップの自動ドアが開くと、蛍光灯の青白い光に照らされ、
異様な感覚に襲われる…。

『…喫茶≪夜ノ闇≫』
『…青柳さん、やっぱりあの絵画…』
『俺の精神世界に君が現れているのかも知れないな』
狐につままれたような感覚に陥る玲一郎。
そんな非現実的な事があるだろうか?
『…未来へ行けば、他人と夢を共有できるまでになるかも知れない』
青柳はダークシャドウの真っ黒いパッケージを手に取りながら小さく呟いた。
『……近未来的なお話をしますね』
『ははッ。あっという間さ。夢と現を行き来するんだ。素敵だろう?』
『はぁ…』

眩暈を起こしそうになりながらも青柳の端正な横顔を見つめる。

『また、夢で会おう』
『…夢で』
『そうだ。悪魔のように見える天使も夢の中でなら会える』
『…遠慮したいです』












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