大人オリジナル小説
- 触れられなくなった君へ……【R18・BL】
- 日時: 2019/08/16 16:25
- 名前: 椛 ◆kGPnsPzdKU
どうも、椛(もみじ)と言います。
普段は違う名前で活動してます。(トリップ付けてるので分かると思いますが)
今回、初めて個人で小説を書きます。
至らぬ点があると思いますが、宜しくお願いします。
今回のお話は一途な男子高校性×ある事がきっかけでトラウマから人に触れられる事が無理になる恋人です。
最後まで読んで頂けたら幸いです。
※感想を貰えたら嬉しいです。感想を送る際はこのスレではなく、雑談掲示板の方でスレを立てるのでそちらにお願いします。
※更新が不定期かもしれません。すみません。
※R18です。
- Re: 触れられなくなった君へ……【R18・BL】 ( No.10 )
- 日時: 2019/08/25 00:52
- 名前: 椛 ◆kGPnsPzdKU
翌日、学校が終われば皐月は急いで病院へ向かった。
尚人は命には別状はなかったらしい。
しかし、彼は精神的に不安定な状態だと彼の両親から聞かされた。
学校では彼の事はそんなに触れていなかった。まぁ、それもそうだろう。
友人の卓也にも事情を聞かれたが、答えなかった。
そんなに心配されない方が、彼も気が楽だと思ったのだ。
病院は学校から30分弱。自宅からもそう遠くはない。
皐月が病院に着いた頃には、もう両親は病室にいるらしい。
受付で病室を聞くと皐月はエレベーターでその階まで上がっていく。
エレベーターから降りれば小走りで彼の病室まで向かった。
405号室、ここが彼の病室だ。
皐月がコンコンとノックすれば「はい」と彼の声、ではなく母親の声が聞こえた。
「失礼します……あの、尚人は……」
「あら、皐月くん。わざわざありがとうね」
そこにいたのは両親と、眠っている尚人だった。
彼の様子については両親はあまり触れなかった。
それにしても彼はまだ眠っている。でも、話では意識は取り戻したと聞いている。
ただ疲れて眠っているというのも考えられたため、あまり気にしない事にした。
両親は彼の周りに椅子を置き、座っている。
皐月も同じように腰を下ろした。
此方が腰を下ろすと、母親が何か言いたげに此方を見つめていた。
皐月は何だろうかと思ったが、自分から聞くというのはしなかった。
「……ぅ」
「あ、尚人」
彼の父親が彼が目を覚ました事に気付く。
母親と皐月はそれに反応し、立ち上がる。
皐月は安心したような表情を見せたが、両親は何故か明るい表情ではない。
「尚人!大丈夫か?身体は?」
皐月は彼の元へと駆け寄る。
それを両親は止めようとしていたが、その意味を知らない皐月は無視をして彼に近付いたのだ。
「……」
彼は身体を寝かせながら此方をジッと見つめているだけで、応答がない。
それを不思議に思った皐月が「尚人……?」と彼に触れようとする。
その時だった。
「ッ!嫌!嫌だ!やめて!!」
「ッ……!」
彼はいきなり暴れだした。
皐月は驚き、身を引く。
けれど、彼は暴れ続けている。
ずっと嫌だ、やめてくれ。触らないでと叫んでいる。
「尚人、大丈夫。皐月くんよ」
「嫌だ!!やだ、やめて……お願いだから……!」
母親が必死に宥めようとするが、彼は聞く耳を持たずに泣き叫ぶ。
何だよ、何だよ、これ。
皐月は放心状態だった。
目の前にいる彼は紛れもなく尚人なのに、別人のように見える。
宥めようとしている自分の両親でさえ、反抗的だ。
暫くすれば騒ぎを聞き付けた医師が病室に入ってくる。
看護師達が彼を落ち着かせようとするが、尚人は身体に触れられるだけで異常に反応してしまっていた。
「足抑えといて!あと腕も!」
男性医師がそう言うと、周りの看護師達は彼の抵抗に耐えながら指示に従う。
医師は抑えたのを確認すると、注射器を取り出す。
それを見た彼はまた、泣き叫ぶ。
「やだぁ!ごめんなさい、ごめんなさ、い……」
彼は涙を流しながらそう言う。
それを耳にしながらも医師は彼の腕に針を立てて、中に入っていた液体を彼の体内に注入していく。
すると、少しすれば彼は眠った。
どうやら注射器の中に入っていた薬品は即効性の睡眠薬だったらしい。