大人オリジナル小説

触れられなくなった君へ……【R18・BL】
日時: 2019/08/16 16:25
名前: 椛 ◆kGPnsPzdKU

どうも、椛(もみじ)と言います。
普段は違う名前で活動してます。(トリップ付けてるので分かると思いますが)
今回、初めて個人で小説を書きます。
至らぬ点があると思いますが、宜しくお願いします。

今回のお話は一途な男子高校性×ある事がきっかけでトラウマから人に触れられる事が無理になる恋人です。
最後まで読んで頂けたら幸いです。

※感想を貰えたら嬉しいです。感想を送る際はこのスレではなく、雑談掲示板の方でスレを立てるのでそちらにお願いします。

※更新が不定期かもしれません。すみません。

※R18です。

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Re: 触れられなくなった君へ……【R18・BL】 ( No.4 )
日時: 2019/08/16 21:51
名前: 椛 ◆kGPnsPzdKU


放課後。帰りのHRが終わると皆、それぞれ動き出す。
部活へ行く者もいれば委員会へ行く者、何処か寄り道してから帰ろうという者など色々いる。
皐月と尚人は部活には所属していないため、そのまま帰る。卓也は部活だ。

「よし、じゃあ帰るか」

「うん」

帰りの準備が整えば、教室を後にする。
下駄箱で靴を履き替えれば、彼と二人、帰路を辿る。
今日は皐月の家で勉強するという約束をしてある。まぁ、勉強するなんて彼を家へと誘うための口実でしかないのだが。
皐月の母親は夜遅くまで帰ってこない、なので好都合だ。

「皐月くんの家、久し振りだなぁ」

「そうだな……初めては、付き合って間もない時だったっけ?」

此方の問いに、尚人は頷く。
皐月自身もその日、初めて恋人を家へ招き入れたのだ。
その日も確か勉強という表上の目的を提示し、彼を誘った。
家では色々した。今でも覚えている。
そこで初めて身体を重ねたし、思い出深い。

「楽しみだなぁ」

そう呟きながら歩みを進める彼の横顔を眺めながら、皐月も家へと歩みを進めた。

* * *

「お邪魔します」

「おぉ、どーぞ」

家へ着けば尚人は挨拶を口にしながら家へ入る。
皐月は先に部屋まで行っていてという事を伝えると、リビングへと向かい冷蔵庫からお茶が入っているボトルを手にして二つの硝子のコップに注ぐ。
何かあったかなと思い、棚を漁ればお菓子が幾つか残っていた。
それと飲み物を手に持って、皐月は彼が待っているであろう自室へと向かった。
皐月が自室へと入ると彼はどことなく緊張気味で座っていた。
その姿は初めて部屋に来たときと全く一緒だったので、思わず笑みが溢れる。

「はい、お茶で良いよな」

「あ、うん。ありがとう。……じゃあ、早速始めようか」

お茶を此方が差し出すと彼はお礼を述べる。
皐月が座るのを確認すると、尚人は通学鞄から勉強道具を取り出した。
皐月も最初はちゃんとやろうと思っていたので、勉強道具を取り出す。

「えっと、何から始める?数学?英語?」

「……じゃあ、数学で」

その二択は卑怯だろうと思いながら皐月は答える。
此方の答えを聞いた彼は笑みを浮かべると、問題集を取り出した。
彼と二人で勉強する際は、最初はそれぞれ問題を解いて分からない箇所があったら教えてもらうというスタイルだ。
まぁ、教えてもらうのはほぼ皐月の方だが。
カリカリというシャーペンを走らせる音と時計が時を刻む音だけが部屋に響く。
チラッと彼の様子を見てみれば、相変わらず真面目な表情で問題と向き合っている。
その横顔を見つめながら皐月は、彼の容姿に見惚れる。
ぱっちりと開いている瞳に長い睫毛。同じ男なのに繊細な白い肌。唇も潤っていて思わず重ねたくなる。
そんな事を考えていたら、彼が此方の異変に気付いたのか視線を此方に向けた。
パチッと目線が交ざる。
尚人は皐月の手が止まっている事を確認すると、ムスッとした表情を浮かべた。

「もう、ちゃんと勉強して。どうしたの?」

「あ、いや……可愛いなぁって」

素直な気持ちを口にすると、彼の顔が赤く染まった。
その姿も愛らしくて、ずっと見ていたくなる。

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