大人オリジナル小説
- 昔書いた小説墓場〜1作品投下済み
- 日時: 2023/02/18 10:44
- 名前: htk
昔書いた小説の墓場です
まんまですね
草案に毛が生えた程度の未完作品が主な内容となっています
とある小説界の最下層には、作品になりきれなかった活字達の怨念が渦巻いているという
なので基本は投下してその後一切手を付ける事はきっとおそらく、今後何かの拍子に読み返してみて新たなインスピレーションが突然湧き出してこない限りは無いと思います
ぶっちゃけ他作品を手掛けている内に熱が失われてしまい、その後放置されていたという曰く付きの事故物件ならぬ、事故作品となっていますので扱いはくれぐれも慎重且つ丁寧に
尚、今後幾つ作品を投下するかは未定です
こうやってまた報われない作品が増えていくんですね
以下〜〜
〜〜魔女先輩は転移後即日死したおれを甦らせたい!?
(※12話投稿済み。言うまでもなく未完です)
>>1、目次
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
- Re: 昔書いた小説墓場 ( No.4 )
- 日時: 2023/02/18 11:35
- 名前: htk
プロローグ〜〜序幕、2話
ヒラト君、ひらと君、開人君ーー。
ーー頭の中が妄念で満たされた。
私が後輩君を下の名前で呼べないのは、一重に悪しき慣習のせいに違いない。
やれ先輩だ後輩だ、と横の繋がりだけで済んでいたものをわざわざ上下にまで及ぼして、まさに陰謀といっても言い過ぎでは無いだろう。
ヒラト君ーー後輩君は若干浮いた寝癖を気にしたように頭を掻いて、やはり直らない事に思い至ったらしい。
癖っ毛なのだろう。
酷い日は何となく鳥の巣を思わせる頭を諦めたのか、昨日描いた喚術陣を見渡している。
「あはは、本格的ですね、、
かなり」
「ま……まあね?
……こんなナリでも生前は終期末の魔女の名を謳われし大魔女なのだから、当然なのだわ!」
ーーそう、私はこの世界に至る以前の前世では、魔女の名を冠するに相応しい程の術法を使い熟した大魔女だった。
勿論、単なる脳内設定では無い。
本当は少し自分でも疑っていた時期があったが、この喚術陣の効力はここ数年の間にしっかりと確かめている。
つまり、生まれた時からあった不可解な記憶がある程度現実と符号するかどうかという確認でもあったのだ。
その証拠になるのが以前の実験で、それぞれ別の地点同士を繋いだ喚術陣が互いに物体を飛ばせるかどうかの試みを試してみた事があったのだがーー。
ーーそれらの実験は全て一定の成功を納めた事を少なくとも〈ワルプルギスの集い〉の面々は知っている。
だから、彼らは本日ーー私と共に異世界へ転移するのだ。
それぞれがそれぞれの理由でーー。
ーー私が思考に耽っていると、ペントハウスの方から声が聞こえてくる。
「起きて下さい
、、テツ先輩」
ーー爪先で眼帯ヤンキーを突ついているのは、沙里亜だ。
彼女は手提げから弁当箱を二つ取り出し、それが当然であるかのように置いた。
「アア、、?沙里亜か
今日は何だァ?」
「卵焼きとひじき、それから朝早く丹精込めて作った唐揚げと彩りにプチトマトです
、、感謝して食べるがいいですよ?」
「アア、済まねェな、、」
ーーそう言ったテツヲは、ガツガツと弁当に手を付けた。
朝から何も食べていないのだろう。
会話の端々から聞こえてくる彼の家庭環境は少し聞いただけでも劣悪なものだからーーそれを知るとほっこりする事この上ない情景だ。
決して、リア充爆発しろなんて思ってはいけないーー。
ーー何となくモヤモヤしてる私の肩が叩かれた。
「先輩、例のブツがここに」
「抜かりは無いわね?」
ーーそう問い掛けた私に差し出されたのは、素っ気ない購買用の袋に包まれた丸い形状の食べ物だ。
後輩君は恭しくそれを差し出し、先の問いに応える。
「勿論です!
おれ達もお昼にしましょう」
ーーナイト様を自認するだけある。
これは別にせっかくだから自分もーーというノリでこちらに付き合ってくれているだけで、まさか本気では無いのだろう。
それでも彼はそっと手を差し伸べ、恭しく頭を下げてくる。
せっかくだからと彼が購買で手に入れたメロンパンを片手に持ち、他方の手を差し出した。
なんか、後輩君が私だけを見ていてくれるみたいでドキドキしてくる。
勿論、そんな事は有り得ないと分かっていても、通算30歳超えの私をこうまで翻弄するのだからーー。
ーーはっきり言って将来が少し心配だ。
ほわほわとリードされつつ私は、気付けばひよ子の固有スペースであるシートの上に座っていた。
本人が居ないのだから、別に良いだろう。
いつも忘れかけるが、そういえばーーと小銭を出し、後輩君に手渡す。
「はい……いつも悪いわね?」
「いえいえ、ご用命とあらばいつ如何なる時にでも
先輩の頼みですからね」
ーーそうなのだ。
学校の一階は一年生ーーと何故か創業以来からの決まりがあるらしく、二年生の教室は当然のように二階だ。
つまり、二階から買いに行って屋上に行くよりも、一階から直行出来る彼に行って貰った方が早い。
ましてや競争率の高いメロンパンだ。
二階から私の足で購買へ向かっても、買えるかどうかは五分々々だろう。
私が二年生になってなかなかメロンパンを食べられなくなったとの不満を漏らしてからは、彼が買い出しに走るようになった。
一学期の頃の出来事だ。
後輩君はそつなく袋から牛乳を取り出し、こちらに差し出してくる。
「ありがとう
……褒めて仕すのだわ!」
「ははっ、有難き幸せ!」
ーーこうした言動にも反応してくれるあたり、付き合いは良いのだろう。
にこやかに笑みを交わしつつ、お昼を頂いた。
「……ヒヨコがまだ来ないけど、最後確認ね?
ここに布いた喚術陣はこれまでとは一線を画するものよ?
それでおさらいだけど……。
ちょうど満月の夜に相互転移の術式を刻んだにも関わらず、先月の実験では裏山の頂上への物体の転移は起きなかったわ……」
「っつうことはつまり、、
オレのウルトラ仮面フィギュアは異世界に行った可能性が高ェってこったな?
イイじゃねェか!」
ーー嬉しそうに言うのはテツヲだ。
彼は見掛けに寄らずというべきかーーその厨二じみた眼帯にそぐわずというべきなのかはともかく、多岐なオタク道を邁進している。
ゲームや漫画、アニメはいうに及ばず、人気ロボットのガソタンや実年齢がまだ達してない筈のRと付くジャンルのいかがわしいゲームやら、果ては戦国武将等々ーーさしもの私もレパートリーの多さには舌を捲く。
その甲斐もあってかこの街で彼はオタクの血脈を護りし眼帯との評判を轟かせ、その辺の不良との長き抗争に明け暮れたのは去年の話だ。
今では底辺の陰気なオタク達も大手を振って商店街を歩けるようになり、街の若き英雄とまで目される人物なのである。
私も何を言っているのか分からなくなりそうだが、そういう人だ。
だからこそ彼のウルトラ仮面フィギュアが先月の実験で異世界に紛失したのを気に病んでいたとも思えたが、実は違ったらしい。
「これでウルトラ仮面もいよいよ異世界進出だなァ!
、、今頃はガキ共のヒーローごっこが白熱してるに違ェねェぜ!
な!ヒラト」
「は、はい?
そうですね、テツヲさん」
ーー力関係が推し量れる遣り取りだ。
とりあえずは頷いてみせたは良いものの、ヒーローごっこが後輩君の琴線に触れなかった様子が何となく分かる。
はーー!?
ーーこれってもしかして以心伝心ーー!?
私はいつの間にか熟年夫婦でしか成せないスキルを身に付けたのかも、とも思ったがーー。
「あ、でも小さい頃は戦隊ごっことかやりましたよ?
北条戦隊八幡ジャーとか懐かしいですよね!」
「おォ!あれ見てたのか!
いやァ、舞台が戦国時代をモチーフにしてるっつうのも異色なんだよな!?
それにも増して異例なのがそれまで固定化されてた戦隊カラーを破った、、」
「そうそう、8色ですよ!8色!
関東連合に対して甲越同盟が成立した時の絶望感ときたら、、
あれでそれまでスポットが当たらなかった茶色にも活躍の場が出来ましたからね」
「おォ!?そうだったそうだった!
、、茶色が両面作戦の上杉勢をたった一人で足止めするトコとか胸熱だったよなァ」
ーー私の勘違いを他所に、何やら熱く語り合っている。
なんか、悔しいーー!?
ーーキリキリと歯軋りしそうなのを堪えた私の耳を後輩女子の言葉が打った。
「どうでも良いです
、、そんなことより先輩、早く確認を」
「え……?そ、そうね
それでなんだけど……」
ーー続けようとした私に、なんか圧がかかってくる。
正確には後ろの沙梨亜に、だ。
「アアン?サリア、てめェ、、
八幡ジャーがどうでもイイたァ、随分な了見だなァ?」
「、、っち
これだからミーハーは嫌なんですよ?」
ーー何故か、さっきまで恋人一歩手前の趣きを醸していた二人が険悪だった。
>>5、次の話
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13