大人オリジナル小説

昔書いた小説墓場〜1作品投下済み
日時: 2023/02/18 10:44
名前: htk

昔書いた小説の墓場です
まんまですね
草案に毛が生えた程度の未完作品が主な内容となっています

とある小説界の最下層には、作品になりきれなかった活字達の怨念が渦巻いているという
なので基本は投下してその後一切手を付ける事はきっとおそらく、今後何かの拍子に読み返してみて新たなインスピレーションが突然湧き出してこない限りは無いと思います
ぶっちゃけ他作品を手掛けている内に熱が失われてしまい、その後放置されていたという曰く付きの事故物件ならぬ、事故作品となっていますので扱いはくれぐれも慎重且つ丁寧に

尚、今後幾つ作品を投下するかは未定です
こうやってまた報われない作品が増えていくんですね



以下〜〜

〜〜魔女先輩は転移後即日死したおれを甦らせたい!?
(※12話投稿済み。言うまでもなく未完です)
>>1、目次

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Re: 昔書いた小説墓場 ( No.8 )
日時: 2023/02/18 22:20
名前: htk

1章〜〜第1幕、1話



 見渡す限り、森林ーー。
ーー遠く霞んだ山々が雲を纏い、私の頬へと息を吹きかけてくる。
 東西南北何処を見渡しても森、森、森ーー。
「はあ……高いわね」
「はあ、そうですね」
ーー簡易な装備を身に付けた男子は応じ、辺り一帯を見渡した。
 もう一度言うが森、森、森ーー。
ーー見渡す限りの森を眼下に、私達は途方に暮れている。
 この状況ははっきり言って、少し斜め上なのだろう。
 私達がこうして無事に五体満足で居るのを見れば、転移自体は成功したといって差し支えない。
 しかし、その転移先が例えば海中とか地中とか、それとも或いは宇宙ーーは、喚術陣に組み込んだ術式で避けたから有り得ないが、想定外の座標なり次元なりに繋がった挙げ句、無呼吸の苦しみで数分と保たずに死ぬ可能性は幾分かはあったのだ。
 それを考えるとーーひとまずは僥倖といって差し支えないのだろう。
 転移術式に組み込んだ衣装ーー武闘服の上着を肩で纏った眼帯ヤンキーが言う。
「しっかしなァ、、
、、高ェ!高過ぎじゃねェか!?」
ーー円形の足場の端でしゃがみ込んだ彼、迦具土テツヲは真下を覗き込んだ。
 眩暈がしてくるような高さーー。
ーー武闘家になり切ったスタイルのテツヲにとっては平気なのかもしれないが、此処はーー苦手でなくても足場の端に寄るのすら躊躇するような高所だ。
 思わず後退りしたのは私ーー念願の身体のラインが際立つ魔女衣装を着た私だけでは無い。
 隣で立っていた歳下の後輩君ーー下級騎士というよりも、従者然とした簡易な軽装を身に付けた天ヶ嶺開人君も恐る恐るといった様子だった。
 そして、発動を終えた喚術陣の中央からまったく身動ぎもしない女の子は項垂れている。
「、、む、無理です
わ、私、、高い所だけは駄目なんです、、」
ーーガクブルと震えているあたり、高所恐怖症なのだろう。
 その場から一歩たりとも動けなそうな彼女ーー前垣沙梨亜ちゃんは闇に溶け込みそうな生地の衣装に身を包んでいた。
 身体にフィットした薄い布地の上からフード付きの上着を羽織った、アサシンスタイルだ。
 しかし、この様子では最初のクラスの選択を誤ったと言わざるを得ないかもしれないーー。
ーー大体、高所が駄目なアサシンが果たして任務を遂行出来るのかと疑わしく思う。
 ともあれ、こうして異世界ーーなのかどうかはまだ未確認だがともかく、転移自体は成功したのだーー!
「やったわね……!
思えば、永かったのだわ……。
成長するにつれ蘇る記憶と現実との乖離……周囲の無理解と己が異物であるという根拠の無い確信に幼少の頃の私は囚われていたの……。
けれども、それももうお終いね……!」
「良かったですね!リン先輩」
ーー後輩君が祝福してくれた。
 そう、今の私は無力で愚昧なただの一般市民では無い。
 終期末を司ると謳われし大魔女の魂をその身に宿す者なのだからーー!
ーー手にした長杖を高々と掲げた私の後ろから、後輩君の拍手が鼓膜を打ってくる。
「おお!格好良いですよ!
、、ところで、此処からどうやって降りるんですか?」
ーーそう、問題はそこなのだ。



「飛び降りる、、!」
「却下よ……!
はあ……どうしてそういう発想になるのかしら?」
ーーあまりに乱暴な意見を私は一蹴した。
 発言者は脳が筋肉の鼓動だけで動いてそうな人物ーーテツヲだ。
 電気信号の司令など、彼にとっては瑣末なものに違いない。
 私は既に一蹴したつもりだったが、彼は抗弁してくる。
「でもなァ、、術式とか何とかの中に色々仕掛けたんだろうが?真島とヒョコでコマゴマと、、
そういやこの服もソレだったじゃねェかァ?」
ーーそれは、確かにそうなのだ。
 転移の際に様々な恩恵が得られるよう、私とヒョコは多様な術式の開発に取り組んだ。
 向こうの世界ーー。
ーー此処が異世界と仮定するならばだが、元居た向こうの世界では不可視の比定物質ーープラーナと確か、前世でそう呼ばれていた存在の源のようなものが薄いらしく、仮に大掛かりな術式を組んだとしても制御が難しい事が予想され、迂闊に発動しないようにしていたのだ。
 それでも細々と安全を確保しながらの実験で、高校一年生の間に様々な異世界文字を用いた術式をひよ子と共に開発したは良いがーー。
ーー実証実験は元居た世界のプラーナが薄い影響下では、ほとんど果たせなかったのである。
 だから、勿論ーー。
ーー体内に含有するプラーナとの適合の術式も喚術陣には組み込んでいたのだから、もしーー此処が異世界なら身体能力の向上などの恩恵で飛び降りても問題無いかもしれないが、これが単なる転移だったとすると危ういのである。
 私は言葉少なく、テツヲに言う。
「そうね……。
此処がもし、異世界じゃなく元居た世界ならあなた……潰れるわよ?」
「へェ、そうなのかァ?
、、なら、仕方ねェ」
ーー諦めてくれたらしい。
 彼が好き勝手に動けばその余波で私達諸共皆詰みかねないのだから、そこは自重して貰うつもりだ。
 遣り取りを聞いていた後輩君が、手を挙げる。
「はいはい!リン先生」
「質問タイムね……?後輩君」
ーー私は発言を許可した。
 彼ならば、テツヲよりも具体的で建設的な案を出してくれると期待したい。
「スキルって無いんですかね?
確か、リン先輩とヒョコ先輩でそんな話してたような、、?」
「ええ……そうだったわね
けれども、各人の適性に裏打ちされたスキルがどういった経緯、どんな形で発現するかはまったくの未知数なのよ……?
申し訳無いのだわ……」
ーーこれは正直、詰んでるかもしれない。
 此処がどれくらいの高さかは目測で測りようも無いが、遠く霞む山々とそれ程変わらなそうなのを見るとーー。
ーー少なく見積もっても千メートルはあると考えた方が無難なのだろう。
 私の謝罪を耳にした後輩君は、項垂れた。
「はは、、
、、そうですか」
ーー失望させてしまったかもしれない。
 少々の間、私達の間には沈黙が訪れた。
 気不味いーー。
ーーどうにかしなくてはと、私は手荷物の中を改める。
 術式に組み込んだ装備一式だ。
 中を漁っていると、皮袋の中から奇妙なものを見付けた。
「あら……?これは何かしら……」
ーー異世界に来たとしても早々、必要になるとは思いえないものだ。
 私が掴んだのは、一冊の本ーー。
ーーその表題には、こう書かれていた。
〈ヒョコちゃんとのラブリーアツアツ通信記〉とーー。



>>9、次の話

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