大人オリジナル小説
- 昔書いた小説墓場〜1作品投下済み
- 日時: 2023/02/18 10:44
- 名前: htk
昔書いた小説の墓場です
まんまですね
草案に毛が生えた程度の未完作品が主な内容となっています
とある小説界の最下層には、作品になりきれなかった活字達の怨念が渦巻いているという
なので基本は投下してその後一切手を付ける事はきっとおそらく、今後何かの拍子に読み返してみて新たなインスピレーションが突然湧き出してこない限りは無いと思います
ぶっちゃけ他作品を手掛けている内に熱が失われてしまい、その後放置されていたという曰く付きの事故物件ならぬ、事故作品となっていますので扱いはくれぐれも慎重且つ丁寧に
尚、今後幾つ作品を投下するかは未定です
こうやってまた報われない作品が増えていくんですね
以下〜〜
〜〜魔女先輩は転移後即日死したおれを甦らせたい!?
(※12話投稿済み。言うまでもなく未完です)
>>1、目次
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- Re: 昔書いた小説墓場 ( No.10 )
- 日時: 2023/02/18 22:30
- 名前: htk
1章〜〜第1幕、3話
「それで、どうやって使うんですか?リン先輩
魔女といえば箒なのは分かりますけど」
ーー後輩君が訊ねてくる。
たぶん術式を施した特別な箒なのは間違いないが、問題は使い方だ。
「待ってて……なんかこう?
今少し思い出せそうだから……」
ーー私には、前世由来の知識がある。
それは今世の記憶ーー例えば、昨日食べたご飯みたいにいつでも思い出せるようなものでは無く、ちょうど数ある記憶の糸を手繰り寄せるようなものだ。
目を閉じた私は意識を沈め、静かな時間が訪れたかに思えた。
が、喧しい奴が何か言う。
「おォ、またいつものヤツかァ、、
、、今度は何日かかんだろうなァ」
「、、しっ
黙りやがれですよ!テツ先輩」
ーー沙梨亜ちゃんに諌められ、余計な茶々入れは制された。
じっくりと集中する必要があるだろう。
私は意識を閉ざし、辺りは沈黙した。
「これは……プラーナに働きかける事で効能を発揮する導器具の一種ね
その証拠にほら……?
……ここに紅い金属が埋め込まれてるのが見えるのだわ?」
「、、紅い金属、ですか?」
ーー箒のボサボサ部分を掻き分け、その奥に見えた紅い金属を指し示した。
沙梨亜ちゃんの質問に、私は答える。
「ええ、これはフィフィーロカネン……。
プラーナに干渉する際に必要とされる力……さっき次いでに思い出したのだけれど、通力と呼ばれる力の干渉により感応する貴金属よ」
「、、なるほど、フィフィーロカネン
聞き覚えはありますが、、」
ーー沙梨亜ちゃんが言った。
それに頷いたのはテツヲだ。
「ヒヒイロカネ、だなァ?確か
訳すなら、紅銅、、とかかァ?」
「そうね……そんなに流通するようなものでは無さそうなのだけれども……。
ま……いいわ!
早速使ってみましょう!」
ーーそう言って私は、ベンチにでも腰掛けるように箒の柄に座る。
ふわりと浮きかけたーーが、そこは習熟が必要なのだろう。
ぽすんと下に落ちた私はぼそりと呟く。
「……練習が必要みたいね」
「ですね、リン先輩
おれは応援してます!」
ーー後輩君に頷き、私はもう一度箒の柄に座った。
木というのはそもそも、通力を通しやすい。
だから魔女が乗る箒や振るう杖は押し並べて木を素材に作られているのだが、この箒も例に漏れずーー木で出来ている事が功を奏したと言えた。
今ーー私達は空中に居る。
箒の柄に腰掛けた私は勿論だがーー。
「おいッ!?サリアァ、、
、、テメェガタガタ震えんじゃねェ!?」
「、、ご、ごめんなさい!?先輩
、、で、でも怖いんです、、」
ーー小脇に抱えられた彼女はもう、箒の柄にまで振動が伝わるぐらいに震えていた。
他方の手で箒のボサボサの根元を掴むテツヲは、その両手が塞がっているにも関わらずーー更には口で荷物を咥えているのだから、まさに筋肉お化けだ。
そもそも口が塞がったままどうやって怒鳴っているのか、さしもの私でも見当が付かない。
そして、もう一方の箒の先端を掴むのはーー必死に脂汗を浮かべる後輩君だ。
彼も残りの手荷物を他方の手にぶら下げてから、既に体感で数十分あまりが過ぎている。
「もう駄目です、リン先輩
おれ、、
、、落ちます」
「後輩君……!?
待って早まらないで……!?
もう少し、もう少しだから……!」
ーー何とかしなければならない。
たとえ座り続けたせいでお尻が痛くても、前世を跨いで十数年ぶりの通力のコントロールが色々覚束なくても、彼に死なれてはその後の異世界ライフがーーきっと私の人生にも関わってくるのだ。
「そ……そうなのだわ!?
つ、通力よ……!通力循環!
体内のプラーナを意識しなさい……!?今すぐ!」
「む、無理ですって!先輩
通力とか何の事かさっぱり、、」
ーー無茶振りが過ぎるのは分かっている。
それでも今ここを乗り切らなければ、私は後悔してもしきれないだろう。
荒療治だが、それに今後色々と差し障るかもしれないが、この際だから止むを得ない。
柄の先端を掴む後輩君の手に、私は手を伸ばした。
「せ、先輩!?」
「……良いからそのまま握ってなさい!?
今から私の通力解放による外気への干渉で、直接後輩君の内気……プラーナへと働きかけるのだわ!」
ーーもうヤケクソだ。
私は触れ合った手と手で別の妄念が浮かんできそうになるが、そうした想いを排してーー自身の指先へと意識を向ける。
後輩君の手ーー。
ーーそこに被せた自身の掌から後輩君の体内へと外気を流し、それによって押し出された彼の内気はーー今度は逆に私の中へと流れ込んでくる。
「お!?おお、、!?
な、なんかこれ、、す、凄く熱いです!
凄く熱くてなんだか、、い、色々とヤバイです
それにこれ、ちょっとなんか、、気持ち良く、、?」
「……い、言わなくていいから!?
そ、それ以上言ったら、わ……分かってるわよね!?後輩君……!」
ーー言論の封殺は本来的な私の信条とは異なっていても、こればかりは言わせてはならない。
禁則事項だ。
後輩君の内気ーープラーナが今度はこちらへ逆流してくるが、他者の身体を媒体とした通力循環は幸いにも上手くいっている。
「はぁハァ……私も何だか……。
身体が熱くなってきたのだわ……?」
「せ、先輩!?
、、それ以上は駄目です!?
おれ、、おれも何だか色々と力が溢れて
とにかくヤバイです、、!?」
「……わ、分かってるから落ち着いて!?
へ……平静を保つのよ?そう……。
……ゆっくり、ゆっくりでいいから……」
「は、はい
こ、、こうですね?」
「そ……そうよ?
上手に出来てるわね……?
何だか凄く……良い、イイのだわ……?」
「せ、先輩ぃ!?
も、戻ってきて下さい、、!?先輩、リン先輩ぃ!?」
ーー周りも頭に入らず、後輩君ーーヒラト君に呼ばれる度にズキュンとしてきた。
その際、腰掛ける箒の他方からボソッと聞こえてきた声を気にする余裕も無い。
「イチャついてやがんなァ、、」
「、、うぅ
、、怖いです、ぐスン、、」
ーー最早、誰の目を憚ろうともこの時の私は気にならなかった。
>>11、次の話
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