大人オリジナル小説
- 昔書いた小説墓場〜1作品投下済み
- 日時: 2023/02/18 10:44
- 名前: htk
昔書いた小説の墓場です
まんまですね
草案に毛が生えた程度の未完作品が主な内容となっています
とある小説界の最下層には、作品になりきれなかった活字達の怨念が渦巻いているという
なので基本は投下してその後一切手を付ける事はきっとおそらく、今後何かの拍子に読み返してみて新たなインスピレーションが突然湧き出してこない限りは無いと思います
ぶっちゃけ他作品を手掛けている内に熱が失われてしまい、その後放置されていたという曰く付きの事故物件ならぬ、事故作品となっていますので扱いはくれぐれも慎重且つ丁寧に
尚、今後幾つ作品を投下するかは未定です
こうやってまた報われない作品が増えていくんですね
以下〜〜
〜〜魔女先輩は転移後即日死したおれを甦らせたい!?
(※12話投稿済み。言うまでもなく未完です)
>>1、目次
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- Re: 昔書いた小説墓場 ( No.6 )
- 日時: 2023/02/18 18:59
- 名前: htk
プロローグ〜〜序幕、終話
電灯の光を頼りに、私は最終確認を行う。
それぞれの円陣の上に描かれた文字列は、起動の時を待ち侘びたように塗料を照り返していた。
今夜、もうすぐだ。
今この時、この一瞬々々が最後になる。
だから最終確認を入念に行うべく、私は早目に家を出て今現在に至る。
内側の円から外側の円へーー。
ーー丸く連なった幾つもの円陣はそれぞれが一つの術式だ。
起動すると内側から外側の円へ順に発動し、最終的に異世界へと転移する。
それぞれの文字はそれぞれの円陣の上に刻まれていて、この異世界文字が意味する事柄は様々だ。
それを一つ一つ、入念に確認していく。
「……転移先も転移先での活動に纏わる術式も問題無さそうね
……抜かりは無い筈よ!たぶん……いいえ、絶対……!」
ーーでなければ困る。
私が例えば予期せぬ事象に巻き込まれて死んだとしてもそれは私個人の末路だが、後輩君達はそうではないーー。
ーーそもそも彼らを唆したのは私だし、彼らの安全をある程度保証する責務があるのだ。
転移した瞬間にいきなり死なせてしまっては、始末が悪過ぎる。
気負い過ぎだろうかーー?
ーー私が頭を悩ませながら確認作業を続けていると、向こうから足音が聞こえてきた。
「リン先輩、早いですね
、、また最終確認ですか?」
ーー後輩君だ。
私は振り返らずに頷く。
「ええ……念には念を入れてね?
文字列の順序も問題無いし、発動する式の連結も間違い無く正確よ!
……あとは、そうね
こちらの想定外の事象が起きない事を、祈るだけね……」
「はは、そうですね
おれにはまったく分からない分野なんで口の挟みようも無いんですけど、だから、、
、、あとは楽にしてて下さい!
何かあったら自分が手足になりますんで!」
「ええ……その時は任せるのだわ!
頼りにしてるわよ、後輩君!」
ーーそう言って、軽く彼の背中を叩いた。
間も無く、ここに〈ワルプルギスの集い〉の面々が集まった。
5人だ。
創業のメンバーは私を含め、テツヲとひよ子の3人ーー。
ーーそれから一学期に新しく入ったのは後輩君こと、ヒラト君と沙梨亜だった。
この集まりの最後を見送りに来たひよ子は、然程深刻そうな顔では無い。
「私、決めたんだ
研究者になって、いつかみんなに会いに行くよ!
何年経ってもね?」
「アア、大きく出やがったな!?
、、が、悪かねェ!」
ーーこの二人は私達の中で最も付き合いが古い同士らしく、幼馴染みらしい。
普段はテツヲにべったりの沙梨亜も、今は邪魔する気は無さそうだった。
だが、ここにきてひよ子が試すように言う。
「こんな奴だけどね〜?
君にはちょっと荷が重いかもね〜?うへへ」
「何の話です?
、、黙りやがらないと異世界に行く前にオトシマエ付けさせますよ!?」
「ま〜、その内分かるかな〜?」
ーー何やら含ませつつ、彼女は余裕綽々だ。
ひよ子と後輩女子ちゃんは、相変わらず仲が悪い。
これは彼女達の中心にテツヲという軸が居る事で成り立つ関係だからであり、そんな彼を抜きにすれば対立しか生まれないのだろう。
沙梨亜は嫌そうな顔をしながらも反論はせず、ぷいと顔を背けた。
揶揄い甲斐の無さに若干顔を顰めたひよ子は、今度はこちらに素早く詰め寄る。
「うへへ〜、揉み納めだね〜?」
「はあ……あなたねぇ?」
ーーこんな時までオヤジっぷりを止めない女子は、私の胸部の感触をしっかりと掌に焼き付けているらしかった。
そして、その視線はそんな私の隣へと向けられる。
「後輩君ね〜?
実は私ってば意外と気が効くのを自認してて、リンのおっぱいはこれまで右側しか揉んでこなかったんだよね〜?うへへ〜」
ーー何を言ってるのだろうかーー?
そういえばと思い当たりはしたが、それと今の状況が結び付かないーー。
ーーひよ子は困惑する私に構わず、後輩君に告げる。
「つまり、リンの左のおっぱいはまだ初めてというわけなのだよン?
分かったかね〜?後輩君!」
「んなっ!?」
ーーそれまで視線を逸らしていた後輩君は、思わず顔を向けてきた。
そこにすかさず、ひよ子の他方の指先が直行する。
「ヒョコちゃんの超絶秘技、フィンガー目潰し〜!」
「ア痛っ!?」
ーー後輩君の目に、ピースの先端がぶち当たった。
直前で目を閉じたと思うが、彼はその場で呻いているーー。
ーー人をネタにいたいけな後輩君を弄ぶとは、やっぱりどこまでいってもオヤジ女子だ。
私は呆れつつ、はっきりと言う。
「……もういい加減にしなさいよ!
まったく……」
ーーいつまでも弄ってきそうな魔の手を退けて、夜空を見上げた。
今がちょうど、満月の頃合いだろう。
「さて、と……。
それじゃ、喚術陣を起動するから血液を採取して……」
「あ、その必要は無いね〜?
もうやっちゃった!」
ーー見ればポタポタと赤い雫を指先から垂らすひよ子の他方の手には、カッターが握られている。
唐突過ぎて、変な声を上げたのは私だけでは無い。
「うへ……?」
「アアン、、?」
「え!?いきなりやりやがったんです!?」
異世界直行組はみんな一番内側の円陣にそれぞれ入っているから問題無いがーー。
ーー私達の間の抜けた声に対し、彼女は喚術陣の外側へと退がった。
「いきなり傷口から未知の感染症とか発症したら危ないからね〜?
リスクは可能な限り少なくしとくものだよ?諸君!」
ーー確かにそうだが、まだ別れの挨拶も済んでいない。
先程の目潰しから復帰した後輩君が、辛うじて言う。
「あ、ヒョコ先輩!
何から何までお世話に、、」
ーーそう言った彼及び、私達の足元の円陣は強く発光した。
内側から外側の円陣へーー。
ーー次々と点滅を大きくしていく喚術陣に刻まれた術式は、その文字列をゆっくりと周回させ始める。
向こうで軽く手を振るひよ子の顔は、目一杯明るそうに微笑みながらもーー目は潤んでいるように見えた。
その表情を遮断するように円陣の一つ一つは帯へと変わり、周囲の四方八方を取り巻いていく。
最後に聞こえてきたのは、ひよ子の別れを告げる声だ。
「みんな、行っといで!
身体には気を付けるんだよ!?」
ーーそれを聞いた私は皆同様、彼女が最後に見せた表情と同じ顔をしていたに違いない。
取り巻く円陣の帯の向こう側に仲間を一人残してーー。
ーー私達は今日この日、異世界へと旅立った。
>>7、次の話
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