大人オリジナル小説
- その人の花は枯れていく。
- 日時: 2013/05/06 18:38
- 名前: 来夏
その人の花は、枯れていく。
傷によって、その人の花は枯れていった。
完全に枯れたら−−その人は死んだ者だと思う。
花はその人の人生なのだ。
◆詳細
この小説は、“虐め”ものです。
フィクションとノンフィクションが入っています。
過度な暴力表現などが苦手な方は、ご覧にならない方がいいと思います。
この作品は
“暗闇の世界で、翼は溶けていった”と同じ舞台です。
ですので、その作品に出ている人物も登場します。
■目次
学校説明→>>1
登場人物→>>2
登場人物U→>>15
■話のまとめ
第1章『A組の生徒』 >>10
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- Re: その人の花は枯れていく。 ( No.9 )
- 日時: 2013/02/16 12:08
- 名前: 名無し
episode 外田希
授業中にあいつ等は、何かゴミを投げる事がある。
今日のターゲットに対して投げて、命中したら笑ってる。
今はやっていないけど、ガキっぽい。
ただのバカだと思った。
それを見るあたしは、オレンジ色のシャーペンを回しながら先生の話を聞く。
隣の四橋は、まじめにノートを取っている。
先生は、あいつ等がしてる事に気づいてない。
てか大体の先生は、この学校で起きてるいじめには気づいてない。
隣のクラスもそうだったし、無理もないか。
D組の四之宮紘歌。頭が良くて、美人な感じ。でも、いじめっ子だった。それも、結構な−−
頭が良いせいで、先生達にも信頼があるから、それはバレなかった。一人を不登校に追い込んだ、っていうウワサがあった気がする。
でもそんな四之宮も、停学。
理由は、雛が殴ったから。雛が殴る原因となったから。
先生たちはそれでも、四之宮を信じていたらしい。
「……」
雛とクラスが離れてから、まったく話してない。
雛は、何で殴ったんだろ。
そんな事を思ってた時だった。
「外田さん、当てられてるよ」
「へ?」
四橋にそう言われる。見ると先生が、こちらを見て不思議そうにしている。少しはげかかっている頭が、少しだけ光った気がした。
それに笑いそうになったが、今は笑ってる場合じゃないよね。
しかも今は苦手な数学。勉強する気にもなれない。そして全く聞いてないからヤバい。
ダラダラと冷や汗をかきはじめたあたしに、四橋はぽつりと呟いてくれた。
聞かれた問題の答えを。
「答え、X=4だよ」
「外田さん、ここの答えは?」
追い打ちをかける先生。
そんな先生に聞かれ、あたしは答える。
「ああ、えっとー。X=4です」
「はい、正解」
こんな事で平和だなーって感じるあたしは、能天気なんだろうか。
そして四橋、凄いな。
「四橋、ありがと」
「いいよ。自分も、聞いてない時あるし」
そう言って、ニコッと笑った。悪い気持ちもない、そんな笑顔。
「……まじめにノート取ってるじゃん、いっつもさ」
「テスト勉強に困らない様に、っていう事だけだよ」
そういう四橋の指は、少し荒れている。指先に小さな傷があったりする。
四橋は、お母さんしかいないらしくて、お母さんのかわりに料理をしているらしい。
そのせいか、家庭科に関してはトップを取った。
それで、あいつ等にターゲットにされた事があるけども。
――四橋は、どう思ってんだろ。あいつ等を。
あたしはそう思いながら、ニコニコしている四橋を眺めていた。
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