大人オリジナル小説
- その人の花は枯れていく。
- 日時: 2013/05/06 18:38
- 名前: 来夏
その人の花は、枯れていく。
傷によって、その人の花は枯れていった。
完全に枯れたら−−その人は死んだ者だと思う。
花はその人の人生なのだ。
◆詳細
この小説は、“虐め”ものです。
フィクションとノンフィクションが入っています。
過度な暴力表現などが苦手な方は、ご覧にならない方がいいと思います。
この作品は
“暗闇の世界で、翼は溶けていった”と同じ舞台です。
ですので、その作品に出ている人物も登場します。
■目次
学校説明→>>1
登場人物→>>2
登場人物U→>>15
■話のまとめ
第1章『A組の生徒』 >>10
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- Re: その人の花は枯れていく。 ( No.18 )
- 日時: 2013/07/06 21:43
- 名前: 来夏 ◆2ZBHn0dH/Y
episode 和川麗
「お帰り、麗ねーちゃん! あ、健斗兄ちゃんと明良兄ちゃんこんにちは!」
出迎えたのは、あたしの弟で小学六年生の“海(かい)”だった。六年生にしては背が高い、百六十センチ。伸びない、と言われているけど父親が百九十センチなので、まだまだ伸びると思う。
「おー、久しぶりじゃねぇか!」
「だな。久しぶり」
二人がそう挨拶しているとき、あたしは既に履いていたローファーを脱ぎ捨てる。
あたしは玄関に入ってすぐ見える階段を登って行く。あたしの家は、外装は和風だけど、中は一部が洋風という、不思議な所だ。
***
「明良、寝てんな」
「……」
いつの間にかあたしのベッドの近くで、床に座ったまま寝ている明良。風邪をひかない様に、薄い毛布をかけておく。
この二人、どっちかは必ず寝ているのだ。どんだけ落ち着くのか、全く分からないけど。
「エルナに相変わらず、懐かれてんなー」
「そう?」
身体に灰色の模様がある、白い猫のエルナはメス。まだ若い歳で、あたしに良く懐いている。そんなエルナはあたしの膝の上だ。
「つか麗、お前やっぱ学力ついていけてねーの?」
「ついていけてるわよ。大和が杏子を連れてきてくれて、教えてくれたのよ」
「椎名が?」
いつの間にか隣に居た健斗は、驚いていた。驚く必要があるのか、分かんないけど。
「杏子、不登校の間ずっと勉強してたから。それで、あたしに教えてくれた」
あれは先生になるべき、だと思った。良く独学であそこまで……っても思ってしまった。
「何でそこまで……」
「学校に行きたかったから。でも、四之宮がいたせいで、通えないのもあった」
「……ひでーいじめだっては聞いたけどなぁ」
そう言いながら、近寄ってきたエルナの頭を撫でている。エルナは幸せそうに健斗にすり寄っている。
「大和達に対しても、すげーしな……。明日って聞いたけどさ」
「そうだね。でも、何かしら起きると思う」
いじめグループで、四之宮と仲が良かった千原の顔色が悪かった。
何かしら起きるはずだ。
―――何も起きませんように。
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