大人オリジナル小説
- シニタイ【打ち切り】
- 日時: 2013/08/23 19:55
- 名前: ミム
プロローグ
「シニタイ(死にたい)」
それは私にとって口癖だった。
近くにあって遠くにあるもの。
目の前に広がる私の世界はその言葉で(シニタイ)で曇っていた。
目次
登場人物>>1
一話>>2
二話>>3
三話>>4
四話>>7
五話>>8
六話>>9
七話>>10
八話>>11
九話>>12
一〇話>>13
一一話>>14
一二話>>15
一三話>>16
一四話>>17
お客様
アリア様
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- Re: シニタイ ( No.10 )
- 日時: 2013/08/31 08:37
- 名前: ミム
七話
たすけて助けてタスケテ―――
お願いです、神様…
「―――田さん!羽田さん!」
誰?
「羽田さん!やっと目を覚ましたのね。よかったわ。」
あのときの…
「ハッ…!」
「大丈夫?」
「う、うん…」
あの時トイレで私を庇ってくれた子の声に似ている。
しかも私と同じくらいの年の子だ。
「あなたは誰…」
「あぁあなたは私を知らないのよね。私は大野岬。
ところで本当に大丈夫なの?」
「大丈夫…だと、思う。」
「その様子じゃ大丈夫じゃなさそうね。来て!」
「えっ…!?」
私は大野さんに手をひかれると公園に連れて行かれた。
「ここに座って。」
私は指示通り木でできたベンチに座った。
そして大野さんも私の隣に座る。
沈黙の中私達は真っ赤な夕日をただ眺めては俯いた。
でもそれは気まずいとかじゃなくて心地よかった。
大野さんは私に何も聞かないんだね。
「何も聞かないの?」
「何を?」
「ううん、何でもない。」
「そう。」
こんな日常の会話は久しぶりだ。
少しだけにじむ涙を私は必死に隠した。
「ただ私はあなたを知っている。それだけよ。」
その言葉に意味があるのかは分からない。
だけど私はこの時まだ気付かなかった。
あの人だと…
七話 完
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