大人オリジナル小説

ショコラにはコーヒーを添えて完結(BLR18)
日時: 2022/11/17 20:22
名前: 白楼雪

ショコラにはコーヒーを添えては、BLR18短編です。
ただただ、作者が好きに書くものなので、その辺ご了承下さい。

とある大型犬系ショコラティエとドライ系サラリーマンの恋愛です。


2021/10/3 閲覧数500突破 いつも読んでくださりありがとうございます。
              今年の9/7から少し多忙な日々を過ごしておりまして、なかなか更新出来ずに申し訳ありません。
               あともう少ししましたら落ち着く予定ですので、それまでお待ち戴ければ幸いです。

2022/2/10         ショコラにはコーヒーを添えて。完結いたしました。
              甘甘なラストとなりましたが、まあまあ王道かなと。
              今後は官能小説の方で主従NLR18を書いていく予定です。
              過去作今作共々新しい作品もぜひよろしくお願いします。

2022/11/17 閲覧数1000突破 何時も皆様読んで下さり、ありがとうございます。
               最近は私自身筆のペースも落ちてしまい、現在更新中の
               官能小説やBL小説の進みが遅くなり申し訳ない限りです。
               ですが、今も誰かが読んでくれている事を幸せな宝物として、
            これからも頑張ろうと思います。

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Re: ショコラにはコーヒーを添えて(BLR18) ( No.9 )
日時: 2021/05/06 04:41
名前: 白楼雪

やはり、疲れた心と身体には甘味が良い。
心の奥底で頷き、吐息を吐いた。
その時、再びあの店員の声が背後から聞こえた。
「失礼します。こちら、今試作しているオレンジ系の生ショコラなのですが、よろしければご試食お願い出来ますか?」
振り向き、宮谷が声の聞こえた方へと視線を向けると、微笑む男性の持つトレーには小さな硝子の小皿と、そこに収まる生ショコラが二つ。ココアパウダーとオレンジの香りが、ふわりと宮谷の鼻腔を擽る。
店員の表情は微笑みとほんの僅かな申し訳なさを滲ませており、その情けなくも愛嬌を思わせる店員の表情と彼の持つトレーを見て、宮谷は頷き受け取った。
男性店員の手で置かれた硝子の小皿には、濃色のブラックパウダーに包まれた生ショコラ。
それを一つ、フォークで刺し口に入れる。
一瞬苦味を感じさせるココアパウダーは、口腔内の温度で蕩けるショコラによりその苦味と交ざりあい、オレンジリキュールの香りと共に喉奥へと流れていく。
苦くて甘くて、爽やかさとアルコールの熱を微かに感じさせ過ぎ去る。そんな複雑な味わいを感じさせる。
「苦味や甘味、オレンジのリキュール?が複雑に絡みあっていて、でもそれらが良く合ってますね」
宮谷の口から出た感想は、どこか説明的で面白みのないものだったが、店員は彼の言葉に微笑みを濃くさせた。
愛嬌のある、大型犬のような店員。きっと俺は、こんな風にはなれない。
こんな優しそうな男性とならば、元彼女も幸せにしてやれたのではないだろうか。
「俺には、無理だな…」
苦笑を浮かべつい言葉が溢れる。
そんな宮谷に店員はきょとんとしたが、すぐに小さく首を横に振った。
「確かに、このショコラのようにたくさんの味を複雑に組み合わせ、一つの物を生み出すのは難しいと思うのは当然だと思います」
店員は隣の席に腰を下ろし、残された一つの生ショコラへと視線を向ける。
「ですが、このショコラだって数十回の試作を重ねた結果、この形となったんです。だから、複雑に見えるものでもたくさん試して、たくさん失敗を重ねて…。そうして、それらは出来上がっていくじゃないかと俺は思ってます」
口元に苦笑を滲ませ、それでも愛しい気持ちを生ショコラに向ける男性店員に、宮谷は心を奪われるような感覚を覚えた。
この目の前の男性と、もっと親しくなりたい。もっとこの男性の事を知りたい。
元彼女にはこれ程の感情を懐かなかったというのに、不思議なものだ。

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