大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- オリジナルBLちょっとH?な続編です2(完)
- 日時: 2015/12/30 00:23
- 名前: ハル
ハルです。
BLGL……から移転しました。
なので、続きになってしまいます……申し訳ありません(>_<)
「オリジナルBLちょっとH?な続編です」と、書き方の違う最初の作品「サクラサク」の続きになりますので、初めての方には、読みづらいかと思います。
本当に、申し訳ありません(;>_<;)
ただ、作品への愛情だけで書いてます(汗)
読んで下さったら、光栄です。
よろしくお願い致します(T^T)
現在までの登場人物
*颯(そう)……皆から愛されている、超美形の高校生。世界的に有名な神崎グループの御曹司の一人。頭も良く、仲間への想いは人一倍強い。
*海(かい)……颯のいとこ。颯を溺愛する、IQ180の天才。颯に似てかなりの美形だが、性格は颯以外には冷徹。同じ歳だが、既にグループの事業に関わり、大きな存在感を出している。飛び級で、今は大学院生。
*大和(やまと)……関西を拠点とする、全国でも随一の組織、竜童会組長を父親に持ち、自分も若頭を名乗る極道者。組長の指示で関東へ乗り込み、親父としての指示で高校だけは卒業する為に、颯のいる高校へ転入。颯に一目惚れする。いつも真っ直ぐな大和に颯は翻弄される。
*淳(じゅん)……颯とは古い付き合い。ずっと、密かに颯を想っていた。大和が現れて、少しずつ変化していく。生徒会をしたり、サッカー部でもエースで、優しく人望も厚い。
*翔太(しょうた)……中学からの同級生達に、ずっと弄ばれていた。颯が、そんな翔太を助ける。翔太も、颯には頭が上がらないが、心の底では淳が好き……?
*田城一真(たしろかずま)……淳と同じ生徒会、サッカー部。淳が好きで気持ちは伝えている。颯の事が好きでも、支えてやりたいと思っている。
*早川拓実(はやかわたくみ)……神崎グループに次ぐ巨大財閥早川グループ御曹司。颯達の先輩。一見人当たりは良いが、内面はプライドが高く、負けず嫌い。自分より優秀な海に敵対心?がある。
「…………はぁ……」
西校舎の屋上、お気に入りの場所に颯はいた。
給水塔のコンクリートの土台に座り、一人、深い溜め息をつき、空を見上げる。
「駄目だな………最近、溜め息ばかりだ……」
そう呟き、遠くを見つめる姿もまた、艶やかで美しかった。颯自身、気付いてはいないが、海達のような周囲から羨望の眼差しを受ける男達に愛され、求められている事が、颯をますます綺麗で色香漂う人間へと成長させていた。
「ホンマやで。ここんとこ、俺が見つけた時は、溜め息しか出てへんやん」
「大和………っ」
いつからいたのか、給水塔の鉄柱に寄りかかり、笑顔を見せる大和が立っていた。
「……………久し振りやな、この場所。初めて……ここでお前を見た時は、向こうの山に桜が咲いとって、お前の姿と桜の色がホンマようマッチして綺麗やったっけ………。思わず、見とれたの今でも覚えとるわ」
大和は懐かしそうに、向かいの山に目を向け颯に語りかけた。
制服をいい感じに着崩し、シルバーのリングやブレスをオシャレに付けた大和は、一見すると背中に彫り物をした極道者だとは思えない、格好いい男子校生にしか見えなかった。
「ま…今の颯は、桜なんかのうても、十分過ぎる程綺麗やけど」
「な……なに言ってんだよっ。ホントにお前は、そう言う事を平気で言う………っ」
満面の笑みを向ける大和に、颯は顔を赤くして目を反らした。
「だって、綺麗なもんは綺麗なんやから仕方がないやん。美人は3日で飽きる言うけど、アレ嘘やで。1分、1秒でも会う度に惚れていくねんから」
「ば…………」
馬鹿か!?……と、叫びそうになったのを、颯は飲み込んだ。大和のこんな所に、いつも調子を狂わされる。
颯は、立ち上がりながら、再び小さな溜め息をついた。
その溜め息が終わらないうちに、大和は颯の腕を引っ張り、抱き寄せた。
「やま………と!?…」
一瞬の事に、颯は身動きが取れなかった。
自分より、少し背の高い大和の胸の中に、吸い込まれるように入ってしまった。
「……………その、溜め息の原因の一つは、俺か?………溜め息ばかりついとったら、俺が食べてまうで」
「………大和…………」
さっきまでの大和とは、明らかに声のトーンが変わっていた。
颯の身体に、緊張が走る。
「………前にも言うたやろ。誰も、お前を責める気なんかないて。俺達が、勝手にお前に惚れとんねん。お前が苦しむ必要ないんや」
大和の、静かに話す言葉が、颯の中に染み込んでいくようだった。
「……んな………そんな訳にはいかないよ。淳も……お前も、皆………凄くモテて、人としても素敵なのに、俺一人がハッキリしないせいで、皆を留めてしまってる……。皆の……これからを台無しにしている気がするんだ。………欲張りで、卑劣で、絶対に許されない……………」
大和の胸の中で、颯は顔を埋め、苦しそうに心の内にあるものを吐き出した。
「アホ………。お前より、ええ女がおらんのやからしゃーないやん。俺らは、お前やないとあかんねん。お前やないと、何も楽しゅうない。焦って結論出さんでええから、頼むから………自分を責めんでくれや」
「大和………」
いつからだろうか……気付いたら、苦しい時にはいつも大和が現れていた。大和流な優しさが、何度自分を暖めてくれただろうか………颯は、海の前でしか泣いた事がなかった目が、潤んでいる事にハッとした。
「…………ご……めん………」
絞り出す颯の声に、大和は胸が熱くなった。
「しつこいで。お前は、悪くない。…………悪いんは、お前に惚れてもうた……俺らや。いや、ベタ惚れした俺か?」
冗談っぽく、大和が颯に笑いかける。そんないつもの大和の冗談が、颯に笑みを呼ぶ。
「…………ばか………」
照れくさそうに言う颯を、大和は愛しい目で見つめる。
「………馬鹿や……お前に、全部持ってかれてしもうた、大馬鹿野郎や………。…………かんにんな………お前に惚れてもうて」
大和の手が、颯の手を優しく握りしめた。
「大和……………。………海と………海と、同じような事言うんだな…………」
颯の中で、海から言われた愛の言葉が、今の大和の言葉と重なっているように思えた。
「………え………」
颯の話に、大和の表情が一変した。
「海に…………海に、惚れてるって言われたんか……?」
心臓が、嫌な高鳴りを呼び起こすのがわかった。
颯を握る手に、自然と力が入っていた。
「……あ……………いや……」
大和の様子に、颯も不安を募らせる。
言ってはいけない事を、言ったのかもしれない…………。
「正直に言えや。海が、お前に惚れてるって言うたんやな!?」
「大和………痛い…………」
今まで、自分の感情を隠していた海が、颯に気持ちを伝えた?………一番警戒して、一番ライバルにしたくなかった奴が、ついに動き始めた………!?
大和の奥深くで、今まで以上に強い感情が沸き上がろうとしていた。
続く………
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- Re: オリジナルBLちょっとH?な続編です2(R-注) ( No.48 )
- 日時: 2015/08/14 22:38
- 名前: ハル
『愛しさの狭間で』
ミーンミーン………
「あぢぃ〜。くそー……ヤクザに制服は酷やで………」
校舎の屋上にある給水塔の陰で、中庭から聞こえる蝉の声を耳にしながら、転々と置かれたベンチに座った大和が、汗を垂らして嘆いていた。
シャツの下には黒のTシャツを覗かせ、長袖を捲り上げて筋肉質な腕を出し、片手にうちわ、もう片手にはコンビニで買って来たガ○ガ○君を握り、なんとか暑さをしのごうと努力する。
「汗流してても、イイ男ってのは不滅だな」
「あ………?何や、男前に言われたかないわ。嫌みにしか聞こえへんで、淳」
ガ○ガ○君を頬張り、うちわを扇ぐ大和が声の方へ顔を向けると、爽やかな笑顔の淳が姿を見せていた。
「嫌みだなんて………本当に、イイ男だと思うから言ってるんだけど………。知らない?今や、大和は男女共に人気急上昇なんだよ?」
「知るか…………ンなもん、興味ないわ。大体、男女共ってなんやねん。男いらんやろっ………気色悪い」
大和を見下ろし、苦笑いする淳に、大和は鬱陶しそうな顔で返す。
「大和のそんな所が、皆の羨望の眼差しを集めるの」
「はあ?意味わからん」
「………ここの生徒は、一種の金持ちが多いからね。良かれ悪かれ、色んなしがらみがあるんだよ。そう言う連中にとって、大和みたいに背が高くて格好良くて………自分に正直に生きてる一匹狼は、とても魅力的に映るんだよ。………まあ、大和はここじゃなくても、モテるだろうけどさ」
暑さとダルさで面倒くさそうな大和とは裏腹に、淳はいつもの誠実で優しい雰囲気を漂わせる。
「……………淳、お前………そんな話しに来たんちゃうやろ?今、颯が側におらへんの見計らって来たんちゃうんか。お前言うとったやろ………退院したら、話があるって」
珍しく二人きりでいる事に、大和は片腕をベンチの背もたれに掛けながら、目の前に立つ穏やかな優等生を見上げた。
「…………さすが、大和。鋭いね」
大和の真意を突く言葉に、淳は満面の笑みを浮かべ大和を見つめる。
二人にとって、決して譲れない話………その為に覚悟を決めた二人が会うのは、初めての事だった。
「………お前、最近香水変えたな。前は、颯がたまに付けるんと似た香りやった。……………ワザとやろ?自分が颯に触れた後、俺が颯に会ったら気付かせるように………ワザと香水変えて、颯に自分の匂い付けとんな。やること、えげつないで」
「ああ………気付いてくれたんだ?知って欲しかったからね…………颯が受け入れるのは、大和だけじゃないって………。颯は…………俺の事も、拒めないから」
ガッッ………
「お前なぁ……っ!」
大和が淳の香水を指摘してきた話を、逆手にとるような淳の言い方に、思わず大和は手にしていたアイスを落とし、その胸ぐらを掴んだ。
「颯が、死ぬほど仲間を大事にしとんのを利用すんのか!あいつの弱味につけ込むなやっ………あいつが惚れとんのは、俺やねん!!俺を恋人に選んどんの忘れんなっ!!」
なかなか『好き』の言えない颯から、何度『好き』と言う言葉を聞いただろうか………。何度、お互いを想いやり、大切さを噛み締めてきただろか…………その事が、大和にも大きな柱となって核心へと繋がっていた。
例え、相手が淳であろうと、譲れるものは何一つなかった。
「…………だからだよ」
「え…………?」
「大和が、そうやって初めて颯の心を動かしたから、俺もどんな手を使っても、本気で向き合わないと奪えないって思ったんだよっ!」
「………淳………」
自分の胸ぐらを掴む大和の手を振り払い、淳は大和を睨んで叫んだ。
「俺を潰したければ、潰しにかかってもいい。その代わり、俺も………一歩も引く気はない」
全国一を誇る竜童会若頭の大和と現役大臣の息子であり、政界のエリート一族の淳………本気でぶつかればどうなるか、二人には充分理解出来た。
それでも、颯の存在を失いたくはない………互いに譲れない程、その恋は真剣だった。
「…………アホか。そないな事したら、颯が悲しむわ。ただでさえ、あいつ泣き虫やのに………」
淳から顔を反らし、大和は溜め息をつく。
「…………大和………」
「颯は、渡さへん。海だろうが、淳………お前だろうが、あいつは………俺が死ぬまで惚れ抜いたるって決めとんねん。奪えるもんなら、奪ってみぃ………」
真っ直ぐに淳を捉え、自分を貫く大和の姿勢は、颯の心を掴んだ強さが感じられた。
「…………言ってくれるね。じゃあ、俺も………絶対に、颯を奪い取ってみせるよ」
自信の込められた大和の言葉に応えるように、淳は笑みを浮かべ、それを返した。
ガチャ………
「……颯……っ!」
大和との話を終え、屋上の出入口扉を淳が開けると、踊り場に颯が気まずそうに立っていた。
「淳…………」
「…………なに?もしかして、聞こえてた?」
淳の突然の登場に、顔を伏し目がちに戸惑う颯の様子を目にして、淳は顔を覗き込み優しく訊ねる。
「あ…………ご、ごめん………大和を探しに来たら、大きな声がしたから………その………」
二人の争いの原因が、自分である事に困惑する颯を見つめ、淳はその身体をそっと抱き寄せた。
「え………じゅ、淳………!?」
「可愛い…………キスしてもいい?」
「は……や、やだ………な………何言って…………っあ」
自分を胸に抱き、甘い声で囁く淳に動揺する颯を、淳は愛しさを込めて唇を奪った。
「んっ…………や……ダメっ……大和が………」
扉の向こうに大和がいる事を意識する颯の想いとは逆に、淳の唇はますます颯を攻め、舌を絡め入れてくる。
「ねえ、颯…………これからは、もっと颯を求めに行くからね………」
「ぁ……んあっ…………本当に……ダメ……じゅ……っ」
「いっぱい、俺の香り付けて…………少しずつ、俺の身体……覚えさせるから………」
淳のシャツを握り締め、唇を離そうとする颯の腰を抱きかかえ、淳の唇は首筋をゆっくり滑り落ちる。
「…………ねがい………はぁっ……止めて………」
「ん………そうだね。大和が嫉妬しちゃうかな………続きは、また近いうちにね………愛してるよ、颯………」
潤んだ瞳で見上げる颯に、淳はもう一度唇を重ねると、互いの唇から垂れる蜜を舐めりとりながら、激しく舌を回して糸を引くように、熱くなった身体を離した。
淳に唇を拭われながら、颯はその場に崩れ落ち、立ち去る淳を疼く身体で見送った。
「なんちゅう顔しとんねん」
淳との熱いキスの数分後、なんとか気持ちを落ち着かせた颯が、大和の姿を見つける。
「…………大和………」
大和を見る颯は、既に涙を溜め、なんとかさっきの動揺を抑えようと頑張っていた。
「なんや、淳になんかされたんか?」
身体を緊張させる颯に、大和は落ち着いて質問を被せる。
「べ、別に…………何も………」
「別にって顔か、アホ。何しとんねん、しっかりせえや」
大和に聞かれ、泣きそうになる颯の腕を掴むと、大和は自分の方へ颯を引っ張った。
「ほら、最近の紫外線はキツいねんぞ?陰入り…………綺麗な顔に、シミ出来んで」
涙目の理由を聞かず、冗談っぽく話す大和に、颯は少し笑みを溢す。
「お、男だし…………シミなんか、いいよ」
「あかん。俺の好きな顔が、崩れる。お前は、俺の恋人や言うの忘れんな…………好きな奴の為に、綺麗を保つ努力せえ」
「あのね………っ、俺は女じゃな…………っん!」
大和の言葉に呆れる颯が文句を言いかけた瞬間、大和の唇が颯の唇を塞いだ。
「………………他の男の匂いさせて、言い訳すな。腸煮えくり返る気持ち、必死に抑えてんやぞ。こんな時くらい、言う事聞けや」
「はぁ…………やま………とっ」
颯から香る淳の香水の匂いに、大和は込み上げる怒りを鎮めるように颯を抱きしめた。
「何回でも、させてこい。お前が、他の男に触れる度に、俺が匂いも感触も………何もかも、全て消し去ったる………」
淳に潤わされた唇を、大和が熱く溶かしていく。
「…………大和………っ」
「モテる恋人持つと、苦労するわ…………。まあ、余計に燃えるけどな………」
暑さで汗ばむ身体を一層と熱くし、大和は颯へ口づけをする。
大切な人達に愛され、求められながら、颯は戸惑いと共に一段と美しさを高め、周りを魅了していく…………。
そんな運命に翻弄されて…………
完
- Re: オリジナルBLちょっとH?な続編です2(R-注) ( No.49 )
- 日時: 2015/08/12 22:32
- 名前: ハル
『揺るぎないもの』
「なぁ…………疲れた。休憩しに行こ」
土曜日の人で賑わう街中の、オシャレなカフェの一角、女子率が明らかに高い店内で、珈琲フロートをストローでつつきながら、大和が口を開く。
薄手のデニムシャツを肘まで折り、濃紺の七分丈パンツに白いスニーカー、アクセントに赤のカーディを腰に巻いた大和の姿は、周りの女子達に密かな高評価を受ける程、目立っていた。
「休憩?…………まだ会ってから、30分しか経ってないけど?」
そんな大和の視線を一身に浴び、颯が呆れて目を反らす。
自然と、週末にはどちらともなく連絡をして、当たり前の様に会うようになってから、大和は毎回直ぐに颯を求めてくる。
「だって、私服のお前見とったら、ムラムラすんねん」
今日の颯は、シンプルな七分の白シャツにブルーのパンツを軽くロールアップし、黄色いスニーカーを履いた、爽やかなスタイルだった…………が、そのシャツの釦を二、三個開けているせいで、綺麗な鎖骨がチラつき、大和の性欲を駆り立てる。
「いや…………制服着てても、襲うだろ………大和」
これまで、何度学校の至る所で身体を求められて来た事か………その度に、結局颯は大和に根負けしてしまう。
「んー………それだけ、俺の世界はお前しか映ってへん言う事や。性の対象が、お前だけやもん、しゃーないわ」
「な………表現、ストレート過ぎ!周りに聞こえたら、どうすんのっ。しかも、何も反省してないよね!?もうっ………」
颯に笑顔を向け、何の迷いも恥じらいもない大和に、颯は顔を赤くし、手にしたアイス珈琲を口にした。
珈琲で潤う颯の唇が、ますます大和の欲求を高める。
「…………あかん、耐えられへん………」
「だ、駄目…………ここは、お願い………困らせないで……………」
テーブルに肘を突き、自分の爪を噛みながら舐めるように見てくる大和の視線に、颯の身体は一気に熱く疼いていく。
身体は、正直だ。
口では何を言ってても、身体は大和に抱かれたがっている。
「今すぐ、俺に抱かれたいって言わへんと、ここでキスしたる」
「大和っ………」
颯の胸の内を見透かすような大和の言葉が、颯の中に潜む淫らな感情を引き出し、ますます艶っぽさを露にさせる。
「普段のお前も好きやけど、今のエロさを帯びたお前も好きや…………。身体が、疼いてたまらんわ…………。お前は?…………お前は、俺のどこが好きやねん?」
「どこって…………」
大和は、颯に微笑みかけ、人差し指で颯の唇をゆっくり拭った。
その仕草に、ただでさえイケメン二人に見とれていた周りの女子達が、一斉にざわつき、悲鳴とも取れる声を興奮と共に上げた。
「……………俺は、ちゃんとわかっとるで。お前は…………俺の全部にベタ惚れやて」
「大和……………」
うん、全部好き……………そう叫びたくなる衝動を、大和に抱きつきたくなる衝動を、颯は精一杯堪えた。
どんな時も、人目を気にせず自分をさらけ出す大和といると、自分まで感情が麻痺しそうになる。
どこにいても、大和を求めてしまいそうで………怖い。
「う……自惚れるな………。もういい……………出る」
戸惑う気持ちを抑え、颯は立ち上がると、テーブルの隅に置かれた伝票を手に取った。
「コラ………支払いは、俺やぞ」
相変わらず、大和の男らしさは抜かりない。
颯から伝票を奪うと、サッサとレジに向かい、愛想良く会計を済ませる。
「ありがと…………」
カフェのドアを開け、颯は大和を見上げた。
「ほな、礼はホテルで」
「は…………」
驚く颯を尻目に、大和は颯の手を握りしめ、足早に人混みを歩き始める。
「ちょ…………大和っ!?」
「…………っさい。黙ってついて来んか。俺が抱く言うたら、抱くんや……っ」
「………まとっ………」
こんな強引さに振り回され、困惑し、そして………惹かれていく…………。
颯は高鳴る鼓動に胸を震わせ、大和の手の温もりに嬉しさを重ねた。
「やっ………待って、大和。シャワー浴びたい……」
「シャワー?ええやん、どうせ汗かくし…………身体が待てへんわ」
街中にそびえ建つ有名ホテルの清潔感漂う客室の入り口、チェックインしたばかりの大和は颯を壁に押さえ付け、抑えきれない身体をさらし、颯へ迫らんとばかりに顔を近付けていた。
「ダメ………綺麗にしたい…………大和に抱かれる身体………お願い、シャワー浴びさせて……」
汗ばむ大和の胸板に手を当てて、潤んだ瞳で見つめてくる颯に、最早身体がMAX状態の大和は深い溜め息をつく。
「あのな…………そんな色っぽい顔して、待て言う方が酷やわ」
そう言うと、大和はいきなり颯の腰を抱きかかえ、持ち上げた。
「えっ!?あ………や、大和!?」
「一緒にシャワー浴びたらええ話やろ?俺も入るわ」
大和は、颯を抱きしめたままシャワールームへ足を入れると、勢い良く颯の服を剥ぎ取り、自らも服を脱ぎ捨てた。
「大和っ………」
「濡れたままのエッチも、興奮するで?」
動揺する颯を抱き寄せ、大和はシャワーのノブを回す。
シャァァ…………
夏の暑さに火照らされた二人の身体を鎮める様に、緩やかなシャワーの水がいやらしくも全身の至る所を流れ落ちていく。
「俺が、汗流したるわ………」
「ぁ………大和………んっ」
大和の唇が颯の唇を捉え、ボディソープを全身に垂らして、少しずつ泡立てる。
「どこから洗って欲しい?好きな所、攻めてやるよって、我が儘言い………」
颯の首筋に舌を這わせ、大和の右手が乳首を緩やかに撫で、左手がお尻を掴み上げ溝をまさぐり回す。
「ひゃっ………はっぁ……あっ……どこでも………ぃいっ………大和なら、どこでも攻められたぃ………ぁんっ」
「クス…………ゾッコンやな?俺に」
大和にすがり付き、敏感に反応する颯に、大和は唇を重ね舌を激しく絡ませていく。
「………き……ぁ…好き……大…………好き………大和………はぁんっ……あっぁあ……好きっ」
颯は、大和の水で光る刺青の彫られた背中に腕を回し、我慢していた溢れる気持ちを吐き出す。
「俺やないと、身体が満足出来ひんて言えや」
颯の片足を上げ、大和を欲する下半身へ自分の指をメリ込ませると、大和はゆっくりピストンさせながら、颯が溜め込む言葉を誘導する。
「っはあぁっ……やっ……あっぁんっ……や、大和じゃなきゃ……ひっ……大和じゃなきゃダメ………あん……大和の身体がいいっ!大和がぃいっ……あっぁ」
颯の感度が高い部分を集中的に指で突き続け、大和はイキリ起つ自分の半身を颯の固くなった半身へ擦り合わせ、互いの興奮をより高みへと昂らせた。
「俺もや…………颯……俺も、もうお前やないと満足出来ひん…………お前しか、抱かれへん………」
目に涙を溜め、大和に抱きつく颯を抱え上げ、大和もまた溢れ出る愛しさをぶつける。
「やま………とっ……」
お互いが、初めて本気になれた恋。
こんなにも、人を愛しく想える事を知った。
無骨で、荒々しい大和の生き様が、繊細で弱い颯を変えていく。
どこまで溺れ、どこまで堕ちていくのか…………海や淳、それぞれの想いも絡み合い、複雑な渦に飲み込まれ………。
「颯……っ…………お前と、イキたい…………ええやろ?」
「イキたい…………はぁっ………俺も、イかせて…………っあっぁあ」
大和は颯の半身を握り、先を撫で垂れる蜜を絡め、自分のそそり起つ半身を颯の中へと少しずつ挿入していった。
「っ!あっぁああっ!……やっあっぁあっ……凄っぃ……あっ息出来……なぃ………大和の……やっぱり………はぁあんっ…………おっきぃっ!あぁぁっ」
「………っ颯っ………っく………ホンマお前の身体……………良すぎ……やっ」
下半身を埋め尽くすような大和の身体の感覚に、颯は痺れる全身を揺らした。
「あっぁんっ……これだけでイっちゃう………大和に……はぁっはっ………大和に、イク………っ」
シャワールームの壁に背中を付け、大和に腰を抱えられながら、颯は喘ぐ声を止められなかった。
腰が砕けそうな程の快感が、激しく押し寄せ、自分の中がいやらしく音を立てて大和を飲み込む。
大和はそんな颯の唇を貪り、幾度も激しく身体を突き上げる。
「やまっ………ひっ……はっあぁぁっ……イク…イクよぉっ……あっあっああぁぁっ!も、ダメぇ……出ちゃぅっ!やっぁああっ!!大和っっ」
「そ………出せっ………め一杯出せっ……颯!!」
頭がおかしくなる位の快楽の波に、颯は涙を流し、自分の蜜を勢いよく出し切ると、大和もまた、颯の中で半身を大きく脈打ちさせ、白濁した淫乱に染まる液体を全て奥へと流し込む。
「はぁ……はぁ………ントに、身体………壊れちゃう……」
「ア、アホ………はぁ…………まだ、これからやし………」
「え…………」
息を切らし、全身の力を奪われている颯にキスをし、大和はニンマリ笑うと、第二戦を示唆した。
「や、野獣………!?」
「あ………海が『俺様』で、淳が『隠れS』………俺は『野獣』か………悪ぅないな?」
「俺………殺される…………」
激しくも長い二人のデートは、まだ始まったばかりだった………。
完
- Re: オリジナルBLちょっとH?な続編です2(R-注) ( No.50 )
- 日時: 2015/08/17 23:07
- 名前: ハル
ショートstory『失恋の、その先にあるもの』
「翔太っ!」
夕焼けに校舎が染まりかけた、放課後の学校。
学級委員の雑用を終え、帰ろうと身仕度をした翔太を、大好きな声が呼び止める。
「…………淳……」
身体を緊張させ、ときめく胸を悟られまいと、翔太はゆっくりと声の方へ振り向いた。
部活の最中なのか、淳はサッカー部の練習用のウェアを着て、汗をタオルで拭きながら廊下を歩いて来る。
相変わらず…………背が高く、ハッキリ二重の端正な顔立ちに、少し短めの黒髪をなびかせて近付いて来るその姿は、校内でも人気No.1、2を争うのが納得出来る程、格好イイ………。
男の翔太から見ても、羨ましく思えてしまう。
「今、帰り?」
また、やや低めの落ち着いた声が、妙に色っぽい。
「あ、うん…………先生に、クラスの備品の片付け頼まれてたんだ。淳は、まだ部活?」
「んー、久々に翔太と一緒に帰ろうかな?丁度職員室へ、顧問の田辺に練習の報告しに行くとこだったから、上手く言って切り上げるわ」
「えっ………」
なんとか平静を装う翔太の感情を、淳の言葉がアッサリ打ち破る。
淳と二人きりで帰るなんて、いつ振りだろうか…………気付かれてしまいそうな位、翔太の全身が、一気に緊張していった。
「嫌?………ずっと、花火大会の穴埋めしたかったんだけどな………翔太、一人にさせちゃったし……………やっぱり、颯とかの方がいい……?」
花火大会の事、まだ気にしてくれてたんだ…………それも、淳が…………そう思うと、それが例えただの親友としての優しさだとわかっていても、嬉しさで胸が張り裂けそうになる。
「嫌っ…………じゃ……ない………けど。あの時は、三人が戻って来てから、俺………結構怒ったし、そんなに気にしなくても……」
「クス…………そうだったね。翔太が颯を叱るとこ、初めて見たから、新鮮だったっけ………。まあ、アレは俺と大和の責任だから、責任取らなきゃね?」
顔を赤くして、気まずそうに俯く翔太に、淳は爽やかな笑顔で答えた。
本当に、淳はそんなところが抜かりない。
周りに目を配り、仲間達の統制を整え……………颯を支える。
「ちょっと待ってて………職員室に行って、すぐ着替えて来るから…………」
翔太の肩を軽く叩き、淳は職員室へ足を向けた。
「じゅ……淳っ………」
「……………ん?」
いつも、こんな風に大人な淳が………好きなんだ。
翔太は、田城との会話を思い出し、淳の顔を見上げる。
「お、俺……………淳が………す、す………好きなんだ……っ」
なんで、今…………自分でも、凄く変なタイミングだと思うのに、何故か、今なら言える気がした。
「………え…………」
滅茶苦茶、ダサい告白に思えた。
タイミングも、雰囲気も、何も考えてない………突発的な、事故のような告白………。
翔太は、耳まで真っ赤にし、目をギュッと閉じて、身体を強張らせた。
「じゅ……淳が、颯を誰よりも想っているのも知ってる。俺だって、颯の隣は淳がいいっ!大和も、凄くイイ男だってわかってるけど、淳が颯をずっと大切にしてきたのを見て来たもん…………颯には淳を選んでもらいたい!………でも、自分の気持ちだけは、言いたかった…………」
「翔太…………」
身体が、震えた。
長い間、胸の奥に無理矢理しまい込んでいた言葉を吐く自分に………翔太は、震える身体で何とか言葉を繋いで口にした。
「昔の事を考えたら、俺なんかが淳を好きになっちゃいけないって、俺なんかが………淳をそんな風に見てはいけないって、何度も何度も自分を責めて来たけど…………どうしても、消えなくて………………本当に、ごめん。思いっきり、振って欲しい………嫌われても、仕方がない事言ってるの、わかっているから…………」
込み上げてくる涙を、必死でこらえ、翔太は淳を恐る恐る見つめる。
不思議と、淳は笑みを浮かべていた。
「……………ズルい事、してもいい?」
「ズルい事………?」
淳の言う意味に首を傾げる翔太を、淳が優しく抱き寄せた。
「…………じゅ………っ!?」
「良かった…………嫌われなくて………」
淳は、そう言うと深く息を吐いた。
「ごめんな。俺、翔太の気持ち知ってた………前に、大和と話してる所聞いてしまったんだ………」
「えぇっ!?」
意外な淳の話に、翔太はますます顔を赤く染め、戸惑いを見せる。
「だけど、俺…………どうしても、颯が好きだから………翔太を傷付けて、嫌われたらどうしようって思ってた………。卑怯だよな………翔太の気持ちに応えられないのに、翔太とは親友でいたいって思うなんて……………最悪……」
「………淳………」
親友でいたい……………自分が嫌われると思っていた翔太には、これ以上にない救いの言葉だった………。
淳と、まだ一緒にいられる……………こんなにも格好イイ淳が、自分を必要としてくれてる……………失恋しているのに、幸せな気持ちになってる自分に、呆れる程笑えた。
「そんなことない……………メチャメチャ嬉しい!」
翔太は、潤んだ目でめ一杯笑顔を見せた。
「………翔太…………ありがとう………。俺、翔太の笑顔、大好きだよ」
「なっ…………それ、反則っ!俺、失恋してるんですけどっ」
格好イイ顔で、格好イイ事をサラリと言う淳に、翔太は照れる気持ちを突っ込みで返す。
「あ、ごめんっ………つい……」
こんな何気ないやり取りが、好きだ。
自分をちゃんと想ってくれた、淳が好きだ。
……………やっと、区切りがついた気がした。
放課後、翔太は淳にジャンボパフェを奢ってもらい、沢山笑って、沢山幸せを感じた。
完
いつもありがとうございます。
ちょっと気分が萎えていたので、気持ちを切り替えようと、myキャラにすがりました。
ホントは、淳メインの話を上げようと思っていたので、また連続で上げると思います。
そして、波乱の続きものを少しだけやろうかと思います。
………ただ小説を書く事だけを考えてカキコ様へお邪魔し、本当に最初の時からコメ頂いた方々は、もう見られてはないでしょうか?
私は、救われました。感謝してます。
そして、今、更新する度に目を通して下さる皆様、ありがとうございます。
無知に、ただ愛情だけで書き続けてきました。
その環境を頂き、ありがとうございます。
- Re: オリジナルBLちょっとH?な続編です2(R-注) ( No.51 )
- 日時: 2015/08/18 22:35
- 名前: ハル
『自由なき道のり』
「まだ、復帰するつもりはないのか?お前にその気があるなら、父さんはいつでも口添えしてやるぞ」
休日の閑静な住宅街に、一際目立つ高い塀に囲まれた和風建築の豪邸…………代々政界の重鎮として、その名を広めてきた観月家の家がそこにあった。
「…………お父さん、そんな事をしたら、日本代表に選出されたのが実力だなんて、誰も信じてくれなくなります。……………申し訳ありませんが、俺は生徒会も日本代表も、もう戻る気はありません」
立派な一枚板の座卓を挟み、現政権で外務大臣を務める父親を前に、淳はキッパリと自分の気持ちを言い放つ。
が、マスコミでも幾度となく顔を見かけ、選挙では常にトップを競う票を獲得する父親は、そこにいるだけで存在感があった。
そんな父親の考えに背くなんて、さすがの淳でも、内心は緊張で胸が押し潰されそうになる。
「お前…………大学もT大からK大にしようかと言っているそうだな?一体、何を考えているんだ。将来、政界に入るには申し分無い程の条件を持てる身でありながら、何もかも蹴散らすなんて、父さんには考えられない」
渋い焦げ茶色の和装姿に、恰幅のよい体系で腕組みをする外務大臣は、頭脳明晰で外見もずば抜けて男前、ただでさえ若い票を取れる上に、生徒会や人気のサッカーでより拍車をかけれるチャンスを、自ら捨てる我が子に首を捻る。
政界入りを目指す人間なら、誰もがチャンスを逃したくはないと思うのが世の常。
我が子には、これまでの観月家以上の結果が求められると思っていた。
「政界には、出ます。必ず、その時は当選してみせます。ただ…………俺の初めての我が儘、どうかお許し下さい」
ブルーの半袖シャツを着て、濃い目のローライズデニムにシャツをインし、アクセントに少しスタッドの付いたベルトを締めた淳は、その鍛えた身体が一段と艶っぽさを強調させ、父親でさえ惚れ惚れする容姿に見とれた。
しかも、礼儀も身に付いている。
淳は、目上である父親に了解を得る為に、座っていた座布団から身体をずらすと、手を突いて頭を下げた。
「淳じゃないか?」
父親との緊張する話を終え、ミネラルウォーターのボトル片手にフラッと道を歩いていた淳に、慣れた声が話し掛ける。
「……………海……」
淳が声の方へ目をやると、高級外車の後部から、海が窓を開けて見上げていた。
「なんて顔してるんだ。…………暑い昼間から散歩して、倒れるぞ?乗れよ」
「あ………ああ…………」
自分が思う以上に話し合いが疲れていた事に、淳は海に言われて気付かされた。
なんとなく、ただひたすら何も考えず、歩きたかった。
「どうした?また、颯の事でも悩んでいたのか?」
いつものように、夏さえも感じさせない涼やかな表情の海が、隣に座らせた淳に目を向ける。
「…………まあ、似たようなものかな………」
海の秘書に渡されたタオルで汗を拭いながら、淳は呟いた。
久し振りに見る海は、何一つ変わりなく、美しい………。
夏生地の高級感溢れる濃紺のスーツを綺麗に着こなし、颯に負けず劣らず吸い込まれてしまいそうな容姿端麗さ。
颯と二人でいる所を想像すると、物凄くエロく思えて、淳は自分の邪さに思わず反省した。
「海…………俺は、お前の強さが羨ましいよ………」
走る車の窓から外を眺め、淳は溜め息をつく。
颯が大和と愛し合おうと、颯が淳と関係を持とうと、昔から………海はブレない。
颯の全てを、支えるのみ。
見返りも何も、求めてはいない。……………その深さに、淳は闘う前から敗北感を味わう。
「大和に、啖呵を切ったんじゃないのか。負けるぞ?…………颯、お前ら二人が言い争ってた事、心配してたよ。颯にとっては、大和もだけど…………お前も大切な存在だからな」
「…………わかってる」
颯は、不安があると、真っ先に海に相談する。
海が颯の道を、誰よりも見極める力があるから…………。
……………俺は?俺の道は…………誰が造り出す?…………淳は、自分の造られた道を思い浮かべ、目を閉じた。
「なあ、海……………俺は、大和に勝てるかな?」
今までの自分を捨てても、颯を愛して行きたい。
小学生の時、初めて颯を見た時から、颯が好きだった。
颯を守る海みたいになりたくて、勉強もスポーツも必死に頑張ってきた。
それが…………淳にとっての、長い『初恋』の始まり………。
やっと、動かし始めたこの『初恋』を、誰にも譲りたくはない。そう思うと、苦しさで暗闇に堕ちて行きそうになる。
「…………さあ、どうかな………。颯は、本当に大和を愛している。大和の言動一つ一つに、感情が左右され…………まるで、心が支配されているようだ」
冷静に分析する海の言葉が、淳の胸に陰を落とす。
大和の魅力は、嫌でもわかっているだけに、辛い。
「でも…………」
「…………でも……?」
綺麗な海が、綺麗な笑みで淳を見つめる。
「颯は、絶対にお前を嫌いにはならない。これまでに、お前が築き上げてきたものを、颯はちゃんと胸に刻んでいる。例え…………大和でも、そこへは踏み込めない。お前を拒めないのが、いい例だ。…………俺以外で、最初に出来た仲間であるお前は、颯にとって『特別』なんだよ」
「海…………」
『特別』…………ただ、その一言で、胸が熱くなっていく。
馬鹿みたいに、颯が…………好きだ。
淳は、たまらず俯いて、赤く染まる顔を隠した。
「……………ただ……」
遠くを見るように、海は顔を外に向ける。
「大和にしろ、淳にしろ…………俺の領域を侵す事は、許さない。…………わかっているね?淳…………」
「…………っ……」
海の、領域……………それは、誰も踏み入る事を許されない、颯との異質な世界…………。
横目で淳を捉え、美しく笑顔を見せる海に、淳は背筋に走る冷たいものを感じずにはいられなかった………。
「おはよー」
「ちーすぅ……」
朝の登校する生徒達で賑わう正門で、周囲の視線を浴び、颯と大和、翔太の三人が仲良く談笑しながら歩いていた。
「おはよっ………!」
その三人の後ろから、淳が爽やかに声を掛ける。
「淳、おはよう………」
淳の瞳を奪うように、颯が笑顔で振り返る。
今日も、とてつもなく綺麗で、とてつもなく可愛い…………淳は、颯の顔に手を添え、優しく笑う。
「おはよ、颯………今日も、綺麗だね」
そう言うと、沢山の注目の中、淳の唇が颯の唇を塞いだ。
「……………っ!?……じゅ………」
「きゃあぁぁぁ〜っ!!」
校内のアイドル的な二人の突然のキスに、一斉に女子達が悲鳴を轟かせる。
「な、な、何しとんねんっ!?淳っ!俺でも、まだ生徒の前ではしてへんねんぞっ!」
「あ、あ、あ………!?」
いきなりの出来事に慌てふためく大和の横で、翔太は言葉が出ない程絶句した。
「だって、颯が可愛いから我慢出来なくなったんだ。ね?颯………」
「…………は、はいぃ!?」
周りの騒ぎをよそに、いたって普通な淳の姿に、颯は唇を押さえて妙な汗を全身にかいた。
「アホかっ!!……………俺も、するっ!!!」
「え……やっ………大和!?」
顔を真っ赤にして動揺する颯の手を掴み、焼きもちを妬いた大和がつかさず颯を抱き寄せる。
既に、周りは収拾がつかない程混乱し、ますます騒ぎが大きくなっていく。
「ちょっ…………馬鹿っ!?二人ともっ!颯がかわいそうでしょ!!」
その様子に、翔太がぶちギレて、颯を庇うように抱き締めた。
「っさいっ!どけや、翔太っ……」
「駄目っ!!颯は、渡さない!」
「クス………焦る颯も、またいいね」
「淳っ………元はと言えば、淳が………っ」
半ギレの大和と颯を守る翔太、それを楽しそうに見る淳を涙目で怒る颯…………それが、興奮冷め止まぬ野次馬の目には、三人が颯を奪い合っているとしか見えなかった。
これをきっかけに、学校中の『腐』率が一気にUPする事となる。
完
気分が落ちている時に、連チャンで小説書きました。
全然上向きになりそうにない中の投稿…………すみません(汗)
私は、頭の中である程度構想を組み立てると、後は流れに任せ、彼ならこんな台詞を言うかな?こんな事するかな?と、その場で作り上げていきます。
なので、最後が思っていたのと違う終わりになる事も多々(汗)
読みづらい文章になってましたら、申し訳ありません。時々、修正しています。
前にコメしましたが、次は、少し短めの続きものを書こうかと思います。
恋愛………よりは、変態の悪徳代議士登場?的な、また彼らの本質を活躍させていただければ…………と、考え中です。
小説、沢山上げてきました。まだ、読んで頂けるようでしたら、↑この話、目を通して頂けると光栄です。
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