大人二次小説(BLGL・二次15禁)

オリジナルBLちょっとH?な続編です2(完)
日時: 2015/12/30 00:23
名前: ハル

ハルです。

BLGL……から移転しました。
なので、続きになってしまいます……申し訳ありません(>_<)
「オリジナルBLちょっとH?な続編です」と、書き方の違う最初の作品「サクラサク」の続きになりますので、初めての方には、読みづらいかと思います。
本当に、申し訳ありません(;>_<;)

ただ、作品への愛情だけで書いてます(汗)
読んで下さったら、光栄です。
よろしくお願い致します(T^T)


現在までの登場人物
*颯(そう)……皆から愛されている、超美形の高校生。世界的に有名な神崎グループの御曹司の一人。頭も良く、仲間への想いは人一倍強い。
*海(かい)……颯のいとこ。颯を溺愛する、IQ180の天才。颯に似てかなりの美形だが、性格は颯以外には冷徹。同じ歳だが、既にグループの事業に関わり、大きな存在感を出している。飛び級で、今は大学院生。
*大和(やまと)……関西を拠点とする、全国でも随一の組織、竜童会組長を父親に持ち、自分も若頭を名乗る極道者。組長の指示で関東へ乗り込み、親父としての指示で高校だけは卒業する為に、颯のいる高校へ転入。颯に一目惚れする。いつも真っ直ぐな大和に颯は翻弄される。
*淳(じゅん)……颯とは古い付き合い。ずっと、密かに颯を想っていた。大和が現れて、少しずつ変化していく。生徒会をしたり、サッカー部でもエースで、優しく人望も厚い。
*翔太(しょうた)……中学からの同級生達に、ずっと弄ばれていた。颯が、そんな翔太を助ける。翔太も、颯には頭が上がらないが、心の底では淳が好き……?
*田城一真(たしろかずま)……淳と同じ生徒会、サッカー部。淳が好きで気持ちは伝えている。颯の事が好きでも、支えてやりたいと思っている。
*早川拓実(はやかわたくみ)……神崎グループに次ぐ巨大財閥早川グループ御曹司。颯達の先輩。一見人当たりは良いが、内面はプライドが高く、負けず嫌い。自分より優秀な海に敵対心?がある。




「…………はぁ……」
西校舎の屋上、お気に入りの場所に颯はいた。
給水塔のコンクリートの土台に座り、一人、深い溜め息をつき、空を見上げる。
「駄目だな………最近、溜め息ばかりだ……」
そう呟き、遠くを見つめる姿もまた、艶やかで美しかった。颯自身、気付いてはいないが、海達のような周囲から羨望の眼差しを受ける男達に愛され、求められている事が、颯をますます綺麗で色香漂う人間へと成長させていた。
「ホンマやで。ここんとこ、俺が見つけた時は、溜め息しか出てへんやん」
「大和………っ」
いつからいたのか、給水塔の鉄柱に寄りかかり、笑顔を見せる大和が立っていた。
「……………久し振りやな、この場所。初めて……ここでお前を見た時は、向こうの山に桜が咲いとって、お前の姿と桜の色がホンマようマッチして綺麗やったっけ………。思わず、見とれたの今でも覚えとるわ」
大和は懐かしそうに、向かいの山に目を向け颯に語りかけた。
制服をいい感じに着崩し、シルバーのリングやブレスをオシャレに付けた大和は、一見すると背中に彫り物をした極道者だとは思えない、格好いい男子校生にしか見えなかった。
「ま…今の颯は、桜なんかのうても、十分過ぎる程綺麗やけど」
「な……なに言ってんだよっ。ホントにお前は、そう言う事を平気で言う………っ」
満面の笑みを向ける大和に、颯は顔を赤くして目を反らした。
「だって、綺麗なもんは綺麗なんやから仕方がないやん。美人は3日で飽きる言うけど、アレ嘘やで。1分、1秒でも会う度に惚れていくねんから」
「ば…………」
馬鹿か!?……と、叫びそうになったのを、颯は飲み込んだ。大和のこんな所に、いつも調子を狂わされる。
颯は、立ち上がりながら、再び小さな溜め息をついた。
その溜め息が終わらないうちに、大和は颯の腕を引っ張り、抱き寄せた。
「やま………と!?…」
一瞬の事に、颯は身動きが取れなかった。
自分より、少し背の高い大和の胸の中に、吸い込まれるように入ってしまった。
「……………その、溜め息の原因の一つは、俺か?………溜め息ばかりついとったら、俺が食べてまうで」
「………大和…………」
さっきまでの大和とは、明らかに声のトーンが変わっていた。
颯の身体に、緊張が走る。
「………前にも言うたやろ。誰も、お前を責める気なんかないて。俺達が、勝手にお前に惚れとんねん。お前が苦しむ必要ないんや」
大和の、静かに話す言葉が、颯の中に染み込んでいくようだった。
「……んな………そんな訳にはいかないよ。淳も……お前も、皆………凄くモテて、人としても素敵なのに、俺一人がハッキリしないせいで、皆を留めてしまってる……。皆の……これからを台無しにしている気がするんだ。………欲張りで、卑劣で、絶対に許されない……………」
大和の胸の中で、颯は顔を埋め、苦しそうに心の内にあるものを吐き出した。
「アホ………。お前より、ええ女がおらんのやからしゃーないやん。俺らは、お前やないとあかんねん。お前やないと、何も楽しゅうない。焦って結論出さんでええから、頼むから………自分を責めんでくれや」
「大和………」
いつからだろうか……気付いたら、苦しい時にはいつも大和が現れていた。大和流な優しさが、何度自分を暖めてくれただろうか………颯は、海の前でしか泣いた事がなかった目が、潤んでいる事にハッとした。
「…………ご……めん………」
絞り出す颯の声に、大和は胸が熱くなった。
「しつこいで。お前は、悪くない。…………悪いんは、お前に惚れてもうた……俺らや。いや、ベタ惚れした俺か?」
冗談っぽく、大和が颯に笑いかける。そんないつもの大和の冗談が、颯に笑みを呼ぶ。
「…………ばか………」
照れくさそうに言う颯を、大和は愛しい目で見つめる。
「………馬鹿や……お前に、全部持ってかれてしもうた、大馬鹿野郎や………。…………かんにんな………お前に惚れてもうて」
大和の手が、颯の手を優しく握りしめた。
「大和……………。………海と………海と、同じような事言うんだな…………」
颯の中で、海から言われた愛の言葉が、今の大和の言葉と重なっているように思えた。
「………え………」
颯の話に、大和の表情が一変した。
「海に…………海に、惚れてるって言われたんか……?」
心臓が、嫌な高鳴りを呼び起こすのがわかった。
颯を握る手に、自然と力が入っていた。
「……あ……………いや……」
大和の様子に、颯も不安を募らせる。
言ってはいけない事を、言ったのかもしれない…………。
「正直に言えや。海が、お前に惚れてるって言うたんやな!?」
「大和………痛い…………」
今まで、自分の感情を隠していた海が、颯に気持ちを伝えた?………一番警戒して、一番ライバルにしたくなかった奴が、ついに動き始めた………!?
大和の奥深くで、今まで以上に強い感情が沸き上がろうとしていた。


続く………





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Re: オリジナルBLちょっとH?な続編です。2 ( No.39 )
日時: 2015/07/07 16:22
名前: ハル

「今日のパーティーって、財界の人間が多いの?」
「そうだな…………メインはそうだが、政界からも知った顔が来ると思うよ」
日の落ちた街中を走る大きな四駆の高級外車の車内、普段よりワンランク上の仕立ての良いスーツを身に纏った海と颯が、広い後部座席で、自分達が今向かおうとしているパーティーの話をしていた。
「はあ…………パーティーなんて、海と違って久し振りだから、緊張するな………」
自分の隣で胸を押さえ、溜め息をつく颯に、窓の外を見ながら、海はソッとその手を握り締める。
「………っ………海………」
「俺も、パーティーは何度行っても嫌いだ。……………ごめんな、付き合わせて」
「あ………いや、こっちこそっ…………変な事言ってごめん………折角、海が声を掛けてくれたのに…………」
謝る海の言葉に、颯は慌てて自分の発言を反省した。
昨日の夜、海が珍しくパーティーの話を持ち掛けて来た事を、颯は少し意外に思いながらも了解していたのだった。
「………………………今日、早川一族も来るんだ」
「え…………」
颯を見ずに、そう呟いた海の横顔が、これから行くパーティーの本当の意味を表している事に、この瞬間、颯は初めて気付いた。
「そろそろ、ケリを着けないと…………いけないだろう?」
「………じゃあ………海…………今日のパーティーで…………」
「ドン底に、落としてやる」
ゆっくりと颯を見つめ、優しく言う海の美しさに、言葉の怖さ以上に見とれてしまう自分に、颯は動揺しながらも心が昂るのを感じた。
「だから、お前を連れて来た。お前に、側にいて欲しいと思ったから…………」
「か…………っ……」
そう言うと、海は自分に見とれている颯の唇を、舐めるように絡めると、熱い口づけをした。
「んっ………ぁ……………海………運転手さんと、中西さんが………困っちゃうよ…………ぁんっ」
「見られている方が、興奮するだろ………」
「か…………ぃ…………んんっ……ぁっ」
前に座る二人を気にして戸惑う颯の首筋に手を回し、海はますます舌を求め入れ、颯を刺激する。
「……………愛してるよ………颯………」
黒い後部の窓から、微かに照らされる綺麗な海に愛を言われると、もうそれだけで颯の心は堕ちていくようだった。
「海…………ぃ……っ」
絡み合う舌から垂れる唾液を、海の唇が舐めり取り、颯の耳を甘噛みする。
「はぁあっ……ぁん…………パーティー………行けなくなる…………っ」
「クス……………それは、困るね…………」
頬を赤く染め、艶っぽく息を荒くしていく颯を、海は腰を抱き、自分の上に跨がせた。
「……………この前、久々にあの人達に呼ばれたんだ」
「…………っ……あの人…………叔父様……達?………んっ………あっん」
颯のネクタイを緩め、釦を外したシャツの間から颯の胸元に舌を這わしながら、海はおもむろに口を開いた。
そんな海の話に耳を傾ける颯の乳首を、海の舌がいやらしく舐め回し、唇が吸い上げる。
「ぁああっ……やっ………か……いぃっ……」
「いきなり、結婚の話をされたよ…………」
「…………!?…………んっ…ぁ………け、結婚………!?」
高揚する身体とは裏腹に、海の話は颯を動揺させた。
「早いうちから、相手に目星を付けとけって事だよ……………変わらないね。『神崎』の利益と、自分達の世間体しか頭にない………………さっさと死ねばいい」
「海……………っ」
そう言う海の顔を、颯は心配そうに見下ろす。
「……………お前以外、受付られない俺に…………結婚なんか出来る筈がない。何も見てないんだ、あの人達は。吐き気がする…………」
颯の胸に顔を埋め、うんざりするように言葉を吐き捨てる海を、颯はたまらず抱きしめた。
「俺が…………俺が、守る…………守るよ、海…………誰にも、渡したりなんかしない」
「…………颯…………」
颯の言葉に見上げる海の姿は、颯にとって、この世の誰よりも色っぽく、美しかった。
「だって…………海は、俺だけのものでしょ?…………海に近付く奴は、俺が…………殺す…………」
ずっと長い間海を独占し、その愛情の全てを注がれてきた颯にとって、自分以外の者が海に近付くなんて、絶対に認めたくはなかった。
「結婚なんか……………俺は、許さない………」
「……………お前なら……………そう言ってくれると思ったよ…………」
強い目で言う颯に、海は嬉しそうに唇を重ねる。
「会場まで、もう少し颯を味わいたい…………」
「ぁんっ…………俺も、海を味わいたい………んっはぁっ……」
海の上で、悶える身体を揺らし、颯は海を求め返した。
「淳にも………大和にも愛されてるのに………っ…ぁあ…………っントに最低だな…………俺………あっぁん………」
「周りが、お前を愛してしまうのだから…………誰も止められないよ」
「か………ぃ………っ」
車内である事を忘れそうになる程、颯は海の優しさに溺れていった。


「颯……………?」
多くの着飾ったご婦人達や紳士が行き交う高級ホテルのロビーで、壁に寄りかかり人々に圧倒される颯を、聞き慣れた声が呼び止めた。
「………淳………っ」
颯が声の方を向くと、生地感の良いスーツを着た淳が立っていた。
「何処にいても、すぐわかるな…………颯は美人だから」
「は……………な、なに……………」
爽やかな笑顔で、照れる事を言う淳に、颯は顔に手を当て恥ずかしがった。
「じゅ…………淳の方こそ………」
「俺………?」
仲間内では一番背が高く、サッカーで引き締めた身体に、正統派な甘いマスクの淳のスーツ姿は、ご婦人達の熱い視線を集めていた。
「よ………よく似合ってる、スーツ…………」
「颯…………なに、滅茶苦茶嬉しい…………」
照れながら自分を見て褒めてくれる颯に、淳は満面の笑みで答えた。
「はあ?なんやねん、俺がおらんかったら、そないな顔淳に見せるんか」
「え……………っ!?」
一瞬、いい雰囲気の漂い始めた二人の間に、会場ではまず耳にする筈もない関西弁が響き、颯も淳も耳を疑った。
「や………大和っ!?何で…………」
二人が驚いて振り向くと、スーツ姿に眼鏡をかけた大和が、ちょっと不機嫌そうに二人を見ていた。
「びょ……病院は?しかも、何故に眼鏡…………」
「抜け出して来た。眼鏡(コレ)は、ホラ……あれや…………こんな著名人が集まる所にヤクザが出入りしたらあかんやろ?せやから……」
「もしかして、変装……………とか?」
「それ………!」
突然の大和の登場に、颯は質問を畳み掛けながら、まじまじと大和の眼鏡姿を見上げる。
「ぷ…………可愛いな、大和」
「あぁっ…………お前にそれ言われたないわ、淳っ。しかも、ここ警備厳しゅうて、入るだけでも大変やったねんぞ…………っ」
大和の話に思わず笑う淳を、大和はムッとして睨んだ。
「でも、眼鏡の大和もいいね。顔がイイから、なんでも似合うよ」
「な…………そ……そんなん言うたら、明日から眼鏡にするわ」
「ハイハイ、ご馳走さま」
オシャレな眼鏡を掛けて、スーツを着ている大和は、いかにも若い女性が好みそうなイマドキなイケメンと言う感じで、颯はそんな大和の格好良さに見とれた。
それを、はにかみながら受け入れている大和を見て、淳もつい笑みが溢れる。
「…………だけど、本当に大和どうしたの?」
「ん…………まあ、あれや…………少し前に、菱川組の事で海に電話したら、今日のパーティーで海が早川にケリ着ける言うとったから…………海の実力、見させてもらおう思うてな」
「…………え…………」
病院を抜け出し、厳しい警備を掻い潜ってまでパーティーに顔を出した大和を不思議がる颯を横目に、大和は会場の方へ目をやり真剣な表情で言った。
「じゃあ……………俺と一緒だ」
「淳…………も…!?」
「最初は、父さんに財界の大物へ顔を売る為に付き添い言われて、気乗りしなかったんだけど、出席名簿見たら早川グループと神崎グループが並んでたから、もしかして…………て思ってね」
「……………どうして…………」
二人の話に疑問だらけの颯を、大和と淳は目を細めて見つめると、口元を緩めた。
「そりゃあ………お前をホンマに手に入れよう思うたら、海を超えなあかんやろ?」
「俺達にとって、海は………お前を本気で愛していく上で、絶対に高い壁になるから…………知りたいんだよ。今の海の力を」
「大和…………淳……………」
それだけ、二人が自分に対して本気である事に、颯は全身が一気に熱く締め付けられた。
「で?当の海はどこやねん?愛しいお前を、一人で待たせるやなんて珍しいな」
「海なら、さっきいくつかの企業の社長方に呼ばれて……………」
会場を見渡し、海を探す大和に、颯が答えようとした時だった…………。
「なんだこれは…………っ!!」
会場の注目を一斉に集める程の叫び声が、場内に広がった。

Re: オリジナルBLちょっとH?な続編です。2 ( No.40 )
日時: 2015/08/17 21:34
名前: ハル

「あれは…………早川社長だな………拓実さんの、お父様だ」
会場中の注目を浴び、ざわつく人混みの中心にいる中年男性を見て、淳が冷静に言った。
「あ?早川の親父?…………へえ、見るからに性格悪そうなツラしとんな。歪んだ早川の中身は、親父譲りとちゃうか?」
何かの書類を手にし、顔を青ざめている恰幅の良い厳つい風体の早川社長に、大和は両手をズボンのポケットへ入れて、率直な感想を口にした。
「まあ、そうだな。神崎グループと比べたら、確かに独裁的で評判はイマイチだよ」
初めて早川社長を見た大和の意見に、淳も苦笑いしながら賛同する。
「…………海……………」
そんな二人の会話をよそに、颯の視線は早川社長の近くで秘書の中西と立っている海の姿に釘付けとなっていた。
海が早川グループへ何かを仕掛けた事を悟り、海なら問題ないと確信しながらも、海を想う不安は身体を駆け巡る。
「…………拓実さんが呼ばれたね。早川グループの関係者も集められている。海…………あの中で、一人でやる気だ…………」
「あいつらしいな…………何人いようと、あいつには関係ないわ」
早川社長の周りが慌ただしく動き出した事に、大和と淳も真剣な眼差しで海を見つめていた。
「か、海君…………これは、本当なのか!?」
震える手で書類に目をやる早川社長は、目の前で表情一つ崩さない海に、動揺した様子で書類の内容について訊ねた。
「申し訳ありません。もう少し後でお声掛けさせて頂こうと思っていたのですが、社長からご挨拶を頂いたので、度々お手間を取らせないようにと考えまして…………。どうされますか?まだお伝えしたい事もありますし……………場所、変えませんか?ここでは、パーティーの主催者へ失礼でしょうから」
「海……………お前、何考えてるんだ…………」
不敵に笑みを浮かべ、既に主導権を握った様な海の存在に、会場で挨拶回り中に突然呼ばれて来た早川拓実は、戸惑いを隠せなかった。
そんな中、ロビーで談笑する人々にパーティーが始まる案内があり、会場の大きな扉が重く閉ざされた。
颯達は海らの様子を見る為にロビーに留まり、海は早川グループ関係者を、広いロビーに沢山並ぶソファの一番奥へと誘導した。
「いきなり、この様な話をさせて頂きまして、失礼をお許し下さい。ですが、私にも神崎グループの人間としてのケジメがあります。そこにいる、ご子息に……………これ以上、邪魔をされても困るのです」
「…………っ………」
前に早川社長を座らせ、ソファの後ろには早川拓実を始めとする早川グループ関係者数人が並ぶ状況で、全く怯む事なく無表情に言ってのける海に、その場の全員が言葉を詰まらせた。
「まず、そこの書類に記されている開発事業の入札の件ですが、私達は早くから準備をし、力を入れて来たものを、突然早川グループへ持っていかれましてね…………調べました、色々と。我々の何が原因か、入札価格も悪くはなかったので、徹底的に。そしたら、出てきたんです……………ご子息が、裏で金をばらまいていた事が」
「な、何を…………」
淡々と話す海の言葉に、早川拓実はみるみる顔を青くし、父親である早川社長は怒りとショックで顔を引きつらせる。
「勿論、証拠を掴んでのご報告ですよ。…………他にも、こちらの書類は………私達が買収しようとした企業の、株を買い占めていかれた件ですね………随分強引に集められたみたいで、ご子息が株主へかなり見返り話を持ち掛けられたようで、株主達は饒舌に話して下さいましたよ。株価以上の見返りって…………早川グループとしては、マイナスなだけではないですかね?失礼ですが、世界的な財閥の経営とは思えない、浅はかなやり方で、早川グループの株主達は許して下さいますか?」
企業にとって、株主の意見や評価は世間の注目を左右する大きなものであるだけに、反論の余地もなかった。
「か、海君………この事は…………」
「ええ、今は私の懐に止めています。ハッキリ言って、ご子息の犯罪とも言えるこれらの行為、知り合いの検察幹部へ渡しても構わないんですけどね」
「ま………待ってくれ…………っ」
「海……………」
早川グループ程の大企業から犯罪者を、ましてや身内からとなると…………早川社長は、背筋が凍る思いで変な脂汗をかいていた。
そんな父親の様子に、早川拓実も震える足でたまらず膝まづく。
「ああ…………そうそう、もうすぐマスコミでも発表して、宣伝を始めますが…………来月から、私達神崎グループはネットバンキングへも事業を展開します。それを兼ねて、世界的メガバンクであるNYのKNN銀行と、業務提携を結ぶ事となりましてね……………KNN銀行と言えば、早川グループの大口の取引銀行らしいじゃないですか?私達も、ご子息の様な危うい跡取りのいる企業が、取引先に名前を連ねられているのも先行き不安なので、KNN銀行へは今回の内容を軽く説明させて頂きました」
「は…………何だって…………」
「……………近いうちに、取引停止の通知が行くと思いますよ」
これまで、早川拓実が邪魔をして来た全てを打ち返し、海を怒らせた罪がグループ全体にとどめとなった瞬間だった。
「それから……………少し前に、繁華街で竜童会の幹部が刺された事件がありました。その現場の近くの監視カメラに、ご子息の車が停車しているのが映っていましたよ。しかも、中から菱川組の若頭が出てくる姿も…………」
海は言葉を無くした早川社長を見下ろす様に立ち上がると、スーツのうちポケットから数枚の写真を取り出し、前に置かれたテーブルへ落とした。
「それは……………っ!」
撒かれた写真を目にし、もう既に顔面蒼白な早川拓実の表情が、一層と血の気を無くす。
「なんでも、事件がきっかけで竜童会から落とし前を着けられて、菱川組は関西へ引き上げさせられたらしいですよ。もし…………この件に関わっておられるのなら、ご子息は全国最大規模の竜童会だけでなく、菱川組からも恨みを買った事になりますね。……………命、大丈夫ですか?」
「…………なんて事を…………」
早川社長は、我が子の耳を疑う行為の数々に、頭を抱え嘆いた。
海は向きを変えながら、最早グループ関係者達からも蔑まれたように見られている早川拓実を冷めた目で見ると、最後に初めて本人へ向けて言葉を発した。
「早川拓実…………あんたと俺では、格が違うんだよ。中一の時のままでいると思ったら、大間違いだ。………………二度と、俺と颯に近付くな」
「……………か………いっ………」
自分を睨む早川拓実に、海は重く冷徹な思いを吐き捨てると、動揺で揺れる早川一族のいる場を後にした。

「…………死んだも同然やな、早川拓実」
「はあ…………やっぱり、海は海だったね……………手強い」
海が早川一族を追い詰めていく様子を黙って見ていた大和と淳は、自分達のライバルの姿に多くを語れないでいた。
「海………っ!」
自分の方へ歩いてくる海に、颯はすがる様に駆け寄った。
「颯……………ごめんな、待たせて。用は済んだから、帰ろうか」
駆け寄って来る颯を見た途端、海の表情が優しく美しいものへと変化した。
「大丈夫?海………」
「大丈夫だよ。颯がいてくれたお陰」
心配そうに、海を見つめる颯の髪に触れながら、ますます海は顔を緩める。
「コホンッ!おーい、俺らの存在忘れ過ぎと違うか?ヒドいわ、颯………」
颯と海のラブラブ振りに、大和がたまらず横やりを入れた。
「ご、ごめんっ…………大和っ」
「…………?………なんだ、お前達来てたのか?」
「…………海らしい。本当に、颯しか目に入ってないんだから」
慌てて大和に謝る颯とは逆に、いかにも今、二人に気付いた様子の海に、淳も思わず笑いながら呆れる。
「………まあ、さすがやったな…………海。尊敬するわ」
「ホント、頭が下がるよ」
「……………何言ってるんだ?らしくない事言うなよ」
海の動いてきた結果を、大和と淳ならではの少ない言葉で賞賛する二人に、海は鼻にもかけず切り捨てる。
「可愛くねー。颯以外、マジ興味無さすぎやろ」
「クスクス…………仕方がないけどね」
「何度もごめん……二人共…………」
「は?お前が謝る事じゃないだろう、颯」
顔をしかめる大和と、それにウケる淳。その二人に海の代わりに謝る颯を、海が眉をひそめ…………ただでさえ目立つ四人の楽しそうな姿は、ロビーに居合わせた従業員や客達の視線を一心に集めていた。
「あ………ねぇ!皆が集まるってスゴく珍しいから、このまま翔太も呼んでご飯食べに行こうよ!」
そんな注目を浴びる中、突然颯が三人を見上げ、ふと思い付いた提案を笑顔で持ち掛けた。
颯の嬉しそうに言う姿が、三人の胸を暖かく癒す。
「お前がそうしたいなら、構わないよ。中西に、翔太を迎えに行かせようか」
「ありがとう、海」
「俺、焼き肉食いたいわ………」
「いや、大和…………お前、病院いいのか?」
「ええねん、ええねん。もうすぐ退院やし………」
「そう言う問題……?」
尽きない四人の会話が、一つの問題を解決した清々しさを余計に弾ませた。


end



Re: オリジナルBLちょっとH?な続編です。2 ( No.42 )
日時: 2015/07/15 08:17
名前: ハル

ハルです。
こんにちは。いまだモヤッとしている今日この頃ですが(汗)これまでの話を読んで下さいました皆様、心から日々感謝しています!
少し、ふと浮かんだ短い話を載せさせて頂こうと更新しました。
↑彼らの、その後です。本当にネタが少なくて、すみません(汗)
もし、よろしければ読んでやって下さいm(__)m


『親不孝』

「忘れ物ない?大和」
特別病室のベッドの脇で、大きなバッグに大和の着替え等を入れながら、学校の夏服を着た颯が口を開いた。
「んー、無いんとちゃう?それで全部やな」
病室のロッカーを開き、点検するように見ていた大和は、颯の方へ振り向き答える。
グレーの七分Tシャツに白い半袖Tシャツを重ね着し、軽いダメージデニムを履いた大和の姿は、相変わらずヤクザには見えない爽やかさがあった。
「悪いな、颯………学校帰りに寄ってもろうて。助かるわ」
颯が片付けてくれた荷物を受け取ると、大和は笑顔で来てくれた颯に礼を言った。
「だって、一人で退院するって言うから………放っておけないだろ?」
「うん……そう言うたら、お前絶対来る思うた。せやから高橋らには、来んでええ言うてんねや」
「はあ?じゃあ、最初から来てって言えよ。もう…………」
颯が来た事を嬉しそうに話す大和に、颯はやや呆れ気味に溜め息をついた。
「ええやん、颯の愛確かめたかってん。今の俺は、颯と粒あんにめっちゃ飢えとるんやから」
そう話すと、大和は颯の腕を掴んで自分に引き寄せた。
「ちょ…………誰か来たらどうすんのっ………ただでさえ、大和は看護師さん達にモテモテだったんだから…………。大体、俺と粒あんって………反応に困るわっ」
「ああ…………そういや、看護師さんらに後でナースステーションに来て言われたな。忘れとった」
「え…………看護師さん達に?」
颯の腰に手を回し、首筋に顔を埋めて看護師の事を思い出した大和に、颯は少し心配そうに訊ねる。
「気にせんでも、お前以外相手にせえへんて。……………それより、帰りにたい焼き買うて、俺のマンション直行しよな?入院中、我慢し過ぎて爆発しそう……。颯も粒あんも、俺には不可欠なもんやさかい…………無いと生きていかれへん。体力使うた後は、糖分やろ?」
「露骨だな………っ……」
「退院祝い。ええやろ…………?」
大和の言葉に顔を赤くする颯を、大和は甘えたように囁いて見つめる。
「…………わ、わかってる………くせに……」
「ん…………わかっとる………」
俯き、自分と同じように身体を求めてくれている颯に、大和は幸せを噛み締める。
自然と颯の頬へ手を添え、その柔らかく艶やかな唇を親指でなぞると、自分の顔を近付けた。
そんな大和の唇が、颯の唇と重なろうとした瞬間だった。それを遮る声が扉の外から響く。
「大和、おるんか?入るで」
低く落ち着いた関西弁に、颯へキスをしようとした大和の動きが止まる。
「……………え?こ、この声……」
「大和………?」
『ガラッ………』
耳を疑う様に顔をしかめる大和と、そんな大和に緊張を高める颯の前に、一人の男性が姿を現した。
「………!?………や、大和………お前、な……何しとんねん!?」
男性は、颯の身体を抱き寄せ、どう見てもキスをしようとしている様子の大和に、目を丸くして叫んだ。
「げっ……!!親父っっ!!!」
「親父!?…………じゃあ、この方は………大和のお父さん……しかも、竜童会の………」
組長…………突然の父親の登場に動揺する大和とは裏腹に、颯は目の前に立つ男性を意外に思いながら、見入ってしまった。
と言うのも、見た目がとても若い。明らかに40前後であり、チャコールグレーにストライプの入った細身のスーツに、濃紺の若干光沢を帯びたシャツを着て、タイトな黒いネクタイ………背も高く、大和は父親似だと言える位に端正な顔立ち。
存在感は言わずともあるが、一見組長だなんて信じがたい。
「な、何で来とん!?誰も来るやなんて、言うてへんかったで!?」
「当たり前や。誰にも言わんと来たんや。言うたら、迎えやら何やらで面倒くさいやろ。一応、息子が刺された言うさかい、一度位は見舞いに思うて来ただけやしな」
「見舞いて…………今日、退院やで。そんなん、生死さ迷うてる時来いや。どんな親やねん」
父親の言葉に、大和は冷めた目でツッコむとベッドへ腰を下ろして、久々に会う父親を見た。
「アホ、お前が関東行ってから、お前のシマ狙うカス共がようけえ現れて、片付けんの手間やねんぞ。死ぬ訳やないのに、のこのこ来れるか」
父親はそう答えると、近くのソファに座り、内ポケットから煙草を出して吸おうとジッポに火をつける。
「親父、ここ禁煙や」
「おお、せやったな……。お前がぴんぴんしとるさかい、病院言うん抜けるわ」
何気ない会話でも、大和と父親の関係の良さが垣間見えて、颯は自分にはない大和の世界に思わず笑みが溢れた。
「大和、俺……ちょっと飲み物でも買って来るよ。ゆっくり話してて」
「颯………そんなん気ィ使わへんでも………」
「いいから、いいから………」
颯は大和を気遣うと、颯を止める大和に笑顔を向けて病室を出た。
そんな颯の後ろ姿を、大和は切なそうに見つめ、顔を曇らせる。
「まるで、置いてかれた子犬やな。…………本気か?お前………関西で女遊びのやり過ぎで、男に走った………っちゅう顔でもないな…………」
いきなり現れていた美少年と、美少年を愛しそうに見つめる我が子のやり取りに、父親は冷静な目で息子に問い掛ける。
「……………本気や。女とか、男とか関係あらへん。あいつは、俺が初めて心底惚れた相手や。いくら親父でも、邪魔させへんからな」
「我が子の本気に、邪魔なんかするか。本気なら、思う存分貫いたらええ」
「親父…………」
ソファで脚を組み、颯への想いを強く胸に秘める息子を優しく見上げると、父親は一人前な事を言う息子の成長に喜びを感じていた。
「せやけど、わかっとるんやろな?あの子は、カタギやぞ。お前の存在が、あの子だけやのうて、周りにいる家族かて傷付けてまう事もあり得るんや。お前は、その責任も全部背負えるんか?並大抵な覚悟やあかんねんぞ」
自分達の生きる道と、颯達の生きる道の違いを、親として愛情を持って大和へ語りかける父親に、大和の気持ちも改めて引き締まる気がした。
「……………覚悟は、しとる。ちゃんと、『保険』かけてんねん」
「『保険』…………?」
「信頼出来る奴に、頼んどるんや。もし…………もし、俺がこの先………あいつにとって負担になる時があったら、そん時は俺を消してくれって頼んどる」
「なに…………」
大和の覚悟を決めた話に、さすがの父親も顔色を変える。
「そうまでせえへんと、俺は自分を止められへん。あいつへの気持ちが、暴走してしまうんや………」
「大和……………」
「すまん、親父………。今の俺は、組の為には死ねへんけど、あいつの為やったら死ねる」
親であり、組長である父親に頭を下げると、大和は若頭としてナメた事を言った自分が殴られるつもりで、歯を食い縛った。
「…………ったく、お前はホンマ昔から親不孝者やな。15で勝手に刺青入れるわ、いきなり若頭になる言うわ………最後は、孫の顔見せへん気やし。…………でも、俺もヤクザやって、組長まで昇って、親泣かせたわ。お前は俺の子や…………とことん親不孝しとれ」
「………親父………」
「幸せにしたらなあかんぞ」
大和の目を真っ直ぐに見て、暖かい手で頭を撫でる父親の想いに、心なしか大和の瞳には滲むものが光っていた。

「なんや、ここにおったんか?」
病棟にある広い休憩室で、脇に水滴の滴る缶珈琲を置き、ボーッとしていた颯に、大和が話し掛ける。
大和は、肩から荷物を下げ、片手には花束や紙袋を幾つも抱えていた。
「………大和………」
「親父も帰って、ナースステーション寄ったら手土産沢山もろうて、それでもお前戻って来んさかい、探したで」
「ご、ごめん………」
颯を見下ろし、看護師達から貰った手土産を見せながら話す大和に、颯は暗いトーンで小さく謝った。
「ん?どないしてん?えらい暗いな」
休憩室にいる患者や家族達が、颯の美しさに見とれている中、颯の表情は一層と艶っぽく憂いを帯びていく。
「…………大和、『保険』て何?俺の為に、誰に何を頼んだの?」
「あ?聞いとったんか?」
「ごめん………お父さんにも珈琲渡そうとしたら、聞こえてきて………」
大和は、微かに震える手を握り締め俯く颯を見つめると、その胸ぐらを掴んで自分の方へ引き上げた。
「やま…………っ……」
「……わぁぁ…………」
驚く颯の声と、周囲からどよめきが上がり、同時に大和の唇が颯の唇を塞ぐ。
「…………お前はいらん事考えんと、俺だけ見とったらええねん。この俺が、命張って惚れとる…………それだけで充分やろ」
「……………大和……」
キスの間から漏れる大和の告白は、颯を全身から痺れさせ、周りをも虜にする程の力が込められていた。
「ほら、帰るで?今日こそは、たい焼き買うておやつにしようや、な?」
颯の手を握り、優しく顔を覗き込む大和に、颯は目を潤ませる。
不安ごと包み込む大和の魅力に、全てが支配されていく…………颯は、大和の手に身を任せ、背中を見上げた。









Re: オリジナルBLちょっとH?な続編です2(1話完結始めます) ( No.43 )
日時: 2015/08/17 21:40
名前: ハル

『秘密の、情事』


「え………と、K大の資料は………」
放課後の図書室、カウンターに司書がいる以外に人気のない広い室内で、颯は一人、奥の本棚に並ぶ各大学の資料本を手に取りながら、棚の間を歩いていた。
「あ、あった………これ…………え!?」
目当ての大学の資料を見付け、本棚の上へ手を伸ばした時、颯の後ろから手を重ねる様に資料を取る者がいた。
「ふーん、颯の志望大学はK大なんだ?」
聞き慣れた優しい声に、颯の胸が緊張する。
「淳……………っ!」
「俺も、K大行こうかな………一緒にいたいし」
颯が取ろうとした大学の資料を手にし、笑顔を向けて照れる台詞をサラリと言う淳に、思わず颯は恥ずかしそうに目を反らす。
「な、なに………淳はT大だって行けるじゃん………勿体ないよ。第一、お父さん達が許さないって……………。最近の官僚はT大が多いし………」
「ん?聞こえなかった?…………一緒にいたいって。反対されても、颯といたい」
「は…………え、いや………う………ん……」
真顔で答える淳の言葉が、ますます颯の動揺を招き、どう反応したら良いか困らせる。
「今日、大和は?」
そんな颯を見つめ、淳は気になっていた事を口にした。
「ああ………えっと、定期検診で病院。それで、時間出来たから図書室に………」
「そう…………じゃあ………」
顔を赤らめ、本棚の方を向き、本を触って動揺を紛らわしている颯に、淳はゆっくり背後から腕を回すと、自分より少し小さな颯の身体を抱きしめた。
「……………っ!?……じゅ………っ」
「今日は、俺が颯を独占出来るね」
「………や……何………」
耳元で囁くとろける様な淳の声が、颯の身体を一気に熱く火照らせる。
「図書室に入る颯を見付けられて、ラッキーだったな。……………可愛い、颯………たまんない………」
自分の腕の中で、身体を緊張で強張らせる颯に、淳は愛しさを募らせ、その赤くなった敏感な耳を優しく舐めると、キスをした。
「ぁ……だめ…………淳っ……」
バザバサッ………何の抵抗も出来ないまま襲ってくる淳の甘い刺激で、颯はたまらず持っていた本を足元にばらまいた。
「あまり、声出しちゃ駄目だよ?………司書さんに、気付かれてしまう」
そう言うと、淳の手が颯のシャツを捲り上げ、静かに締まった身体を滑らせる。
「んっ…………ねがい……待って………やぁ………」
「ねえ、颯…………俺が颯の初めての男になってから、何回………大和や海に抱かれたの?」
「な………何回って……………ぁんっ」
淳は颯の首筋に舌を這わし、指先で固くなっていく乳首を軽く撫で回す。
「はぁぁっ………声、出ちゃう…………無理ぃ……」
「わからない位抱かれたのかな…………丁度いい………身体で教えて。颯が、どれくらいエロい身体になったか…………」
「じゅ………ん………っ」
普段は大人で誠実な淳から発せられる淫らな言葉と、周りに気付かれてはいけないと思う理性が、颯の身体を余計に敏感に悶えさせる。
「颯…………こっち向いて。そのいやらしい唇が欲しい………」
誰からも慕われ、誰からも好かれる格好いい淳の頼みに、颯は思わず見とれる様に瞳を見つめ、自ら身体を振り返らせて唇を重ねた。
シャツの上からでも感じる淳の鍛え上げられた身体の感触が、一段と颯の興奮を誘う。
「相変わらず、綺麗だね…………颯。快楽に溺れる姿も、凄く好き………」
「もう…………止まんないよ………抱いて………淳」
唇から垂れる唾液が颯のエロさを惹き立て、絡まる舌が二人の本能を掻き立てる様に淫乱な時間へと堕とし入れる。
「………あそこなら、いくら声出しても大丈夫……」
「あそこ………?」
自分に寄りかかる颯を抱きしめると、淳は微笑んで奥にある書庫へと導いた。
分厚い書庫の扉が、二人の情事を隠す様に重く閉ざされ、颯を求める淳の手が、その身体を独占する為の空間へ、鍵をかける。
「淳……………」
沢山の本棚と、明かり取りの細長い窓から照らされる、陽射しだけが映し出す静かな世界で、自分のネクタイを外し、シャツを脱ぐ淳の姿に、颯は息を飲む。
いつ見ても、淳の身体の美しさは、群を抜いていた。
海や大和も、充分に綺麗で鍛えられたものではあるが、長い間休む事なく身体を鍛えてきた淳には、敵わないと思えた。
「颯………愛してる………」
板張りのワックスが光る床に颯を寝かせると、淳は颯の服を脱がせながら熱い口付けをした。
「あんっ…………じゅ……誰にも、言えない秘密だね………ぁあ」
「…………だね…………悪くないかも………」
唇を重ね、颯の下半身に手を偲ばせ、淳は目の前にいる愛しい幼馴染みを見つめる。
「颯のここ、もう糸引いてる…………」
「あ…ぁあっ……そこ……や……っ」
淳の手が颯の半身を捉え、先を刺激するように指で撫でる仕草に、颯はたまらず身体を震わせ淳にしがみついた。
「気持ちいい?もっと、いい声聞かせて…………今は、俺の颯なんだから」
「はぁぁんっ………淳っ……」
自分にしがみつく颯を抱えて腰を浮かせると、淳は指に絡まる颯の先から出た蜜を舐めり取り、颯の中へ一気に指を探り挿れた。
「やっ……あぁんっ!じゅっ……ぁあっ…そこ、だめぇ……っ!」
淳の指が颯の敏感な部分を擦り、いやらしい音を立てて出し入れする。
「ここなんだね………颯のイイ所………」
「あんっ……んっ………イっちゃう……はぁっ……もうイっちゃうから………ぃやっあぁんっ」
「ホント………可愛い………」
淳からの途切れない攻めに喘ぐ颯を、淳は抱き寄せて唇を求めた。
「我慢出来ないな…………入れていい?」
「………い………いいっ…………入れてっ!淳の、淳の………いっぱい、欲しぃっ」
グチャグチャと、静かな書庫にいやらしい音を響かせ、颯の身体を突き上げる淳の指の動きに、颯は身体を揺らしながら淳を欲した。
「……颯………っ…」
色っぽく自分を見上げ、背中に腕を絡ませてくる颯の姿に、淳も身体を絡める様にその肉体を密着させた。
「淳…………っ」
窓から溢れる陽の光が、絡まる二人の身体に沸き立つ汗を輝かせ、より高みへと昂らせる。
そんな熱気に包まれながら、淳は颯の脚を優しく開き、颯の艶やかな姿にいきり起つ半身を、ゆっくりと飲み込ませた。
「んっぁああっ………すご……やぁあっ……おっきぃっ!淳っ……あぁんんっ」
「くっ………颯……やっぱり、お前の中………いぃっ……」
淳の大きくなった半身の快感に酔いしれる颯に、淳も颯の身体の心地好さで全身が痺れた。
「淳……っ……淳っ!」
颯は淳の名前を無意識に呼び続け、淳の胸の中で腰を動かす。
「はぁっ………颯………ヤバい、気持ち良すぎ………っ…」
淫らによがる颯の姿に、淳は耐えられず激しく腰を突き上げ颯を抱え上げた。
「ひゃあっ………だめっ!だめっ………奥まで入ってるっ……ぁんあんっ……身体がっ…ぁああっ…おかしくなるっ………じゅっ……イっちゃうぅ!イっちゃうっ!はぁああっ……」
「イこう!……っ……二人で、イこうっ………お前とイきたいっ!」
涙を浮かべ、淳に身体を委ねる颯の唇を舐めるように貪ると、淳は一層と強く颯の身体を上下に揺らし、抱きしめた。
「ぁあっ………淳っ!イクっ……イクよぉっ!!ぃやぁああっ……っ」
「………れも…………俺も、もうイクっ……!颯………っ!」
その途端、二人の身体から熱く淫らに染まった体液が飛び出し、動悸で揺れる身体を満足感で包み込んだ。
「…………はぁ……はぁ…………身体が、ジンジンする………」
「ごめん………はぁっ…………颯の身体、久々だから………興奮した」
「………俺も、淳………久々だから………感じ過ぎた………」
揺れる身体を淳の胸に沈め、颯は余韻に浸った。
「マズイ…………掃除、して帰らないとな」
二人の周りに飛び散った体液と、汗を目にして、淳は苦笑いして話した。
「……………だね……」
颯も気まずそうに答える。
「……………颯」
「ん………?」
淳は、脱がせたシャツを颯の肩にかけると、まだ少し息の切れている颯にキスをして、真面目な顔で口を開いた。
「この事、もし大和にバレても、全部俺のせいにしろよ?」
「…………え………」
「俺が、颯を無理矢理犯した………いいね?」
「淳……………」
どんなに颯を想っていても、どんなに自分を抑えられなくても、今、颯を掴んでいるのは大和である事には変わりない。
その事実がある以上、悪いのは自分であると、淳は自分を戒める。
「………苦しめて、ごめんね…………」
颯を苦しめるとわかっていても止められない。
淳にとっても譲れない想いが、胸の奥底で消せない炎のように燃えていた。





ハルです。
ありがとうございます。
この回は、少しはエロくなりましたでしょうか(汗)
こんな感じで、エロさやシリアスさ等交えながら1話ずつ更新したいと思っています。
毎回ですが、更新は不定期です。すみません(>_<)

本当に、ずっと読んで下さっている皆様には、いつもお礼申し上げます。








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