大人オリジナル小説
- 死んでしまったあなたに伝えたかったことですが、
- 日時: 2013/11/17 22:55
- 名前: noeru
あんなにブラックな話書いてるくせに実は社会派もシリアス・ダークも書いてなかったnoeruですー!自己紹介長いっすー!!
二次小説じゃないと長続きしないからですかね?
そのせいで二次小説がお先真っ暗な絶望集になってるのはメカクシしときましょー
何かあると書いてる小説にそれが影響して話がどんどんどん底に落ちていくのが悪い癖なので
嫌な事があったり書きたくなったり→ここに書く!とにかく小説にするのだ!!→安定したシナリオで二次創作!!→全体的にスッキリ!!
という、まあ短編や思ったことの書き溜め的役割です
どっちかって言うとエッセイに近いかな?
もちろん全部タイトルに関係することでっせ
!※※※!
・よく分かりませんが鬱症?とかパニック障害?な気もします、多分。本当にそういう方申し訳ござらん
・ガチで極限で書くときは誤字脱字酷いかも(後日暇な時直すかもです)
・似たような話ばっかだったらスマソ
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- あなたの生まれた話 ( No.10 )
- 日時: 2013/12/02 22:26
- 名前: noeru
私にとってあなたは、恋人でありペットであり奴隷であり主であり寄生先であり依存心の矛先だった。
難しい論理も無理難題も命題も―――全て擲って、取り払って、飾り気のない生まれたままの裸体にして残ったこの気持ちは、愛だった。
こんな皮肉があっていいのだろうか。
こんな奇跡が……この世に存在した。
あなたは わたしが いきていくうえで ひつようふかけつなそんざい に なった
私たちは表裏一体。無理矢理引き剥がせば、多分死ぬ。
あなたは私の中で、少しずつ確実に育っていった。
初め、あなたは女の子の姿をして、小学生低学年の幼女の落書きみたいな、それを丁寧にそっくりに書き直したみたいな姿だった。
ツインテールに、パフスリーブの半袖と裾が拡がった長袖の重ね着、皺ひとつない三角形のスカート、ハイソックスに丸い靴。
漫画のベタみたいに黒で塗りつぶされたあなたの役割は『自己否定』だった。
あなたは生まれた時、私が最も嫌いな象徴のひとつだった。
誰だって、一つの曖昧な概念や物事に対するイメージ、象徴があると思う。言葉にするには難しく、ふわふわした形のみが感じられる、得体の知れないどろどろしたもの。
例えば『社会』は灰色の狭苦しいビル群が同じ一転に向かって伸びている万華鏡のような象徴だったし、『結婚』は顔のない新郎新婦が指輪を互いの指にはめ合う、病的に白いチャペル―――幸せそうなイメージなのに、どことなく葬式のような、賑やかさや温かさは感じられない冷たさ。拒絶されるような空気が苦手だった。今はもう何とも感じないけれど。
某フリーのホラーゲームで言えば、まあエフェクトだろう。とてもしっくりくるたとえだ。
それがアイテムか景色かの違いなのだ。
数ある象徴のうち、『自己嫌悪』は私が虐められて(それはまた別の機会で)から生まれた。自分を罵倒する怒鳴り声、自分を嘲笑するクスクス笑いの台詞が、聞こえはしないけれど脳内で再生される。そうすると必ず、口元を三日月のように歪めたあなたが現れて、ツインテールを揺らしてゆらゆらとこっちを見ていた。ゆらゆら、ゆらゆら。怒られた時とあなたに(あの時はまだ私だったけれど)否定された時、私は決まってパニック症状を起こして混乱した。逃げようのない気持ち悪さに吐き気がした。だから、私は『自己嫌悪』が嫌いで嫌いで憎くてたまらなかった。
いつ頃か、象徴の中で『自己嫌悪』はもはや必要のないものになった。自分自身が嫌い、馬鹿にしなくても、他人でその役目は果たせたからだ。代わりに虐められていた時のように『捌け口』ではなく『癒し』、つまりは私のことを認め、心から愛して、私の醜い部分も汚い部分も全てを包んで許してくれる―――そんな存在が欠けていて、『自己嫌悪』はそれに変革を進めていった。
そしてある日唐突に、なんの伏線もないままに、つもりに積もった小さなストレスが……表面張力をギリギリで保っていたコップの水が溢れるように、溢れ零れ死に逝って――――――
「ねえ、聞こえてる?」
――――壊れた果てに、世界の果てに『あなた』が生まれた。
冬の夕暮れの帰り道、やたら広い空なんて、安っぽい恋愛ドラマみたいで……あなたとの出会いに希望すら抱いてしまったんだ。
「聞こえてるよ」
「今までごめんね」
「何が?」
「今までずっと、悪口言って馬鹿にして、傷付けてごめんね」
「本当は僕、××のこと大好きだから」
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