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愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL
日時: 2025/10/15 23:15
名前: 極彩の魔女 (ID: s26dq553)






「 待ちくたびれたよ、お姫様 」



たくましく精悍な佇まい。

白い花の香りが漂うような甘いマスク。

獲物を狙うようなアルカイックスマイル。

庭師が鋏を手にするように、コックが刃物を手にするように、皇子たちは鎖と首枷を手に笑った。


【 皇子と姫と魔女 / 一風変わった跡目争い / 仄暗いファンタジア / 1:1 / 換骨奪胎 】


: 指名式トピ
: 提供は男性のみ
: 募集は"魔女に創られたお姫様"、男性Cも姫と呼ばれ歓迎されます
: 世界観を大切に
: マナー・良識を守れる中級者様以上優遇
: 参加者様以外の横槍禁止
: 即レス・置きレス切り替え可能
: 指名変更、指名被り、連続指名可能
: 上下の空白必須
: 短〜中ロル推奨、筆が乗れば長文も歓迎

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Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.25 )
日時: 2025/11/08 17:40
名前: ざざ (ID: f30p0hGp)


彼の声が落ちるたび、胸の奥のどこかが静かに波打った。
緊張はまだ残っているのに、不思議とその響きが心をほどいていく。
名を尋ねられて、ほんの一拍、迷ってから唇を開く。

「……リンデン。リンデンとお呼びくださいませ。……ジーク様。」

 その名を口にした瞬間、胸の奥がわずかに揺れた。
 第一皇子であらせられる方を、こうして名で呼ぶなど――本来、許されぬことのはず。
 けれど、あまりに謙り過ぎるのも、かえって無作法に映るのではないかと思う。
 わたくしは“市民”ではない。
その境の上で、ただ慎ましく、正しく在ることを心に定めた。

 そうして再び声を発したとき、自分でも驚くほど、その響きは静かに整っていた。

 思いがけないお誘いに、胸の奥がふっと熱を帯びる。
気づけば、視線が自然と輝きを宿していた。

 本でしか知らなかった遠い国の花。
夜の帳が降りる頃、その香りをいっそう甘美にするという――魅惑の夜来香。
まさか自らの目で、それを見られる日が来るとは思いもしなかった。

もちろん、すぐにでもお誘いを受けるつもりだった。
けれど、足を止めた先に目的地が見えた瞬間、思わず口を閉ざす。

 薬品の香りが漂う静かな室内。
ベッドの縁へとそっと下ろされると、ジーク様はまるで勝手知ったる自室のように、
必要なものを迷いなく手に取っていく。
その後ろ姿を、ただ見つめてしまっていたことに気づき、慌てて口を開いた。

「ジーク様。先ほどの夜来香のお話……本での知識はございますが、実際に見たことはありませんの。
夜になればさらに強く香るそうで……とても気になってしまいますわ。」

 言い終えるのと、彼が膝をつくのと、どちらが早かっただろう。
恐れ多さを感じるよりも早く、濡らした布が傷口を掠めた。
ひやりとした感触が肌を撫で、次いで、微かな痛みが遅れて訪れる。
思わず肩が揺れた。

 次第に痛みが静まっていくのを感じながら、その指先を見つめる。
無駄のない所作、迷いのない動き。
まるで、何度も人の傷に触れてきた者の手のように――。

 (……皇子でいらっしゃるのに。)
胸の内でそう呟いた。
本来ならば護られる側の方。それなのに、その手には熟練の医師のような確かさがある。

 ガーゼを当てる角度も、圧の加減も、すべてが的確。
そこにあるのは気まぐれな優しさではなく、経験に裏打ちされた確かな手つき。
 どうして――と問いかけたくなる気持ちが溢れそうになる瞬間、彼の穏やかな声が落ちた。

 その心地よい声音に耳を傾けているうちに、手当てが終わる。
顔を上げた彼の瞳は、柔らかな光を湛えながらも、どこかに決意の色を宿していた。

 背後から差し込む夕陽がその姿を包み込み、跪く様はまるで御伽話に登場する勇敢な騎士のようだった。

「……まるで騎士様のようですわ。ふふ、ありがとう。」

 頬が自然と緩む。そんな感覚は、一体いつぶりだっただろう。

「それでは――甘美な匂いの花まで、エスコートしていただけますか?」

 沈みゆく陽に照らされた皇子へと、ゆっくりと手を差し伸べた。


Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.26 )
日時: 2025/11/08 16:31
名前: ジーク/第一皇子 (ID: 1866/WgC)


>>リンデン姫( >>25)

リンデン姫。__良い名ですね。
(色に狂った性悪の魔女が与え給うた名とは思えないほど美しい響きだ、素直に抱いたのはそんな感想で終ぞ言葉に乗せる事はなく。夕陽に透けて消えてしまいそうな細い腕が離れてしまう前に、薄い手を捕まえてその甲へ触れるだけのキスを落とし「 あなたが望むなら、私はあなただけの守護騎士に。 」だからあなたも私だけの姫に、危うくそう口に出しかけて口を噤み、誤魔化すように一度俯いてするりと手を放し、次に顔を上げればそこには何ら変わりのない笑み。「 申し訳ない、今宵はお見送らせて下さい。これが招待状代わりです。約束ですよ、リンデン姫 」日を改めてご帰宅までを見送らせて欲しいと申し出て、お誘いを否定されなければ懐から名刺を一枚取り出す、ペラペラの紙ではない不思議な材質の重くつるりとしたそれを彼女の手へ握らせ。冗談抜きだと感じさせるにはあまりに説得力の有り過ぎるそれは皇族に御近付きになりたい全ての人物が喉から手が出るほど欲しがる程のもので、本来ならば式典でしか譲渡しないような代物。聡明な彼女であればこれの価値が分かるだろうと、そこまで計算して渡すそれはある種恋文にも近く。「 姫はどちらにお住まいですか。本当はこの足でお帰しするのも気が引けますが、せめて馬車を御用意させて下さい 」慎ましやかな姫の事だ、断ってくるだろうと思いつつ治療道具を片付け、足の傷に障らぬようそっと靴を履かせてから曲げていた膝を伸ばして立ち上がり"立てますか、"と気遣いを見せつつ手を差し伸べて)

Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.27 )
日時: 2025/11/10 08:28
名前: ざざ (ID: PJ6eXMON)


皇子が私の手を取った。

その指先がそっと手の甲に触れ、柔らかな唇がそこに触れる。

あまりにも自然で、ためらいのない動きだった。

まるで何度もそうしてきたかのような、淀みのない仕草。

私は抵抗することも忘れ、ただその光景を見つめていた。

夕暮れの光が、二人の間を淡く染め上げる。


 「――あなただけの守護騎士に」


甘く響いたその言葉は、風のように優しく、どこか儚かった。

けれど、それが本心であるはずもない。

皇子の公務は、私には計り知れぬほど数多の微笑みと駆け引きの場に満ちているのだろう。

その中のひとつとして、私への言葉もまた、儀礼のひとつに過ぎぬのかもしれない。


そう思いながらも、唇が触れた場所の微かな熱が頬にまで広がる。



 第一皇子が、そう簡単に時間を割けるはずもない。

当然のこととは分かっていても、夜来香の花を共に眺められなかったことが、ほんの少しだけ胸に残った。


代わりに、皇子の手からそっと渡されたものがある。

指先に触れた一枚――それを“名刺”と軽々しく呼ぶことさえ許されぬ、重くつるりとした材質。

約束と呼ぶには、あまりにも深い意味を孕んでいるように思えた。


 「こ、このような物……わたくしには、あまりにも…!」

慌てて返そうとしたが、皇子の桃色の瞳と目が合い、言葉を飲み込む。

その眼差しの前では、どんな言葉も意味を失う。

きっと彼は、私に返させはしないのだろう。


胸の内で幾度も言葉を選び、考えに考えた末に、静かに唇を開いた。



「……ありがたく、頂戴いたします」

言葉が空気に溶けていくのを見届けながら、そっとその一枚を誰の目にも触れぬよう懐へ忍ばせる。




――住まい、帰る場所。

皇子がそう言ったとき、浮かんだのは格子の間から日が漏れる小さな部屋。

軋む床板、乾ききったパン、折られる枝の音。

それが、私の「帰る場所」

胸の奥にひやりとした空洞が広がる。


私はそっと裾を握り、皇子に顔を向けた。

 「……もう少しだけ、外の空気を吸っていたいのです」

曇った感情を悟られぬよう、微笑みを添える。

「せっかくのご提案はお断りいたしますわ。

お気遣い頂き、ありがとうございます」


差し伸ばされた手を取り、ゆっくりと立ち上がる。

足の怪我は手当が良かったのか、痛みをまったく感じない。

歩いて帰るのには、全く問題ないだろう。

Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.28 )
日時: 2025/11/09 13:19
名前: ジーク/第一皇子 (ID: 1866/WgC)


>>リンデン姫( >>27)

……少々重過ぎたでしょうか。
(手を伸ばせば白磁のような頬へ触れる事も、あまつさえ唇を奪う事だって出来てしまう距離では彼女に背負わせてしまったプレッシャーに動揺しているのが手に取るように解って。前のめりになりすぎていたか、そう自嘲気味に眉尻を下げて幽かな笑みを口許へ凪がせ「 あなたのような素敵な女性(ひと)へお誘いを申し込むのは不慣れで__お気が向けば、その番号へコールして下さい。 」名と皇族の家紋が刻まれたその裏面に筆記体で小さく並んだ数字の羅列を指先で示し「 私への直通ですから、どうぞご遠慮なく。 」煩わしい使用人の取次を一足飛びにパス出来る、そんな軽快さを表すようにお道化てサムズアップをしてみせて。彼女にはきっと遠慮されるであろうとは思っていた、だからこそ返答に悩む事はなく華奢な手をきゅっと握って「 馬車で帰るか、王宮へ一晩泊まるか。それが私に出来る精一杯の譲歩でしたが…、今すぐなら馬車を手配し御身を安心に見送れるのです 」彼女の様子を見る限り足はそこまで重症ではない、一晩きちんと保護をして寝ればかなり良化すると見込まれる。とはいえ、このまま家まで歩かせるような無茶をさせてしまえば更に悪化してしまうかもしれない。結局どちらを選んでもお世話になるような提示を、狡いとしてもさあどうか好きな方を選んで、口に出さずとも双眸にて問い掛け)

Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.29 )
日時: 2025/11/09 14:25
名前: ざざ (ID: byaeXgri)


ーーー

>>スレ主様
こんにちは、途中で素敵な世界観を止めてしまい大変申し訳ございません。
いくつかご質問させて頂いてもよろしいでしょうか…、どちらを選んでも素敵だなと迷ってしまいまして。

1.このまま馬車で帰宅を選んだ場合、嘘の記憶なので家は無かったということになりますか?
2.姫として自覚が出てきてはいるのですが、「この国の姫」なのか「他国の姫」なのか「ただなんとなく姫」としてなのか少し迷っております。
3.姫として完全に自覚した時に嘘の記憶として植えられていた過去はどうなりますか。

お時間ある時にお答えいただけたら幸いでございます。

Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.30 )
日時: 2025/11/09 15:58
名前: 極彩の魔女 (ID: 1866/WgC)


>>29

ご質問有難うございます。
先ず1、暮らしを送らせているので一応家はある状態となります。唯、今のところ此方が考えてるのは見送れるのは城門までとしておき、絡みは馬車に乗り込む、見送るに留め、其の儘別日へ電話交流に移れるかな、と思った次第です。
2、姫としての立場を自覚さえして貰えれば良いと思っています。
3、今はお答えし兼ねます、今後進めば何れ正体を知る事にはなるかと思います。

きちんとご所望の回答が出来たでしょうか?

Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.31 )
日時: 2025/11/09 16:36
名前: 極彩の魔女 (ID: 1866/WgC)


あ、偽りの記憶ではあっても今後物語によっては魔女の思惑で今迄の交流をリセットしようとする事はあるかと思いますが、今迄の悲しさや痛みなどの感情は貴方だけのものとなると思います。

Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.32 )
日時: 2025/11/10 09:00
名前: ざざ (ID: CeAlR7mw)

 

 受け取った名刺の重みが、懐の中で確かに脈打っていた。
皇子は冗談めかしてサムズアップをしてみせたが――
国の一大事でも起こらぬ限り、こちらから易々とかけてよいものではないだろう。

「何かお耳に入れたいことがありましたら……遠慮なくおかけいたしますわ」
そう言って、動揺を隠すように微笑みを浮かべる。


 握られた手に、わずかに力がこもるのを感じた。
王宮で一夜を過ごすか、それとも馬車で帰るか
その二択を前に、胸の奥が静かに揺れる。

 この王宮で迎える夜は、きっと夢のように美しい時間となるだろう。
貴重な書物や、滅多に目にできぬ美術品もあるに違いない。
その誘惑は、もし叱責を受け唯一の自由を奪われるとしても、なお惹かれてしまうほど甘美だった。

けれど、彼にこれ以上の手間をかけるわけにはいかない。
「これ以上ご迷惑をおかけするわけにはまいりませんわ。
ですので…お言葉に甘えて、馬車のご用意をお願いいたします。」

 どちらかを選ぶなら、すぐに済む方がきっとご負担も少ない。
そう考えての選択だったが、
“この二つ以外は選択させない”とでも言いたげなその瞳の前では、
もはや断るという選択肢など存在しなかった。


ーーー


質問に答えていただきありがとうございます!
王宮で過ごすのも楽しそうだな…と思ったのですが今回は馬車の方を選ばせていただきます。
補足もありがとうございます。
交流の次第にはなると思いますが極彩の魔女様も個人的に好きでして…いつかお話しできたら嬉しいです。
引き続きよろしくお願いします、ご返信不要でございます。

Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.33 )
日時: 2025/11/10 09:53
名前: ジーク/第一皇子 (ID: s/RKTKvj)


>>リンデン姫( >>32)

__あなたはとても優しいひとですね、リンデン姫。
(耳に入れたい事があったら、と王宮での多忙を慮り人を気遣える心の暖かさに触れれば触れるほど、こんなに素晴らしい女性をあの魔女が作ったなんて信じられないと素直に抱く。彼女が本当に異国の王族の姫であったならば、何の打算も迷いも無くきっと恋に落ちていただろう。そんな浅ましさと、悍ましい目の隈の両方を隠すように少しだけ顔の向きを変えて、どうかこの隈について触れないでくれと内心で願いながら「 あなたの為ならば喜んで時間を空けますから、色んな秘密を作りましょう 」大きく動かない上品な表情が、柔らかく笑みの形を描くのが嬉しくて。もっと笑った顔を見せて欲しいだなんて身勝手な想いは堪えがたく、ふと傍にあった医師が生けているであろう小さな花瓶に一輪だけ挿さっていた鈴蘭を手に取り、彼女へ差し出し「 これも、二人だけの秘密。 」いつの間にか花が消えている事に気が付いて驚く医師の姿が目に浮かぶよう。慣れぬ悪戯の楽しさに綻ぶように、初めて白い歯を見せるように口角の上がった笑みを向けて。彼女の選択に満足そうに首肯し「 勿論。では門までお送り致します 」決して離さないように手を握ったまま、そうっと一歩踏み出して歩みを進め医務室を後にして。場を繋ぐための他愛ない世間話に花を咲かせながら、出来るだけ使用人も利用しないひと気の少ないルートを選びながら城門に辿り着き、近くにいた御者へ二言三言告げて彼女を家まで送るよう申し付け。そうして名残惜しそうに手を放しながら彼女へ対面し「 残念ながら、本日 私が御一緒出来るのはここまでです。どうか安静になさって下さいね、リンデン姫。 」御者に彼女を引き渡そうと半身を引いて、馬車に乗り込む直前になって追い縋るように手を掴み。直ぐにはっと瞠目し、自嘲するようにかぶりを振って微笑み「 …いけませんね。次 あなたに会えるまで待てなくて__引き留めてしまうところだった 」言い終えて、今度こそするりと手を放し一歩退いて。「 お休みなさい。どうか素敵な夢を。 」胸元へ手を添え一礼、去っていく馬車が見えなくなるまでその場で彼女を見送ろう)

___
区切りが良さそうでしたので一旦回収をさせて頂きました!其方からも〆て頂ければ。THE・お姫様な指先まで淑やかで上品な振舞の中に、ふと垣間見える女性らしい魅力に皇子共々惚れ惚れしてしまいました…!是非是非、ある程度王宮に慣れてきたタイミングで魔女とも対面してみて下さいませ!さてさて、早速続く交流についてですが、ジークとの電話交流は如何でしょうか?次回の絡みは他の皇子とも絡ませようと思っています。

Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.34 )
日時: 2025/11/10 13:09
名前: ざざ (ID: iCAwesM8)



 一輪だけ挿してあった鈴蘭の花を、皇子がそっと手に取る。

その瞬間、初めて――悪戯っぽく歯を見せて笑った。

どこか凛とした面差ししか知らなかった私は、不意に胸が温かくなり、思わず笑みを返してしまう。

 「とても素敵な秘密ですわね」



そう口にしたとき、心の奥にふわりと嬉しさが灯った。

差し出された一輪の鈴蘭を、両手で受け取る。



握られた手はそのまま離されず、皇子はゆるやかに歩みを進めた。

きっと、私の足を気遣ってのことなのだろう。

男性の歩みとは思えぬほど穏やかな速度と、交わされるたわいのない世間話――

それらが、胸の奥を静かに解いていくようだった。



 どれほどゆっくりと歩いたのだろうか。

それでも、城門までの道のりはあっという間に過ぎてしまった。


皇子が御者に二、三言葉をかける。

その後に、繋がれていた手が離された。

ふと、思い出したように懐へと手をやる。

取り出したのは、リンデンの葉と花で作ったハーブティーの包み。

隅に控えめに自宅の番号を書き

 「どうぞ……ほんのささやかな物ですし、お口に合うかは分かりませんが」


眠れぬほどに公務に追われる皇子へ。

きっとこんな物よりももっと良い物を普段から口にしてはいるのだろうが

せめて安らかな夜が訪れるようにと願いを込めて、両手でその包みを差し出した。





 馬車へと乗り込もうとしたそのとき

温かな手の感触が、もう一度私の手を包む。



 「……ジーク様?」



振り向けば、驚いたような表情で皇子が立っていた。

引き止めてしまうところだった――

その言葉が本音なのか、それとも別の想いを隠しているのか、私には分からなかった。

やがて手が離れ、わずかな空気の震えが残る。



 「ジーク様も……どうか安らかな夜を迎えられますよう。

  おやすみなさいませ」



そう告げて、私は静かに馬車へと乗り込んだ。

車輪の振動が足元から伝わり、世界が少しずつ遠のいていく。



 膝の上に置いた鈴蘭の花を、そっと見つめる。

白く細やかな花弁が、夕陽のオレンジに透けていた。

 「――再び幸せが訪れる。

  本当に素敵な秘密ですわ」

 小さく呟いた声が、馬車の中に優しく溶けて消えた。

ーーーー

ありがとうございます!!こちらも〆ることができました!
ジーク様の優しさと稀に滲み出る魔女様への恨みに心が掴まっております…
電話交流お願いします!リンデンからはなかなかかけられそうになくて…もしよければかけてあげて頂けると嬉しいです…。
他の皇子様とも!とても贅沢させてもらってます…嬉しいです。

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