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愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL
日時: 2025/10/15 23:15
名前: 極彩の魔女 (ID: s26dq553)






「 待ちくたびれたよ、お姫様 」



たくましく精悍な佇まい。

白い花の香りが漂うような甘いマスク。

獲物を狙うようなアルカイックスマイル。

庭師が鋏を手にするように、コックが刃物を手にするように、皇子たちは鎖と首枷を手に笑った。


【 皇子と姫と魔女 / 一風変わった跡目争い / 仄暗いファンタジア / 1:1 / 換骨奪胎 】


: 指名式トピ
: 提供は男性のみ
: 募集は"魔女に創られたお姫様"、男性Cも姫と呼ばれ歓迎されます
: 世界観を大切に
: マナー・良識を守れる中級者様以上優遇
: 参加者様以外の横槍禁止
: 即レス・置きレス切り替え可能
: 指名変更、指名被り、連続指名可能
: 上下の空白必須
: 短〜中ロル推奨、筆が乗れば長文も歓迎

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Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.101 )
日時: 2025/11/18 15:33
名前: ジーク/第一皇子 (ID: s/RKTKvj)


>>リンデン姫( >>100)

(魔女の褥に呼び出されなければ篭り書類仕事に向き合い、誰もが寝静まり一人静かに彼女を想いながら啜るひと時を過ごしていたが、其の必要がなくなり「 貴女が?――はい、是非に。 」休息が取れたら、貴女が淹れてくれる事に微笑みを湛えながら意気込みも含め確と聴き留めた。道中での話題にと挙げたのは昨夜のディナーのことで「 昨晩の貴女は一段とお美しかった。実は、貴女がお召しになっていたドレスを見てとても懐かしくなったのです。……母上のドレスに、とてもよく似ていたので 」懐かしさを覚えたとはよく言ったもので、ディナーの場でさえ表には出さなかったものの強く抱いた感情は不穏な動揺だった。きっとあのドレスはこの世に二つとないオートクチュールの筈で、彼女があのドレスに出会うには王宮関係者の手助けがなければ不可能に限りなく近い。ディナーの場で彼女の美にのみ賛辞を贈りドレスには一切言及しなかったのは、その真実を知ることで嫉妬あるいは怒りに情緒を染め上げられて折角の空気を壊すことを厭ったから。どこで手に入れたドレスなのですか?等はっきりと問に出すような無粋な真似はせずとも暗にその疑問を呈しながら、微笑みはそのままに内心で覚悟を固めて)

___
キリ番おめでとうございますー!

Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.102 )
日時: 2025/11/18 18:05
名前: ざざ (ID: 0jBqS0Km)


 並んで歩む足取りは、つい先ほどまであれほど軽かったのに。


――母上の、ドレス。

小さく息を呑んだ瞬間、世界の色がわずかに変わった気がした。
昨夜のドレスのこと。
あの部屋に入ったとき、胸の奥に生まれた奇妙なざわめき。

どうして気づかなかったのだろう。
どうして、あの違和感を無視したのだろう。
なぜあんなにも簡単に流してしまったのか。

知らなかったとはいえ、
それでも王妃のドレスを身にまとうなんて。

不敬どころの話ではない。

「……っ」

気づけば、そっと添えていたジーク様の腕から手を離していた。
離れた手のひらが、急に冷たくなる。


胸の奥で煮えたような羞恥と恐れをごまかすことなく。

「申し訳ございません」

深く、深く頭を垂れた。

「知らなかったとはいえ……昨夜お借りしたドレスは、きっと王妃様のもの。
そのような大切なものを、わたくしなどが身に纏うなど
……どんな罰でも、お受けいたしますわ」

声は震えなかった。
震えさせてはならないと思ったから。


今はただ、申し訳なさと恐れで覆い尽くされてしまって
 
頭を下げたまま、わずかに強く唇を噛んだ。


ーー
キリ番!!嬉しいー!!!
あっという間に100なんですね…。
これからもよろしくお願いします!!

Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.103 )
日時: 2025/11/18 19:06
名前: ジーク/第一皇子 (ID: s/RKTKvj)


>>リンデン姫( >>102)

え、違う、違うんだ。…………お借りした?
(腕に添えられた温もりが失われ、寂しさを覚え眉を下げながら慌てて体温を追い畏れさせる其のつもりは無かったのだと否定しようとする。が問いに対する解を渡された瞬間、澱みなく進めていた歩みをはたと止めて。与えられた解を噛み砕いて理解するような間を含んだ後に零れ落ちた声は、依然として穏やかであったもののお借りした、とは即ち手助けした者がいると云う事であり疑問とも合点とも怒りとも嫉妬とも取れるような複雑な温度を孕んでいて。ふと罰、が聞こえ頭を下げさせたままな事に速やかに我に返り、困ったように眉を下げ微笑みの様相は残したまま「 ……頭を垂れないで、顔を上げて。貴女を責めたいわけではないのです。私はただ―――― 」いつだって揺らぐことのなかった第一皇子の流暢な語り口調はここにきて暫し沈黙に変わり。伝えるかどうかを迷うように目を伏せ、そして決意とともに静かに深く吐息して「 貴女が、私ではない誘導したであろう恐らく他の皇子と二人きりの時を過ごしたのだと。……その事実を信じたくなかったのです。――――軈ては国を統べる者とは思えない、醜い嫉妬だ 」自嘲の笑みは確かに浮かべられているものの、穏やかな双眸の奥には確かにゆらゆらと独占欲の昏い炎がちらついて。とはいえお姫様相手に感情に任せて尋問紛いの詰問をするほど無粋ではなく、一体【手助け】をしたのが誰なのかは使用人に聴けば造作もなく掌握出来ること。ふっと何かを切り替えるようにいつも通りに微笑めば途端に柔和な雰囲気を取り戻して「 ドレスの件はどうかお気になさらず。暫くは誰も着る予定のないものですから 」それはとてもとても違和感のある言葉。造られたお姫様を含む全国民には、王妃は健在であるとダミーの認識を刷り込まれている。お姫様だけが知らない魔女のゲームの真実に一歩近付くような言葉が意図的であるか否かは誰にも分からず、皇子は「 すみません。さあ、参りましょう 」と止めていた歩みを再開させて)

___
お姫さまにキリ番を取って貰えて良かったですー!
筆が進むばかりに長文での遣り取りですが、此処までこれて嬉しいです、お付き合い有難う御座います!
今後ともよろしくお願い致します。

Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.104 )
日時: 2025/11/18 20:28
名前: ざざ (ID: PivAKqVG)

 
 
 頭を上げる許しを得て、そっと顔を上げた瞬間
私の呼吸は、小さく震えた。

いつも穏やかで、決して揺らぐことのないはずの第一皇子の声音が、
ためらいに沈んでいたから。

困ったように浮かべられた自嘲の微笑み。
けれど、その奥底に潜むのは淡い影ではなく、確かに熱を帯びた何かで。
私はそれを触れたら壊れてしまいそうなほど脆くて
なのに、どうしようもなく愛おしく思えてしまった。

思わず手を伸ばして抱きしめ、“大丈夫ですよ”と伝えたくなるほどに

しかし次の瞬間には、いつもの優しく凛とした第一皇子がそこに戻っていた。

彼の口から続いて出た言葉は、ふとした違和感を胸に落とす。

 暫くは誰も着る予定のないものですから。

優しい声音のままなのに、なぜかざわりと胸が波立った。
あの部屋に足を踏み入れた時に覚えた、不自然なざわめきが再び蘇る。

王妃は確かに健在、そのはず。


けれど。

最後にその御姿を見た日が、どうしても思い出せない。

記憶の中に霧がかかったようで、深く考えようとしたその瞬間、
歩き出した彼に現実へ引き戻された。

「……、ジーク様…」

遅れないように慌てて足を進め、横へ並び直す。

名を呼んだまま次の言葉が喉の奥で渦を巻き始める。

何を話せばいいのだろう
ただ他愛もない話をして空気を和らげるべき?
それとも、なぜ嫉妬を?と聞くべき?
はたまた王妃はどちらに?と疑問をぶつける?

けれど、その選択肢はどれも重すぎるように思えて、
次の言葉が出ないまま足元ばかりを見る自分がもどかしい。

ーー

こちらもついつい気付いたら長くなってしまっていて…楽しいです…
次のキリ番も踏めるようお付き合いくださいー!

Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.105 )
日時: 2025/11/18 21:35
名前: ジーク/第一皇子 (ID: s/RKTKvj)


>>リンデン姫( >>104)

……貴女は寛大な女性(ひと)ですね。
(立派な大人が弟に嫉妬だなんてと謗られてもおかしくないのに、余裕のない男だと失望されても仕方がないのに。姫の吐息や視線は落胆ではなくもっと甘くて深くて包み込むような意味を孕んでいるように見えて、少なくとも罵る気はないのだとじんわり伝わったか、歩みを再開させる間際、微笑を返して。何を話すか迷っている様子を悟りつつ「 ――これよりお連れするのは、庭師も弟達も知らない私の秘密の花園です。鍵を持つのは私と、特別に信頼を置く一人の使用人だけ。彼にすら、私の指示無しに立ち入る事を禁じています 」小鳥のさえずる庭園にはきらきらと穏やかな日差しが降り注ぎ、この世の見せかけだけの平和を謳歌するようにあちらこちらへと蝶が舞う。いつもは束の間の小休止にと見守るそれらに目もくれず、隣を歩む美しいお姫様だけを見つめながら、ロマンチックな童話を語るように言葉を綴って「 誰かを案内するのは、リンデン姫…貴女が初めてです。 」姫の何もかもが自分にとって特別なのだと全身全霊で伝えるように、柔和な微笑みはそのまま向ける眼差しは愛に真剣な男そのもの。「 ですからどうか、姫と私だけの秘密に。 」髪飾りのようなリンデンの葉を、右手でふわりと触れるか触れないかの強さで撫でて。庭の一角、瑞々しい青葉を湛える生垣の迷路を淀みない足取りでエスコートを進めていると、程近くから足音が聞こえる。土を踏みしめる重みのある音から鑑みて恐らく男性なのだろう、このまま進めば鉢合わせてしまいそうなところで軽やかに半身を翻し、マントの中に姫を匿うような恰好でそっと華奢な肩を抱き隠してしー≠ニ密やかな声と共に人差し指を唇に添えて。こちらに気付いたのか否か、何事もなく通り過ぎていく足音を確認すれば吐息を感じられる距離の姫の顔を見下ろして「 ……見つかってしまうところでしたね 」楽しそうに茶目っ気たっぷりにくすくすと笑って)

Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.106 )
日時: 2025/11/18 21:51
名前: 極彩の魔女 (ID: s/RKTKvj)



>使用人が盤上に駒を進めたみたい。手合わせするかは姫次第!(>>94


>こんな姫が居たらいいな。(>>12


>>1 : 世界観

>>2 : 詳細

>>3 : 提供 / 皇子のプロフィール

>>4 : お姫さまはこっちだよ。
 ●優遇・冷遇は【>>15】参照

>>5>>6 : すこしだけ補足


●備忘用↓
www.otona-kakiko.com/bbs/bbs1/index.cgi?mode=view&no=704

●物語の栞↓

: リンデン姫 <<< 第一皇子ジーク(>>105

Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.107 )
日時: 2025/11/19 06:19
名前: ざざ (ID: kKmRLwWa)



 再び歩みを進められたその背を追いながら、
私はは先ほど胸の奥に飲み込んでしまった言葉たちが、
まだあたたかく息づいているのを感じていた。

けれど
次に告げられた言葉は、そのすべてを一瞬で吹き飛ばす。

 
彼が歩きながら静かに紡ぐ声。
咲き誇る花々、陽光、鳥のさえずり
そのどれもが、わたくしたちを美しい童話の中へ誘うようで。
そして彼の言葉は、その中心に灯りを落とした。

そんな場所に
私を、連れていく……?

花々の香りよりも強く、
日差しより眩しく、
ただ彼の姿だけが視界の焦点になってしまう。

「 誰かを案内するのは、リンデン姫…貴女が初めてです。 」


「……初めて……」

その声は、自分でも驚くほど小さく震えていた。

彼に視線は
その柔らかさの奥で静かに燃える熱が真剣さを伝える

そんな場所を
そんな大切な秘密を。
彼は、私に分け与えてくれる。

リンデンの葉を指先でふわりと触る
触れるか触れないかの優しさが、
ただそれだけで息を奪われるほど心地いい。

「…ジーク様は、なぜ……わたくしをそのように扱ってくださるのですか?」

喉から零れたのは、それだけ。
それが今のわたくしの精一杯で。
声が震えていたかもしれない。

私だけが特別なのだと、思ってしまいそうで。
そんな思い上がりはしてはいけない、と言い聞かせる自分と、
いいえ、きっとそうなのだと囁く自分が胸の中で渦巻き、
頭の中が混乱しそうになる。

生垣の迷路を進む彼のエスコートに導かれながら、
夢の中を歩いているような心地で足を運んでいた、そのとき。

足音。

重く、確かに近づいてくる気配。
次の瞬間ジーク様は流れるような動きで私を引き寄せた。

ふわりと、マントの内側に抱き寄せられ
「しー」とそっと唇に指が添えられる。

「……っ」

あまりにも近い。
吐息が触れてしまう距離。
胸が変な音をたてる。

足音が通り過ぎるまでの時間は、
土を踏む音と、
自分の心臓の跳ねる音だけが耳に届く。

そして静寂が戻り
彼がくすくすと茶目っ気たっぷりに笑った。

「……見つかってしまうところでしたね」

呆然と見上げるしかなかった。

「……っ、ジーク様……驚かせないでくださいませ……」

胸元に手を添える。
けれど鼓動の速さは驚きではなく
甘くて、熱くて、どうしようもなく幸せなもの。

言葉も、声も、想いも、
全て彼にほどけて触れてしまいそうで

それでも
その近さが、嫌ではなかった。
むしろ、このままで居たいとさえ思ってしまった。

Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.108 )
日時: 2025/11/19 07:52
名前: ジーク/第一皇子 (ID: s/RKTKvj)


>>リンデン姫( >>107)

(なぜ、そのように扱うのか。と聞いて「 まぁまぁ、一先ず着いてきてくださいよ。 」若しや伝わっていないのだろうか、目が点になりそうになる。今此処で己が彼女の扱い方を答え合わせしてしまっては駄目な気がして。「 招待したい、と思う方が今まで現れなかったんです。 」歩む先、姫が自分と魔女、懇意にしている関係との人を誤解しているとは気付いていないが、図らずして魔女より――あの夜の謎の女性よりリンデン姫の方が比べ物にならないほど特別だと真心から告げて「 だから、こうして貴女をお連れできる事が嬉しくて堪りません。ずっと…秘密を二人で守っていけたら、もっと。……ふふ、流石に欲張りすぎますか? 」先般に姫にちょっかいを出した、もとい【手助け】した皇子のことなど忘れてくれたら、自分以外の未だ言葉を交わさぬ皇子によそ見などせずずっと自分の事だけを見てくれたら。今迄の醸した重さよりずっと質量を増した感情を露わにしてしまうほど浮かれていて)

Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.109 )
日時: 2025/11/19 08:29
名前: ざざ (ID: Pm9H8cyX)


 
 続いた言葉は、またしても心をそっと掬い上げるように胸へ落ちてきた。

「 招待したい、と思う方が今まで現れなかったんです。 」

その声音は飾り気がなくて、嘘の影もなくて、
ただ真っ直ぐで――温かかった。

彼にとって、そこはきっと誰にも見せたことのない“大切な領域”。


そこへ、私を招いてくれる。



(……ジーク様。少しだけ、自惚れても……良いのでしょうか)

あの日、電話越しに聞いたあの甘い声を向けた“お相手”よりも。
誰よりも特別だと。
私がそう思ってしまっても、いいのだろうか。

そんな想いが胸に芽生えた瞬間、
息がひとつだけこぼれ落ちるように止まって、
歩幅が半歩だけ遅れた。

「……いいえ、欲張りだなんて……」

彼の“もっと”という願いは、私にとって負担でもなんでもなく、
むしろ胸の奥をくすぐるほど愛おしくて。

「わたくしは、そのお気持ちを……軽んじたりいたしませんわ」

自分でも驚くほど柔らかく、けれど確かな声が喉からこぼれた。

その言葉に偽りはない。
温かくゆるんだ胸の奥も、
すべてが彼に向かって動いている。

そして気づけば
自分の足取りは、さっきより確かに彼の傍へ寄り添っていた。
まるでその距離こそが、今の私の答えだと言うみたいに。

Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.110 )
日時: 2025/11/19 09:09
名前: ジーク/第一皇子 (ID: s/RKTKvj)


>>リンデン姫( >>109)

(浮ついていた、そんな時に姫から距離を詰めるような所作を取られては一定のリズムを刻む心臓は素直に情熱的にドクンと跳ねて。社交界での触れ合いなど飽きる程こなしてきたし、更に言えば国の為に憎らしい魔女と肌を重ねても来た。それなのに、姫が寄り添ってくれる動作くらいで年甲斐もなく舞い上がってしまう、そんな胸中を隠し切れなくてはにかむように小さく笑って。優に皇子の身長を超す生垣の迷路を端に端にと進むこと数分、そこには庭師も現在使われていないと認識している温室が。壁面には蔦が這い、扉は固く閉ざされ手入れの面影は見られない。皇子はしゅるりと胸元の白いフリルのジャボを解いて、その奥から小さな金属音と共に取り出したのはネックレスの先に括りつけた小さな銀色の鍵。錠前を外して扉を開けば、姫の為にそれを押さえて「 さあリンデン姫。ようこそ、第一皇子の秘密の花園へ。 」外観は古びているのに、室内には埃の気配ひとつ感じられない清潔感があった。高いアーチ状のガラス天井から柔らかな陽光が差し込み、スズランや白い薔薇やジャスミンなどホワイトを基調とした花々と対を成すように、デルフィニウムやブルースター、ヤグルマギクなど高貴な青色の花々が優雅に咲き誇って。花々の間を縫うように続く石畳の小道の先には白いアイアンのティーテーブル、その上には彼の言う特別な使用人が召しつけられて用意したのだろう銀のティーポットと青い花模様のティーカップが並び、ラベンダー色のクッションが添えられたヴィクトリア調の椅子が訪れた姫君を優しく歓迎して。風が通るたびに花々が揺れ、鳥のさえずりと紅茶を注ぐ音が静寂の中に溶け込む、まるで夢のような、時間の流れが止まっているような空間。誰かに見つかってしまわないうちに温室の扉を静かに閉じては姫の腰にエスコートのためそっと手を添えて「 …いかがですか?姫。 」わくわくする気持ちで感想を待ちながら、中央のティーテーブルへと姫を誘導して。その奥、確かに見えるが一見気付けさぬ意味深に閉ざされたままの黒い扉だけがこの部屋をわずかに現実へ留めるような無機質な冷たさを放っており)

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