大人オリジナル小説
- 境界性人格障害製造過程
- 日時: 2010/08/01 22:45
- 名前: みやび
境界性人格障害と戦う私と、その私を支えてくれる私の大切な家族のノンフィクションです。
最近やっと「死神」と遠くなったので、自叙伝を書いてみたいと思って書き始めました。
幼少期から書き始めるので、長くなると思いますが、よろしくお願いします。
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- Re: 境界性人格障害製造過程 ( No.8 )
- 日時: 2010/08/03 00:44
- 名前: みやび
母は専業主婦だった為、色々な趣味に走った。
近所の主婦達と共に、ニットの編みこみや、木目込み人形作り、籐細工等、
色んな事に手を出しては止め、
それと共に色んな主婦と仲良くなっては、
陰で悪口を言いふらしていた。
社宅での近所のいざこざが、ここでもまた起きたのだ。
U字型の家並みは、小さな集落だ。
暇な主婦の悪口など、すぐに筒抜けになり、
母は結局独りになった。
その愚痴を仕事から帰ってきた父に、
毎日のように事細かく話していた。
その頃から徐々に夫婦間はおかしくなっていった。
社宅に居づらくなったから、若くして郊外に一軒家を購入したにも関わらず、
また同じ事を繰り返し、毎日愚痴を聞かされる父は、
いいかげん母に嫌気がさしてきたのであろう。
母は昼間することも無くなり、
今度はパートに出るようになった。
それは、昼間だけの生命保険の外交員だった。
話し上手で、歳よりも若くきれいに見える母には、
その仕事は合っていたようだった。
母は自分の働いたお金で車を購入した。
家庭はうまくいっているようで、いってない不穏な空気。
何が起きているのかは解らなかったが、
確実に父と母とがすれ違っているのを、私は感じていた。
ある朝、いつものように玄関で母に髪を結ってもらっていると、
「なにこれ!?」
・・・と素っ頓狂な母の声。
驚いた父が私の頭を見て、
「なんなんだよ!なんで今まで気付かなかったんだよ!」
と怒鳴った。
私は自分の頭がどうなっているのか、さっぱりわからないまま、
かかりつけの内科に連れて行かれた。
そこの先生は穏やかで優しい、30代位の男の先生だった。
「こんな小さい子がなるなんてねー。」
と、先生は少しいぶかしげに静かに言った。
「うつる病気なんですか?同じ小学校の子とかでいません?」
と、少し興奮気味の母。
「うつる病気とかじゃないです。完全にストレスからくるものです。」
母の目をしっかり見つめながら、きっぱりと先生は言った。
そして母に見せた怖い顔を緩め、先生は優しく私に言った。
「勉強でもしすぎちゃったかな〜?」
私の頭には十円玉大のハゲが二つ出来ていたのだ。
円形脱毛症。
私には何がストレスなのか、さっぱりわからなかった。
勉強も宿題くらいしかしてなかったし。
「子供にはめずらしい病気だけど・・・塗り薬で治るからね」
先生は安心しなさいとでもいうように、優しく私に言った。
その時の母の顔は、
納得がいかない、ヤブ医者め!
と、言っているような表情だった。
円形脱毛症。
低学年ながらも家庭に漂う不穏な空気を感じていた私の、
初めての症状。
円形さんとは、この時からずっと私と長い付き合いになった。
今、現在も産毛の生えかけの円形が二つある。
しかし、このずっと後に訪れる病に比べれば、こんなもの、
とっても可愛いものだったのだ。
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