大人オリジナル小説
- 境界性人格障害製造過程
- 日時: 2010/08/01 22:45
- 名前: みやび
境界性人格障害と戦う私と、その私を支えてくれる私の大切な家族のノンフィクションです。
最近やっと「死神」と遠くなったので、自叙伝を書いてみたいと思って書き始めました。
幼少期から書き始めるので、長くなると思いますが、よろしくお願いします。
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- Re: 境界性人格障害製造過程 ( No.7 )
- 日時: 2010/08/03 00:30
- 名前: みやび
父はプログラマーであった。
その当時ではめずらしい職業でもあったのだろう。
若い頃、ヘッドハンティングされて、現在の会社に入った。
そして巧みな処世術 (私にとっては、ずる賢い仮面人間としか思えない) で役員になり、
現在は、定年の歳にも関わらず、あと3年の契約で、
九州支社立ち上げの為、単身赴任でその支社の社長となり、あと1年でこちらに帰ってくるらしい。
母はテレホンアポインター(昔は電話をつなぐ際、ここを介し繋いでいた)だった。
二人は恋愛結婚で、母は父の一つ年上であった。
二人はお洒落だったらしく、昔で言う「みゆき族」だったらしい。
(みゆき族とは、銀座のみゆき通りを流行の服でたむろう若者達のことらしい。)
小学校低学年の頃から、私はふたりの釣り合いに違和感を感じていた。
ふたりとも裕福な家庭で育ってはいなかったが、
父は押入れを机代わりに、蝋燭の灯りを頼りに勉学し、
通勤では読書を欠かさず、頭がよく、行動的だった。
母は色んな趣味に手をだしたが長続きせず、
勉強に関しては、低学年の問題にも関わらず、
「パパに聞いて」
と言うばかりで、母に教えてもらった記憶が無い。
正直、頭が悪かったのだと思う。
しかし、私は父に教わるのが嫌だった。
・・・と言うより、恐怖だった。
普段は優しい父が、こと勉強のことになると、
人が変わったかのように怒りながら教えるからだ。
自分が親となった今では、その気持ちも解らなくはないが、
父の怒り方は半端ではなかった。
問題の解けない私を罵倒し、怒りながら説明をする父に
私はビクビクしながら、理解しなきゃ!
早く理解しなきゃ!
と泣きながら教わっていた。
父は私を可愛がってくれていたが、
それは優秀な私を好いていただけで、
心から愛おしいというような感情は持ち合わせてなっかたように思う。
特に今、中学生と小学生の子を持つ親となった私には、
父のそのわが子への感情と、私と主人が持つ子供達への感情との違いを痛感している。
それは、私達が大人になって、父と飲みながら、
私達に打ち明けた驚くべきエピソードからも覗える。
父はほろ酔いながら、ふいに告白した。
私が小学生に上がってから、一軒家という事もあり、
私と妹は雑種の犬を飼い始めた。
母も動物は好きで、私達は雑種ながらも賢いその犬を
とても可愛がっていた。
父はその犬を、夜中、内緒に捨てに行ったと告白した。
「夜中に捨てに行ったのに、帰ってきちゃうんだもんな〜」
と笑いながら驚愕の事実を話す父に、
私と妹と私の主人は完全にひいていた。
やっぱりこの人もおかしかったんだ・・・。
私が病を自覚してから、母だけでなく、父の異常さも感じたエピソードだった。
母は私よりも妹を可愛がっていた。
買い物や外から母が帰ってきて、一番に言う言葉は決まって
「Mちゃ〜ん?」
私の名が呼ばれたことは一度もない。
ただの一度もなかった。
それは、私が家を離れるまでずっと。
私は低学年ながらもそのことを気にしていて、
隣の子供のいない夫婦のおばさんに
「ママは私のこと嫌いなのかな?」
と聞いたことがある。
おばさんは私の頭を撫でながら
「そんなこと絶対ないと思うわよ」
と優しく微笑みながら言ってくれた。
そのおばさんは、旦那さんの両親と同居していて、
子供がいなかったせいか、私や妹をとても可愛がってくれた。
母もそのおばさんと一番仲がよかった。
母がいない時、おばさんちによく上がりこみ、
玉子焼きを食べさせてもらった。
ソースをかけて、玉子焼きを食べたことの無かった私達は、
「おいしい! おいしい!」
と、パクパク食べて、
「もう一個作って!」
とお願いし、おばさんは嫌な顔ひとつせず、
10個位の卵を使って作ってくれたと思う。
母と共におばさんちにお邪魔した時は、
おばさんのウエディングドレスを着させてもらい、
写真を撮らせてもらったりした。
私はそのおばさんが大好きだった。
しかし、そのおばさんとも話せなくなるような状況を母は作った。
ずっと、おばさんと話せていたら、
私の人生も少し変わっていたのかもしれない。
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