大人オリジナル小説
- 飛べない少女
- 日時: 2011/06/05 15:52
- 名前: 優
〜プロローグ〜
君は言ってくれたね。
―――“いじめなんてする人が悪いんだから”
―――“あんたには、仲間がいるじゃん”
でもね・・・・・・
その言葉は、あたしを苦しめるだけ・・・・・・
いじめをする人は、自分が悪いなんてこれっぽちも思ってないんだから。
そう思っても、何も変わらないんだよ・・・・・・
そう言ったって、綺麗ごとって笑われるだけなんだよ・・・・・・
仲間なんていないよ。
隣にいる君さえも、どうせ仲間じゃないんでしょう?
だったら、どうして一緒にいてくれるの?
励ましてくれるの?期待させるの?
あたしの仲間は誰なの?どこにいるの?
その人は、あたしを救ってくれるの・・・・・・?
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- Re: 飛べない少女 ( No.15 )
- 日時: 2011/06/11 13:00
- 名前: 優
〜第7話〜
教室中を包む、どこかピリピリとした嫌な空気。
それを遮るように、聞きなれた声がした。
「あの・・・」
声の主を皆一斉に振り返る。
それは、菜々だった。
「これ・・・だよね?澪の・・・」
菜々が差し出したのは、まさしくピンク色の――麻友が借りたはずのシャーペンだった。
「えっ」
麻友と澪、それと数人がほぼ同時に呟く。
みづきさえも驚いたように菜々を見つめていた。
「これ、あたしのトコにあったんだけど・・・?」
・・・しかし、今の麻友にはそれすら嘘に聞こえてならない。
「なんで、そんなところに・・・」
澪が小さく呟いたのが聞こえる。
しかし、今度は澪と逆にうるさいくらいの大きな声でみづきが言う。
「うわっ!菜々取ったの〜?サイってー!」
責めるように言うと、菜々も大きな声で否定する。
「ち・・・違う!取ってなんかないよ!!」
「だって、現に菜々のペンポから出てきたんでしょ?だったら菜々なんじゃん?・・・ペンは自分で歩かないけど?」
みづきが、語尾に若干笑いを含めて言う。
麻友は菜々を庇うように言った。
「でも、こないだ一緒に勉強したときに間違えたんじゃ・・・」
だが、みづきは麻友を睨みつけると一言、
「うっせーなァ・・・あんたに聞いてないんだけど」
と低く呟いた。
発言を後悔する麻友を尻目に、澪も菜々を庇う。
「あたし、菜々が取ったなんて思ってないから!みづき、勝手に決め付けんなよな!」
それにはみづきは小さく舌打ちをしただけだった。
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