大人オリジナル小説

飛べない少女
日時: 2011/06/05 15:52
名前: 優

〜プロローグ〜

君は言ってくれたね。

―――“いじめなんてする人が悪いんだから”

―――“あんたには、仲間がいるじゃん”

でもね・・・・・・

その言葉は、あたしを苦しめるだけ・・・・・・


いじめをする人は、自分が悪いなんてこれっぽちも思ってないんだから。
そう思っても、何も変わらないんだよ・・・・・・
そう言ったって、綺麗ごとって笑われるだけなんだよ・・・・・・


仲間なんていないよ。
隣にいる君さえも、どうせ仲間じゃないんでしょう?
だったら、どうして一緒にいてくれるの?
励ましてくれるの?期待させるの?
あたしの仲間は誰なの?どこにいるの?
その人は、あたしを救ってくれるの・・・・・・?

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Re: 飛べない少女 ( No.2 )
日時: 2011/06/05 21:30
名前: 優

〜第2話〜

ノートへの落書きなんて、もう慣れた。
靴を隠されるのだって、もう慣れた。

『馬鹿』『ウザイ』『死ね』
ノートに書かれた悪口。
最初の頃は泣いたっけ。
親に気付かれたくなくて、いちいち買い換えて。
最近は、もうどうでもよくなった。
いつも書いてある言葉は同じ。
もうわかったよ。何回も同じこと書かなくていい。
みんなが自分を嫌ってること。
いなくなって欲しいと思っていること。
全部、わかったから。
泣くことも、叫ぶこともしない。
ただ、そっと唇を噛みしめるだけ。

靴隠しだって。
どこに隠すかなんて、大体わかる。
ゴミ箱の中、掃除ロッカーの中、トイレ。
濁ったプールに沈んでいたこともあった。
それなら、探せばいいだけ。
それでも、靴に落書きが書いてあったり、カッターで切られていたりすると、さすがにへこむ。

でも、もういいんだ。
ここで泣いたら負けな気がして。
こんなことする奴らに負けたくないって。
涙をこらえて、無理して笑う。

ケータイの着メロがなる。
お気に入りの曲だ。
音楽を聴けば、癒されるんだけどな。
書いてあるのはどうせ・・・

『また学校来たの?
来ないでいいって!!』

私に対する悪口だから。
削除しようとすると、またケータイが鳴った。

『学校くんな。汚れる。
え?ってか何で来たの??
友達なんかいないくせに』

本当は・・・
哀しいよ。悔しいよ。泣きたいよ・・・
でも、泣いたってまた同じようなメールが来るだけ。

『何泣いちゃってんのww
まぢでキモいんだけど』

“なんで、こんなことをするんだろう・・・?”
前に、考えてみた。
でも、答えは1つしか見つからなかった。
“私が邪魔だから”
虐める人には、虐められる気持ちなんてわからない。
だから、泣いてる人に平気で『キモい』なんて言える。
でも・・・
虐められる気持ちも考えろ!なんて、それはそれで無理な話だ。
だって、虐められたことのない人間が、いじめなんて愚かな行為を繰り返すのだから。
虐められたことのない人間に、その気持ちを知れ!なんてできるわけがない。

味わったことのない気持ちを知ろうなんて、初めから無理なんだ。

それなのに、2人はわかろうと努力をしてくれた。
たった2人だけの理解者。たった2人だけの味方。

教室のドアを開けると、真っ先に・・・
「まーちゃん!あ・・・靴・・・」
「麻友・・・」
2人はわたしを見るなり、すぐに気付いてくれた。
靴が濡れていること・・・。
「うん・・・またやられちゃったよ。今日はトイレ」
また、無理して笑ってる。
それだって、2人はすぐに気付いてくれる。
「まーちゃん・・・辛かったら、笑わなくてもいいんだよ・・・」
「そうだよ、麻友・・・泣いたっていいんだよ」
2人の声を聞いた途端、涙が溢れてきた。
「う・・・菜々・・・澪ォ・・・」
菜々はやさしく抱きしめてくれた。
戸賀崎菜々(トガサキ ナナ)と桜井澪(サクライ ミオ)は麻友のたった2人の味方だ。
クラス替え当日、クラスのリーダー格である小嶋みづき(コジマ ミヅキ)に目をつけられた麻友にやさしくしてくれるのは、今やもう菜々と澪だけ・・・。
そんな2人のやさしさが、麻友の支えだった。
「ありがとう・・・ありがとう」
「も〜!こんくらい当たり前だよッ!!」
「またなんかあったらすぐ言えよ」
「うんッ!本当にありがとう」
そして、麻友は席へと戻った。

しかし、その小さな幸せすら、すぐに叶わなくなる。

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