大人オリジナル小説
- 飛べない少女
- 日時: 2011/06/05 15:52
- 名前: 優
〜プロローグ〜
君は言ってくれたね。
―――“いじめなんてする人が悪いんだから”
―――“あんたには、仲間がいるじゃん”
でもね・・・・・・
その言葉は、あたしを苦しめるだけ・・・・・・
いじめをする人は、自分が悪いなんてこれっぽちも思ってないんだから。
そう思っても、何も変わらないんだよ・・・・・・
そう言ったって、綺麗ごとって笑われるだけなんだよ・・・・・・
仲間なんていないよ。
隣にいる君さえも、どうせ仲間じゃないんでしょう?
だったら、どうして一緒にいてくれるの?
励ましてくれるの?期待させるの?
あたしの仲間は誰なの?どこにいるの?
その人は、あたしを救ってくれるの・・・・・・?
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- Re: 飛べない少女 ( No.24 )
- 日時: 2011/07/09 21:25
- 名前: 優
〜第12話〜
教室がいつもよりもうるさい。
それぞれ仲良し同士のグループが、教室のあちらこちらに固まって話に没頭している。
だが、このいくつもあるグループの全て、話題は同じなのだ。
「ねえ、知ってる?…」
「うん、聞いた!…」
「…がさぁ、…んだってね!」
「え!まじで?!」
そして、その言葉の全てが、棘となり胸に突き刺さってくる。
思わず麻友は耳を塞いだ。
全部私のせい。
気付いてあげられなかった。
助けてあげられなかった。
それに、裏切った。
私よりも、菜々の方が辛かったはずなのに。
私はなんて愚かだったのだろう……
ふいに、ざわめきを遮るようにドアを開ける音がした。
一瞬の沈黙。
みんなが一斉に振り返る。
そこには、澪が立っていた。
澪は困惑、焦り、驚き、その全てが入り混じったような表情で辺りを見回し、麻友を見つけると、周りの視線も気にならないといった態で麻友の方に一直線に向かってきた。
「麻友っ!ちょっと、どういう事!?本当なの?菜々が…」
しかし、そこまでいうと、澪はその先の言葉を呑み込んだ。
麻友はそっと、唇を噛みしめた。
「嘘でしょ!?何で菜々が…っ」
澪が泣き出す。
泣きたいのはこっちだ。
でも。
こうなったのは、私のせい。
そんなことできやしない。
菜々はどんなに辛くても、笑顔だったんだから。
「ねえ…何で?何でよ……」
澪は麻友の腕を掴み、僅かに揺さぶる。
そこで麻友は、いつからか周りがヒソヒソと囁き合っているのが聞こえた。
しかし、澪の声にかき消され、そのほとんどは聞き取れない。
「澪・・・・・・・」
麻友は何も言えなかった。
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