大人オリジナル小説
- 飛べない少女
- 日時: 2011/06/05 15:52
- 名前: 優
〜プロローグ〜
君は言ってくれたね。
―――“いじめなんてする人が悪いんだから”
―――“あんたには、仲間がいるじゃん”
でもね・・・・・・
その言葉は、あたしを苦しめるだけ・・・・・・
いじめをする人は、自分が悪いなんてこれっぽちも思ってないんだから。
そう思っても、何も変わらないんだよ・・・・・・
そう言ったって、綺麗ごとって笑われるだけなんだよ・・・・・・
仲間なんていないよ。
隣にいる君さえも、どうせ仲間じゃないんでしょう?
だったら、どうして一緒にいてくれるの?
励ましてくれるの?期待させるの?
あたしの仲間は誰なの?どこにいるの?
その人は、あたしを救ってくれるの・・・・・・?
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- Re: 飛べない少女 ( No.1 )
- 日時: 2011/06/05 16:23
- 名前: 優
〜第一話〜
屋上へと続く階段には、足音だけが響いていた。
やがて、足音は止まり、今度は何か、金属をいじるような音。
・・・数秒後に、ガチャリと鍵の開くような音がした。
どうやら、足音の主は、屋上へ出るためのドアの鍵を開けていたらしい。
ドアを開けると、澱んだ空が、屋上をいつもよりも暗く見せた。
少女はゆっくりと歩き始める。
しかし、すぐに屋上の端までつくと、今度は手すりのない“縁”を歩き始めた。
わずか10センチほどの幅を、両手を広げ、器用にバランスをとりながら進んでゆく。
そして、ふと立ち止まると、下を覗き込んだ。
少女は、唇を引き結び、表情を曇らせる。・・・まるで、頭上の空と同じように。
それから、飛び降りた。といっても、勿論、内側に。
そして、来た時とは違い、今度は走って屋上から去っていったのだった。
・・・しかし、1ヶ月前、同じようにここに来た少女は、“内側”ではなく“外側”に飛び降りたのだった。
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