大人オリジナル小説
- 飛べない少女
- 日時: 2011/06/05 15:52
- 名前: 優
〜プロローグ〜
君は言ってくれたね。
―――“いじめなんてする人が悪いんだから”
―――“あんたには、仲間がいるじゃん”
でもね・・・・・・
その言葉は、あたしを苦しめるだけ・・・・・・
いじめをする人は、自分が悪いなんてこれっぽちも思ってないんだから。
そう思っても、何も変わらないんだよ・・・・・・
そう言ったって、綺麗ごとって笑われるだけなんだよ・・・・・・
仲間なんていないよ。
隣にいる君さえも、どうせ仲間じゃないんでしょう?
だったら、どうして一緒にいてくれるの?
励ましてくれるの?期待させるの?
あたしの仲間は誰なの?どこにいるの?
その人は、あたしを救ってくれるの・・・・・・?
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- Re: 飛べない少女 ( No.20 )
- 日時: 2011/06/19 09:03
- 名前: 優
〜第10話〜
『うざいんだけど。
もう学校来ないで』
たった一言で始まった。
それからも、毎日のように同じようなメールが来た。
『また来たの?
学校が汚れるんだけど』
『あんた日本語通じてるの?
あんたのこと好きな人いないからね』
『ちょっと、もう来ないでって
言ったじゃん!』
たった一言が、私を傷つけていく。
学校でも避けられるようになった。
物も、よくなくなるようになった。
それでも今まで耐えてこられたのは、あなたのおかげだったのに。
これじゃあ、もう生きる意味がないよ―――…
鍵を開けると、夕日が一気に差し込んで眩しい。
目を細めながら、一歩、踏み出した。
誰もいない。
しんと静まり返っている。
ただ、沈みかけた太陽が地面をオレンジ色に照らすだけ。
少女はそっと靴を脱ぎ、丁寧に揃えた。
そして、靴下で走り出す。
手には携帯を握り締め、“屋上”の端まで走る。
唇を噛みしめると、涙が溢れてきた。
それから少女は、携帯の『未送信BOX』を開いた。
予め、もう打ってあるメール。
暗くなってしまった画面に一粒、また一粒、雫が落ちた。
震える手で、ゆっくりと『送信』を押した。
それから、携帯を足元に置いた。
『麻友へ。
今日はごめんなさい。
最後にどうしても聞いて欲しいことがあります。
麻友だって苦しいのに、心配掛けたくなくて…
今まで言えなかったけど、私もいじめを受けてました。
麻友と同じように、メールが送られてきました。
それでも、麻友がいれば頑張れる!って思ったけど…
もう無理みたい。
もう耐えられない。
麻友も、私のこと嫌いなんだもんね。
それなら、私には生きる意味がないから。
今までありがとう。
私は麻友のこと、大好きだったよ。
まだ、大好きだし、友達だと思ってます。
友達でいてくれてありがとう。
さよなら。 菜々』
そして、少女は鳥になった。
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