大人オリジナル小説

飛べない少女
日時: 2011/06/05 15:52
名前: 優

〜プロローグ〜

君は言ってくれたね。

―――“いじめなんてする人が悪いんだから”

―――“あんたには、仲間がいるじゃん”

でもね・・・・・・

その言葉は、あたしを苦しめるだけ・・・・・・


いじめをする人は、自分が悪いなんてこれっぽちも思ってないんだから。
そう思っても、何も変わらないんだよ・・・・・・
そう言ったって、綺麗ごとって笑われるだけなんだよ・・・・・・


仲間なんていないよ。
隣にいる君さえも、どうせ仲間じゃないんでしょう?
だったら、どうして一緒にいてくれるの?
励ましてくれるの?期待させるの?
あたしの仲間は誰なの?どこにいるの?
その人は、あたしを救ってくれるの・・・・・・?

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Re: 飛べない少女 ( No.25 )
日時: 2011/07/09 21:50
名前: 優

〜13話〜

教室に入ってきた途端、その雰囲気に、担任である梶山が顔を顰めたのは明らかだった。
彼は、いつもよりも何となく顔色が悪く、元気がないように見えた。

「みんな、座れ」

そういう声も、どこか説得力がない。
が、それでも、好奇心からなのか全員がさっさと席に戻る。
・・・ただ、澪だけが立ち尽くしたままだった。
「桜井・・・。とりあえず、座ろう」
そして、麻友に目配せする。

私にどうしろっていうのよ。

「・・・澪・・・」
麻友が困ったように見上げると、澪はゆっくりと席に戻り、机に伏せるように座った。
麻友と澪以外の人間が、興味津々に梶山を見つめる。

今までのどんな授業でもなかったほど、今の教室は静まり返っていた。

「みんなもう知っているかもしれないが・・・・・・」
数秒の沈黙。
「昨日、このクラスの戸賀崎さんが・・・屋上から飛び降りて・・・亡くなった」
彼は非常に言いづらそうにそう告げた。
その短い報告が終わると、静かだった教室が少しずつ騒がしくなっていった。
「せんせーい!なんでですか?」
そう大きな声で質問したのは、高木怜名(タカギレナ)だ。
彼女は期待をこめて梶山を見つめる。
しかし、梶山は
「理由は不明だ・・・」
その言葉に、麻友は、思わず目を瞑り、耳を塞いだ。
理由を知っているのは、私と、いじめの犯人。
それだけなのだ。
「ただ・・・」
ただ?
麻友は顔を上げた。
視界の端で、澪がピクリと反応した気がした。
「屋上で、彼女の携帯電話が見つかった。しかし、メールの内容を見ると・・・彼女は、いじめを受けていなかったか・・・?」
そこで、麻友ははっとした。
そうだ、あのメール・・・。
あの、菜々の“最期のメール”を見られていないか。
そうしたら、私が・・・

・・・また自分の心配をしている。
そのことに気付き、麻友は自分自身にうんざりした。

「何か、知っていることがないか。・・・知らなかったらいい。何か知っていたら、この紙に書いてくれ」

そういって、小さな紙を配ると、「今日は自習だ」と告げて彼は教室を出て行った。

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