官能小説(オリジナル18禁小説)
- ウルトラ怪獣擬人化オーブ
- 日時: 2017/04/30 15:04
- 名前: たくと七星
皆さん、またお会いします、たくと七星です。今回もこのサイトで新しい小説を書いていきたいと思います。これから書く物語は私も大好きなウルトラシリーズ、その怪獣をメインにしたお話です。
<大まかな概要>
舞台は現在放送されている新作のウルトラマン、「ウルトラマンオーブ」(2016年12月に放送終了)の世界観、復活した魔王獣や怪獣が倒されてから数年、数十年、数百年なのかは置いとくとして、オーブのその後のストーリーとして描きます。そこでは怪獣達が擬人化して人間社会に溶け込んでいて、または自然で暮らしていたりするものもいて、ひょんなことから主人公が魔王獣の封印を解いてしまい、その魔王獣からある物を渡されて、人と怪獣の絆の架け橋となって自分だけのハーレム・・・ではなく、怪獣軍団を作っていくと言うストーリーにしてみたいと思っています。
ウルトラシリーズのファンも見ていただけたらなと言う淡い期待を持ちつつも書いていこうと思いますのでよろしくお願いします。
<登場人物紹介>
・王武マガタ
本作の主人公。おとなしくて控えめな優しい少年。ある時、不思議な声に導かれてある神社に足を運び、そこで魔王獣の封印を解いてしまう。
・マガバッサー
かつて突風を巻き起こして人々を恐怖に陥れた風ノ魔王獣。マガタが封印を解いたことで現世に蘇ってしまう。マガタが最初に手にすることになる怪獣。魔王獣だが、かつて恐れられていた恐ろしさは控えめになっており、むしろマガタに怪獣の知識を与えたり、サポートしたりと献身的で優しい性格になっている。額にはマガクリスタル、鳥の皮膚の手先足先、羽をはやしているが、胸や秘所をギリギリ隠した際どい裸に近い格好をしている。魔王獣であるがベジタリアンで野菜と果物が好物。肉や魚は生ものが血の色をしていて怖いと言うことで苦手である。そのため野菜と果物の料理しか作れない。イメージは妖鳥シレーヌとウルトラマンコスモスのリドリアス(性格面)
・江戸川アキコ
マガタの友達の女の子。竹中淳と西条一平と常に一緒にいる明るく行動的な性格。一人ぼっちなマガタを心配したりかばってあげたりとお姉さん的な面が強い。名前は「ウルトラQ」の江戸川由利子と「ウルトラマン」のフジアキコ隊員から。
・竹中淳
アキコ、一平と行動している、子供ながらも冷静で知識のある少年。面倒見のある性格で一平からは兄のように慕われていて、マガタのことも気にかけている。名前は「ウルトラQ」の万城目淳と「ウルトラセブン」のタケナカ参謀から。
・西条一平
アキコ、淳と常に一緒な明るくひょうきんな少年。愛嬌があって気の優しい性格で淳のことを兄のように慕い、アキコのことも気にかけている。名前は「ウルトラQ」の戸川一平と一平を演じた役者さんの名字から。
・嵐シゲル
マガタのクラスメートの一人。子供とは思えない力自慢で義理人情に熱い。名前は「ウルトラマン」のアラシ隊員と「ウルトラセブン」のフルハシ隊員の本名、シゲルから。
・伊達ミツヒロ
マガタのクラスメートの一人。シゲルと常に一緒にいる明るく陽気でおっちょこちょいな少年。名前は「ウルトラマン」のイデ隊員の本名、ミツヒロと「ウルトラマンマックス」のダテ博士から。
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- Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.29 )
- 日時: 2017/01/08 19:01
- 名前: たくと七星
「挟んでやります!」
アントラーがツインテールの髪型のアゴでザンドリアスを挟みにかかってきた。
「なんの!」
ザンドリアスはアゴを掴むと大声を上げてアントラーを持ち上げた。アントラーを浮かせると、ジャイアントスイングをして投げ飛ばした。
「あれーっ!」
「うおらあ!」
吹っ飛ばした所でザンドリアスは再びアントラーを持ち上げて、再びこれを投げ飛ばした。
「ええい、やああ!」
メルバがローランにチョップや蹴りを放ってきた。
「当たらせないわよ、とおーっ!」
ローランはこれをかわしていき、メルバの腕を掴んでチョップを浴びせてホイップで投げ飛ばした。起き上がった所でジャンプしての連続蹴りで吹っ飛ばした。
「マガバッサー、行くよ!」
「ええ、ゴモラさん!」
マガバッサーとゴモラは前進してシルバーブルーメ、ノーバ、ブルトンの三体と戦った。ノーバが鎌で切り裂きに出ると、マガバッサーはこれをかわしてキックを見舞った。
「ブルブル〜っ!」
ブルトンがビームを飛ばして来た。マガバッサーは翼でガードしたが、
「隙あり〜っ!」
シルバーブルーメが飛び上がって来た。
「きゃあああ!」
マガバッサーはマウントを取られてシルバーブルーメにチョップの連打をされてしまう。
「ゴモラちゃん、マガバッサーを!」
「任せて!きゃ?!」
ゴモラが助けに出ようとしたが、ノーバの触手に巻き付かれて、レッドクレイジーガスを浴びせられてしまう。
「きゃああう、苦しい・・・!」
「ふふふ、もっと苦しんで・・・」
「あれれ、魔王獣なのに追い詰められちゃってるのかな〜」
シルバーブルーメがマガバッサーの胸ぐらを掴んで持ち上げると、邪悪な笑みを浮かべて嘲笑った。
「くう、違います・・・!」
「随分、威勢がいいじゃないの〜っ!!!」
シルバーブルーメはマガバッサーを投げ飛ばした。マガバッサーはゴモラにぶつかり転んでしまった。シルバーブルーメ、ノーバ、ブルトンは一斉に光線とガスを浴びせて起き上がったマガバッサーとゴモラを攻撃した。
「きゃああああああ!」
「いやああああああ!」
二体は大ダメージを受けて膝をついてしまった。
「ううう、強いゴモ・・・」
「あの時より、強くなっている・・・」
「当然〜、あたし達はベムラー様に最も近しい存在よ、だから実力もそれなりに高いのよね〜、それに昨日の借りもあるし〜」
シルバーブルーメ達は既に勝ち誇っていた。マガタと二体の怪獣は心が折れそうになった。
「しっかりして〜っ!!!」
その時、アントラーと戦っているザンドリアスの声が響いた。アントラーのツインテールのアゴを掴んで押さえつけながら叫んだ。
「あんた魔王獣なんでしょ、これぐらいの奴等なんかに負けてどうするのよ、マガタくんだって頑張っているんだからしゃんとして!」
「私達が付いているから、諦めないで!」
ザンドリアスとローランの言葉にマガタ達は元気づけられた。
「マガバッサー、ゴモラちゃん、もう一度やってみよう!」
マガタは持っていたオーブクリスタルをマガバッサーとゴモラのカードに読み込ませて、 二体の怪獣を強化させた。
「マガタ様、力がみなぎってきます。ゴモラさん、行きますよ!」
「うん、二人の合体技、見せてあげるゴモ!」
マガバッサーは羽ばたくと、マガ嵐を飛ばした。ゴモラがその嵐に目掛けて超振動波を放って嵐の中にエネルギーを流し込んだ。嵐は轟音を上げてシルバーブルーメ等三体の怪獣を飲み込んだ。
「ひええええええ!!!」
「ブルブルーーーーーっ!!!」
「ぐああああああああ!!!」
三体の怪獣は嵐の中で振動波のパワーのダメージを喰らい、嵐が爆発した所で地面に落下した。
「え、そんな・・・」
「それでこそよ、うおりゃあ!」
ザンドリアスはアントラーを片手で持ち上げて投げた所で火炎を吐いて止めを刺した。
「さあ、いっくわよーーーっ!」
ローランも翼で突風を放って、メルバを吹っ飛ばした。
「やったあ!」
「やりました!」
「勝ったゴモ!」
勝利したマガタ達、シルバーブルーメ達は起き上がって悔しそうな顔をして言った。
「くうう、こんな大逆転をされるなんて〜、ベムラー様に何て言い訳したらいいのよ〜」
「く、今回はこれぐらいにしてあげるわ・・・・、でも次こそはあんた達を仕留めてあげる・・・」
「ブル〜、ブルブル〜!!!」
「今日は悪者らしく、覚えていろと言ってやると言っています!」
シルバーブルーメ達は飛び上がって空の割れ目の中へと消えていった。
「わわ、ちょっと待ってええええええ?!」
メルバも急いで割れ目に入っていった。
「やった・・・・」
勝利してマガタは安心感からペタリと座り込んでしまった。
「マガタ様、大丈夫ですか?」
マガバッサーや怪獣達が慌てて駆け寄った。
「あ、大丈夫だよ、ちょっと疲れちゃった・・・」
「今日は色々動きましたものね、お疲れ様です。私が抱っこしてあげますわ」
マガバッサーはマガタを優しく抱きかかえた。他の怪獣達もそれを微笑ましく見ていた。
「マガタくーん!」
そこへ、アギラ、ミクラス、ウインダム、ベムスター、ホー、シェパードンがやって来た。
「アギラさん、皆!」
「マガタくん、ここも片付いたみたいだね」
「私達も勝利してこちらへ向かったのです、ですがもう大丈夫のようですね」
ウインダムが辺りを見て、全てが落着したことを見た。
「ちょっと見て!」
バルはパソコンを開いて街の地図を開いた。見てみると、地図にある赤い点が次々と消えているのが解った。
「うん、街の怪獣達が皆元の世界に戻っていったみたい」
「じゃあ、もう大丈夫なんだね」
マガタが言うと、バルが笑顔で頷いた。それを見て怪獣達も大喜びする。そこへ、バスにいた子供達が喜んで走って来た。子供達から感謝されて怪獣達は幸せな気持ちになるのだった。
「皆さん、本当にお疲れ様でした。腕を振るってご馳走を作りましたよ」
マガタの家で、マガバッサーは怪獣達に料理を振舞った。
「わーい、てこれも野菜じゃん!!!」
出されたのは、野菜をふんだんに使ったスープとサラダ、芋の煮付けと漬物に果物を切った盛り付け。ザンドリアスがいつものように文句を言った。
「もう、いつも野菜ばかり出して、これじゃ力が出ないわよ!」
「見栄えはいいんだけど、肉や魚はダメなの・・・」
アギラが言うと、マガバッサーは体をもじもじさせてどうしてもダメなんですと言った。
「すみません・・・、肉や魚はどうしても・・・、切った所が血のように見えるのが怖くて怖くて・・・」
「え、そこがダメなの?!」
ミクラスが目を丸くして驚いた。
「何てピュアな人・・・・」
(魔王獣なのに、何でこんなに可愛い一面があるのかな・・・・)
ウインダムは可愛らしい所にキュンとして、アギラは心の声でマガバッサーを可愛く思ってしまっていた。
「あら、マガタくん、何を見ているの?」
シェパードンがマガタがカードを見ているのを見てそれを覗いた。
「あ、カードを見てたんだ。これからも、皆の力になるかもしれないから僕も頑張らないとな、て思えるから・・・」
マガタはそう言って、楽しそうにしている怪獣達を微笑ましく見つめるのだった・・・。
- Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.30 )
- 日時: 2017/09/17 20:09
- 名前: たくと七星
<登場怪獣紹介>
・ホー
人間のマイナスエネルギーによって生まれた硫酸怪獣。マガタが魔王獣以外で初めて仲間にした怪獣。失恋して泣いていた所をマガタがからかいにきたのだと勘違いして襲いかかるも、マガバッサーに返り討ちに会い、マガタとはお友達からとして仲間になる。マガタにほのかな思いを抱いている。ちなみに男の人と恋人になった経験はない模様。属性は闇。
・ゴモラ
怪獣の暮らす世界、怪獣界からやって来た怪獣の中の怪獣。人間界にやって来た際、怪獣はいないと言う発言にショックを受けて怪獣は実在することをアピールするため日夜頑張っている。無邪気で天真爛漫な性格で口癖は「ゴモ」。属性は土。ファントン星人のカードのフュージョンでサイバーゴモラに変身する。その時の属性は光。時々関西弁になる事がある。ちなみにたこ焼きはアツアツ派。
・ザンドリアス
親と喧嘩ばかりしているだだっ子怪獣。家出してマガタの家にくつろいでいた所をマガタに見られたことがきっかけで居候になる。話の中で頼れる人がいないと言っていたが、カプセル組やゴモラ、同作品の怪獣(ウルトラマン80)を知っていてマガタの家に住ませていることから交流は深い。可愛い見かけによらず、相手を投げ飛ばしたり、強力なパンチを振るったりとかなりの怪力の持ち主(親の喧嘩と師匠の鍛錬の賜物)。マガタに対してツンツンな態度を取っているが内心では可愛いと思っている。マガバッサーには少々反抗的な一面があり彼女の作る野菜料理に辟易している。属性は光。
・アギラ
カプセル怪獣の一人。性格はアニメより。趣味は将棋で好きな飲み物は梅こんぶ茶。常に眠そうな表情をしているが信念は強い。心の中で突っ込んだりする。属性は土。
・ウインダム
カプセル怪獣の一人。メカのような外見をしているのが特徴のメガネっ娘。性格はアニメより。礼儀正しく、怪獣の分析を得意とするだけでなく、戦闘も出来る文武両道の怪獣。属性は風。パンドンとブラックエンドのカードでファイヤーウインダムに変身する。この時の属性は火。
・ミクラス
カプセル怪獣の一人。アギラ同様、物理攻撃を得意としているパワフルな戦いが得意な怪獣。性格はアニメより。明るく無邪気で強い人に憧れる一面を持っている。最近は女の子らしくしようとマガバッサーに料理の仕方をホーと一緒に教わっている。属性は土。ネロンガとエレドータスのカードでエレキミクラスに変身する。この時の属性は水。
・ベムスター
マガタの家に居候することになった宇宙大怪獣。改造版もあるがここでは頭の被り物に短パンを履いた褐色肌の人間ぽい方にしている。他の怪獣達は外に出て人間ライフを満喫しているが、彼女だけは家でくつろいでいることが多い。だが、吸収能力が高く戦いとなれば頼りになる存在。属性は風。
・バル
「ウルトラマン80」に登場した渡り鳥怪獣の雛鳥の子。服装はザンドリアスと同じ。雛鳥のため無邪気で可愛らしい性格をしている。クレヨンで絵を描くことが趣味と幼い子供らしいがノートパソコンの扱いが上手といった、機械には明るい一面がある。属性は光。
・ローラン
人間界で暮らしている人情深い宇宙鶴。子供が大好きで仲良くしようとした所をそれを良く思わない勢力に狙われたことがきっかけでマガタの怪獣になる。母性愛が強く、あの一件からマガタに深い情愛の念を持っている。属性は風。
・シェパードン
ベムスターが連れてきた地底聖獣。背中の空いた白いドレスを着ている。おしとやかで心優しい性格をしている。治癒、回復能力を持っており、サポート面での活躍が期待されているが、戦いも出来る。属性は土。
- Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.31 )
- 日時: 2017/01/09 16:18
- 名前: たくと七星
「第5話 負けない心」 (タイトルネタ 「ウルトラマンオーブ第5話 逃げない心」)
怪獣界にあるベムラー率いる怪獣軍団の砦。侵略に失敗した怪獣達がうなだれてベムラーに報告した。
「申し訳ありません、ベムラー様〜」
「不覚にも・・・ターゲットである人間の子供に、敗れてしまいました・・・」
シルバーブルーメとノーバが深々と頭を下げてベムラーに任務の失敗を報告して謝罪した。
「・・・・・・・、いいえ、貴方達はよくやったわ。今日は下がって休みなさい・・・」
「ベムラー様、何てお優しい、シルバーブルーメ、そのご温情を裏切らないよう次こそはあの少年を始末出来るよう精進しま〜す」
「必ずや・・・、期待にお答えします・・・」
「ブル〜ブルブル〜」
「ベムラー様の寛大な恩赦を忘れませんと言っています。我等怪獣達、この世界と人間界をベムラー様に献上すべく今後もご奉仕いたします」
シルバーブルーメ、ノーバ、ブルトン、アントラー、メルバ、そして怪獣達は戦いの疲れを癒すべくその場を解散した。物静かになり、ベムラーは頬杖をしていた。
「私の可愛い手下達をこのようにいじめて・・・、黙っている訳にはいかないわ。次に私達がどう動くのか、楽しみにしていなさい・・・、王武マガタくん・・・」
ベムラーは青い水晶を手に取ってそこに映る少年を見て薄笑いを浮かべるのだった・・・。
ここはどこだろうか、黒雲が広がる原野。目の前には土塊の魔王が咆哮を上げていた。
「行くぞ魔王獣、お前は僕が倒す!」
そこで何故か騎士の格好をしたマガタが剣を抜いて土塊の魔王に立ち向かおうとしていた。少年の剣は魔王獣を捉え、これを見事に打ち破るのだった。魔王獣が倒されたことにより、空が晴れて、磔台に鎖で拘束されていた四匹の怪獣娘達が姿を見せた。マガタは鎖を切って救出する。
「もう大丈夫ですよ、姫」
「ああ、助けてくれたのですね」
「ありがとう・・・」
「勇者様、素敵・・・」
「本当にありがとうね」
怪獣娘、ウインダム、アギラ、ミクラス、ゴモラにお礼の言葉を言われた小さな勇者・・・、
「ええ?!」
そこでマガタは目を覚ました。ビックリしてガバッと体を起こした。
「な、何であんな夢をみちゃったんだろう・・・」
マガタは不思議に思っていた。自分が騎士になって怪獣を助けたと言うのは今まで考えてもみなかった内容だったからだ。
「じゃあ・・・、あの夢に出たことが・・・、まさかね・・・」
今見た夢が正夢になるのか、でも今回はそうならないと自分に言い聞かせて少年はベッドを出てリビングに入った。
「おはようございます、マガタ様」
「おはよう、マガタくん」
マガバッサーとローランが綺麗な笑顔でマガタに挨拶をした。二人は朝食を作っている所だった。
「おはよう。あ、ケルビムさん・・・」
「あ、あら、おはようマガタくん・・・」
ソファを見ると、ケルビムの姿があった。あの時の戦いでマガタ達に助けられて、マガタにカードを渡して仲間になったのだ。
「あの時、貴方達に助けてもらって本当に感謝してるの。だから少しでも仲良く出来たら、と思って・・・」
「うん、これからよろしくね」
「ええ、こちらこそ、よろしく・・・」
ケルビムと挨拶したあと、ザンドリアスがいることにも気付いた。何やらムカムカしているようでシェパードンがよしよしと宥めていた。
「あれ、どうしたの?」
「どうもこうもないわよ、ここで良くしてもらっているけどね、問題はあそこにいる鳥女よ・・・」
ザンドリアスはマガバッサーの方を指差して言った。
「もう出すご飯が野菜ばっかなの!いつも野菜ばっかで、肉や魚も食べたいのに怖いとか言っちゃって、もうストライキしたいくらいなの!それからさあ・・・」
ザンドリアスはマガバッサーに対する不満を長々とマガタに話した。マガタは苦笑いしながらこれを黙って聞いてあげるしかなかった。
「あれ、アギラさん達は?」
「ああ、カプセル組ね。三人は早く出かけちゃったわよ」
ベムスターがカプセル怪獣達は一足先に出かけたと話した。バルは変わらず楽しげにクレヨンで絵を描いていた。
「マガタ様、マガタ様は今日の予定はありますか?」
「僕?あ、今日は友達の淳くんの家に遊びに行く予定が・・・」
マガバッサーが聞くと、マガタは友達との遊びがあると言った。
「淳さんの元にですね。お友達との会話は楽しいですか?」
「うん、楽しいよ。特に淳くんはSF小説を書いててね、よく見せてくれるんだ」
「それはいいお友達ですね。マガタ様、朝食ができましたので皆さんと一緒に・・・」
「はーい」
朝食では相変わらずザンドリアスが不満タラタラだったが、それでも団欒で取る食事はとても美味に感じるマガタだった。
続く・・・。
- Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.32 )
- 日時: 2017/01/29 14:21
- 名前: たくと七星
その頃・・・、ここは地底の底、地上の世界の下にある。岩と土にあふれた世界。そこにある岩で出来た要塞、中では地底に生息している怪獣達が蠢いていた。
「イエッサー、イエッサー、土ノ魔王獣様!」
怪獣達は、この地底世界に君臨する、玉座に腰を下ろす魔王獣に敬礼した。近くにいた側近と思われる大蟻超獣が跪いて近況を報告した。
「この地底にいる全ての怪獣が配下となりました。戦端はいつでも開けます。今ならあのお目当ての子供も・・・」
「そうだねえ・・・、いよいよ頃合かな?あの時は不覚を取っちまったけど、今度こそは必ずアタイのものにしてみせるよ・・・・坊や」
土塊の魔王は目をギラつかせて大蟻超獣に命令を出した・・・。
一方、マガタは・・・、
「うーん、どれなのかしら?」
友達の竹中淳の家でアキコと一平、淳とトランプゲームをしていた。丁度ババぬきをしていて、アキコが淳の持つ二枚のカードのうちの一枚を取ろうとしていた。淳は持っているカードをシャッフルしている。そしてアキコは一枚のカードを取った。
「ええ、またジョーカーじゃない?!」
「はい、アキちゃん」
「じゃあ俺も」
淳と一平、マガタは順番にカードを取って、同じ数字を合わせてゲーム終了となった。
「あーもう、また負けた。気分悪いから外行ってくるわ」
アキコは頬を膨らませて、外に出ていった。
「あらら、ちょっと怒っちゃったのかな。そうだマガタくん」
「何、一平くん?」
マガタが聞くと一平は昨日起きたある事件のことを話題に出した。
「最近なんだけど、この降星街も物騒になってきてないかな?」
「それって何で?」
「ああ、昨日街で怪獣達が暴れだしたらしいからね。それも街中一斉にね」
淳の言葉にマガタは、シルバーブルーメ等の侵略怪獣達を思い出していた。あの時の怪獣達だと、それを自分と仲間達が止めたのだがそれは言わないでおくことにした。
「でも、どうして怪獣が一斉に現れだしたんだろうね、淳兄さん?」
「うん、もしかするとこの地球でアンバランス・ゾーンが起きているのだろうか?」
「アンバランス・ゾーン?」
マガタはあまり聞きなれない言葉に首をかしげた。淳がその意味を説明する。
「地球で起こる現実では考えられない超常現象のようなものだよ。ある日日本海にいた魚がいなくなったり、巨大な巨人や巨大な花が出てきたりとかがそれかな。これらの現象は失われたものを取り戻すために起きると言われているけど、詳しくは解っていないんだ・・・」
「そうなんだ・・・」
淳の話を聞いていると、アキコが機嫌を直して帰ってきた。
「まーた淳ちゃんのSF設定が始まったの?あら、マガタくん」
アキコはマガタが腰に下げている物に目を向けた。
「その腰にあるのは何?」
「あ、これはただのホルダーだよ・・・」
マガタはあまり知られたくなさそうに言ったがアキコはそれをすぐに察知した。
「なあに、その隠したそうな顔して。ちょっと見せなさい」
アキコはカードホルダーを取ると中に入っているカードを出した。
「あ、それ・・・!」
「何これ・・・・?」
「これって何かのカード?」
出てきたのはマガタが怪獣達からもらったカードだった。
「そうなんだよ、最近出た新しいのでね・・・」
マガタは苦笑いをしてそのカードをカードホルダーに入れた。アキコと一平は納得したような顔をしていたが、淳だけは何やら不思議そうに見ていた。
そして淳達と別れた後、マガタはカードホルダーから全カードを取り出して、怪獣達を一体ずつ見始めた。
(マガタ様・・・、これをお持ちになることをおすすめしますわ。このホルダーがあればいつでもカードを側に持っていられます。何かあった時はこのカードを取り出してリングに読み込んでください。いつでも私達が駆けつけます・・・)
今、腰に下げているカードホルダーはマガバッサーからもらったものなのだ。今持っているのは、マガバッサー、ホー、ゴモラ、ザンドリアス、アギラ、ウインダム、ミクラス、バル、ベムスター、ローラン、シェパードン、ケルビムの12枚。見ていると、それぞれの怪獣の鳴き声が聞こえてくるような気がしていた。
「皆、よろしく頼むね。僕も頑張っていくから」
マガタは怪獣達に言い聞かせるように声をかけた。これからも何かしらの出来事が起きるかもしれない。そうなった時、自分も少しでも役に立とうという気持ちが少年に芽生え始めていた。
「だ〜れだ?」
すると後ろから誰かがマガタの後ろから来て両手で目を隠してきた。
「うわ、何?!」
突然、目隠しされて驚くマガタだが、その声の主が誰なのかすぐに理解した。
「ミクラスさん?」
「そう、あったり〜っ!」
マガタが振り返ると、そこには三人の女子高生がいた。何とも眠たそうな顔をしていること、銀髪の髪にメガネをかけた子、そしてその声の主であるポニーテールに褐色肌のニコニコしている子、
「あの、ミクラスさんなの?」
「そうだよ、今は人間の姿をしてるけど」
「この姿だと、解りづらいかな・・・?」
アギラが人間の姿の格好を見てそう言った。
「アギラさんに、ウインダムさん?」
「そうです、今はマガタさんのように人間の姿になっているのです」
「どうしてか解らないけど、人間になるとこの服装になるんだよね・・・」
「まあ、それは置いといて、マガタくん!」
ミクラスがマガタに声をかけた。
「何、ミクラスさん?」
「ミク」
「え?」
「この姿の時はミクって呼んで」
「私はレイカと呼んでください」
「僕はアキ。あれ・・・・、何でこんな名前が思い浮かんだんだろう?」
アギラは何故か今言った名前が出たのか解らなそうな顔をした。ウインダムとミクラスも同じだった。
「そう言われると、私も何故レイカと出たのでしょうか?」
「あ、あたしも・・・?なーんてね、そんなの気にしてもしょうがないよね。マガタくん、あたし達ね、君を探していたの」
「僕を?」
マガタが自分を探していたのっと言うと、ミクラスはマガタの頬を突っついて言った。
「あたし達、君の元で世話になっているからさ。少しでも君と仲良くしたいって思っているんだ。だから、あたし達と色々行かない?」
「え、ううん・・・」
ミクラスの言葉にマガタは言葉を詰まらせてしまった。年上のお姉さん三人と一緒に遊びに行くなんて今までなかったから。緊張で体はガチガチだった。
「あれ、マガタくん緊張してる?可愛い〜」
ミクラスはそれに気付いてマガタをくすぐってきた。
「わ、わはは、何するのミクラ、ミクさん、くすぐったいってば!アキさんもレイカさんも助けてよ〜!」
くすぐるミクラスをアギラとウインダムは母親のように見守っていた。
「どう、少しはほぐれたかな?」
「う、うん?」
「じゃあ、行こっか?マガタくん、手繋いであげる」
ミクラスが無邪気な笑顔でマガタに手を差し伸べた。
「はい、じゃあ・・・、お言葉に甘えて、ミクさん・・・」
マガタは照れた顔でミクラスの手を繋いだ。アギラがマガタのもう片方の手を握って優しい顔をした・・・。
続く・・・。
- Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.33 )
- 日時: 2017/01/22 15:37
- 名前: たくと七星
カプセル組に手を繋がれて、マガタは緊張で一杯だった。自分の人生で年上のお姉さん、それも一人ではなく三人の多人数で一緒に街を歩くなんて経験したこともないし考えてもみなかった。アギラ達にどう声をかけていいか緊張感で何も言えない。
「マガタくん、君、ガチガチ?」
「え?」
アギラに緊張で体が固まっていることを指摘されてマガタは黙りこくってしまった。
「どうしたの?ううん、僕、こんな顔をしてるから話しづらいって思われてるのかな」
年下の少年が赤面でうつむいているのを見てアギラは自分の顔のルックスがマガタに気軽に喋れない空気を出してしまっているのだろうかと思った。
「大丈夫よアキちゃん、少し緊張してるだけだって。あたし達と一緒で少し照れてるんだよね、マガタくん」
「う、うん・・・」
「あら、私の測定だと体温が上昇していますね。更に心拍数も半端ないです」
「レイさん、人間のままでも解るの?」
「はい、元は怪獣ですので」
「マガタくん、そんなに固くならなくてもいいよ。あたし達けっこう怪獣の中じゃあ可愛い方だから、ね、リラックスリラックス」
ミクラスに優しく頭を撫でられて、マガタは少し深呼吸をした。
「どう、落ち着いた?」
「うん、ちょっとだけ・・・」
まだ緊張していたマガタだったが、カプセル組は優しく少年を見ていた。
街に出て、その後は楽しい一時だった。デパートのゲームセンターでもぐらたたきを遊んでマガタが高得点を取った。
「わー、マガタくん、凄いーっ、あたしよりやるじゃん!」
競争していたミクラスも満足そうな笑顔をしていた。それから服を見たり、飲食店でハンバーガーを食べさせてもらったりと、マガタに取って経験したことのない時間が続いた。
「マガタくん、美味しいものさ、外の公園で食べよっか」
「うん、それもいいね・・・」
「あれー、まだ緊張しちゃってる?可愛いね、君」
ミクラスが愛らしく少年の頬をツンツンした。丁度デパートの本屋に来た所だった。すると、突然ウインダムが足を止めた。
「あれ、レイさんどうしたの?」
アギラが声をかけると、ウインダムはある物に釘付けになっていた。それはいかにも腐女子が喜びそうな、同性の愛のような子供が見てはいけない感じのする漫画本だった。
「レイさん?」
「レイちゃん?」
血眼になってその漫画を見ているウインダムにアギラとミクラスは心配になった。二人はそれを見てすぐにどんな本なのか理解した。
「え、何、どうしたの?」
「ああーっ、待って待って、何でもないのよマガタくん!」
「そうそう、レイさんは僕とミクさんが何とかしておくから・・・。(言えない、絶対に言えない。レイさんがあの本を買おうとしているなんて・・・、この子には絶対に言えない・・・)」
アギラとミクラスは大慌てでウインダムを囲んで何でもないよとマガタには見せないようにした。
「すいません、この本ください!」
「え?」
「ええ、レイさん?」
「うん?」
その後、降星公園の噴水の近くにあるベンチ。
「マガタくん、あ〜ん」
ミクラスが丸いケーキをマガタの口に運んで食べさせていた。アギラが微笑ましく見ていたが、ウインダムはやってしまった、と言わんばかりに呆然としていた。
「はあ・・・」
「レイちゃん、どうしたのしょげちゃって・・・?」
「私・・・、何でこんな漫画を買ってしまったのでしょうか?」
そう言ってウインダムは自分が買った漫画を取り出した。
「その本なあに?」
マガタが興味津々に見ると、アギラとミクラスは慌ててそれをウインダムから取って隠した。
「わわ、ああ、大丈夫、これはファンタジーものの漫画でね・・・」
「そうそう、アクションたっぷりの冒険ものの話なの・・・えへへ・・・」
「そうなんだ、でも、何で隠すの」
マガタが聞くと、アギラとミクラスは何て言ったらいいか言葉に困ってしまった。いろいろ考えて、
「ああ、これはね、子供が見るには難しいからだよ・・・、ね、ミクさん」
「ああ、うん、そうそう・・・、あたし達のような大人向けのものだから、ねえ、アキちゃん」
二人の言葉にマガタは解ったような解らないような顔をした。ウインダムが買った漫画、それは正義の勢力に所属していた二人の戦友がやがて闇と光の側に分かれて敵として相対することになるという愛憎劇の話の本だったのだ。そして話題を変えて、
「でも、レイさん、どうしてその本を買っちゃったの?」
アギラがどうして腐女子が喜びそうな漫画を買ったのかをウインダムに聞いた。
「それは・・・解らないんです」
「え、解らないの?!」
ウインダムの予想外の答えにミクラスはビックリしていた。
「はい、衝動で思わずと言えば解決するのですが、何故か、この作風の話が好きなんじゃ、と思ってしまったんです」
「それって、一体・・・」
「見た瞬間にこれが欲しい、これを見てみたいと言う感情が湧いて・・・、もしかして、私の前世もこの手の漫画が好きだったのではないかと・・・」
「そう言えば、僕達も何故か解らないけど違う名前が言えたりするよね」
「そう言われてみれば、そうだね。もしかして、あたし達には生まれ変わりになった存在があって、その人の記憶が流れてるのかな・・・」
ミクラスがシリアスに自分達に前世の存在がいたのでは、と推測した。その人の記憶が微かながらに残っていて、自分達の行動に現れてしまうのではと思ったが、
「なーんてね、そんな実際に見ているはずがないものを考えてもしょうがないよね。そんなのは知らない方がいいし、あたし達は人間じゃなくて怪獣なんだから」
「そうだね、ミクさん・・・」
「そうですね、前世のことなんて知らないわけですし、考えても仕方ないことです」
ミクラスの言葉にアギラとウインダムも納得したような顔をした。一方、マガタはよく解らないような感じになっていた。
「ああ、マガタくん、話について行けなかったかな?」
「え、ううん、何だか、ロマンがあって、面白いなって思ったかな。自分のその前世が人間だったんじゃって考えるのも面白そうだし・・・」
「ふうん、男の子にはそう感じるのね。でもあたしは今の自分でも充分いいと思うの。マガタくんもそう思うでしょ」
「うん、ミクさんはミクさんのままでいいと僕は思うよ」
「可愛いこと言うじゃん、このこの〜」
ミクラスはマガタの頭をクシャクシャにするように撫で回した。マガタは赤面して恥ずかしがって、アギラとウインダムは微笑ましい気持ちになっていた。
「ああ、もう。ちっとも美味しくないやん。冷めたたこ焼きは美味いなんていう話を聞いたからそうしたのに、あれはガセやな。たこ焼きはアツアツの方がええわ」
するとそこへ紫の長袖の征服に黒のスカートにハイソックスを履いた栗色の短髪の少女が、冷えたたこ焼きに文句を言いながら歩いていた。
「お、アキちゃん、レイカちゃん、ミクちゃんやん。それにマガタくんもおるやないの。元気しとったか?」
マガタとカプセル組が見えたのでその少女は、手を振って挨拶した。
「あ、アキちゃん、あの人だよ」
「本当だ、こんにちは」
カプセル組も彼女とは知り合いなのか会釈する。
「マガタくん、楽しくしとるか。うちはメッチャいい人間ライフを送っとるで」
親しげに声をかける少女にマガタはキョトンとした顔をしていた。
「あの、誰ですか・・・?」
「ええ、そんな言葉はないんちゃう?いつもお世話になっとるのにそんなつれない言い方せんといても・・・」
「待って、もしかして・・・・」
マガタはすぐに思い浮かべた。栗色の髪、そしてその髪型、よく見るとあの怪獣と姿が重なった。
「もしかして、ゴモラちゃん?!」
「お、やっと思い出してくれたん?そう、うちがゴモラちゃんやで!」
続く・・・。
- Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.34 )
- 日時: 2017/01/29 15:45
- 名前: たくと七星
ゴモラは茶目っ気のある挨拶をしたが、マガタはまだ戸惑っていた。
「ああ、やっぱ関西弁じゃ解りづらいかな。これだったら解るゴモ?」
ゴモラがいつもの口調に戻ると、マガタはその少女がゴモラだと確信した。
「やっぱりゴモラちゃんだ。でも、何で関西弁に?」
「ごめん、どうしてなのかたまに関西弁になっちゃう時があるんゴモよね。そうそうマガタくん、たこ焼き食べる?」
人間の姿になっているゴモラはマガタに食べていた冷めたたこ焼きを差し出した。
「ありがとう、ゴモラちゃん。冷めてるけど、でも美味しいね」
「へえ、マガタくんには美味しいの?僕はアツアツの方が好きだけど・・・」
ゴモラが言うと、マガタはゴモラ達にある質問をした。
「あの、聞きたいことがあるけどいいかな?」
「なあに?」
ミクラスがマガタの顔をマジマジと見ている。
「ゴモラちゃんやアキさん達はどこからこの世界にやって来たの?」
「僕達の元いた世界のことだね。いいよ、君だけに教えてあげる」
アギラが少年に自分達の世界についてを話した。
「僕達、怪獣界って言う世界から君のいる人間界に来たんだ。そこはね風と水が流れる風車の街で、朝になると温かい風が流れてくるんだ」
「風車の街・・・?」
マガタはゴモラに初めて会った時を思い出した。あの時、ゴモラが自己紹介した際、風車の街からやって来たと言う話を聞いたからだ。
「そう言えば、ゴモラちゃんが言ってた・・・」
「そうだよ、僕も、アキちゃんもレイちゃんもミクちゃんも、その風車の街からやって来たのゴモ」
「へえ、そこってどんな街なの?」
「街は中世な感じかな。いくつもの風車や高い塔があってね、いつも風が草や僕達を薙いでいるんだ」
「家はどんな感じなの?」
マガタの質問にウインダムが真摯に答えた。
「家はレンガ造りですね。もちろん、二階建てや三階建ての家もありますが、階段はないんです」
「階段が無いの?!」
「はい」
マガタが驚いているとウインダムが普通のことと相槌をした。
「じゃあ、どうやって上り下りするの?」
「はい、その時ははしごを使って行き来しているのです。外に出てはしごをかけてドアに入るのです」
「何か不憫だね・・・」
「そうでもないよ、外に出れば誰かが挨拶してくれるし、運がよければお付き合いできるしね」
ミクラスがそう言って部屋の行き来は大変だけど、その分、人とのコミュニケーションも取れると話した。
「お祭りはあるの?」
「あるよ、楽団員さんがいてね、祭りの日にはパレード祭が行われるの」
「一日の終わりは、どうなってるの?」
マガタが言うと、アギラが説明した。
「僕達の住む怪獣界には時計はないんだ。ただ夕方の5時になると、ルクーって言う子がね、ベルを鳴らして伝えてくれるんだ。そしたら皆は自分の家に帰っていくんだよ」
「そうなんだ・・・」
「マガタくんも良かったら来るといいよ。絶対気にいると思うから」
ミクラスが言うと、マガタは嬉しそうに頷いた。
「ねえ、アキさん達は僕のいるこの世界のこと、気に入ってる?」
「もちろん」
マガタが聞くと、ゴモラ達はすぐに首を縦に降って答えた。
「この世界も結構楽しいゴモ。人間の人達もとてもいい人たちだし」
「それに、見たことのない漫画や文化もありますしね」
「心配しなくても、僕達はこの世界のこと、気に入っているから大丈夫だよ」
「そうなんだ、良かった・・・」
マガタはホッと一息吐いた。だが、その少年を空に出来た裂け目から何かが覗いていたがマガタとアギラ達が気付くはずがなかった・・・。
「ふむふむ・・・」
街の歩道で竹中淳は熱心にある本を見ながら歩いていた。
「淳兄さん、何を見ているの?」
一緒に歩いている一平とアキコが覗くと淳が本の内容を説明した。
「これかい、8/1計画って言うタイトルの本なんだ」
「何それ?」
「ああ、人口が増加する中その対策として人間を8/1のサイズにして縮小都市に住まわせるんだけど、最後には反乱が起きるっていう話なんだ」
「けっこう年代物の本みたいね・・・」
淳の持っていた小説は紙が茶色く変色していて所々に破けた傷が出ていた。
「ああ、近くの古本屋で見つけてね、いい小説を作るアイディアになると思って買ったんだ」
「また淳ちゃんの変な発想が浮かんじゃったの?下手くそなSF小説ばっかり書いてるんじゃなくて現実も見たらどう?」
「まあ、僕もその現実社会って奴に少し飽き飽きしてるもんでね」
「だけど、最近じゃあ日本の人口も減ってきてるみたいだよ」
一平が言うと、アキコがこう言った。
「でも、これから先、世界の人口は益々増えるって話もあるわよ、あら・・・?」
アキコは公園である光景を見た。それを見て、言葉を失いそうになった。
「ねえねえ、ちょっと淳ちゃん、一平くん!」
「何だいアキコちゃん?」
淳が振り向くと、アキコはその場所へと指を差した。淳と一平が見ると、そこには人間の姿になっているアギラ達に可愛がられているマガタがいたからだ。
「あれって、マガタくん?!」
一平はマガタを見て驚いていた。
「あれは、女子高生の人達かな?」
「でも、何でマガタくん、あんな年上の人達と。知り合いって訳でも無さそうだし、何で・・・」
いつも仲のいい友達のいつもと違う雰囲気にアキコ達は戸惑いを隠せなかった。その時、
「え、え、何?!」
「まずい、地震だ!」
突然、公園の近くが揺れだした。淳達は体をしゃがめて難を逃れようとする。
「わわ、何?!」
「ひえええ、めっちゃ揺れてるで!!」
「ゴモラさん、落ち着いて下さい!」
「でも、どうして地震が・・・!」
マガタ達も慌てていた。ゴモラはパニック状態になっていてウインダムが必死で落ち着かせている。そして、地面が割れてマガタが足を滑らせた。
「わ、うわああああああああ!!!」
「マガタくーん!!!」
「これって、蟻地獄?!」
「それよりも、マガタさんを!」
「ゴモ!」
アギラ達はマガタを助けようと蟻地獄の中へと入っていった。
「マガタくん?!」
そこへ、アキコ達がやって来た。
「ああ、どうしよう、マガタくんがあの中に?!」
アキコは泣き喚いてどうしたらいいか解らずにいた。
「落ち着くんだアキコちゃん、まずは禍葉さんにこのことを知らせよう!」
淳はアキコを落ち着かせると、急いでマガタの家に向かった。
その頃・・・、
「はっ・・・?!」
マガタの家でマガバッサーは昼食の用意をしていたが何かに刺されたような気分がした。
「あの、どうしたの・・?」
ローランはマガバッサーの不安に気付いて声をかける。
「どうしたのよ、指を切っちゃった見たいな顔して・・・」
「まさか・・・、マガタくんが大ピンチの予感って奴?」
「そうかもしれません・・・!」
ザンドリアスとベムスターが言うとマガバッサーは自分の勘でマガタに大変なことがあったのではと不安になった。
「もしやマガタ様の身に何か!」
「まさか、今の降星街は平和そのものよ。そうそう事件なんて・・・」
「起きちゃったみたい・・・」
ザンドリアスがそんなはずなないと言う矢先にバルがパソコンを開いて状況を説明した。
「降星公園で大きな地面の穴が出来たみたいだよ・・・・。しかもそこから大きな力を感じるの・・・」
「力が・・・!」
バルの話を聞いてシェパードンが落ち着かない表情をした。
「どうしたの?」
ケルビムが心配そうに見ていた。
「私、地底出身だからかもしれないけど、今、地底でも不穏な気配が起きている。そしてこの地上でその驚異が迫っているんじゃないかしら・・・」
シェパードンがそう言った矢先、マガタの友達のアキコ達がドアを叩いて来た。
「禍葉さーん、マガタくんが大変なの!!!」
「?!まさか・・・」
続く・・・。
- Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.35 )
- 日時: 2017/01/29 16:51
- 名前: たくと七星
一方、ここは薄暗い地下の世界。ほの暗い地底で、マガタは目を覚ました。
「あ・・・、そうか、僕、あの蟻地獄に落ちて・・・、そうだ、アキさん達は・・・?!」
マガタはアギラ達のことが心配になった。すぐに辺りを見渡してアギラ、ミクラス、ウインダム、ゴモラ達を探した。そして、数歩歩いた所でアギラ達が仰向けで倒れているのを見つけた。
「アキさん、皆!ねえ、しっかりして!」
少年はアギラの体を揺すって起こした。
「う、ううん・・・」
アギラ達は何とか目を覚ました。
「マガタくん・・・?」
アギラ達の目に、あどけない少年の顔が写った。
「マガタくん、怪我はない?!」
アギラは心配になってマガタに怪我はないか聞いた。
「僕は大丈夫だよ」
「はあ、良かった・・・。君に何かあったらと思うと・・・」
アギラはホッと安堵の笑みを浮かべた。
「でも、ここはどこなのかな・・・」
ミクラスは辺りを見て不安になった。
「私が測定します」
ウインダムが元の姿に戻り、自分達が今いる場所を解析した。
「ウインちゃん、どうゴモ?」
「完了しました。私達がいるのは、地底のようです」
「地底?」
ミクラスが解らなそうな顔をした。
「はい、地上の下にある地下の世界のことです」
「てことは、あたし達、地下に落ちちゃったってこと?!」
ウインダムの解説にミクラスは愕然とした顔をした。
「でも、誰が何の目的であの蟻地獄を・・・?」
『その子供を手に入れるためですわよ』
アギラが考えると、誰のものでもない声が聞こえてきた。アギラ達が廻りを見ると、目の前で地面が隆起して土砂の中から、一体の超獣が現れた。三つに結った白紫の髪、白目のない瞳だけの目、紫の単に長袴を履いた超獣。
「誰?」
アギラが言うと、大蟻超獣は自分の名前を名乗った。
「お初お目にかかりますわ。私、大蟻超獣のアリブンタといいますの。どうもよろしく」
「あの蟻地獄は貴方の仕業だったのですか?」
「いかにも」
ウインダムが聞くと、アリブンタは静かに頷いた。
「その子供、王武マガタくんを頂くためですわよ。その子を我が土ノ魔王獣様が欲しています故」
「何のことゴモ!」
「我が主、マガグランドキング様はこの地底世界を制して全ての地底怪獣達を従える王となられたのです。ですがそれだけでは足りません。あの方の力を更に引き出すためにも、その子と、持っているリングが必要なのです。本当ならその子だけが目当てだったのですが、いらぬ存在まで来てしまいましたわね・・・」
アリブンタは計画に狂いが出来てしまったとため息を吐いた。
「貴方達、その子を、王武マガタくんを私に渡しなさい。その方が貴方達の身のためですわよ」
そして大蟻超獣はアギラ達にマガタを自分に差し出すよう迫って来た。アギラは目を鋭くさせてアリブンタに言う。
「断るって・・・言ったら?」
アリブンタは薄笑いを浮かべて言った。
「貴方達を全員倒して、力ずくででもその子を手に入れるまで・・・。言っておきますが私は怪獣よりもはるかに強い超獣。貴方達はどうやっても勝てませんわよ。特に貧弱で雑魚なカプセル怪獣では尚更のこと・・・」
大蟻超獣はあざ笑うような顔付きでアギラ達を皮肉った。
「貧弱だって・・・?」
アギラ、ミクラス、ウインダムはその言葉に険しい顔をした。
「聞き捨てなりませんね・・・その言葉」
「貧弱なんて言わないで!あたし達だって少しは強いんだよ、あんたのような高慢ちきな奴なんてすぐに倒せるんだから!」
ミクラスが叫ぶが、アリブンタは聞く耳もなくアギラ達に言った。
「もう一度聞きますわ、その子供を渡しなさい」
アリブンタが迫ると、アギラはきっぱりと言った。
「断る、マガタくんは君達の道具じゃない、君達の勝手な都合のためにこの子を渡さない!」
「そうです、絶対に渡しません!」
「マガタくんだって、あんた達に使われるよりあたし達と一緒にいた方がいいもん!」
「ゴモラちゃんも同じゴモ!マガタくんは絶対にゴモラちゃんと皆で守ってみせるゴモ!」
「アキさん、皆・・・」
アギラ達はマガタを渡さないとアリブンタに突っ返した。アリブンタは残念そうな顔をした。
「そうですか・・・・。穏便に解決したかったのですが、仕方ありませんわね・・・!」
アリブンタはキッと目を尖らせて戦闘の構えに入った。
「かくなる上は貴方達を打ちのめし、その子供を力ずくで奪い取りますわ!」
「ウインさん、ミクさん、ゴモラさん、行くよ!」
アギラ、ミクラス、ゴモラは怪獣の姿になってアリブンタと対峙した。
「アギラさん!」
マガタが叫ぶとアギラ達は優しい微笑みを向けた。
「大丈夫だよ、君のことは僕達が守るから・・・」
「大丈夫、こんな奴、さっさと片付けちゃうから、あたし達に任せて!」
「では、行ってきます!」
「ゴモーっ!」
アギラ達は一斉にアリブンタに突撃した。
「ふん、この私に挑んだことを後悔させてやりますわ!」
「カプセル怪獣だって強いことを見せてあげる!」
続く・・・。
- Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.36 )
- 日時: 2017/02/05 17:10
- 名前: たくと七星
その頃、蟻地獄が出た公園にアキコ達の話を聞いて、マガバッサー、ローラン、ベムスター、バル、シェパードン、ケルビム、ザンドリアス、ホーが駆けつけた。
「これがアキコさん達が言っていた蟻地獄ですね。確かに、マガタ様の気を感じます・・・」
「この子の気を感じると同時に、地底の底にある怪獣達のエネルギーを感じるわ」
マガバッサーはマガタがここに落ちたことをかすかに感じた。シェパードンも、地底怪獣達、そして土ノ魔王獣の力を察知した。
「どどど、どうしましょう、どうやってあの子を助けますか?」
「どうするって、そりゃあこの蟻地獄に入って助けに行くしかないでしょ?」
ケルビムが狼狽しているとベムスターは危険を覚悟で救出に向かうべきだと蟻地獄に指を差した。ケルビムはどこか落ち着かず怖がっている。
「怖がってんの?それであいつの怪獣が務まるわけ!怖いんだったら帰って、あたし達だけでもあの子を助けに行くわよ!」
「ザンドリアスちゃん、積極的だね」
「な、違うわよ!あいつに何かあったら、あたし達が困るんだから仕方なくよ!」
バルが問いかけるとザンドリアスはいつものようにツンツンして腕を組んだ。
「そうはさせないよ!」
その時、地面からテレスドン、ゴメス、デマーガ、デットン、サドラが出てきてマガバッサー達の前に立ちはだかった。
「マガグランドキング様の探している子を助けようって言うんでしょ?」
デマーガがマガバッサー達を睨んできた。テレスドン、デットンも前に出て立ち塞がる。
「ここで足止めするのがあたし等の役目!」
「デットン、絶対行かせないじょー、通せんぼだじょー」
「マガタくんの元へは行かせないつもりね」
シェパードン、バル、ケルビム、ベムスター、ホーが怪獣達と対峙した。
「ここはバルちゃん達に任せて!」
「私、怖いけど、あの子のためなら、頑張れます!」
「あたしがいい役を譲ってやったんだからちゃんと助けなよ」
「マガバッサーさん、ザンドリアスちゃん、ローランさん、後は頼んだよ!」
バル、ケルビム、ベムスター、ホーは地底怪獣達に戦いを挑み、マガバッサー等三人に地底世界に行くよう促した。
「皆さん、ありがとうございます。魔王獣の名にかけて必ずマガタ様をお救いします!」
「さあ、早く行きましょう!」
「たく、こんな大事な役目をあたしなんかに、こうなったらやるしかないわね!」
マガバッサー、ローラン、ザンドリアスは飛び立って、蟻地獄の中に入っていった・・・。
その頃、地底では・・・、
「うおおおおおお!」
「どりゃあああああ!」
アギラ達カプセル怪獣とゴモラ達がアリブンタと戦っていた。アギラとミクラスは突進して、アリブンタに掴みかかった。しかしアリブンタは素早い身のこなしでこれをかわしていく。
「遅い遅い、こんなにも遅くて私に追いつけますの?」
「やろうと思えば追いつくよ、どりゃあああ!」
ミクラスがパンチに出た。
「甘いですわ!」
だがアリブンタは素早く避けてミクラスの腕を掴み、投げ飛ばして地面に転ばせた。
「とりゃあああ、メガトンテール!!!」
ゴモラが尻尾を振るって攻撃に出るが、アリブンタに尻尾を掴まれジャイアントスイングで投げ飛ばされてしまう。
「ぐうう、投げられたゴモ・・・」
「せえいや!」
アギラが目の前に出て角攻撃に出た。しかしアリブンタは腕を掴んで動きを封じてアギラに近距離で口から蟻酸を吐いた。
「うわ、臭い!臭すぎる、臭!」
アギラは余りの臭さに転倒して悶え苦しんだ。
「どうかしら、私の蟻酸の香りは?中々の香りでしょう?」
「余所見してると痛い目見るよ!」
ミクラスの言葉にアリブンタが目の前を見ると、
「レーザー!」
ウインダムがレーザーを発射してアリブンタを攻撃した。
「きゃあああ?!」
アリブンタは爆発して姿を消した。
「やった!」
「勝ちました!」
ミクラス、ウインダムは自分達が勝ったと思った。アギラ達を見守っていたマガタもそう思っていた矢先、
「ふふふふふ!」
突然、倒したはずのアリブンタが現れウインダムとミクラスを掴み上げた。
「ぐう!」
「く、苦しい・・・!」
「あの程度の技で私が簡単に敗れると思って?」
アリブンタは高笑いをしてウインダムとミクラスを投げ飛ばした。
「アギラちゃん、あいつ、強いゴモ!」
「はい、流石に超獣は伊達じゃない・・・でも、絶対に負けられない!」
「その意気だよ、ゴモラちゃんもやる気出てきたーっ!」
ゴモラは超振動波をアリブンタに向けて放った。
「ふん!」
するとアリブンタはある物を取り出してそれを回転させてゴモラの放った超振動波を消してしまった。
「そんな、ゴモ・・・」
「ふふふふ、私は肉弾戦だけが取り柄ではなくてよ?」
アリブンタはハサミ型の刃の付いた二本の槍を取り出してクルクルと回転させた。
「武器を出しても、僕は諦めない!」
アギラは前進してアリブンタにパンチを振るったが、ことごとくかわされて槍の突き攻撃を立て続けにうけてしまった。
「きゃあ!」
アギラは地面に転がされ、ゴモラが槍を掴むも蟻酸を放たれて怯んでしまう。
「隙ありです!」
「これでどうだあああああ!」
ウインダムとミクラスがレーザーと岩を投げたが、アリブンタに二本の槍でガードされてしまう。そしてアリブンタの回転切りでダメージを受けてしまった。
「きゃ!」
「きゃあああああ!」
ウインダム、ミクラスも吹っ飛ばされて地面に倒れ込んだ。
「ウインダムさん、ミクラスさん!」
「さあて、お遊びもそろそろ御終いにしますわよ?」
アリブンタはニヤリと笑い、鋭い針を手に取って、それをつらら上になっている天井の岩に投げ飛ばした。すると鋭い岩の刺の付いた天井は倒れていたミクラスに降りてきた。
「し、しまった!」
ミクラスの真上に刺が迫り、彼女はこれを抑えて必死に上に上げようとした。
「ミクラスさん!」
「大変です、ミクさんが!」
マガタが叫ぶと、ウインダム、アギラ、ゴモラが助けに行こうとしたが、
「行って、アギちゃん、ウインちゃん!あたしは大丈夫だから!早くそいつを倒して、マガタくんを!」
「ミクさん、くう・・・」
「解りました、必ず助けます!」
アギラ達はアリブンタに向かって攻撃した。
「早くしないと、ミクラスちゃんが危ないゴモ!」
「急がないと!」
しかし、アリブンタの素早い身のこなしに追いつくので精一杯だった。
「これで燃えてしまいなさい!」
アリブンタは槍から火炎を放ったウインダムとゴモラを攻撃した。
「きゃあああああ!」
「いやあああ、熱いーっ!!!」
ウインダムとゴモラは炎の熱さに苦しんだ。
「ウインさん、ゴモラさん、く、せええええええい!」
アギラはアリブンタに連続パンチを放ったが槍で拳を振り払われ、強烈な突きを喰らってしまった。
「きゃああああああ!!!」
アギラは地面に倒れて息を切らした。するとアリブンタはニヤニヤと笑ってアギラに馬乗りをした。
「はあ、はあ、な、何・・・?」
「ふふ、その子をもらう前に、少し貴方と遊んであげますわ・・・」
「あ、ああ・・・、やだ、やだよ、いや、いや、いやあああ!」
アギラが悲鳴を上げると、アリブンタは槍を振るい、アギラの衣装をビリビリに破いた。裸に近いくらいに服を破かれたアギラは怯えて泣いているしかなかった。アリブンタはアギラの白く柔らかい胸をまさぐり始めた。
「や、いや!おっぱい触らないでよお・・・」
「まあ、丸っこくて弾力がある、貴方、中々いいですわね、じゃあこれは?」
大蟻超獣が鋭い爪をアギラの頬に当てた。
「何、何するの、い、いやああああ!」
続く・・・。
- Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.37 )
- 日時: 2017/02/05 17:40
- 名前: たくと七星
アリブンタの爪がアギラの頬を強くなぞった。怯えているカプセル怪獣の頬を赤い鮮血が伝った。
「あ・・・ああ・・あああ・・・」
「ふふ・・・」
大蟻超獣は薄笑いをしてアギラの頬に口付けをして血を吸った。
「きゃあう、や、いやあ!何で血を吸うの・・・・?」
「ペロ、美味しい・・・。貴方、O 型でしょう?」
「だ、だから、何・・・?」
「私、O 型の血液は好物ですの。もっと貴方の血を吸わせて?」
「や、やだあ!血を吸わないでえ!」
アギラが悲鳴を上げるもアリブンタは構わずアギラの頬から流れる血を舐めた。しばらく舐めて血を口に含むと、アギラにキスをした。
(え、嘘、こんな・・・)
アギラが驚く間もなく、アリブンタはアギラの口内に舌をねじ込ませようとした。アギラは口を塞いで抵抗したが、アリブンタは片手でアギラの鼻を摘んで、息を出来なくさせた。アギラは必死で堪えたが息が出来ないことに苦しくなり、口を開けてしまった。
「ふう、くうううう・・・!」
アリブンタがアギラの口内に舌を入れた。そして、アギラから吸った血を口内に流し込み、舌を絡めてディープキスをする。
(や、やだあ、やだよ・・・。女の子同士で、キスなんて・・・)
アギラは涙を流して怯えたが、アリブンタは構うことなくキスをしてアギラの口内を味わい、口を離した。
「どうかしら、自分の血の味は・・・?」
「うう、こんなの飲まされたって・・・美味しくないよ・・・・」
「まあ、素直じゃないのですね。なら、もっと楽しませてあげますわ」
「やだ、いや、いやああああああ!」
アギラが悲鳴を上げた。アリブンタはアギラの秘所に指を挿入して責め立てる。
「きゃああああ、熱い、熱いよーっ!」
「いやあああ、助けてーーーーっ!」
「やだあああああ、こんな所で串刺しにされるなんていやああああああ、やだよおおおおおお!」
ウインダム、ゴモラは炎に苦しみ、ミクラスは仰向けに倒されて何とか天井の刺を抑えるも体が突き刺さられるのは時間の問題だった。
「ど、どうしよう、どうすればいいの・・・」
アギラ達のピンチにマガタはどうすればいいか解らず、恐怖で頭が浮かばないでいた。このまま何もしないとアギラ達が大変なことになってしまう。でも、何の武器もない普通の子供に過ぎない自分に何が・・・、
『い、いや!やめてえええええ!』
その時、マガタの脳裏にマガグランドキングに虐げられていたマガバッサーの姿が浮かんだ。あの時は怖さでマガバッサーにどうすることも出来なかった。オーブクリスタルのお陰があったとは言えそれがなかったらと思うと自分の非力さを感じていた。
(そうだ、僕がやらなきゃいけないんだ!自分で決めたんだ。僕だって守られるだけじゃなくて、皆の力にならなくちゃって、自分で決めたんだ!僕が、アギラさんを、皆を助けるんだ!)
マガタは覚悟を決めて走り出して、
「このーっ!」
アリブンタが置いてある槍を取ってアリブンタに思い切り叩き込んだ。
「う!」
アリブンタは衝撃を受けて倒れ込んだ。
「アギラさん、しっかりして!」
マガタはアギラの体を起こして大丈夫か確認した。
「マ、マガタくん・・・・?」
「良かった、ああ、頬を怪我してるよ」
「だ、大丈夫だよ・・・これぐらい、それよりも・・・」
「解った!」
マガタは自分の上着を脱ぐと、風を出してウインダムとゴモラを焦がしている炎を消して、次にミクラスを突き刺そうとしている天井の刺を持ち上げようと力を出した。
「マガタくん?!」
「待ってて・・・、ううう、これを持ち上げるから・・・!」
「マガタくん、いいの!あたしのことはいいから、早く逃げてえ!」
「逃げない、絶対に負けないよ!僕、決めたんだ!守られるだけじゃなくて、僕も皆を守るようになるって!絶対にミクラスさんを、皆を助けるよ!」
「マガタくん・・・」
少年の強い意志と勇気にミクラスは安堵の笑みを浮かべ嬉し涙を流した。アギラ、ウインダム、ゴモラも同じ気持ちだった。
「マガタさん、あんなに小さいのに勇気があるなんて・・・素敵です」
「ゴモラちゃんの目に狂いはなかったゴモ・・・」
アギラも心の声で感心していた。
(まだ幼い、小さな子供と思っていたのに、君はとても勇敢で、優しさに溢れてるんだね、あの人みたいに・・・)
続く・・・。
- Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.38 )
- 日時: 2017/02/11 19:10
- 名前: たくと七星
だが、少年がミクラスを助けようとしている間に大蟻超獣が目覚めてしまった。
「くう、おのれ余計なことを!」
アリブンタは槍を手にとってマガタに迫って来た。
「逃げてマガタくん、早くーーーっ!」
「大丈夫、これで!」
ミクラスが叫ぶと、マガタは怪獣リングを持って、三枚のカードを読み込ませた。
『マガバッサー、ローラン、ザンドリアス、召喚!』
リングから光が放たれ、マガタを救出に向かっていたマガバッサー等、三体の怪獣が光から出現した。
「とおおおおおお!」
マガバッサーがジャンプキックをしてアリブンタを吹っ飛ばした。
「ぐはあ!」
アリブンタはダメージを受けて地面に転んだ。マガバッサーはすぐにマガタに駆け寄って少年を抱きしめた。
「マガタ様、ご無事でしたか?!」
「うん、僕は大丈夫」
「ああ、申し訳ありません、私が近くにいないばかりに貴方をこんな目に・・・」
風ノ魔王獣は涙を浮かべて少年に守ってやれなくて済まないと謝る。少年は澄んだ瞳で言った。
「いいんだよ、大丈夫。だって危ない時はどこにいても来てくれて助けてくれた。それだけでも嬉しいよ」
「マガタ様・・・お優しい・・・」
「マガバッサー・・・、そうだ!ミクラスさんを・・・!」
「任せなさい!」
ザンドリアスが拳を振り回してミクラスを突き刺そうとする天井の刺に強烈なパンチを振るった。
「うおりゃああああ!!!」
だだっ子怪獣の豪腕に刺が粉々に砕けた。
「ミクラスさん!」
マガタは急いでミクラスを引っ張り出して彼女を救った。
「はあ、はあ、マガタくん、ありがとう・・・」
「ミクラスさん、無事で良かった」
「さあ、早くここを出ましょう」
ローランが言うと、アリブンタが起き上がってきた。宇宙鶴は風車を飛ばしてアリブンタの腕に刺して怯ませた。
「皆さん、しっかり掴まってくださいね」
マガバッサー、ローラン、ザンドリアスはマガタと怪獣達をしっかり掴み、地上を目指して飛び立った。
「おのれえええええええええ!」
アリブンタの叫びが響くが、マガタ達は振り向くことなく地底を脱出していく。
その頃、地底では、
「やっ、たあ!」
シェパードンはテレスドンを叩きで吹き飛ばし、デットンの突進を受け止めるとこれを転ばせた。
「こんないちげきはどうかしら?」
そして両腕に光のエネルギーを溜めてジャンプしてクロスさせての衝撃波をテレスドンとデットンに見舞った。
「てーーーい!」
ケルビムは刺の付いた尻尾をデマーガに振るい、何度も叩きつけた。そして起き上がった所で弾道エクスクルーシブスピットの火炎を連射してデマーガに大ダメージを与えた。
「パーンチ!」
バルはサドラにパンチに出た。サドラはハサミでこれを挟んでしまう。もう片方の手でパンチに出るもこれも挟まれてしまった。
「腕が使えないならこっちのものよ!」
「でもバルちゃんの勝ちだもーん!」
バルは怪力でサドラを持ち上げてグルグル回ってサドラを振り回した。そして地面に叩きつけて拘束を解き、ブレーンバスターをして再び叩きつけに出た。
「おおおおお、あたしの本気を見せてやる!!!」
ゴメスは背中の甲羅と角を光らせて本気を出した。口から熱戦を吐いてベムスターとホーに突進してきた。ホーは熱戦が飛ぶ中を走り出して、ゴメスと肉弾戦を展開した。ゴメスのパンチを浴びながらもホーは鋭い爪でゴメスを切り裂いた。
「吹き飛べやあああああ!」
「きゃああああああ!」
ゴメスは体内放射をしてホーを吹っ飛ばした。そしてゴメスが熱戦を吐いてきた。
「おっと!」
ベムスターが入ってゴメスの熱戦を吸収した。
「あ、ありがとう」
「お礼はいいからこいつを倒しちゃおう」
ホーは起き上がって、ホーフラッシュを飛ばした。ベムスターも吸収した熱戦を反射させてゴメスにダメージを与えて転ばせた。
「な、こいつら、強いじゃない・・・!」
デマーガ達は狼狽し始めた。そして蟻地獄からマガバッサー達が飛び出した。
「あれは、マガタくん!」
「ザンドリアスちゃん、助かったの?!」
シェパードンはマガタがいることを確認した。ホーが救出成功したのかをザンドリアスに言った。
「もちろん、ちゃんと助けたわよ!」
「おー、皆無事みたいだね〜」
ベムスターもゆるい台詞ながらも少年と仲間の怪獣達の無事に安心した。マガバッサー達が地面に着地した。
「良かったわ、皆。でも、怪我をしてるみたい、私に任せて」
シェパードンは自身の体から光を放出してアギラ、ウインダム、ミクラス、ゴモラに浴びせた。
「温かい、力が湧いてくる・・・」
アギラ達は体力を回復させてもらい、立ち上がる。
「シェパードンさん、ありがとう」
「どういたしまして、皆の役にたてて嬉しいわ」
アギラ達の前でシェパードンは眩しい位の笑顔を見せた。だがその時、地面が揺れて中からアリブンタが現れた。
「く、また来たの?!」
「許しませんわよ、絶対にその子供を奪って・・・!」
アギラ達が身構えると、アリブンタは槍を振り回して前進しようとした。
「待ちな!」
しかし、蟻地獄から地響きを立てて一体の怪獣が現れた。青銅色の平たく沿った巨大な左手にペンチのような右手、その怪獣は薄笑いを浮かべてマガタに視線を送っていた。
「お姉さんは・・・!」
「久しぶりだねえ、坊や、アタイだよ・・・」
「マガグランドキング・・・貴方ですね・・・!」
マガバッサーが目を鋭くして睨んだ。そう、土ノ魔王獣、マガグランドキングが立ちはだかってきたのだ・・・。
続く・・・。
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