官能小説(オリジナル18禁小説)

ウルトラ怪獣擬人化オーブ
日時: 2017/04/30 15:04
名前: たくと七星

 皆さん、またお会いします、たくと七星です。今回もこのサイトで新しい小説を書いていきたいと思います。これから書く物語は私も大好きなウルトラシリーズ、その怪獣をメインにしたお話です。

<大まかな概要>
 舞台は現在放送されている新作のウルトラマン、「ウルトラマンオーブ」(2016年12月に放送終了)の世界観、復活した魔王獣や怪獣が倒されてから数年、数十年、数百年なのかは置いとくとして、オーブのその後のストーリーとして描きます。そこでは怪獣達が擬人化して人間社会に溶け込んでいて、または自然で暮らしていたりするものもいて、ひょんなことから主人公が魔王獣の封印を解いてしまい、その魔王獣からある物を渡されて、人と怪獣の絆の架け橋となって自分だけのハーレム・・・ではなく、怪獣軍団を作っていくと言うストーリーにしてみたいと思っています。
 ウルトラシリーズのファンも見ていただけたらなと言う淡い期待を持ちつつも書いていこうと思いますのでよろしくお願いします。

<登場人物紹介>

・王武マガタ
 本作の主人公。おとなしくて控えめな優しい少年。ある時、不思議な声に導かれてある神社に足を運び、そこで魔王獣の封印を解いてしまう。

・マガバッサー
 かつて突風を巻き起こして人々を恐怖に陥れた風ノ魔王獣。マガタが封印を解いたことで現世に蘇ってしまう。マガタが最初に手にすることになる怪獣。魔王獣だが、かつて恐れられていた恐ろしさは控えめになっており、むしろマガタに怪獣の知識を与えたり、サポートしたりと献身的で優しい性格になっている。額にはマガクリスタル、鳥の皮膚の手先足先、羽をはやしているが、胸や秘所をギリギリ隠した際どい裸に近い格好をしている。魔王獣であるがベジタリアンで野菜と果物が好物。肉や魚は生ものが血の色をしていて怖いと言うことで苦手である。そのため野菜と果物の料理しか作れない。イメージは妖鳥シレーヌとウルトラマンコスモスのリドリアス(性格面)


・江戸川アキコ
 マガタの友達の女の子。竹中淳と西条一平と常に一緒にいる明るく行動的な性格。一人ぼっちなマガタを心配したりかばってあげたりとお姉さん的な面が強い。名前は「ウルトラQ」の江戸川由利子と「ウルトラマン」のフジアキコ隊員から。


・竹中淳
 アキコ、一平と行動している、子供ながらも冷静で知識のある少年。面倒見のある性格で一平からは兄のように慕われていて、マガタのことも気にかけている。名前は「ウルトラQ」の万城目淳と「ウルトラセブン」のタケナカ参謀から。


・西条一平
 アキコ、淳と常に一緒な明るくひょうきんな少年。愛嬌があって気の優しい性格で淳のことを兄のように慕い、アキコのことも気にかけている。名前は「ウルトラQ」の戸川一平と一平を演じた役者さんの名字から。


・嵐シゲル
 マガタのクラスメートの一人。子供とは思えない力自慢で義理人情に熱い。名前は「ウルトラマン」のアラシ隊員と「ウルトラセブン」のフルハシ隊員の本名、シゲルから。


・伊達ミツヒロ
 マガタのクラスメートの一人。シゲルと常に一緒にいる明るく陽気でおっちょこちょいな少年。名前は「ウルトラマン」のイデ隊員の本名、ミツヒロと「ウルトラマンマックス」のダテ博士から。

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Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.109 )
日時: 2017/12/03 17:13
名前: たくと七星

「うわあ、何だろここ・・・」
「森と言うよりもジャングルだよね・・・」
 マガタとアギラが辺りを見て呟いていた。バキシムに案内されてマガタ達が歩いているのは疑似空間の森と呼ばれる場所だった。
「ええ、この疑似空間の森はベル星人と言う宇宙人によって開発された森林なのです。ちょっとしたサバイバルを楽しめる場所で危険とスリルを味わいたい方にお勧めですよ」
「危険とスリルって・・・」
「笑顔でサラッと怖いこと言うね・・・この人」
 ミクラスとアギラが笑顔でサラサラと話を勧めるバキシムに少し怖く感じていた。
「ほらほら、僕を捕まえてごらんよーっ!」
「パムパムーっ!」
 リトラとハネジローが飛んで先へ進んでしまった。
「あの子達、奥へ進んでいくわ」
「遠くへ行っちゃだめよ!」
 ザンドリアスとローランが戻るよう言ったが二匹は先へと羽ばたいていってしまった。
「何か起きないといいけど・・・」
 自分達が歩いている森は静寂さがあるがどこか落ち着かない、不安にさせるような不気味さが漂っていた。何が起きるか解ったものではない。アギラは心配になって来た。
「バキシムさん、この森には何かあるの」
「はい、この疑似空間の森にはですね・・・」
「助けてーーーーっ!」
 リトラの悲鳴が聞こえて来た。少年達が急いでその先へ走り出すと、
「助けて、苦しいよーーーっ!」
「パムーーーっ!」
 リトラとハネジローが植物に巻き付かれていた。
「大変、助けなくちゃ!」
「はい!」
 マガバッサーとギャラクトロンが衝撃波とレーザーを飛ばして蔦を切って、落下した所をウインダムとミクラスがキャッチした。
「良かった、怪我はない?」
「うん、リトラちゃん、怖かったよ・・・」
「あれ、何これ?」
「何かあちこち飛んでますね・・・」
 安心したのも束の間、アギラとウインダム達が見ると何かが飛び跳ねていた。
「うわわ、これ、何か増えて来てるよ!」
 ミクラスが慌ててそれを追い払おうとする。
「ちょっと、やだって、あっち行ってよ!」
「や、怖い、きゃあ!」
 飛び跳ねていたものがローランの太ももに噛み付き始めた。彼女がそれを払うと白く綺麗な太ももから血が流れていた。
「いや・・・!何これ・・・」
 怯えているとアギラが跳ねているものを叩いて手に乗せた。
「これって、虫?」
「はい、この森には先ほどのような吸血植物、そして吸血ダニが潜んでいるのです」
「へえー、て、それを早くいいなさいよ!」
 ザンドリアスがうがーっと吠えて言った。
「ねえ、あれ・・・」
 ミクラスの顔が青ざめていた。一行が見ると一行の顔も蒼白になる。
「嘘・・・」
「森が、消えてる?」
 アギラとギャラクトロンが唖然としているとバキシムが笑顔で説明する。
「ええ、この疑似空間の森はですね。不規則な時間で消滅することがあるのです。早く逃げないと私達は異空間の中に吸い込まれてしまいます」
「それも早く行ってーーーーーっ!」
「て言うかサラッと言えるよね、笑顔で・・・」
 森は徐々に姿を消しているのが解った。一行は急いでその森を逃げ出していった。
「はあ、はあ・・・」
「あんなひどい見学は初めてですよ・・・」
 何とか駅に戻り一行は息を吐いていた。ザンドリアスは膝を付いて息を切らし、ウインダムがもう行きたくないと溜息を吐いていた。
「あれ、マガタくんは?」
 アギラが見ると主人の少年がいないことに気付く。
「いない、どこに行ったの?!」
「まさかあの森の中に?」
 ローラン、ピグモンが周りを見るが少年の姿はどこにもいない。
「そんな・・・、ああ、マガタ様!」
 最悪の事態がよぎったその時、
「呼んだ?」
「うわあ、マガタくん?!」
「え、マガタ様?」
 少年が近くにやってきてマガバッサー達に声をかけた。
「マガタ様!ご無事だったのですね!ああ、良かった・・・」
 マガバッサーが安心して少年を抱き締めた。
「もうこのバカ!突然いなくなるから心配したのよ!」
 ザンドリアスが涙目でポカポカと少年を叩いた。
「でも、無事でよかったよ・・・」
「心配かけちゃってごめんね・・・、あ、そうだ・・・」
 少年はポケットからあるものを取り出した。
「マガタくん、この草は何?」
「ガイドブックで見たんだけど、この森で取れる薬草なんだって」
「マガタくん、それを取るためにわざわざ引き返したの?」
 ミクラスが驚いた口調で尋ねた。
「もう、そんな役に立つのかも解らないもののために戻ったりするのよ!」
「ごめん、でも、これならローランさんの怪我も治せるよね」
 そう言って薬草をローランに渡した。
「マガタくん、私のために・・・?」
「うん、だって足に血が流れて可哀相だから、血止めにはなるかな?」
「ああ、マガタくん・・・」
 嬉し涙を流してローランは少年を抱き締めた。
「私のために危険なことをしてまで薬草を取ってくるなんて・・・、ありがとう、マガタくん、こんなにも素敵で勇気のある男の子の怪獣になれて、本当に幸せよ、だからこれでお礼にさせて・・・」
 スタイルのいい、細身の体とふくよかな胸で少年を抱き締めてそのぬくもりを彼へのプレゼントにした。
「ローランさん、皆が見てるよ・・・」
「ふふ、いいのよ、皆に見せちゃいましょう?」
 少年を抱き締めているローランにザンドリアスとギャラクトロンは激しく嫉妬していたがハネジローとリトラはその意味がよく解っていなかった・・・。

続く・・・。 

Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.110 )
日時: 2017/12/16 21:25
名前: たくと七星

「これでよし・・・」
 列車に戻ってローランの太ももに薬草を付けた布を巻いてあげた。
「ありがとう、マガタくん。思えばいつも貴方には助けてもらってばかりね、私も何か恩返しをしてあげたいな・・・」
「いいんだよ、ローランさんの怪我が早く治ってくれたらそれだけでも充分幸せだよ」
「本当に優しい・・・。ありがとう、ちゅ・・・」
 艶やかな唇で少年のリンゴのような赤い頬にキスをする。
「むうううう、あいつのほっぺにキスして〜!」
「私だってしたいのに〜!!!」
 やはりザンドリアスとギャラクトロンが歯ぎしりをして悔しがっていた。
「マガタくん、本当に優しくていい子だね、だからそのリングに選ばれたのかな?」
「そうかな、これはマガバッサーからもらったもので・・・」
「はい、ガシャにいた時に一緒にいた怪獣達から渡されたのです。ガシャを引いた最初の人間に渡すようにと、それがマガタ様、貴方だったのです」
「そうなんだ」
 少年が驚いているとマガバッサーは静かに頷いた。
「何だろそれ、何か、運命って感じがするよね!」
 隣に座っていたミクラスが振り向いて言った。謎の声に導かれて向かった先にあったガシャを引いたことから始まった出会い、不思議な運命と言えるかもしれない。
「それを手にした人間が純真無垢な少年、萌え・・・」
 ウインダムは頬を赤くしてウットリとしていた。アギラは少々冷や汗をかいていたが・・・。
『間もなく、列車はアップル森林、アップル森林に到着します』
「アップル?リンゴのことかな?」
「あら、あそこへ行くのね」
「ローランさんは、知ってるの?」
「ええ、あそこには行ったことがあるの。きっと貴方も気に入ると思うわ」
「それでは私バキシムが皆様を案内いたしますーっ!」
 アップル駅に到着するとバキシムが一行を森の中へと案内した。
「うわあ、リンゴが一杯」
 木々を見上げると森には数えきれないほどのリンゴが植わっていた。草花は付いていない、リンゴだけが実っている木である。白くくぼんだ穴がなっている木にルビーのような真っ赤に熟された艶のある綺麗なリンゴが実っていた。
「ええ、ここアップル森林はこのようにたくさんのリンゴが植わっているのです。ですのでリンゴを取りにここへ訪れる方々も多くいるのです。効能としては美容、滋養強壮、更には整腸剤としても効果があり・・・」
 バキシムが説明するも少年には何のことなのか良く解っていなかった。
「あー、つまり、医者いらずってことです」
(そんな簡単に締めちゃっていいの?)
 あっさりと結論付けるバキシムに心で突っ込むアギラがいた。辺り一面にはたくさんの美味なリンゴが連なっている。
「こんなにリンゴがあると取りたくなっちゃうよね」
「うんうん、手に取って食べたい、ゴモ・・・じゅる・・・」
 ミクラスが欲しそうにしていて、ゴモラも涎を垂らしていた。
「それなら取っていけばいいだけのことじゃない」
 そう言うとザンドリアスが飛んでリンゴを一つ捥ぎ取ってしまった。
「あ、リンゴを取ってしまいました?」
「何、いけないの?」
 着地してバキシムに言うと、それも束の間、
「コケコッコーーーーーーっ!!!」
 ニワトリのけたたましい鳴き声が聞こえて来た。
「今のって?」
「ニワトリさんの声だよね・・・?」
 アギラとミクラスが言っていると、案の定、どこからともなく無数のニワトリの群れが襲いかかって来た。
「え、ちょ、ちょっと何なのよこいつら、いた、痛い!やめて!つっつかないでったら!」
 けたたましく鳴いてリンゴを持っているザンドリアスに爪でひっかいたり、嘴でつついたりして来た。
「痛、痛た、何かこっちにもつついてくるよ!」
「うわあ、待ってください、私達取ったりしてませんよ?!」
「ひいい、尻尾を掴まないでーーーーっ!!!」
 ニワトリ達はウインダム達にも襲いかかってミクラスの尻をつついたりゴモラの尻尾を掴んだりして振り回した。
「危ない所でしたわね、マガタ様」
「うん、バキシムさん、このニワトリさん達は何?」
「ええ、このようにリンゴを許可なく取ろうとすると番人をしているニワトリの群れがやって来て襲いかかって来るのです」
「それを早くいいなさいよーーーーーっ!!!」
 バキシムが静かに言うとザンドリアスが怒号を上げた。
「て言うかこの状況でよく平静でいられるよね!」
 アギラがニワトリを振り払って言った。
「もう、誰かこのニワトリ達を何とかしてよーーーーっ!!!」
「それなら私に、任せて」
 ローランが前に出ると、落ち着いて、静かに歌い始めた。赤ん坊を穏やかな眠りに付かせるような温かく包み込むような優しい歌を森の中で流していく。誰もが彼女の歌の美しさにときめいてしまう。そして荒ぶるニワトリ達も飛び回るのを止めておとなしくなった。
「ニワトリさん達が落ち着いた?」
 マガタが言うとローランが美しく微笑んだ。
「ええ、もう大丈夫よ。ここのニワトリさん達とは顔見知りで、良く歌を聞かせてあげているの。もう襲ったりしないわ」
「そうなんだね」
「ええ」
 しゃがむとニワトリにお願いをする。
「ニワトリさん、勝手に取ろうとして悪いことをしたと思っているわ。でもザンドリアスちゃんは貴方たちがリンゴを守っていたことを知らなかっただけで悪気はなかったの、だから許してあげて・・・」
 ローランが言うとニワトリ達は羽ばたいてリンゴを取り、ローラン渡してあげた。
「リンゴを、私に・・・?そうなのね」
「ローランさん、なあに?」
「マガタくん、リンゴをもらっていいって言ってるわ。反省したのは解ったって言ってるの」
「ローランさんの優しさが伝わったんだね」
 少年の顔が笑顔になる。ローランもつられて顔を眩しい笑みにした。
「ありがとう、ローランさん、お陰で僕達も助かったよ」
「パム!」
「じゃあ、リンゴをもらっていいんだね」
 ザンドリアスが取ろうとするとニワトリ達が一斉に睨みだした。
「え、え?ちょっと何?」
「ああ、貴方はダメって言ってるみたい・・・」
「な、何でよーーーーーーっ?!」
 ザンドリアスが涙目で叫んだ。
「まあ、最初に勝手に取ろうとしたからね・・・」
「自業自得だな」
 アギラが冷や汗をかくとギャラクトロンは皮肉を言った。


「はいマガタくん、うさぎさん」
 ローランがリンゴを切ってうさぎの耳をかたどったリンゴをマガタに渡した。
「うわあ、ローランさん、器用だね」
「うふ、マガタくんに食べさせたくて本気出しちゃった、あ〜ん」
 綺麗に整ったうさぎのリンゴをマガタに食べさせてあげる。嬉しそうに食べる少年を見てギャラクトロンが悔しそうにする。
「どうだ主殿、リンゴなら私だって切れるぞ!」
 ブレードを出すと刃先にリンゴを刺して器用に回して見せた。そして見事に皮を全て切り取った丸いリンゴを作って見せる。
「わー、凄い!」
「でしょうでしょう〜、もっと褒めてくださいませ〜、主様〜ん!」
 嬉しそうに少年に頬ずりをするギャラクトロンだがマガタは少し困ってしまう。ローランや周りの怪獣達は冷や汗をかいていた・・・。


続く・・・。

Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.111 )
日時: 2018/01/21 15:09
名前: たくと七星

『ご搭乗の皆様、間もなく本列車は怪獣界、怪獣界に到着します。本日のご来場、真にありがとうございます』
「今のアナウンスって・・・」
「マガタくん、もうすぐで怪獣界だよ」
 アギラが言うと、少年は胸を膨らませた。これから向かう怪獣界とはどんな世界なのか、すると列車内が光に包まれて視界が閉ざされていく。


「マガタ様、マガタ様!」
「うん?」
「付きましたよ」
 マガバッサーの言葉にマガタが目を開いた。
「あれ、僕達、電車の中にいたはずじゃ・・・」
 周りを見ると、そこは駅の前だったが、そこにたっていて乗っていた列車は影も形も無くなっていた。
「今ので終点でございます!」
 するとドロンと煙の中から異次元列車が現れた。
「異次元列車のご搭乗、ありがとうございます。またのご来場を楽しみに待っています。わが友、王武マガタくんなら大歓迎でお迎えします」
 そう言って異次元列車はドロンと煙を立てて消えていった。
「ありがとう、異次元列車さん」
「マガタくん、見てごらん」
「ほら、ここがあたし達の言っていた怪獣界よ」
 アギラとミクラスが言うと少年は目の前にある風景に目をやった。水色の大空を雲が流れるように動いていて、目に優しい黄緑色の草を風が美しく薙いでいた。駅の周りは辺り一面が柔らかく温かい匂いのする草が生えていてマガタ達はその草むらの中を歩いて進んでいった。
「さあ、着いたよ」
 ピグモンが指を差すと、ボートエリアが置かれていた。
「小舟・・・?」
 川辺に置かれた小舟が何艘もあって目の前にある街を見てマガタは息を呑んだ。
「わあ!あの街が!」
 少年は心が踊った。奥にある街、レンガと大理石で作られたと思われる建造物群がいくつも立っていて、多くの風車が建てられて風に吹かれて動いていた。ゴモラやアギラが言っていた世界、それは言った通りの世界だった。現代とは違う、中世的な自然と綺麗な景観に溢れた癒しの溢れる空間・・・。
「街に行けばもっとすごいですよ・・・」
 ウインダムがマガタに笑顔で言う。
「それでは私バキシムもガイドをしますね」
「それじゃあ皆、小舟に乗って」
 ピグモンに誘われて一行は小舟に乗った。番人である影法師がオールを動かして一行を街へと運んで行った。湖を見てみると、赤い目をした牙の生えた魚の群れが泳いでいた。
「あれは何?」
「この街の水辺ではムルチと言う魚が取れるのです。漁でよく収穫出来るので街の住人達の常食としてよく食されているのです」
「へえ、美味しいの?」
「ええ、塩焼からムニエル、スープの具材、照り焼き、刺身やお寿司、骨は醤油煎餅にもなればスープの出汁にもなるのでございます」
「市場なんかじゃよく売られてるんだよ」
「そうなんだ・・・」
 話している内に街の中へと入っていく。水辺に建てられた街並みが水辺を挟んで建っていて、窓から怪獣達の営みや賑わいが映っていた。
「間もなく、街の船着き場に到着しますよ」
 船着き場に着いて船を下り、街の中を歩いていく。
(本当だ、アギラさんの言うとおりだ・・・)
 街を見ると家には階段が敷かれていてそれに乗り降りして部屋に入る怪獣達があった。
「この怪獣界には街の治安を守るギルドが存在しているのです」
「ギルド?」
 バキシムが言うには怪獣界にギルドがあるとのこと、それは悪い怪獣から街の安全と平和を守るために作られた組織であるとのこと。
「そう、そのギルドでリーダーを務めているのがゼットンさん」
「ゼットンさんが?」
「でね、サブリーダーをレッドキング先輩が務めてて、あたし達はそこで鍛えられてたってわけ」
 アギラとミクラスがゼットンとレッドキングがどんな立場にあるのかを説明した。
「あ、そろそろギルドの前に付くよ」
「パム!」
 ピグモンとハネジローが走り出して仲間達を呼んだ。
「皆ーっ、怪獣リングを持っている子供を連れて来たよ!」
 その言葉を聞いて建物から怪獣達が部屋から階段を伝って降りて来て、ピグモンとハネジローの前に集まった。
「連れて来たのか?」
「ああ、あの子は!」
 少年を見て怪獣達が喜んでいた。ガーディー、ブラックキング、メトロン星人、スカイドン、シーボーズ、ブリッツブロッツ、ペギラとかつてマガタと出会ったあの怪獣達だった。
「やっぱり君だったのね!ようこそ私達の世界に!」
 ガーディーがマガタを歓迎した。他の怪獣達も少年に集まって来る。
「やっぱり貴方だと思ってたわ!」
「私達は君を待っていたのだよ」
「それって、どう言う・・・」
「そいつは俺が話すよ」
 後ろから声が聞こえて来た。怪獣達が道を開けると、三人の怪獣が少年の前に現れる。
「わあ、レッドキング先輩だ!」
 ミクラスが大喜びする。マガタの前にいるのはレッドキング、ゼットン、エレキングの三人だったからだ。
「よう、ミクラス、ザンドリアス、お前等、元気にしてたか?」
「はい、元気にしてました!」
「あの、マガタくんを呼んだのは・・・」
 アギラが聞くとレッドキングはそうだと頷いた。
「おう、こいつを呼んだのは俺さ。ちょっとピグモンを使っちまったけどな」
「もしかして?」
「うん、レッドーに言われて君のいる世界にやって来たの」
「ついでに言うとデバンを送ったのも俺さ」
「レッドキングさんが?」
 そう、ノーバが人間の世界で暴れていた時、デバンを送った相手もレッドキングだったのだ。
「ああ、久しぶりだな、坊主」
「ええ、先輩、マガタくんを知ってるんですか?」
 カプセル組とザンドリアスはマガタから面識があったことを聞かされていなかったため驚いた。
「おう、こいつとはベムラーの時にあってな・・・」
「マガタくん、レッドキング先輩に会ってたんだ・・・」
「う、うん」
「もう!何で早く言わなかったのよ!」
 ザンドリアスが怒ってマガタに詰め寄った。
「はっはっは、そう怒るなよ。こう言うびっくりする展開は最後まで取っておきたいだろ?」
「ま、まあ・・・」
 師匠に言われてザンドリアスは一応納得した。
「それで、マガタ様を呼んだのは何故ですか?」
 マガバッサーが聞くとレッドキングは真剣な顔をした。
「もちろん、理由はある。が、その前にだ、坊主」
「何ですか?」
「俺達と勝負してくれや、お前が本当に強いのかどうかテストしてやるよ。俺とゼットン、エレキングに勝てたらお前の力を貸してもらうぜ」
「さあ、やるの、やらないの?」
 レッドキング、エレキング、ゼットンが前に出てマガタに勝負を仕掛けて来る。
「こいよ、相手は魔王獣でもいいぜ」
 レッドキングは拳を鳴らし、エレキング、ゼットンが身構える。
「気を付けてマガタくん、レッドキング先輩とゼットンさん、エレキングは強いから・・・」
「強いの?」
「うん、ギルドの中ではあの三人が一番強かったんだ」
 ミクラスとアギラが注意して戦うようマガタに言った。少年は頷くと、マガグランドキングとマガジャッパのカードをリングに読み込ませて召喚させた。
「来てやったぜ、さあ相手はどいつだ?」
「勝負ねん、マガタくん」
「うん、マガバッサーと一緒に戦って」
 マガバッサー、マガグランドキング、マガジャッパ。三人の魔王獣がレッドキング達と対峙した。
「おし、こっちもやる気は満々だ。行くぜ坊主!」
 レッドキング達が魔王獣三体に向かって走り出した。
「おっしゃあ、久々に楽しめそうな勝負だ。行くよあんた達!」
「言われなくても戦うわよん!」
「見ていてください、マガタ様!」
 魔王獣組も走り出して戦いを始めた・・・。 続く・・・。

Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.112 )
日時: 2018/02/18 15:03
名前: たくと七星

「はあっ!」
 マガバッサーが蹴りに出たが、ゼットンは腕を縦に出してこれを防ぎ、パンチをして吹っ飛ばした。
「く、まだです!」
 回し蹴りに出るとゼットンが振るった足を掴んでしまう、マガバッサーは片方の足で蹴りに出たがゼットンはテレポートで姿を消して背後から不意打ちしてテレポートアタックで攻撃した。
「うおらあ!」
 レッドキングが岩をマガグランドキングに投げて来た。
「効くかよ、そんな技が!」
 マガグランドキングは岩を砕いてレッドキングに左腕で平手打ちをした。吹っ飛ばされた衝撃でレッドキングが地面に転んでしまう。
「へへ、いいねえ、それぐらい強くねえとな・・・」
 起き上がると、マガグランドキングに連続パンチするがマガグランドキングは胸を突き出して何ともない顔をする。
「固い装甲を持ってるんだよ、アタイはね!」
「おっと!」
 平手打ちをするマガグランドキング、だがレッドキングは素早くかわし、ヤクザキックで攻撃、ジャンプしての膝蹴りでマガグランドキングを後退させる。
「レッドキング先輩凄いですーーーーっ!」
「ちょっと、どっちを応援してるのよ!」
 ミクラスは思わずレッドキングを応援してしまい、ザンドリアスが拳骨をした。
「やーん、ちょっと怖いんじゃないーん!」
 エレキングと戦っていたマガジャッパはエレキングの振るう鞭をたどたどしくも必死でかわしていた。
「ちょこまかと・・・!」
 エレキングは鞭で足払いをしてマガジャッパを転ばせた。
「きゃーん、痛いわーん!」
「く、強い・・・」
 マガバッサーはゼットンとの戦いに苦戦していた。隙を見せないゼットンにどう動けばいいか考えている。するとゼットンがテレポートで姿を消して背後に回った。
「は?!」
 背後から光弾を飛ばして来るゼットンにマガバッサーは素早く避けて回し蹴りに出た。しかしゼットンはテレポートで姿を消し、背後からマガバッサーにパンチを振るうと再び消して上空からキックをしていき、更に羽交い絞めにしてパンチして攻撃し、火球を放って地面に転ばせた。
「おらあ!」
「ちくしょうめ!」
 パンチの応酬をするマガグランドキングとレッドキング。マガグランドキングがマガ閃光を飛ばすと、レッドキングはミサイルを連射して打消し、ヴォルカニックインパクトをしてマガグランドキングを転ばせた。
「先輩カッコいいーーーっ!痛!」
「どっちを応援してるのよ、あんたは!」
「ま、まあまあ、でもさすがに強い・・・」
 先輩達の変わらぬ強さにアギラは感嘆していた。一方、
「ふん!」
「きゃあーーーん!」
「ふん!」
「いやあーーーーん!」
 エレキングの鞭攻撃にマガジャッパが苦しんでいた。鞭に巻き付かれると電撃が流れていく。
「きゃああああ、やめて、やめてええええ!」
 電撃に苦しむマガジャッパにエレキングがじわじわと近付いてくる。
(どうする、どうする、考えるんだ・・・!)
 レッドキング達の強さに何か打開策は無いかとマガタは考える。そして近くにある風車を見て閃いた。
「マガバッサー、あの風車に風を飛ばして!」
「マガタ様?」
 少年に何か考えがあるのだと察したマガバッサーは動き出した。
「解りました、たあっ!」
 風を飛ばすと、ゼットンはひらりと動いてこれをかわしたが、かわされた風は風車に当たり羽根車が高速で動いて竜巻を生み出した。
「・・・・・!」
 想定外の事態にゼットンは動揺したが、竜巻に飲まれて宙に舞った。マガバッサーは飛び立つとゼットンにかかと落としをして地面に叩き付けた。
「やるねえ、あいつ、アタイも本気を出すよ!」
 マガグランドキングもマガ一閃を放ってレッドキングにダメージを与える。
「はあ、はあ、こないでーーーーん!!!」
 マガジャッパは迫って来るエレキングにマガ臭気を放った。
「う、何なのこの臭い、く、苦しい・・・」
 エレキングは吐き気を催すほどの苦痛を覚えて拘束を解いてしまった。
「今が止めです!」
 マガバッサーがマガ嵐をして、ゼットンを地面に叩き付けた。マガグランドキングもマガ閃光を飛ばしてレッドキングを吹っ飛ばして、マガジャッパもマガ水流をエレキングに放って止めを刺した。
「まさか、そんなバカなこと・・・」
 エレキングは崩れ落ちて魔王獣組の勝利となった。
「やった!」
「マガタ様!」
 魔王獣達がマガタに駆け寄った。
「マガタ様、勝ちましたよ!」
「うん!」
「あたしかったから一杯褒めてほしいわーん!」
「てめ、アタイにもさせて!」
 マガジャッパとマガグランドキングが抱き着いてマガタに頬ずりをした。
「マガタくん!」
「アギラさん?」
「レッドキング先輩に勝つなんて凄いよ!」
「おめでとうございます!」
 アギラ達もマガタの勝利を喜んでいた。
「痛ってえ・・・」
 敗けたレッドキング達が起き上がって来た。
「レッドキングさん・・・?」
「わっはっは、大した強さじゃねえか坊主、完敗だぜ!それなら俺達と一緒に戦えるな!」
 敗けても悔しさを出さず豪快に笑い飛ばすと、マガタに歩み寄って光を出してあるものを渡した。
「これは・・・?」
「俺のカードだ、これで俺もお前の怪獣になったと言う訳さ、マガタ」
「あ、ありがとう、ございます・・・」
「ほら、お前等も渡してやれよ」
「私も・・・?」
 ゼットンは頷いたが、エレキングは納得いかなさそうな顔をしていた。
「そうだぜ、こいつと一緒に戦うんだ。運命を共にする仲間と言うことでさ、いいだろう?」
「ふ、ふん、仕方ないわね・・・・」
 ゼットンがカードを渡すと、エレキングは渋々と渡すのだった。
「わー、マガタくん、先輩達からカードをもらうなんて凄いよ!」
 ミクラス達が集まってマガタが手に入れたカードを見ていた。
「師匠を仲間にするなんてやるじゃない」
「やっぱりマガタくんは特別な力を持っているのかもね、それじゃあ私からも!」
「パム!」
 ピグモンとハネジローも自身のカードをマガタに話した。
「ありがとう。レッドキングさん、この怪獣界で何が起こってるの?」
「ああ、今からそれを説明するぜ・・・」

続く・・・。

Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.113 )
日時: 2018/02/25 14:56
名前: たくと七星

ドカーン!!!
「うわ、何だ!」
「マガタ様!」
 だがその時、空から無数の火炎弾が飛んで来て、マガタ達の足元で爆風が響いた。
「何なの一体?」
「あいつら・・・?」
 レッドキングとエレキングが頭上を見上げると、空の上でキングジョーとバードン、更に下ではツインテールがいるのが解った。
「レッドキングさん、あの怪獣達は?」
「あいつらは俺の仲間だ。任務を与えてやったんだがうわあ?!」
 バードンが火炎弾をレッドキングに飛ばして来た。レッドキングは寸での所でこれをかわした。
「先輩、大丈夫ですか?!」
「ミクラス心配はねえ、あいつら何の真似だ・・・」
「レイバトス様の敵は倒す・・・」
「レイバトス様のために・・・」
 キングジョー、バードン、ツインテールは狂喜的な顔で襲いかかって来た。
「レイバトス・・・?!」
「野郎、俺の仲間に手を出しやがったな!!!」
「どうするの?」
 エレキングがレッドキングに戦うのか聞いた。
「僕に任せて!」
 マガタが前に出てベムラーとノーバのカードを取りだし、二体を召喚した。
「呼んだかしら、マガタくん?」
「うん、あの怪獣さん達の様子が変なんだ」
「あの形相、操られているみたいね・・・」
 三体の怪獣を見てベムラーは彼女たちが操り人形にされていることに気付いた。
「操られてるの、じゃあどうしたら?」
「任せて、戦って目を覚まさせてあげるわ、ノーバ、行くわよ!」
「御意・・・!」
 ベムラーとノーバが三体の怪獣に向かって行った。
「ギャラクトロン、加勢してあげて!」
「お任せください〜っ!」
 ギャラクトロンはキングジョー、ベムラーはバードン、ノーバはツインテールに向かって行った。ギャラクトロンはシャフトでキングジョーを掴み地面に引き摺り落とした。落とした所で蹴り上げて地面に引き摺らせる。起き上がった所へブレードで切り裂き、パンチをかわして回し蹴りで攻撃する。更にブレードを振るって関節を切り刻んでいく。
「どこを狙っているのかしら?」
 ベムラーはバードンの飛ばす火炎弾をかわしていくと、宙返りをしてバードンを掴んでパンチを連打して、地面に叩き付けた。
「ふん・・・!」
 ノーバはツインテールの振るう鞭をかわしていき、鎌を振るって切り裂いていく。ツインテールが鞭で巻き付けると、ノーバレーザーを飛ばして拘束を解かせ、ツインテールを吹っ飛ばした。
「これで沈むがいい!」
 ギャラクトロンがアームを分離してロケットパンチの如く放った。分離されたアームはギャラクトロンの脳髄で操作され、キングジョーを連続攻撃した。更にレーザーを飛ばして動きを止めると、シャフトで掴んでブレードで突き刺した。
「ぎゃあああああああ!!!」
 えぐれる鈍い音が響いてキングジョーは吹っ飛ばされていきギャラクトロンはとどめのレーザーを発射して爆発させた。墜落したキングジョーはオイルにまみれて痙攣していて直立になると機能を停止させた。
 ベムラーはバードンの火炎弾を角で吸収してハイパーペイル熱線を放ってバードンを、ノーバも鎌での切り裂きとレッドクレイジーガスの連続攻撃でツインテールを倒したのだった。
「やった!」
「片付けておいたわよ」
「ねえ、見てくれた。私の戦い・・・?」
 ベムラーとノーバが駆け寄ると、ギャラクトロンも負けじと走った。
「どけえ!は〜ん、マスター、私お役にたててましたか〜っ!」
 二人を押しのけてマガタに頬ずりをしてくる。
「ちょっと、私が先よ!」
「お前のような下等な怪獣がマスターに触ろうなど100万年早いんだよ!でしょ〜、マスター、ひ!」
「てめえ、ちょっと来い、けつを叩いてやるよ」
「ひいいいいやあああああああ!!!」
 鬼の形相でマガグランドキングがギャラクトロンをお仕置きに連れて行った。
「いい気味、あのポンコツ・・・」
 ノーバは薄笑いを浮かべていた。
「それよりもあの人達は・・・」
 マガタ達が振り向くと操られていた怪獣達が起き上がった。キングジョーは動かなかったが・・・。
「ううん、私は・・・」
「あれえ、確か偵察の任務に行ってたはずだよね・・・」
「ピグモン、あいつらを連れてってくれ・・・」
「うん」
 ピグモンとハネジローが操られていたキングジョー達を治癒室へと連れて行った。
「レッドキングさん、まさか・・・」
「ああ、その通りだ、レイバトスがこの世界を侵略しているんだ」
「レイバトス・・・!」
「奴は全世界を自分の物にしようとしている。その手始めにこの怪獣界を征服しようとしてるんだ」
「それって、どうして・・・」
「怪獣達を支配下に置くためよ・・・」
 エレキングの言葉にレッドキングも頷いた。
「そうだ、奴はレイオニクスで100体の怪獣達を支配下に出来るギガバトルナイザーを持っている。それだけじゃなく怪獣を洗脳する能力も持っていやがるんだ。あいつらもこれで・・・」
「それで、僕達に襲いかかって来たんだ・・・」
「奴は強い、現に俺やゼットン、エレキングで戦いを挑んだが、歯が立たなかった」
「レッドキング先輩でも・・・」
「余程強いみたいだね・・・」
 ギルドの中でも飛びぬけて強い三人も止めを刺せなかったと聞き、ミクラスとアギラは戦慄を覚えた。
「頼む、マガタ。俺達に力を貸してくれ。このままじゃあ、この世界にいる全ての怪獣達があいつに・・・」
「マガタ様、どうなさいますか?」
「僕で本当に出来るかは自信は無いけど、でも、この世界の怪獣さん達は僕を必要としているんだ。やれるだけのことはやってみるよ。僕も、一緒に戦います!」
「受けてくれるか、ありがとよ、マガタ!よし、早速だ、歓迎のパーティーでも開こうぜ!」
「ちょっと、そう言うのは全ての問題が終わってからでも・・・」
「何いってやがる、あまり真面目過ぎてちゃ緊張でガチガチになっちまうだろ。たまには息抜きも大事なのさ。さあ、お前等も手伝ってくれるよな?」
「先輩の頼みなら喜んで!」
「私達もお手伝いするわね」
 

 ギルドの本拠地で少年への歓迎パーティーが開かれ、夜が訪れた。
「ふう・・・」
 寝室でマガタはベッドに腰掛けて息を吐いた。マガバッサー達は後片付けをしていて、マガタはマガバッサーに疲れを癒すよう先に寝ていてと寝室で休むことになったのだ。
「何だか凄い事件に巻き込まれちゃったな・・・」
 今日の出来事を少年は思い出していた。ピグモンと言う怪獣に案内されて付いた場所、空気の澄んだ中世的で美しい街並みの広がる世界。そこで起きている世界の危機。それに立ち向かっていく日々が始まろうとしている。
「僕でも、頑張れるのかな。でも、レッドキングさんやピグモン達が僕を必要としているんだ。皆のためにも必ず頑張って勝たなきゃ」
「うふふ、素晴らしい心がけですね」
「え?」
 どこからか綺麗な声が聞こえて来た。突然、空間が割れて中から一体の超獣が出て来た。
「バキシムさん?」
 マガタにとっては見覚えのある相手、異次元列車でガイドを務めていたあのバキシムだった。
「丁度、貴方と二人きりになれるチャンスを伺っていたのですよ」
「それって、どういう事なの・・・」
「私も隣に座ってよろしいですか?」
「え、いいけど・・・」
 ニッコリとほほ笑んでバキシムは少年の隣に座った・・・。 続く・・・。

Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.114 )
日時: 2018/02/28 10:29
名前: たくと七星

 隣で座る一角超獣に少年はどう返事をしたらいいか迷っていた。太ももと腋を露出した艶やかだがあどけなさが残るフェイス。誰もが可愛いと思ってしまう可憐さがあった。何を喋ればいいか考える。ちらりと見るとバキシムの艶のある肉付のいい太ももが見えていた。
「どうしましたの、私の太ももを見て?」
 バキシムが少年の顔を覗き込むように見つめてくる。
「あ、その、綺麗な足だなって・・・」
「よく言われます。スベスベで綺麗な太ももをしてるって・・・触ってみます・・・?それとも、膝枕がいいですか?」
 耳元で囁かれて少年の顔が一気に紅潮する。
「まあ、リンゴのように赤くなって・・・うふふ」
 指で頬をつついてクスクスと笑う。悪戯好きの天使のような仕草に可愛さが感じられた。
「あの、どうしてバキシムさんは僕なんかに・・・」
「何故って・・・私、貴方に興味が湧いていたのですの」
「え、いつから・・・?」
「ガイドをしていた時から、いや、会う前からですよ」
「会う前って・・・、僕、バキシムさんと会ったこと・・・」
 バキシムが指を少年の口に当てて言った。
「もちろん、でも、貴方のことはこの世界では有名になっていますの」
「僕が?」
「ええ、人間の世界にいる怪獣達がよく言っていましたわ。不思議なリングを持ったカードを手に入れている少年が私達怪獣と人間の絆を紡いでいると・・・そこから貴方のことを知りまして、貴方にお会いしようとガイドを務めさせてもらえたのです」
「そうなんだ・・・それで、僕に何の興味があって・・・」
「一つは、最初に述べたとおり貴方に興味が湧いた、二つは子供にしては珍しく純真であること、三つは疑うことを知らない無垢さと危うさがあること、四つはこのリンゴのような可愛い頬をしていること・・・」
「僕、そうなってたんだ」
「ええ、ですから大人のお付き合いをしてみたいと思いました」
 バキシムが距離を詰めてくる。少年にすり寄って太ももをマガタの足にくっつけてくる。
「羨ましいですの、たくさんの怪獣達を仲間にしていて、しかも皆女の子ばかり、と言っても怪獣は皆女の子、年上のお姉さん、幼女、ツンデレ、ヤンデレ、中二病、反抗期、クーデレ、色々な性格の子がいますけど」
 言葉が丁寧だが性格のタイプでは俗っぽいことを言うギャップさに少年も意外と人付き合いが豊富だからなのだろうかと思ってしまった。
「そしてそうなるとすれば、こんなこともしていますかしら?」
「え・・・」
「ちゅ・・・」
 少年の顔を寄せると、その唇に甘い口付けをした。
「ねえ、いつもお仲間さんの方々とキスとかしていますの?」
「う、うん・・・」
「では、それ以上のことも?」
 少年の手を掴むと自分の胸に掴ませる。
「バキシムさん?」
「私にも教えて頂けません?貴方と仲を深めるやり方を・・・」
「うん・・・、上手く出来ないけど、やってみるね・・・」
「ふふ、初心でよろしいこと・・・さあ、裸になって抱き合いましょう・・・」
 少年を裸にして抱き締めると口付けをして舌を絡め合う。マガバッサーやザンドリアス達にされているだけあって、舌の絡め具合も慣れていた。
「ちゅ、ちゅ、お上手ですこと。じゃあ・・・」
 両手を上げて頭に手を乗せて自分の腋を晒すポーズを取る。
「ここを舐めたりはしていますの?」
「え、ここって?」
「ふふ、女の子の腋を舐めたり臭いをかいだりとか、やったことは・・・?」
 腋舐めと言う展開に少年は紅潮して黙り込んでしまう。
(やけに恥ずかしがって・・・どうやら経験があるようですね・・・)
 あるけれど、素直に言えないことを悟ると、少年の耳に囁いてみる。
「正直に言ってみて、やったことはありますの?」
「う、うん・・・・」
「素直でよろしいこと、何も恥ずかしがることなんてないのですよ。こういうのも好きな人はいるのですから、やましいことだと思わずに遠慮せず、してしまっていいのですよ?」
「何を、なの?」
「舐めてもいいのですよ、私の腋の匂い、やってみてください・・・」
 少年は静かに頷いて一角超獣の腋に顔を近付ける。他の部位と違い押すだけで指が埋まりそうな柔らかさがある場所を少年は間近で見ていた。口を開けて下を使い超獣の腋を舐め始める。
「あ、きゃああ・・・や、いや・・・舐められてる、私、腋を舐められて、ああ、凄い、無垢で純真な可愛い男の子に自分の腋を舐めさせてるの・・・、ああ、どうしよう、私、この子を悪い子にしちゃう。いけない男の子にしちゃう・・・でも、止められない・・・」
 甘酸っぱさのある匂いが少年の鼻に広がっていく。
「ああん、いや、この子が悪い子になったら、お仲間の人達に怒られてしまいますわ。そしてひどいお仕置きをされて・・・いやん!考えただけで、怖い!ああ、怖い!」
 マガタが見るとバキシムが震えて涙を流しているのが見えた。少年は舐めるのを止めてバキシムの顔を覗く。
「ああ、どうして舐めるのを止めてしまいますの・・・」
「だって、僕がしてることを皆に知られたらバキシムさん、お仕置きされちゃうんでしょ?」
「え、あの、それは私の・・・」
「ごめんなさい、こう言うの、嫌なはずなのに無理矢理させるようなことを・・・」
(まあ、やだ、何て可愛いことをいうのかしら、この子・・・)
 申し訳なさそうな顔をする少年に一角超獣の目がハートになってしまった。
「大丈夫ですよ、お仕置きは絶対にされませんから、だから心配しないでくださいね・・・」
 少年を抱き締めて唇にキスをする。しばらくみつめているとバキシムは仰向けに倒れてマガタに手を伸ばして来る。
「マガタくん、でしたよね?」
「うん・・・」
「これからされてしまうことも期待していいでしょうか、ふふ、期待しています。私も一杯愛して下さい・・・」

続く・・・。

Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.115 )
日時: 2018/03/04 14:33
名前: たくと七星

 少年の頭に手を寄せてキスをする。顔を見合わせて微笑むと、一角超獣の胸から乳首が飛び出ていた。それを見て少年が右側の乳首に吸い付く。
「きゃああ!」
 可愛い悲鳴を上げる超獣、音を立てて吸って次に舌で転がすように快感を与えていく。
「ああ!凄い、何だか手馴れていますね・・・。いつもしていらっしゃったの?」
「うん、夜になるといつもしていたから・・・」
「まあ、可愛い女の子達がたくさんいればそうなりますよね・・・、でも、貴方も、男の子だけど、女の子みたいに可愛い・・・」
 バキシムの言葉にマガタの頬が赤くなる。
「うふふ、照れちゃいましたの?」
「うん・・・」
「ふふ、本当に可愛い・・・ねえ、今度はここも舐めてくださらない?」
 足を広げると下半身のスーツをずらして秘所を見せてくる。目は涙で光っていて、少年にお願いする。少年は無言で頷くとバキシムの秘所を舐めていく。
「やあああ!いやああ!体が痺れちゃう、素敵、私、気持ちよくされてる!可愛い男の子にあそこをペロペロされちゃってるの!」
 バキシムは涙を流して首を振りシーツにしがみついていた。彼女を気持ちよくさせていると言う感覚がしてバキシムを攻めていく。
「はあああ、素敵よ・・・。ねえ、今度は貴方の棒を、私の秘所にねじ込んでくださらない?」
「やって、みるね・・・」
 自分の棒を一角超獣の秘所に当てると、それを膣内に入れていった。
「くうう、くひい!はあ、入ってる、貴方のが、体は小さいのにここだけは逞しいですわね・・・。ああん!」
 少年は腰を動かしてバキシムを攻めていく。突然行為をされてバキシムは両手と両足を少年の体に絡めてしがみついていた。
「はあん、激しい!あの、他の子達とも、こんなことをしていますの?」
「うん、皆とも、毎日してるよ・・・」
「まあ、少し妬いてしまいそうですわ。これで怪獣達を虜にしていると思うと、彼女達が益々貴方を好きになっちゃうの、解る気がします・・・!くううう、いい、凄くいいです!」
 奥までねじ込まれてバキシムは快感に堪えていた。少年は更に腰を動かして攻めていく。しがみついている両手に力が入り背中にかすかに痛みが感じられた。
「はあ、はあ、バキシムさん、もうダメ、僕、イク、果てちゃう!」
「いいですわよ、このまま二人で果ててしまいましょう。私も、はああああああん!もう限界に来てますの。一緒にこのまま!あ、ああああああああ!」
 バキシムの膣内に勢いよく精が流れていった。少年と一角超獣はしばらくまどろんでいて、互いに顔を合わせて口付けをするのだった。


「ありがとうございます、マガタくん」
「うん、あの、どういたしまして・・・・」
「まあ、まだ照れていて、そんなに可愛いと情が湧いてしまいそう。いいえ、もう、虜になってしまったかも?」
「え?」
 マガタが見るとバキシムは優しく微笑んでいた。
「私も、マガタくんの怪獣になってもよろしいでしょうか?だって、こんなにも優しくて純真な子を見たのは始めてですもの。だから、これをお渡ししますね」
 手をかざすと、一つのカードがマガタに手渡された。
「これは、バキシムさんの・・・」
「はい、これからは私も貴方の怪獣として付き従っていきます。よろしくお願いいたしますわね」
「あ、はい、こちらこそ、よろし・・・」
「マスタ〜〜〜〜っ、この私が夜這いに来たあげましたわ・・・ってえええええええええ?!」
 マガタが受け入れる挨拶をした時、突然ドアが開いてギャラクトロンが入って来た。だが見ると、裸の主人の少年に角の生えた一角超獣がベッドにいることに衝撃を受けていた。
「マスター、どうして裸に?!て、てめえ、マスターに何しやがった!!!」
「まあ、いきなり何ですの?折角の二人きりの時間に割って入って・・・」
 バキシムが不機嫌そうな顔をするとギャラクトロンが鬼の形相をして睨んで来た。
「割って入っただ?!マスターは私の物なんだぞ、これからたっぷり愛してやろうと思っていたのに、それを、それを、てめえのような芋虫が食い物にしやがってえええええええ!!!」
「芋虫?!」
 グサッと何かが刺さったような感覚がバキシムを襲った。
「人が一番気にしていることをよくもまあ、喋ってくれたものですね・・・。普段は争いごと何て好まないのですが、こうまで侮辱されたら・・・・見逃せませんよ・・・」
 静かに怒ってギャラクトロンに詰め寄っていく。
「上等、てめえのような芋虫は真っ先に駆逐して二度と手籠めにさせないようリセットしてやる・・・!」
 バキシムはユニコー・ボムを、ギャラクトロンはブレードを向けて戦いに出ようとした。
「待って!やめてよ、二人が戦ったらここが壊れちゃうよ!それに喧嘩するなんて・・・ひどいよ・・・」
 少年の顔が涙を流して沈んだ顔をする。もう泣きじゃくっていてすすり泣いている声が聞こえていた。
「「可愛い・・・!」」
 少年を見た二体は頬を赤くして目をハートにした。
「あ、ああいえ、大丈夫ですよ、少し頭に血が上ってしまっただけで、喧嘩する気なんて全くないですの、ほほほ・・・」
「そうそう、そうですわ、マスターの怪獣を手にかけようなんて絶対にしませんもの、あはは・・・」
 汗をかいて笑顔を作り何とか主人の少年を安心させようとした。
「あれ、何をしてるの?」
 アギラやミクラス、ウインダムにゴモラ、ザンドリアス、ローラン、リトラ達がやって来た。
「あ、貴方は・・・ガイドの」
「て、マガタくん、まさかガイドさんと・・・!」
 ウインダムとミクラスが主人の少年にバキシムとしてしまったのかと言うとマガタはこくりと頷いた。
「はい、これから皆様のもとでお世話になりますのでよろしくお願いいたしますわね」
 バキシムが礼儀正しく頭を下げて挨拶をする。
「わあ、礼儀正しい」
「ガイドもしてたくらいだからね、いい人そうだし」
 ミクラスとアギラはバキシムの礼儀正しさに感心して挨拶をする。
「全くあんたはまた他の子と」
「こちらこそ、よろしくお願いするわね」
 ザンドリアスは呆れつつもバキシムを歓迎し、ローランも彼女に手を差し伸べた。少年の怪獣界での日々が始まったのだった・・・。

Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.116 )
日時: 2018/03/24 19:52
名前: たくと七星

「第12話 大ピンチ!マガジャッパを救え!」(タイトルネタ「ウルトラマンA 第45話大ピンチ!エースを救え!」)



 怪獣界にある謎の神殿、その頂上にある祭壇で、呪術を唱える亡霊魔導師レイバトスがいた。
「我が体に流れるレイブラッドの遺伝子よ、今ここに怪獣を蘇らせたまえ。ウジュイカ、レエガミヨ・・・」
 呪術によって漂っていた紫雲は怪獣の形になり、レイバトスの前に現れた。
「ベゼルブよ、数多の怪獣達を捕え傀儡とせよ」
「了解しました、レイバトス様・・・」
 ベゼルブは羽根を羽ばたかせて怪獣達のいる世界へと向かって行った。


「うん・・・」
 温かい風が流れる怪獣都市に朝が来た。ギルドの窓に朝陽が流れて少年の目を覚ました。体を起こして辺りを見てみる。怪獣界にやって来てそこで世界を守る戦い、その一日を迎えたのだ。少年は服装を着替えてドアを開ける。
「あ・・・」
 部屋を出ると目の前に見覚えのある怪獣と鉢合わせになった。そう、レイバトスに操られてギャラクトロンと戦い、ブレードで一刺しにされて見るも無残な姿になったあのキングジョーだった。サラサラとした長い髪にサイボーグのようなロボットのスーツを纏ったスタイルの良い美女が少年の前にいる。
「あの、あの時の・・・」
 少年は冷や汗をかく。操られていたとはいえ攻撃を加えたのだから根に持ってはいないか心配だった。
「オー、貴方が怪獣リングを持ってる少年ですね!」
 だが出会って早々、キングジョーは両手をバタバタさせてハイテンションで興奮していた。
「名前は王武マガタくんですね?」
 眩しい笑顔で少年の手を握って手を振るって来る。
「あ、はい、そうです・・・」
 クールな見た目とは正反対の無邪気な振る舞いにマガタは心が整理出来ていなかった。
「貴方が来てくれて本当に嬉しいんですよ、どうもよろしくお願いしますね」
「だけど昨日僕はお姉さんと」
「キングジョーと呼んでください」
「キングジョー、昨日のことだけど・・・」
「何のことですか?」
 キングジョーは首をかしげる。マガタが昨日の出来事を放したがキングジョーは全く覚えていなかったようだ。無論、自分があられもない姿になっていたこともである。
「私、全く知りませんよ。そんなことよりも下の階に行きましょう、皆が待っていますから」
 そう言うと少年の手を掴んで引き摺り一階へと降りていった。
「おはよう、マガタくん!」
「おはようございます」
「お、マガタ。起きたみてえだな!」
 はしごを使って降りていき、一回に入るとアギラやウインダム、レッドキング達が少年を待っていた。
「皆さん、マガタくんを連れてきましたよ!」
「おはよう、皆」
 マガタが怪獣の皆に挨拶する。
「マガタ、ここでの寝泊まりはどうだった?」
「え、始めてで緊張したかな」
「まあ、普通はそうだよな。でもここにいる連中は皆いい奴だからさ、安心しろよ」
 レッドキングは少年の頭を撫でて安心させる。
「おいお前、何故マスターの手をつないでいる!」 
 するとギャラクトロンが怒ってキングジョーに詰め寄って来た。マガタと一緒にいることに腹を立てているらしい。
「わお、貴方は誰ですか?」
「誰って・・・お前と戦って倒した・・・!」
「ワー、この髪なんですかーっ、いいヘヤーをしてますね」
 話している最中にキングジョーがギャラクトロンのシャフトを掴んで来た。
「な、何をする貴様!私のシャフトに易々と触るな!」
「この先っぽで何でも掴んじゃうんですかー、ワオ、いい剣もお持ちなのですね、貴方とてもカッコいいボディの持ち主のようで羨ましいです」
 アームやらブレードやらをベタベタと触るキングジョーにギャラクトロンは憤怒の表情になる。
「貴様・・・!これでまた串刺しにしてやろうか・・・?」
 ブレードのギミックが動いて剣の部分が突き出される。
「すごーい、回転するのですね!」
「そうだぞ、これで貴様を貫いて倒してやったんだからな・・・!」
「へえ、これで私が、そうでしたっけ?」
「覚えていないのか貴様!」
 ギャラクトロンの怒号が響いた。キングジョーは覚えていないためキョトンとしていた。
「いいだろう、ここでもう一度貴様を串刺しにしてやるか、それともギャラクトロンスパークで木端微塵にしてやろうか?」
 鬼の形相で睨んで来るがキングジョーは自分が敵意を向けられていることに気付いていない。
「お相手ですか、いいですよ、喜んでお相手しますね」
「ええ、ちょっとここで・・・!」
 マガタが慌てふためいて止めようとする。アギラやミクラス、ウインダムにザンドリアス、ゴモラやローラン、リトラ、バキシムもまずい状況になると慌てる。
「おいお前等、喧嘩は止めような?何ならアタイと軽く運動でもするかい、鍛えてやるぜ?」
 そこへマガグランドキングが目を鋭くして笑みを浮かべてキングジョーとギャラクトロンの間に入り、手を鳴らして仲裁に入った。今にも攻撃してきそうな怖い顔で二体を睨んでいた。
「「す、すみません・・・」」
 マガグランドキングの気迫に押されてギャラクトロンもキングジョーも正座して謝った。それを見て怪獣達もホッと一息吐いた。
「あれ、マガバッサーは?」
「あいつなら朝飯を作ってるぜ」
 マガタがマガバッサーがいないことに気付くとレッドキングが厨房で朝食を作っていると話した。
「え?!」
 ザンドリアスがひどく動揺する。レッドキングはポカンとしていたが、ザンドリアスは知っていた。そう、マガバッサーの作る料理がどんなものなのかを。
「皆さん、お食事の用意が出来ましたわよ」
 そこへマガバッサーがやって来て作った料理を持ってきた。マガジャッパとピグモン、ハネジローが皿を運んでテーブルに置いていく。
「おお、飯が来た。さーて、皆、椅子に座れよ。皆で一緒に食うぞ!」
「さあ、マガタくん」
「こらあ、私が手をつなぐんだぞ!」
 キングジョーが少年を椅子に座らせた。朝食の時間、レッドキングはマガバッサーの作った料理を食べていたが、
「何か野菜ばっかだな、今日の朝飯」
 それもそうだった。置かれていたのは野菜の漬物の盛り付けに、金平牛蒡、茹でたほうれん草を一口サイズに切って鰹節を和えたもの、里芋の煮付けに野菜のあつものに昆布と大根のおでん、焼きナスとほとんどが野菜ばかりだったからだ。
「なあ、肉とかはないのか?」
「ごめんなさい、肉は一切使っていませんの」
 そう言って笑顔でマガバッサーは言う。
「以外にヘルシー思考なのですね」
「おいおい、こんなのばっかじゃ力がでねえよ。せめて揚げ物は欲しいぜ」
 キングジョーは感心していたが、レッドキングは不満だった。そこへピグモンが揚げ物を運んでくる。
「おう、これこれ、て?」
 だがそれを見てレッドキングは愕然とする。
「これって・・・」
「はい、レンコンのから揚げです」
「これは!」
「芽キャベツの天ぷらです」
「うおおーーーい!」
 レッドキングが涙を流して絶叫したザンドリアスはブスッとして食べ勧めている。
「なあ、肉はダメのか?」
「だって、肉を切るときに出る血が怖いのです。魚を解体するところなんかもうダメで・・・」
 いやいやと首を振るマガバッサーにレッドキングやマガタは苦笑いをするしかなかった。
「まあいいや、それでだ、今日の予定だけど、食材を集めようと思うんだ」
「食材?」
 マガタが聞くとレッドキングは頷いた・・・。  続く・・・。

Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.117 )
日時: 2018/03/17 20:24
名前: たくと七星

「ようしお前等、集合したな!」
 レッドキングが先頭に立ってメンバーが揃っていることを確認した。マガタ達はレッドキングとピグモンの案内で街の港に着いていたのだ。
 レッドキングとピグモンを始め、マガタ、マガバッサー、マガグランドキング、マガジャッパ、アギラ、ミクラス、ウインダム、ゴモラ、ザンドリアス、ローラン、ハネジロー、リトラ、キングジョー、ギャラクトロン、バキシムが港にある船を前にして立っていた。
「それでこれから僕達どこにいくの?」
「おう、戦いとなりゃあ当然、腹も減るだろう?あいつとの戦いに備えて食料を集めに行くのさ。こいつに乗ってな」
 目の前には木を下地に鉄で覆った船が浮いていた。
「スカンジナビア号、こいつで街から放れた場所で探しに行くんだ」
「先輩、この船に乗るんですね!」
「ああ」
「ミクラスさん、そんなに凄いの?」
「そうだよ、昔この船で先輩やアギちゃん達と一緒に修行に行ってね。それだけじゃないの、この船はね・・・」
「おっとミクラス、そこまでにしておけ」
「あ、はいはい」
 レッドキングが指を手に当てるとミクラスは頭をかいてそれ以上は言わないことにした。
「何だか楽しみ!」
「だね〜!」
「パムパム!」
 ゴモラとリトラ、ハネジロー達が嬉しそうにしている中、マガバッサーだけは腑に落ちない顔をしていた。
「どうしたの、お姉様?」
「マガバッサー?」
「あ、マガタ様、マガジャッパ、何でもありませんわ・・・」
「何だよ、付き物が付いたみてえな顔しやがって・・・」
 マガグランドキングがマガバッサーの顔を見て言ってくる。
「本当に何でもありません!」
 怒声が響いて一同が静まり返ってしまう。
「あ、すみません。私が大人げないことを・・・」
「あ、ああ、いいんだよ。緊張していたんだろうしさ。さ、早く乗ろうぜ」
「それじゃあ皆、あたしに着いてきて」
 ピグモンに案内されてマガタ達はスカンジナビア号に乗った。ドアが閉じて出向となり目的地に向かって海原を移動していった。


 晴れ渡る空、船旅は順調、天気晴朗なれど波静かと言う天候だった。少年は頬杖を付いて海を眺めていた。
「どう、海での旅は?」
 アギラを始めとしたカプセル組が少年の間に入る。
「うん、海がきれいだし空も晴れてて、楽しいよ」
「良かった、絶対に気に入ってくれると思ってたもん」
 マガタの返答にミクラスも安心したように笑顔をしていた。
「ねえ、僕達これからどこに行くの?」
「レッドキングさんの話だとコチャン・ガーデンに行くって聞いたよ」
「コチャン・ガーデン?」
「ええ?!そこへ行くの?!」
 ゴモラが突然やって来て驚愕していた。
「そうです、けど・・・?ああ、確か・・・!」
 ウインダムが何かを思い出したがゴモラが腕を掴んでブンブン振って来た。
「やだよやだよ、あんな怖い所へ行ってハンティングとかするの?!だってあそこには・・・・いやああああああああ!!!」
 頭を抱えて走り去っていくゴモラにカプセル組は冷や汗をかいて苦笑いをしていた。
「どうしたんだろうゴモラちゃん、あんなに怯えて・・・」
「まあ、あのジャングルで怖い思いをしているからね・・・」
 アギラが苦笑いをしてマガタに言った。
「そのジャングルに誰かいるの?」
「はい、私達がまだ見習いだった頃、あのジャングルで修行していた時期がありまして、そしてあそこにはジャングルを守護する番人が住んでいるのです・・・」
「番人?」
「コチャン・ジャングルの守り人、ハヌマーンです」
 そこへバキシムが入って番人について説明した。
「バキシムさん?」
「知りたいですか?」
「うん、聞いてみたいかな」
「では。その守り人は元は人間だったのです。所が不慮の事故で命を落としてしまい、その命がこの世界に流れ着き、あのジャングルで全ての命を守る神様として姿を変えた、それがハヌマーンなのです」
「へえ、いい人なの?」
「はい、普段は温厚で誰にでも気さくに接する広い心をお持ちなのです。が・・・」
「が?」
「一度戦いとなれば血に飢えた獣のように相手に襲いかかり、肉を切り裂く三又の槍を振るい、棒のような剣で息の根が止まるまで殴りつけ、そして肉を吹き飛ばして骨だけにしてしまう能力を振るう。荒ぶる戦神のようになるのです・・・」
「ぞく・・・」
 バキシムの言葉に少年は息を呑んだ。ゴモラが怯えるのも頷けるものだった。
「でも大丈夫ですよ、マガタくんはとってもいい子ですから、きっと打ち解けてくれるはずです」
 そう言ってバキシムはマガタの赤い頬をつついた。
「うん、そうだよね・・・」
「確かに、最初は怖いと思ってたけど、あの人、結構いい人だったからね」
「アギラさん達、会ったことあるの?」
「はい、レッドキングさん達と一緒に来た時に出会いまして、色々あった後仲良くなれたんです」
「ただ、仏様の教えには凄くうるさかったかな。肉食はダメとか座禅とかをさせられて・・・」
 ウインダムとミクラスがあの時のことを思い出してマガタに言った。
「まあ、仏様の教えに厳しい以外は基本いい人だよ、怖がらなくてもいいと思うよ」
 笑みを浮かべてアギラは少年の頭を優しく撫でた・・・。  続く・・・。

Re: ウルトラ怪獣擬人化オーブ ( No.118 )
日時: 2018/03/21 18:20
名前: たくと七星

  スカンジナビア号は穏やかな風に吹かれながら進んでいる。
「ハネジローちゃん、こっちこっち!」
「パムパム!」
 リトラろハネジローが甲板の周りを飛び回っていた。
「オー、鬼ごっこですか。私も混ぜてくださーい!」
 キングジョーがこれに乗ってリトラ達を追いかけっこに参加した。
「お、貴方も一緒に入りますかー?」
「私が、くだらん。子供の遊びのような戯言に・・・」
「そうつれないこと言わずに」
「て何するんだよやめろおおおおおお!」
 シャフトを無理矢理掴んでリトラ達を追い回すのだった。
「あらあら、あの子ちょっと不憫ねえん」
「いいさ、あいつには丁度いい運動にはなる」
 キングジョーに掴まれて振り回されるギャラクトロンを船の上階からマガジャッパとマガグランドキング、マガバッサーが見ていた。
「皆、お待たせ、ジュースを作ったわよ」
 船内のドアが開かれてローランがリンゴを摩り下ろしたジュースを持ってきた。
「マガタくん、ローランさんがジュース持って来たよ」
「アギラさん、本当?」
「もちろん、ほらほら行こう!」
 ローランの前に船内の怪獣達が集まって来た。
「リンゴのジュースだって!」
 ザンドリアスが嬉しそうにしていた。
「ローランさん、そのリンゴのジュースって」
「ええ、マガタくん。あのニワトリさんの森から取ったリンゴよ。さあ、どうぞ」
「ありがとう」
「うふ、どういたしまして・・・」
 優しく微笑んで少年の頬をつついた。その仕草に少年は恥ずかしがって目を背けてしまう。
「まあ、リンゴのように赤くなって・・・可愛い」
 バキシムが少年の前でかがんで頭を撫でた。
「わあ、さっきよりも赤くなってる!」
「まるでリンゴさんみたいですね、可愛い・・・」
 ウインダムは興味がそそられてマガタの頬を突いて来た。少年が恥ずかしそうにしているのを見て怪獣達は笑っている。
「ほら、貴方達もいらっしゃい」
 ローランは追いかけっこをしているキングジョー、リトラ、ハネジロー、そして無理矢理引っ張られているギャラクトロンに声をかけた。
「わあ、ジュースだよ、ハネジローちゃん!」
「パム?パムパムーっ!」
「ワーオ、ジュースですよ、ねえ、一緒に行きましょう!」
「何だと、どうせ獣をすりつぶした生物のうわああああああ!!!」 
 キングジョーは無理やり引っ張ってギャラクトロンを連れて行った。
「ねえ、まだあるまだある?!」
「パムパム!」
「大丈夫よ、まだまだあるから、さあ」
 ジュースを持ってリトラとハネジローは大喜びだった。
「ほら、貴方もどうぞー」
 キングジョーがギャラクトロンに渡そうとしたが、
「く、お前なんかに渡されたって嬉しくないぞ!」
 遊ばれたギャラクトロンはキングジョーにもらわれるのを拒否する。
「でもこれー、ローランさんが作った美味しいリンゴジュースですよ」
「ぐ・・・だったらそいつの手からならもらおう」
 そう言われてキングジョーはローランに渡して、ギャラクトロンも受け取った。キングジョーは何故自分から受け取らなかったのか解らないでいたが、彼女は気付いていなかった。ギャラクトロンに敵意を向けられていることを。
「あ〜ん、皆もらって羨ましいわ〜ん、私ももらうん!」
 マガジャッパが飛び降りてもらいに行った。
「お前も行くか?」
「私は・・・」
 マガバッサーはどうにもイライラしているようだった。
「何そんなにかりかりしてんだ?」
 レッドキングがやって来て聞いて来る。
「いえ、別に」
「言ってみろよ、腹に溜めててちゃあそのうち爆発して当り散らしちまうぜ」
「はい、あの・・・こうものんびりしててよろしいのでしょうか?」
「のんびり?」
「レイバトスとの戦いがあると言うのに、食材探しをしてていいのでしょうか?」
「まあ、お前の言葉も一理あるさ。でもさあ、あまり真面目過ぎててちゃあ、緊張でガチガチになっちまうだろう。たまにはこう言う気分転換って奴のも大事なのさ、な」
 レッドキングに言われて下を見ると主人の少年や怪獣達が幸せそうにしていた。それを見て風ノ魔王獣も顔がほころんで来る。
「お、やっと笑ったな」
「あ、はい。少し真面目にし過ぎたかもしれませんね・・・」
「マガバッサー、マガバッサーもおいでよ」
「マガタ様、私に手を振って」
「ほら、マガタが呼んでるぜ、行って来いよ」
 マガグランドキングが肩を叩いて後押しする。
「はい、マガタ様〜っ!」
 飛び降りて少年からリンゴのジュースを受け取るマガバッサー。目的地のコチャン・ガーデンは間もなくだった・・・。

続く・・・。

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