大人オリジナル小説
- 僕の物語
- 日時: 2013/01/30 20:32
- 名前: Q ◆eN9KdBg3KY
初めまして。
ここで小説を書かせていただくのは初めてです。
至らない点もあると思いますがよろしくお願いします。
感想をもらったら滅茶苦茶嬉しいのでできれば感想をよろしくお願いします・・・。
批評でもいいです。
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- Re: 僕の物語 ( No.21 )
- 日時: 2013/02/12 20:57
- 名前: Q ◆eN9KdBg3KY
翌日、僕はいつもより遅い時間に学校に到着した。理由は単純、朝寝坊だ。
なんとか朝のSHR前に学校に到着し、急いで教室へと駆けていった。
教室の前に着く、時間にはまだ少し余裕があったので、少し息を落ち着かせる。
息がだいぶ落ち着いた頃、僕は教室の扉を大きくも小さくもないような音を立てて開けた。
すると、一斉にクラスメイト達が僕を見る。
一瞬、たじろいでしまう。今までは、誰かが教室に入ってきても、皆あまり気にしなかったのに、今日はどういうことなのだろうか。
とりあえず僕は皆に「おはよう」と言っておくことにした。
すると片瀬が
「なんだ、孝太かー」
と言ってきた。クラスメイトの皆も、ホッと、息をついたようだ。
なんだとは一体どういう事かと考えるが、先生が聞いたらまずい話でもしていたのだろうと思い
「なにか、誰かに聞かれたら不味い話でもしていたの?」
と聞いた。
「うーん、まぁそんな感じかな」
と笑いながら片瀬が答えた。
笑いながら、と言ってもその笑い方は爽やかと家うようなものではなく、むしろ不快感しか感じなかった。
そして、片瀬が「おい、見ろよ」と言うかのように、僕に目配せをする。
一体なんなんだ。そんなことを考えて目を向けた先には、……桜井健太が立っていた。
いや、立っていた、と言っても自主的に立っているのではない。
『立たなければいけない状況』になっているのだ。
桜井は、桜井の椅子と机が『あった』場所に立っていた。
つまり、今このクラスに桜井の椅子と机がない、ということだ。
この光景を見て僕は大きく目を見開いた。
(こいつらは……いや、クラスメイトの皆は桜井の椅子と机を隠したのか?)
そう考えていると、片瀬が声を上げた。
「おい桜井、お前自分の椅子と机どうしたんだよー?」
まるで、というかまるっきり、「俺がやったんだけどね」というニュアンスを含んだ声だった。
「…どこかに、行っちゃったみたい……」
桜井は少し間を開けて、あの独特な喋り方で、そう答えた。
「はぁ?馬鹿じゃねーの?椅子と机が勝手にどっか行くわけないだろ」
桜井を嘲るように片瀬は言う。クラスメイトの皆も、クスクスと笑っている。
「第一、お前の椅子と机なら、あそこにあるじゃねーか?」
そう言って片瀬が指差す先を見ると、教室の隅っこに椅子と机があった。
そこは、いつもなら椅子と机がないところであった。どうやら、僕は勘違いをしていたようだ。先ほどは『このクラスに桜井の椅子と机がない』と思っていたが、本当は、すぐそこにあったのだ。
そして僕は、なぜそんなことを?とも考えた。こんなことを考えるのもどうかと思うが、どうせなら、すぐには見つからない場所に隠せばよいのではないか?と思ってしまった。
しかしその疑問はすぐに解決された。片瀬の言葉によって。
「お前、すぐそこに自分の椅子と机があるのに、分らなかったのかよ?」
そう、桜井を罵倒するために。
「お前は、本当に馬鹿だな。それとも目が見えないのか?」
「……目は、見えるよぉ」
桜井は傷ついたような声で、そしてあの独特な声で、そう答える。
「おい、喋るんじゃねぇよオカマ。その声聞くと、こっちまで障がいとオカマがうつるじゃないか」
クラスの皆が、クスクスと笑う。皆、楽しんでいるようだ。
「………」
それに対し桜井は黙ったまま、椅子と机を元ある位置に戻した。
その直後、上野先生が教室に入ってきた。
上野先生は僕と桜井に
「おい、何つっ立っているんだ。座りなさい」
と言った。
僕は座ることも忘れ、ただ茫然と立っていたようだった。
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