大人オリジナル小説
- 白楼雪短編集(R18BL)
- 日時: 2022/03/23 02:43
- 名前: 白楼雪
私の気紛れゆっくり更新短編集です。
最近長編が多かったので、短編を書こうかなと思いました。
遅筆ながら徒然なるままに書いていきます。
色の濃い短編となると思います。
上手く書いていければ、いずれ官能の短編集も書き始めるかもしれません。
それでは始めます。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
- Re: 白楼雪短編集(R18BL) ( No.3 )
- 日時: 2022/04/06 01:31
- 名前: 白楼雪
-『君ともっと親しくなりたい。良ければ鍵のある部屋に行かないか?』-
水色という名の人物が綴ったその言葉を、藤途は深く考える事もなく受け入れて部屋に入ったのは一週間と少し前程。
だが、人の縁というのは不思議なもので、関わった時間と情、あるいは愛着というものは必ずしも比例するとは限らないらしい。
それを顕すように俺と水色の関係は日々良好で親しさは増していた。
そうでなければ先一昨日、藤途から彼に現実で会おう等と声を掛けるわけがないのだから。
『当日は金曜日だからな。俺は仕事あるから夜になると思う。確か紫も会社員だったよな?』
数分の間を置き返ってきた言葉に、藤途もキーボードに指を走らせる。
『はい、俺もたぶん夜になると思いますけど翌日は休みなので、ゆっくり話せると思います。時刻は二十時頃。場所は以前お話ししていた喫茶店はいかがでしょうか?珈琲を生豆から仕入れて店内で焙煎して出してくれるというあの店で』
スマホを片手に確認したのは、高級茶房『イリアン』と言う名の珈琲愛好家の隠れ家的な店である。
このイリアンという店はネットの海では住所と電話番号。休業日と営業時間くらいしか分からないようになっているのだが、それは軽薄な客を避ける為の店主の思いによるものと思われていた。
ちなみにこの喫茶店、実は藤途の行きつけの店の一つであり、週に三度。忙しい時期でも週に一度は通うほどの気に入りの店なのだが、とある時水色に『旨い珈琲の店を知らないか?』と質問際、一店舗目に彼もイリアンの名を答えていたものだ。
彼のその答えに俺は驚きと同時に嗜好が合うと確証して、更に藤途の職場近くのこの喫茶店を知っているという事は、案外互いに近くに住んでいるのではないだろうかと考え、それから水色に現実で会いたいと声を掛けたのだ。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18