大人オリジナル小説

白楼雪短編集(R18BL)
日時: 2022/03/23 02:43
名前: 白楼雪


私の気紛れゆっくり更新短編集です。

最近長編が多かったので、短編を書こうかなと思いました。
遅筆ながら徒然なるままに書いていきます。

色の濃い短編となると思います。

上手く書いていければ、いずれ官能の短編集も書き始めるかもしれません。

それでは始めます。

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Re: 白楼雪短編集(R18BL) ( No.1 )
日時: 2022/03/24 05:17
名前: 白楼雪


短編一話目 電子の糸、紡ぎ縁



誰にでも、公には隠している秘め事の一つや二つはあるだろう。
一方通行の恋。深層に根付く黒い感情。理解されにくい性癖等。そんなもの事を多くの人々が抱え、けれど言葉に出来ずにいる。
藤途(フジミチ)葵(アオイ)も、そんな秘め事を抱える男性の一人だった。
大学を卒業して社会人になり三年の月日が過ぎた頃、ある日心の奥底から薄く湧いた感情に俺は戸惑いを覚えた。

同性、つまり男性同士での恋愛や情事とはどんなものなのだろうと、僅かな興味が湧いたのだ。

藤途自身、過去に恋愛や身体を重ねた経験が無かったわけではない。
片手で数える程の恋もしてきた。その中で恋人となった女性達もいたのだ。
だが、それは全部異性との関係だったわけで、男性に恋慕の情を思った事など一度もなかった。
それが社会に出て仕事にも慣れ、落ち着き始めた頃に唐突に同性との恋慕や情事に興味が生まれたのだ。
心に余裕が出来たからなのか。いや、それならば学生の内に興味を持つのが自然と言うものだろう。
ならば、思い当たるのは一つしかなかった。
社会に出て、三年過ぎて起きた身の回りの変化。
仕事に慣れ始め、とある企画のプレゼンを作る事になった事で仲良くなり始めた一つ歳上の先輩社員、矢崎(ヤザキ)透(トオル)と関わり初めてから、藤途の心の奥に不可思議な興味が滲み始めたのだ。おそらく、たぶん。認めるのも腑に落ちないのだが。
しかし同性との事に興味があるなど、誰にも相談なんて出来るわけもない。
親しく思っている矢崎に等、決して知られるわけにもいかない。
けれど心の内に灯る興味は日々色濃くなり、自身の内に留め抑えて暮らすのも息苦しく感じ始めていた。
そんな時、俺は一つの解消法を思い付いたのだ。
「最近は便利だよな。これなら、バレる可能性も低いし」
平日の夜。一人暮らしの居間のテーブル前で、藤途はノートパソコンを眺めていた。
正確に言うならば、パソコンで繋いだサイトの画像である。
そのサイトは所謂男性同士の大人向けの物で、利用者同士の会話を楽しんだり、気が合えば実際に会う事も可能だという物だった。
藤途がこのサイトを見つけ、利用者との文字の上での会話を始めたのは一ヶ月程前。
同性との事に興味を持ち始めたのが半年程前だった事を考えると、腰は重い方だったかもしれない。

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