大人オリジナル小説
- 白楼雪短編集(R18BL)
- 日時: 2022/03/23 02:43
- 名前: 白楼雪
私の気紛れゆっくり更新短編集です。
最近長編が多かったので、短編を書こうかなと思いました。
遅筆ながら徒然なるままに書いていきます。
色の濃い短編となると思います。
上手く書いていければ、いずれ官能の短編集も書き始めるかもしれません。
それでは始めます。
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- Re: 白楼雪短編集(R18BL) ( No.16 )
- 日時: 2022/09/23 06:00
- 名前: 白楼雪
本来受け入れるようなところではない内側から感じる甘く痺れるような圧迫感。
苦しくて熱い。けれど拒めない気持ちにさせる色欲の感覚に、藤途は抗う術が浮かばずにいた。
「あっ…透さん。激しいのは、ダメです。おかしくなりそうだ」
俺自身の喉から溢れる切ない喘ぎ声は、嘗て聴いた事のある情事の際に響く艶やかな女性のそれに良く似ているのかもしれない。
声質だけを謂えば、当然ながら女性のか細く高い音域とは違う。
しかし男性特有の低く重い声とも異なり、男性としては高く女性としては低い。そんな声音の甘い鳴き声が藤途の喉奥から溢れ散っていた。
「おい、そんな声で。そんな顔されて、抑えられるわけないだろう」
鎖骨から唇を離して俺を見下ろす矢崎は、苦笑と獣の情欲の混ざり合った表情で告げると、理性が効かないと言わんばかりに律動を速めていく。
「ん…ダメ…激しくされたら、俺もたないから…っ」
潤滑に使われた俺の白濁か。あるいは藤途のなかの蜜か。矢崎の荒々しい律動に絡むような水音が、やけに淫らに響き聴こえた。
その淫らな水音に羞恥を煽られ、目の前の彼に犯されている事で、藤途の身体は過敏に欲を感じてしまう。
このままではまたイってしまいそうだという事を藤途が遠回しに喘ぎ伝えると、矢崎は愉しそうに悪魔の囁きを落とした。
「またイきそうなのか?良いぜ、好きなだけイけよ。可笑しくなれば良い」
律動を激しいままに、矢崎は藤途の背筋が甘美にざわめく程の欲に熟れた声音で微笑む。
「その淫らな瞳も艶のある声も、全部俺にだけ見せている。綺麗だよ葵」
欲に熟れた矢崎の声が、俺の名前を呼ぶ。
俺自身が矢崎に抱かれ、犯される事で今まで知らずにいた感情や感覚で彼を見ているのだとしたら、それは彼も同じ事なのだろう。
彼も、矢崎も今藤途葵という男性に酔い、情事に身を重ね、欲に溺れているのだ。
今この時だけは間違いなく、あの会社では頼りがいがあり飄々とした先輩が、理性も効かず欲に呑まれ藤途葵を求めている。欲して堪らずにいるのだ。
「透さん…っ、俺…もう…っ」
普段は厳つく飄々としていた可愛いげのない先輩が、今は何故か滑稽で愛しく感じる。
これ程迄に求めてくる矢崎の表情に藤途の欲も蕩け、過敏な身体は果てに抗えず限界を表すようになかを締め付けた。
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