大人オリジナル小説

瑠璃色の菖蒲(合作r18BL短編集)
日時: 2022/04/25 23:12
名前: 白楼雪+ゆうりん@ベルトルトは神

 ゆうりん@ベルトルトは神さんとの合作BL短編集です。
 R18有の合作は初なのですが、よろしければ温かい心で見守ってください。

 一応一本目は私、白楼が務めさせて戴きます。

※ ご意見・ご感想等は、雑談の方にある私のトピにお願いします。
  荒らし、乗っ取りはやめてください。
  その他「雑談したい」「合作したい」「意見交換してみたい」等も、
  雑談の方に来てもらえると助かります。

 それでは亀更新ながら始めさせて戴きます。


※ 2019/8/29  閲覧数1000突破しました。
         いつも合作短編集『瑠璃色の菖蒲』を読んで戴きありがとうございます。
         これからもゆっくり頑張りますので、よろしくお願いします。

※ 2019/11/17 閲覧数1500突破しました。
         今年中には三本目を終えたいと思ってはいるので、応援していて下さい。
         なお、終えたいという気持ちと、終わる事は別です(苦笑)頑張りはします。

※ 2022/4/25  閲覧数7000突破しました。
         三年過ぎた今も読んで戴いている。
         その事に感謝しております。
         これからも新たな物語を綴り続けます。頑張るぞ!

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Re: 瑠璃色の菖蒲(合作r18BL短編集) ( No.47 )
日時: 2019/11/12 18:37
名前: 白楼雪

驚いた。その言葉の意図が分からず、東雲は静かに続く言葉を待った。
空になった宮森のグラスは、溶けた氷を打ち鳴らし、テーブルに水滴を伝わせる。
「自分で言うのもなんですが、俺はそれなりに異性同性問わず言い寄られてきました」
眉間に皺を寄せ、宮森は言の葉を重ねていく。
「ですが、分かるんですよ。彼女等、彼等が求めているのは、容姿が其なりに整っていて、優しく接してくれる。自分の話を聞いてくれる。身体や心を求めさせてくれる。それだけなんだと」
どこか苦い表情を浮かべる宮森の表情は、東雲には寂しげに見えた。
宮森の出会い、求めてきた人達が、全てそうとは言い切れないだろう。
だが、根拠なくそれを初めから感じるとは考え難い。おそらく、幾つもの苦い経験を重ね、そして諦めてしまっていたのだろう。
「今夜、貴方に気持ちを告げられ時、私は『またいつものか』と思いました。どうせこの男の人も、都合の良い、そして容姿が好みだとか、そんな理由なのだろう。そう思って意地の悪い事を言ってしまいました」
逸らしていた視線を絡ませる宮森の表情は、苦笑と申し訳なさを滲ませていた。
だが、その表情に、東雲は思う。
別に良いのだ。東雲には想像もつかない。いや、知り得ない幾つもの痛み。信じて、惚れた相手が欲していたものに、自身の心や本心等が一欠片もない虚しさ。
両思いだと思っていた事が、ただの一人相撲で、自身より良い人が現れれば、または都合の悪い面や短所が見えれば直ぐに立ち去っていく人々を、宮森はどれ程見てきたのだろうか。
そんな数知れずの痛みを背負ってきたのなら、人を信じられなくなるのは当然だろう。
宮森の言葉に、表情に、東雲もつい苦い表情を浮かべていた。
そんな様子が可笑しかったのだろう。青年は小さく笑い、そして続ける。
「…ですが、貴方は求めなかった。私の身体よりも、共に生きる事を望んでくれた。そんな人は初めてでした。だから驚いてつい、笑ってしまいました」
すいませんと軽く頭を下げる宮森に、東雲は小さく首を横に振った。

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